137: 弥次郎 :2019/02/28(木) 21:38:11 HOST:p2729046-ipngn201308tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
大陸SRW IF 融合惑星編 短編集「Episode of AF」2
Part.3 空を駆る山猫達
アシハラノナカツクニは、厳密に言えば大洋連合の持ち物ではない。
勿論大洋連合の所属を示すマークは付けているし、対外的には大洋連合所属ということにはなっている。
だが、群体型AFということもあり、AFとして構成しているユニットの中には企業連が用意したユニットが含まれており、全部が全部国家のものではない。
そも、建造にあたっては国家だけでなく企業も大きく絡んでいるユニットであり、運用もそれに沿うのだ。
また、他国から派遣されてきたユニットも含まれているという特性を持っている。特に融合惑星に派遣されている三番艦の「アマノハシタテ」には、外交官が常駐する拠点も内包されており、地球連合を構成する各国のほか、融合惑星の諸国からも人が集まっている。
管轄が大洋連合と大日本企業連合が主体とはなっているだけで、半ば公共の施設としても扱われているのがこのAFなのであった。
そして、γ世界日本近海に停泊中の三番艦「アマノハシタテ」の上空では、交易のために飛び交う輸送機などの通過する空域とは別に、飛行可能な人型機動兵器、ACやTMS、VFなどを用いた訓練が行われていた。
訓練空域を舞うのは二機のアーマードコア・ネクスト、JPNT-005 MASURAWO。どちらも訓練用の装備であり、意図して条件を整えているのか両機ともに同じようなアセンブリであった。無毒化されたコジマの噴射が日光で光り、瞬間移動とも捉えられるQBの連発が特徴的な音を大気にとどろかせている。二機の間ではそれぞれが装備したライフルとレーザーライフル、そしてミサイルが応酬として繰り出され、回避や迎撃を重ねることで空に刹那的なアートを刻み込んでいた。
両者ともに空中機動戦では当てにくいと判断した背部のグレネードランチャーはパージされており、激しいドックファイトを繰り広げていた。
互いのPAが弾丸やレーザーと干渉し、ミサイルが迎撃され、あるいは鋭い鋭角的なターンによって振り切られていく。
生身では到底追いつけないような速度域のそれを、タケミカヅチは演習を監督する管制塔の中から眺めていた。
(まあまあってところかな)
乗っているリンクスたちへの評価は悪くない。エース級とまでは行かないが、少なくとも簡単に撃墜されるようなの腕前ではないだろう。
ネクストのパイロットが一騎当千を求める傾向にあるとはいえ、そこまで極端に個人に依存する戦力は安定性に欠ける。
殊更、転移戦術によってどこから仕掛けてくるかもわからない状況においては、ネクストの戦闘力を一定の数配備できることはかなり心強いことだ。
日企連世界、と呼称される前世からの反省点やデータのフィードバック、そして
日本大陸という国力と前世より飛躍した技術は、一定程度の質のリンクスを多く配備するという前世のGAのNSS計画のような体制を構築することに成功していた。
(……母数が増えたから、強い奴も多いんだよなぁ)
今でこそ教官として、上位ランカーとして活躍しているタケミカヅチではあるが、前世の積み重ねが無ければ埋もれていただろうことは間違いない。
前世よりも低負荷になり、AMSが手軽になっているという状況によって、リンクス全体の質はかなり高くなっているのだ。
また、それに加えてこの世界や新西暦世界、融合惑星においては戦乱や争乱や外敵の襲来などが相次いでいて、質が嫌でも向上する傾向にあった。
前世では経済戦争であることや政治的な駆け引きなども絡んでいたので、正直停滞していたところもあったのだが、現在はそれが無い。
黒い鳥の有力な候補者である自分も、うかうかはしていられないのだ。
「さて、どうなるかな…」
演習の制限時間も間もなく終わりを迎える。二機のMASURAWOのどちらが先に仕掛けるか、あるいは逃げ切ることができるのか。
タケミカヅチは興味深くモニター越しに見守っていた。
- 後日、この演習の模様を知ったγ世界の軍関係者たちが白目をむいてひっくり返ったというが、またそれは別の話である。
138: 弥次郎 :2019/02/28(木) 21:38:42 HOST:p2729046-ipngn201308tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
Part.4 万物に感謝を込めて…
武士は食わねど高楊枝。さりとて、腹が減っては戦は出来ぬ。
そんな矛盾することわざが両立しているβ世界の大日本帝国において、食糧問題というのは極めて重要な問題であった。
シナ大陸の戦線崩壊によって、ユーラシア大陸に対するBEATの最前線国家となり、さらなる侵攻を受けて国土の半分を焼かれた帝国は、必然的に処々の問題に突き当たっていた。その中でも、食料の問題はこの融合惑星への転移後、ひいては偏向たんぱく質の暴露によって、ちょっとしたパニックやら動乱が起こりかねないほどの事態となっていた。
複雑極まる帝国の制度の裏側で行われていた偏向たんぱくの蔓延、食糧不足に伴う代替食品の流通、そして戦争の長期化による娯楽の淡泊化。
さらには、連合が行った調査で判明した、難民に対して供給される食料の重金属汚染などなど、どれもこれも、目の前の食品すら、どうしても疑わしくなってしまうようなとんでもない事態が続いたことが、食卓事情を大きく揺るがしていた。
高級階層の特権として、あるいは貴重なものを入手しやすく、図らずも独占していた武家や城内省などは疑いの目を避けるためにも民政へと天然品を放出し、あるいはそういった裏のある食品ではないと必死にアピールすることが求められていた。
さて、その一方で飛びつくように人々が求める食料品というものが存在していた。それは、大洋連合を通じて帝国に流通を始めた管理食品であった。
大洋連合が大日本帝国の各地、あるいは群体型AFがけん引してきた海上都市において食料工場が建造されて稼働し、天然品ではないが、これまでの人口食品よりもはるかにマシな食品が生産されるようになった。これは難民キャンプにも優先して配られており、各国の人々が入り混じる難民キャンプにおいても好評を博し、治安の改善や不満の解消などに繋がっていた。
難民たちの体に食事を介して蓄積した重金属などのデトックスも順調に進んでおり、それを作っていた
アメリカなどへの怒りがたまる一方で、少しずつ難民たちの間にも希望というものが芽生え始めていた。希望があって、食事と安全に眠れるところがあれば人間何とかなるものである。
β世界---マブラヴ世界は少しずつ、良い方向へと歩み出そうとしていた。
139: 弥次郎 :2019/02/28(木) 21:39:35 HOST:p2729046-ipngn201308tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
その日の煌武院悠陽の昼食は、帝国民と同じ食材を用いた料理であった。
食糧事情が大洋連合をはじめとした国々の支援によって大きく改善したことを耳にした悠陽は、指南役である一目連を通じて希望を伝え、せっかくだからと一目連がその腕を振るって用意したものであった。その地位と重要な人物であることからその気になれば、天然品や高級品がいくらでもとは言わないが優先的に手に入る悠陽であったが、敢えてそれを拒否しての食事。
それは、悠陽なりの考えに基づいたものであり、紅蓮もまたその考えを良しとした。
「男の手による武骨な料理ではありますが…」
「構いません、師父。私もこういった庶民の味を知らねば、彼らを知ることも敵わぬことでしょう」
「一目連殿、相伴に預かる」
悠陽の前に置かれた食器には、普段の彼女の食事から見れば質素な、しかし、彼女にとってはそんなものよりも興味と食欲を誘う品々が並んでいた。
一目連の鍛錬の一環で野営し、自ら食料を狩り、調理して食べることも経験してきたが、これはそれとは違った趣があった。
「……おいしゅうございます」
いたわりの料理だ。それを、悠陽は正直に感じ取った。
見た目が豪華なわけでも、贅をつくしたわけでもない。ただ人が作った、人のための、人を癒すための料理であった。
例えるならば、疲れはてた人間にそっと手を差し伸べるような、そんな料理だ。
それを感じ入っているのか、同席している紅蓮もまた静かに一目連の手料理をしっかりと噛み締めて食べていた。
豪快な人間と思われがちな紅蓮ではあるが、さりとて彼も一角の武人であり、そういった作法は身に付けていた。
そして彼は、料理に込められている思いを深く感じ取り、無碍にしないように箸を動かしていた。
「師父、かようなまでに臣民たちの食事も改善しつつあると、そう理解しても良いのでしょうか?」
「はっ。殿下の影ながらの働きかけや努力は、間違いなく臣民に食事という形で届いておりましょう。
日々の食事に疑いを持ってしまい、戸惑う民もおりましたが、その混乱は着実に落ち着きを取り戻しつつありまする。
無論、我々大洋連合をはじめとした連合だけではなく、帝国の不断の努力もあっての事かと」
「左様ですか。そうだとしたならば、私が努力した甲斐があったというものです。
人の上に立つものとして、せめて弱き者たちに手を差し伸べてやらねば…」
箸をおき、少し遠くを見るようにして悠陽は漏らす。
「戦いが優位に進むとはいえ、まだ道半ば。いえ、戦いが終わった後にこそ、本当の戦いが始まります。
まだまだ始まりでしかなく、その事を戒めとしておかなければ…」
「その通りにございます。しかし、恐れながら、殿下も御身を労り、民草を、帝国を率いていただかなくては」
「勿論です、師父。まずは師父をはじめとした方々に感謝を込めて頂くこととしましょう」
師弟と大将の、気の置けない仲の昼食は穏やかに過ぎていくのであった。
140: 弥次郎 :2019/02/28(木) 21:40:30 HOST:p2729046-ipngn201308tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
《メカニック紹介》
JPNT-005 MASURAWO
《ステータス》
サイズ:M 移動力:7 地上:A 空:S 海:C 宇宙:S
《装備》
銃装備 剣装備 コジマ機関 テスラドライブ バリア(PA) EN回復(中)
《武装》
アサルトライフル 属性:P C 射程:1~6
レーザーライフル 属性:P B C 射程:1~5
レーザーブレード 属性:P C 射程:1~3
グレネードランチャー 属性:- 射程:2~5
ミサイルポッド 属性:- 射程:2~6
アサルトアーマー 属性:P 射程:1~2
アサルトアーマー 属性:MAP 射程:1~5(自機周囲無差別型)
概要:
大日本企業連合に属するムラクモ・ミレニアムが製造・販売を手掛けるコジマ技術を用いたアーマードコアネクスト。
同企業における極めてスタンダートなスペック・特性・操縦感覚を持ち、テスラドライブの採用や無毒化されたコジマ機関の搭載、低負荷なAMSによる通常の操縦を超えた機体制御能力などを盛り込んだ、同社における標準的な中量二脚型ネクスト。
同社に属するリンクス及び紐付きの傭兵などに対して販売されており、ムラクモ・ミレニアムの社有軍においても配備がなされている。
上記の装備品は所謂標準装備であり、ミッションや状況に合わせ、アセンブリすることができる。
質実剛健を地で行くスタイルは日企連世界のそれから変わっておらず、製造及びランニングコストが他のネクストよりもやや高くつくが、それを補って有り余る安定した性能を誇り、極端なアセンブリでなければどのような装備にも対応して運用ができる。
逆に言えば突出したところが少ないということでもあるが、そこはそれ、安定志向を求めるユーザーのニーズに合致している。
141: 弥次郎 :2019/02/28(木) 21:41:10 HOST:p2729046-ipngn201308tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
以上、wiki転載はご自由に。
筆がのったので書いてみました。
392: 弥次郎@スマホ :2019/03/02(土) 17:45:06 HOST:p2729046-ipngn201308tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
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これは失礼を…
×そも、建造にあたっては国家だけでなく企業も大きく絡んでいるユニットであり、
○そも、建造にあたっては国家だけでなく企業も大きく絡んでいるユニットであり、運用もそれに沿うのだ。
修正をお願いします…いつもありがとうございます
最終更新:2023年11月15日 20:31