533: 影響を受ける人 :2019/06/09(日) 22:29:43 HOST:softbank060068219187.bbtec.net
【影響を受ける人版 ストライクウィッチーズ:改訂版】
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督たちの憂鬱×ストライクウィッチーズ
第弐話 ――近くて、遠い縁者――



正体をバラし、数日後の秘密会議に出席した際、

「誰だ?」「すげぇ美人。」「白い貴婦人・・・ふつくしぃ・・・・・・」
「あれ? 袴っぽいの履いてる。」「本当だ。 ・・・この世界に転生した女性は、この試練に打ち勝たなくてはいけいのが辛い!」「だよね~」
「わかるか?」「辻正信や、山本長官が騒いでない所を見ると・・・」「ふむ。席順を見るに、地位の高い人物だと御見受けするが・・・」

ザワザワ騒ぐ一同の前に現れた正体不明の美人に、様々な憶測が飛び交うが憶測の域を出ない。
それを辻が手を叩いて治める。

「静粛に。これより夢幻会の報告を兼ねた会議をしますが・・・その前に。」

注目が美人に集中するのと同時に、立ち上がって一礼した。

「皆さま、私は天皇系のお仕えする侍従長の一人、九曜葛葉と申します。」
「侍従長?」「まじか・・・」「あれ。でも、前世でそんな立場な人っていたっけか?」

再びざわつき始めた一同の反応に満足そうに微笑む美人に対し、正体を知る者達は底意地悪くなった彼女の答え方に頭を抱える。
そんな思いなど知らぬとばかりに口を開いた。

「前世は男です。」
「「「「「・・・え?」」」」」
「海軍にいました。」
「「「「「ええ!?」」」」」
「死んだら戦国時代でした。なんやかんやあって不老化して、現状400歳近いですね。」
「「「「「はぃぃ?!」」」」」

「子供も産みました。」
「「「「「なんだってぇ!!」」」」」
「ちなみに名前は嶋田繁太郎です。」
「「「「「・・・・・・嘘だァァァァァ!!!」」」」」(男性陣の慟哭

絶世の美女による爆弾発言は、周囲を驚嘆させて大混乱に陥れた。
責任をとって鎮静化させた九曜は、会議後に色々な質問を受ける事になった。
あらゆる質問にスラスラと答えるのだが、家族となると様々な理由を付けてはぐらかす。
その態度に一部の夢幻会メンバーが訝しむが、長命で信じられない月日を生きている彼女だから。
思い出すのも辛いのだろうと思い、誰も指摘しなかった。

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原作大幅に内容が異なる扶桑海事変を乗り越えた【夢幻会】。
事態収拾にてんやわんやし、未来に向けた行動をして行く。
その中にあって九曜葛葉“嶋田繁太郎”は、強力な怪物と言えるネウロイと交戦し、休眠してしまった。
【夢幻会】は慌てたが幸いと言うべきか、前世に比べると影響が小さい部署にいる。
天皇家には悪いとは思いつつ、政務や軍務に注力した。というか、それしか出来ないのだが。

半年後。休眠を終えた彼女は体の調子を一週間で戻し、天皇陛下に無事を伝えて半年もの間留守にしていた事を詫びた。
そして現状を把握し、海軍が機能不全に一いりそうなくらい人材が消えていることに驚く。
原因を探ったら天皇陛下が、護衛巫女達を使って勝手に観戦していた。
急いで飛び出したのだからそれは気になると言う物。更に護衛巫女達が天皇の御言葉に逆らえるはずもない。
事実を知った九曜は米神を揉みつつ天皇陛下に対し苦言を言い、【夢幻会】に謝罪した。

せっかく海軍の邪魔が入った事を教えなかったのに・・・っと。
その際、永野修身に海軍に戻る意思が有るか聞いてみたのだが、

「今の生活の方が充実している。社員を見捨てるようで悪い。」

534: 影響を受ける人 :2019/06/09(日) 22:30:29 HOST:softbank060068219187.bbtec.net
と言われて断られた。実際、前世とは違う職種に就いたものも多い。ある程度の自由は認めるべきであろう。
それからも(主に海軍メンバーが)忙しい日々が続き・・・あくる日。
天皇家の補佐をメインとして活動している嶋田九曜が、久しぶりに【夢幻会】会議に出席。
しかし特にイベントもなく、滞りなく会議は終り。そそくさと帰る人や、仲間内で駄弁り、嶋田九曜が持ち込んだ煮物(長年の経験が生み出す至宝の一品)を食べたりしていた。

「うめぇ、うめぇ。」「これを天皇陛下も食しているのか。」「いい時代になったものだ。」「いや、関係ないだろう?」
「不便だから充実させたのに、また再出発はやっぱりつらい。」「微妙に経験が生かせないしな。」「魔力ぇ。」
「やはり、意識改革をすべきだろう。我々からしたら、あの格好の女性は目が痛い。」「そうだな。」
「しかし。海外よりましだとは思わなかった。」「ああ・・・ 目のやり場に困る。」「海軍は付き合いがあるから大変だな。」

会議が終了して大分経つのだが、あまり人が減った感じがしない。それぞれのグループにわかれ、だべっているようだ。
前世より様々な派閥が出来ているせいで、パワーバランスの調整に苦労しているのも、この世界特有といえる。
その中で前世でも比較的よく付き合っていたメンバーが、美しき美女を中心に話し込んでいた。

「ほう。織田信長公がな・・・」
「ああ。事実は小説よりも奇なりというが、この世界の織田信長公と前世の信長公とはちょっと違う気がした。」
「美食に目覚めた後は、やはり?」
「ええ。よくウチにたかりに来ていました。温泉を利用した温室製造を教えて、胡椒を独力で作ったのは驚きましたよ。
 後に、貴重な外貨獲得の資源にもなりましたし。あれは教えて良かったと思いましたね。」
「なるほど・・・」

楽しそうに過去の思い出を話していると、辻正信が、唐突に話題を振ってきた。
内容は家族。子孫に関すること。これは、扶桑海事変にて起きた出来事が関わっている。
目撃された九曜葛葉の獣神形態と酷似する姿が目撃されたのだ

「・・・そうですか。あの子が。」
「ええ。今現在、必死にリハビリをしているそうですよ。」

そう呟くが、九曜の表情は少々憂いを含むだけでそれほど変化はない。

「確かにあの子は私の子供の子孫です。
 しかし。一度しか合っていませんし。深くは関わっていません。」
「関係ないと?」
「ええ。あのとき限りで、何も干渉していません。」

あまりにもすっぱりと言い切った為、よく知るメンバーは困惑と驚きを隠せない。
確かに九曜は過去の話をしてくれるのだが、家族の話となるととことん避ける。
長く生きている分、大切にしたいという思いがあるのはわかる。
しかし。様子を見る限り触られたくない、触れられたくないと思っているようだ。
だからこの話題になると、すぐさま話題を露骨に変えてくる。

さすがの辻正信も、相手が嫌がるプライベートな話をするわけにもいかない為、あっさり引き下がった。
もっとも、隙あれば問い詰めるつもりだが。
そんな風に旧交を温めていたのだが、九曜はふと時計を見て何かを思い出したように懐を探り始めた。

「嶋田さん、どうしたのですか?」
「ちょっと、気になる事がありまして・・・」

懐から小さい水晶球を取り出すとカラの皿の横に置き、さらに水を注ぐ。
そして素早く手順通りに魔力を送り込み、目を閉じ念じた。
九曜葛葉の魔力は質量ともに世界最高峰。現代で作られている術具に対して不用意に魔力を流しこめば、一秒と持たずに自壊してしまう。
この遠視物見の能力を持つ水晶は、天皇家から直々に下賜された品。
元々は陰陽術士系列の総本家が、天皇家に献上した巨大銅鏡と共に贈られた品なのだが。

そんな事は知らない、いつまでたっても子供の様に興味が亡くならない好奇心旺盛な親父達が、なんだなんだと雄覗き込んできた。
ちょっと迷惑そうな九曜であるが、術の行使は滞りなく進む。
水晶を通して水鏡になった皿に、青空のような情景が映り始めた。

「おお! すごい・・・ 念写なんて初めて見たぞ。」
「いや、前世を含めてもだれも見たことないと思うぞ。生で。」
「さすがアニメ世界だな。」

騒ぐ野郎共を無視して九曜は、青空から視点を水平にしてぐるりと一周。視界に入るのは森と青空、そして山だ。
暫らく変わらぬ風景を写していた水晶だったが、不意に何かを見つけたのは立ち止まり、一気にある場所を目指し始めた。
徐々に視界に移り始めたのは曳光弾らしき光と、ネウロイのビーム。
視点は戦場の中に飛び込み、一人の人物を捜し当てた。
映し出されたのは青い軍服を着た少女。動物の耳を生やし、ストライカーを履く少女はウィッチだろう。

「あれ? この子って・・・」
「狐耳・・・黒いな。」
「もしかして・・・・・・エイラタンだな!」
「「「「なんだと!」」」」

535: 影響を受ける人 :2019/06/09(日) 22:31:09 HOST:softbank060068219187.bbtec.net
水晶に映る少女の正体に気が付いた野獣共は、推測が正しいか問う為に視線を九曜に集中させる。
強烈な視線にさらされてちょっと“ビック”っと、小動物のような反応に、何名かが何とも言えない表情になったが無視。
分体を用いない遠視は疲れるし、集中力がいるのだ。いちいち関わっていられない。
結局無言だったのだが、その沈黙を肯定と受け取ったオタク共が、我先にと一気に集まってくる。
中には煮物が入った器ごと持ってくる者もいた。非常にうざったい。と言うか、頭に乗りかかるな。

「うひょぉー!!エイラタンだ!」「リアルだとこんな顔なのか」「でも可愛いぞ」
「なんだ。サーニャはいないのか・・・」「あ、てめぇ。サーニャ派か!」「悪いかこの野郎!」
「まだ501が結成されてないんだから、いないだろ。」「えっと。そうなると、この場所はスオムスか。」

一部暴走して乱闘が始まった。が、九曜葛葉による“念動”により外の池に情け容赦なく叩き込まれる。
遠めに様子を見ていた外野は、突然起きた(自業自得の)惨劇を目にして静かになる。
どうも九曜は、己に憑いた白面九尾の影響を受けているのか、たびたび過激に対処するのだ。
まあ。今のはメンバーが原因なので誰も文句は言わない。

「ふぅ・・・ 暑苦しい。」
「ご苦労だったな。ほら、水だ」
「ありがとう山本。流石に遠距離過ぎる“遠見”は疲れるな・・・ 歳をかんじる。」
*1)))

コップを受け取り、一気に飲み干す。冷たい水が喉を潤し、五臓六腑に染み渡る。
ホッと一息ついたのを見計らい、辻がズズイッと顔を近づけてきた。

「それで、彼女とはどのような関係で?」
「・・・海外に渡った、私の息子の子孫。」

辻は「ほぅ。」と言って、それ以上の詮索をせずに離れて行った。
邪魔物がいなくなり、しばらく少女・・・エイラの戦闘を見ていた九曜は、溜息をつくと“遠見”を切った。

「今日はもう上がらせていただきます」
「おや。もうお帰りで?」
「ええ。明日は陛下にお願いされ、朝食を作らないといけないので。」
「例の無茶ぶりか。まあ、食事位は可愛いものだな。」

山本五十六が苦笑し、辻正信は軽く手を振った。
九曜も軽く手を振り、ほかのメンバーに別れの言葉をかけて庭に出る。
そして、そのまま飛翔して帰っていった。

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「ん・・・ ココは・・・・・・」

戦闘が終わって報告を上げ、早めに宿舎に帰宅した就寝した少女――エイラ。
眠りにつくのと同時に目が覚めた。現実の様で違う。曖昧な感覚は身に覚えがあるので、すぐさま辺りを見回す。
そこは一面黒い世界で建物は白い輪郭でわかり、自分はどこかの武家屋敷の縁側にいるとわかる。
よくよく見れば、庭に生えている樹木は枯れ果て、生命の息吹が感じられない寂しい世界。
能力に目覚めてからよく目にするようになった光景だったので、すぐにこの理解して笑顔を浮かべた。

「そうか! 今日はオバサマにアエルんダナ♪」
「そうよ。」

声はすぐ後ろから発せられた。
振り返ると・・・白い狐耳・赤い目・白い髪・白い肌・九つの尻尾を持つ女性・・・九曜葛葉が立っている。
自分の師匠であり、遠い親類であり、優しい御婆ちゃん。

「エイラ・・・ ひさしぶりね。」

九曜はエイラの傍により、優しく頭を撫でてあげると嬉しそうに微笑んで抱き着いてきた。
甘えん坊な子孫に、九曜も微笑む。
だが、見上げた顔に陰りを見てとったエイラは、急にショボンとテンションを下げた。

「もしかして・・・今日の戦い。見ていた、ノカ?」

九曜は頷きつつ、優しく子孫を撫でた。

「ええ・・・また“未来予知”をつかったのね。
 危険な戦場にいるから使うなとは言えない。でも・・・」
「ワカッテル。オバサマが言いたいコト・・・」
「なら、いいわ。貴方は私の持つ能力が発現している。だからこそこうして【夢】で会える。」
「ワタシはこうしてオバサマに会えて、“未来”をしって“絶望”したのを教えてモラッタ。
 能力の過剰使用のヘイガイも教えてモラッタ。」
「貴方には幸福であって欲しい・・・未来など、読めない方がいい。」
 だけど、私の我儘で貴方を死なせたくない。」
「ゴメン・・・」

536: 影響を受ける人 :2019/06/09(日) 22:32:05 HOST:softbank060068219187.bbtec.net
そう言うと、撫でるのやめて今度は優しく抱きしめる。包み込むように。
悲しそうに笑う大好きなオバサマに、エイラは元気よく答える。

「ワタシはもっと強くナル! いつか能力に頼らなくテモ良い様二!」
「うん。がんばってね」

それが、その日の最後の会話になった。

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自分の住む一室で、九曜は布団に横になっていた。意識ははっきりしており、目を見開いて天井を見上げているが、何も見てはいない。
今思う事はただ一つ。“未来予知”という、今現在進行形で封印している能力について。
好きではない、使用したくもない。未来とは、必ずしも幸福であるとは限らないから。
自分が初めて産んだ子を抱きしめた時に、将来「化物!」と拒絶される場面を見てしまった。

「はぁ・・・」

深く、濃い溜息をつく。それにより心の闇が晴れる事は無いが、やらねばならない事は沢山ある。
起上って身支度を“念動”でこなし、朝食の準備をするために部屋を出る。
廊下から見上げた空は晴れ渡っている。
今日もいい天気だ。憎たらしいくらいに・・・



以上です。
少しずつでも改訂を進めていき、内容を充実させては切り詰めていきたい。
今年もあともうちょい。追い込みで忙しいぜ。
今畜生!!!
改訂 2019/06/09

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最終更新:2020年12月05日 12:55

*1 (((300年生きていれば、もっと前に年を感じるのでは?