203: 影響を受ける人 :2019/01/03(木) 17:03:28 HOST:softbank060068219187.bbtec.net
1000なら九曜ストパンでエリみほな話が見たい

※ガルパンネタを使っていますが、作者がヘボなのでうまくありません。
※九曜ストパン設定を使用しています。

それでもよろしければ、お進みください。



ストライクウィッチーズ×ガールズ&パンツァー×提督たちの憂鬱



西住みほは戻ってきた学園艦でくつろいでいた。
厳しい実家から逃げてここにきて、戦車道から離れられたかと思うと結局戻り、学園艦存続の大博打に出なければならなかった。
その激動を乗り越え、ようやく訪れた平穏。
此処で満喫せずして何時満喫するのか!

「まったり、一人でのんびりするのも良いなぁ。」

何時もは忠犬の様な同級生が、四六時中引っ付いているが今日はいない。
珍しい事に他の友達もいない。
久しぶりに一人で休日を楽しんでいた。そんなまったりを楽しんでいた時、

―コンコン―

「あれ? 誰だろう・・・」

今日は誰も訪ねてこないはずなのに。そう思いつつ玄関の扉を開けると、

「元気している?」

逸見エリカが私服姿で立っていた。

「あれ、エリカさん。どうしてここに?」
「ちょうど暇になってね。戦車は現在全車、フルメンテナンスで動けないのよ。」
「・・・ああ、そう言えばこの時期はそうなりますね。」

大洗の戦車は、チート級の上前を持つ自動車部が趣味と、実益を兼ねて整備してくれるので問題が無い。
しかし他校は違う。通常の整備だけではできない部分を、一両づつ丁寧に分解して修理や交換を行うのだ。
改めて家はチートだと思う。

「それで、訪ねたってわけ。」

連休だしと言う彼女の服装は、少し気合が入って居た。
このままダラダラと部屋に閉じこもるのも良いが、せっかくの良い天気。
外に出るのも悪くは無いだろうと思い、外着に着替えるために少し待ってもらった。

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お出かけした二人は、過去のわだかまりなどないかのように仲良く喋りながら歩道を歩く。
本来みほはエリカに対し、黙って出て行ったと言う負い目があり、庇って欲しかった思いがある。
そしてエリカもみほに対し、辛くあったってしまったという負い目があり、黙って行ったせいで頼りないのかと言う憤怒があった。
御互いに御互いが、自分が悪いと思いつつ相手を攻めた。
しかしそれも大洗高校の危機などにより会話をする機会が増え、つい最近仲直りが出来た。

その際、中堅がすんごい目でエリカを睨んでいたが、友達全員で奥に連れて行って事なきを得ている。
姉のまほも「これで夜中に奇声が聞こえなくなる」と安堵し、みほは首をかしげた。
自分を最初から【西住】としてではなく、ただ一人の人として見てくれたエリカに対して、ただならぬ思いを抱いているのだが自覚は無い。
そしてエリカは同い年の手のかかる妹扱いであったが、黙って行った際に色々拗らせて消化しているのだが・・・
これまた自覚は無い。傍目から見ればツンデレ男子が、ホニャホニャ幼馴染を連れている様に見える。

そんな二人は気分が知らない内に高揚しており、普段はしない事をして見る事にした。
学園艦と言う特殊な生活環境だが、行かない場所というものは割と存在している。
そんな場所がある為、二人はちょっとした冒険心で裏路地に入ってみる事にした。
何せ学園艦だ。周りが海で、迷子になっても外周にさえ出れば何処にいるかわかる。
だから・・・あんなことが起きるなど、予想もつかなかった。

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「狭いけど、いろいろあって面白いわね。」
「そうだね。それなりに長くいるけど、こんな裏路地が有るなんて初めて知った。」
「レトロ・・・って言えばいいのかしら。古臭いけど、何というか落ち着けるわね。」
「うん。」

204: 影響を受ける人 :2019/01/03(木) 17:05:27 HOST:softbank060068219187.bbtec.net

二人は談笑しつつも興味津々であたりを見回す。
狭いながらも整備された道は、植木鉢やら地元の人しか知らないような喫茶店まで合って飽きが来ない。
住宅地と言う事もあり、静かな雰囲気も相まって落ち着いた空気が流れる。
ふと視線を前に向けると、小さな木々に囲まれた一角が現れた。
二人がその場所の前に到着すると正体が判明する。

「神社だ。」
「小さいわね。狐がいるから・・・稲荷神社ね。」
「名前は【白守狐護(はくしゅこご)】・・・変わっているね。」

聞いた事が無い名前に首を捻るみほを置いて、エリカは説明が書かれた小さな石碑を見る。

「なになに・・・災害から身を挺して村々を守った白狐を祭っているみたいね。」

二人は思わぬ発見に、まじまじと御神体を祭る小さな社を見た。
そしてこれも記念だと思いお賽銭を入れて、目を瞑って祈りをささげた。
数秒間目を閉じ、再びを目を開けて冒険を再開しようとして振り返って二人の足は止まった。
はて、目の前の建物はあんなに古かっただろうか?

「え、エリカさん・・・」
「よくよく見ていなかっただけで、そうだったかもしれないわ。」

ゆっくり二人は神社の境内から出ていく、路地に出るとアスファルト製の道ではなく、露出した地面がお出迎え。
錆びたネジのように左右を見回すと・・・風景は一変していた。
どう見ても昭和時代と言った古すぎる建物に、全ての建築物が変貌していた。
エリカが相談しようとみほを見れば、彼女は不安そうに自分を見ている。
その顔を見て、すぐに手を握って安心させた。

「とにかく、ここを出るわよ。」
「うん!」

小走りに元来た道を引き返す。
しかし道の構造まで変わってしまったのか、何度か折り返すたびに自分の位置が把握できなくなっていく。
路地裏に住民が出てきているのだが、どうにも話しかけ辛い。
路地裏に入ってきた以上の時間を費やし、何とか大通りに出る事が出来た二人だが、そこでも絶句するしかなかった。
目の前を路面電車が通過し、古い型の自動車が行き交い、幼い少女達の下半身が脆出しに近かった。

絶句して空を仰げば、古い利子プロ戦闘機が飛んでいくのが見え。
それに追従するかのように、小さな人影が見えた。
ああ、よく目を凝らしてみれば小さな人影は空を飛んでいる。

「何が、どうなっているのよ・・・」
「え、えりかさぁん・・・」

二人とも泣きたいが、精神的に強い二人はただ呆然とするだけだった。

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奇妙な出来事に巻き込まれた二人は、トボトボと歩き始めた。
幸い文字は読めるのでここが日本だとわかる。わかっていたつもりだ。
置き去りにされた新聞を何気なしに見れば〔扶桑読売新聞〕といったタイトルが見える。
どうやら“日本”ではないらしい。
困り果てた二人は何処へ行くとも知らずに歩き続け、ある学校の校門前を通過しようとした。

「ああ! いたぁぁ!!」
「うん?」

気疲れから項垂れていたエリカは、こちらに向かって叫ばれた聞き覚えのある声に顔を上げた。
視線を巡らせれば、これまた見知った顔が全力疾走でこちらに向かてくる。

「赤星?」
「ふぇ。赤星さん?」

みほも顔を向けて知り合いがいた事を確認し、少し安堵しそうになるが恰好がおかしい。
セーラー服を着ているし、短いスカートを履いている。
恥ずかしくないのかな?と思っていると、がっしり二人の腕を捕まえて、血走った目で睨みつけてきた。

「ちょ、ちょっ!」
「どこに行っていたんですか! これから練習試合なのに!!」
「あ、あの!」
「みほさんも勝手にいかないで下さいよ! 指揮官なんだから!!」

問答無用で引っ張る赤星の力に抗えず、二人は校門を越えて中に入って行く。
古い造りの校門を抜け、振りほどこうと力を込めるがまるでビクともしない。
重い履帯を扱っているとはいえ、ここまで力があっただろうか?
混乱している二人はいろいろ言うのだが、彼女は一顧だにせずズンズン進んで行く。
怒り心頭と言う様子に、聞く気も無いのだろう。

205: 影響を受ける人 :2019/01/03(木) 17:07:29 HOST:softbank060068219187.bbtec.net

如何にかして誤解を解こうかと頭を働かせるが、同時になぜ彼女がここにいるのかわからない困惑が思考を妨害する。
そうこうする内に、校舎らしき場所まで来てしまった。人の気配がなく、無人の様だ。
こうなったら手を放した際に誤解を解こうと、二人は目線を合わせて力なく頷いた。
靴を脱いで廊下を靴下で歩く事としばし、赤星が目的の部屋の前に立った。
そして開こうとして、

「うん?」
「ふぇ?」
「「「・・・え?」」」

目の前から逸見エリカと西住みほが現れて、一同は硬直した。
赤星は信じられないモノを見たかのように前の二人を見て、引っ張ってきた後ろの二人を見る。
連れてこられた二人は鑑写しの自分達を見て混乱し、部屋から出てきた二人は赤星の後ろにいるソックリさんを見て硬直。
数秒後、叫び声が校舎を揺るがした。

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「えっと、大洗女子学園2年生、西住みほです。」
「・・・黒森峰女学園2年生、逸見エリカ。」
「導術士学校中学部、西住みほです。」
「同じく導術士学校中学部、逸見エリカ。」

同じ顔、同じ声、同じ態度・・・しかしちょっとだけ背が違う四人は教室の椅子に座って自己紹介をした。
赤星はどうなったか? 気絶して片隅に放ってある。

「いやこれ・・・なんなの?」

逸見が困り果てて、頭脳担当の西住を見る。
頼られるのは嬉しいが、この状況で頼られるのは嬉しくない。なので苦笑だけで終らせた。

「あ~・・・いろいろ整理したいから、質問いいかしら?」
「みほ、パス。」
「あ、うん。私が答えます。」

脳筋突撃少女は頭脳明晰少女に投げっぱなしジャーマンを決め、話半分に聞く事にした。
対してみほは変わりゆく状況について行けず、戦車戦で働く頭を動かせずに友達に頼った。
そこから質疑応答がなされ、適宜情報がすりあわされていく。
エリカとみほが知り得たのは・・・ここが異世界であるという事だけだった。
そして帰る術は全く情報が無い。

「ど、どうしよう!?」
「落ち着きなさい。慌ててもどうにもならないわ。」

アワアワ慌て始めたみほを見て、逆に落ち着いたエリカは対策を練る。
そんな二人を見つつボーっとしていた逸見は時計を見て、西住の袖を引っ張った。

「ねぇ。」
「なに、エリカさん?」
「時間、やばくない?」
「ゑ゛!!??」

言われて急いで時計をみればいい時間。
元々彼女等は忘れ物を取りに校舎に来ていた。だがなかなか見つからず、教室中を捜しまわってようやく発見したのだ。
用件さえ終わればさっさと戻る手はずだったのだが・・・予定外の事が起きて時間を食ってしまった。

「うわぁぁぁぁぁ!!! い、急がなきゃ!!」
「でも、この二人どうするのよ。」
「う、うぇぇええ!!??」

親友の容赦ない質問にテンパる。
交互に時計とドッペルゲンガーな二人を見ていた西住だったが、時間を気にして決断した。

「申し訳ないのですけど、着いてきてください!!」
「・・・えっとなんで?」

このまま帰ろうかと思ったエリカは、疑問符を覚えた。

「このまま貴方がたを解放したとして、“何処に”行きますか?」
「「っ!」」
「この辺は、治安は良いですけどお金も無いのにどうすると?
 身元がしっかりしていないと働き口も無いですし。
 元の世界に帰るつもりなら、この辺から離れるわけにもいかないですよね?
 自分はそれなりに歴史のある名家であると自負しています。
 その伝手を使っても良いですし、ある程度身元については誤魔化せます。」
「・・・それで?」
「正直言って・・・
 同じ顔の存在が現れて、あっさり解放して後日問題が起きました・・・
 と言うのは流石にちょっと・・・」

どうやらこちらの友達は、良く考えているらしい。
このポンコツ具合とは比べ物にならない。少しばかり考え、溜息を吐いた。

「わかったわ。とりあえずついていく。」

206: 影響を受ける人 :2019/01/03(木) 17:08:54 HOST:softbank060068219187.bbtec.net
「いいわよね?」とみほに問うと、頷いたのを確認して四人は立ち上がった。
そして少し駆け足で教室を出ていく。
靴を履き(逸見と西住はサンダル)、先導する二人にエリカとみほは追従する。
向かった先からは人の声がし始め、それは大きなざわめきにかわった。

「何か催し物があるんですか?」
「えっとね。今日は天皇陛下がいらして、模擬戦を見る事になっているの。」
「へぇ~・・・って。「天皇陛下ぁ!」」

御祭りかなっ?と思えば、超ビップな御方の名前が出てきて驚愕する二人。
だが前を走るエリカはうんざりしているのか、表情が優れない。

「戦うのは割と好きだけど、突撃するなっていうのは好みじゃない。」

どうやらこちらの自分は脳筋らしい。
しかしウィッチと言う単騎戦力だと、こうなるのかもと思う。
戦車道はチームで動く。軍隊もチームで動くが、固有能力でも差がはっきり分かれるウィッチだと、より顕著なのかもしれない。
そう納得しておこう。自分は脳筋で無いとエリカは強く、強く念入りに思う事にした。

そうこうしている内に指揮所らしきテントにやってきた四人は、逸見がそのまま出場選手待機場所までは知って行き、西住は指揮所のメンバーと話しをし始めた。
が、みほは再び眩暈を起こしそうになる。
だって、どう見ても大洗生徒会メンバーにしか見えないのだから。

「遅いぞ西住!」
「まあまあ桃ちゃん「桃ちゃんいうな!」」
「西住ちゃん、後ろの人は誰かな?」
「えっと、親戚の人達です。」
「ふ~ん。」

嘗め回す様に見られたが、すぐに興味を失ったのかそのまま打ち合わせと調整に入った。
席を特別に作ってもらったエリカとみほは、御茶を貰いつつちょっとだけ安心したのか弛緩した。

「・・・これからどうしたらいいのかしら?」
「帰れるといいんですけど・・・」

思わず漏れた弱音に、みほも同様に漏れ出た。
仕方がない、異世界転移なんて経験できるような出来事ではないのだ。
これなら戦車の中から1対6をどうやって引っくり返すか、考えていた方が良い。
取りあえずあたりを見回してみると、運動場と称された敷地はかなりの面積が有るらしく、自分達が知る校庭よりもはるかに広い。
紅組白組と別れているらしく、大きな旗がそれぞれの陣営を指し示していた。

更に大勢の観客がおり、ひときわ目立つ台の上には天皇陛下らしき人物。
その隣に頭巾をかぶった怪しい人、政府関係者がいた。が、

「あれ、どう見ても辻正信に見えない?」
「東条英機に牟田口連夜らしき人もいますよね・・・」

なんだか歴史の授業で習った人達が見えた。
冷や汗をしつつ、あえて見ない事にして試合を見る事にした。
取りあえず、今この時は現実逃避するしかなかったのだ。

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選手待機場所に戻った逸見は、すぐさまストライカーユニットを装着し暖機運転に入る。
その際に先輩から叱責があったのだが、何時もの如く軽くかわす。
先輩も突撃能力と継戦能力を評価しているので、これ以上は言わない。忌々しいとは思っているが。
銃を手に取ってペイント弾を確認、次にマガジンを取り出して個数を確認。
最後に手榴弾と煙幕弾を確認し、背中に武装を掛けて終了だ。

『それでは、整列してください。』
「うし。」

気合を入れて前に出ると同時に、同じ突撃部隊の磯辺典子(いそべ のりこ)近藤妙子(こんどう たえこ)
河西忍(かわにし しのぶ)佐々木あけび(ささき あけび)四名が背後につく。

「エリカさん。それ、本気で使う気ですか?」
「使うわよ。面白そうだし。」
「使われる相手がかわいそう・・・」
「いや、誰も近づかないのでは?」

隙かっていう仲間に対し、ちょっとだけ威嚇する。
良いじゃない。なんかピン!ときたんだから。
そう思いつつ、整列が終わるのを待つ。

207: 影響を受ける人 :2019/01/03(木) 17:10:49 HOST:softbank060068219187.bbtec.net

『それでは、双方共に禍根なく試合をして下さい。』

アナウンスが一泊おくのと同時に逸見は、唇を舌でなめて湿らせる。
ああ、気分が向上する。やはり自分は前に出る方が性分に合う!

『始め!!』
「第一突撃班、行くわよ!!」
「「「「おおぉぉ!!」」」」

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試合は開始され、早々に前に突出する一団が見える。
恐らく、間違いなくこの世界の友達だろうと思う。チョットだけ横を見れば、同位存在だと認めたく無いのか頭を抱えているエリカがいた。
それはともかく試合は・・・

「完全に突撃部隊を抑えられてる。」
「あははは・・・エリカさんの突撃癖は有名だからね。」

それを生かすのが自分の仕事だと西住は言うが、敵方は大分対策をとってきたらしく思うように動かせない。
こうなってくると全体指揮を執る西住は忙しく、細かな指示が出せない。
更に各自判断も上手くいっていないらしく、お伺いが多い。
これは不味いと思うモノの、解決策が浮かばない。
角谷杏(かどたに あんず)小山柚子(こやま ゆず)河嶋桃(かわしま もも)の三名が懸命に指揮をしているが、何とかなりそうなのは角谷のみ。

勝つことが三度の飯より好きな逸見を思うと、焦燥がつのって中々良い指示が出せない。
その間にも突撃部隊は物資を消耗し、勢いを付けられない。それどころか半包囲が敷かれ始めている。
万事休す。まだ未熟な自分の技量に歯噛みしてしまう。
そんな時だった。

「見てらんないわね。」
「そうだね。チョットだけ手伝いましょうか?」

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「ほう。これはなかなか・・・」

天皇陛下と共に大規模模擬戦を見ていた九曜葛葉こと、前世“嶋田繁太郎”は紅組の動きが劇的に変わった事に気が付いた。
半包囲されている味方を尻目に、一時的に後退した。
最初は突出した部隊を見捨てるかと思いきや、包囲を縮めようとした敵軍に対し再攻撃。
片方は高火力兵装を惜しみなく使い、しっかり防御しながら着実な前進。
残る方は機動力を生かしたヒット&ウェイに、突撃部隊から四名抽出しての横撃。

残った一人は・・・仲間と言う枷が亡くなった途端、包囲網が“最も厚い”場所に突撃して行った。
九曜は思わずため息をついて、眉間をモミモミ。天皇陛下は「勇敢だな。」とちょっと引き気味に称賛。
更に持っている武装がどう見ても鉄○メイス。
戦闘の仕方も能力を前面に押し出したゴリ押しで、まさに「さすミカ」と言うべきか悩む。

「ううむ。少々ゴリ押し感があるが、中々に勇壮であるな。」
「そうですね。しかし、軍隊としてみれば彼女は扱い辛い。
 もし入れるとなると性格の去勢か、もしくは・・・新撰組に編入が妥当かと。」
「新撰組か。かの部隊も交代要員がいなくて苦労しているというし、妥当であるな。」

何気に新撰組のファンである天皇陛下は、ウムウムと頷きつつも試合を観戦し続けた。
それを横目に、分体経由で仲間達に連絡を取る。

『それで、辻さん待望のガールズ&ウォーでしたっけ?』
『ガールズ&パンツァ―ですよ。』
『コイツ脳内に!』『ファミチキ下さい。』
『はいはい。ネタは良いですから。会って見てどうですか?』
『うむ。リアルに見ても美しく可愛いですね。是非、彼女達にワタシが推奨する靴下を・・・』
『異議あり! やっぱり純白の白を押す!!』『どうせなら校章入れようぜ。』
『いや、タイツだ。』『ロングかどうかをまずは決めよう。』
『こいつらは・・・(本当に此奴らにこの国の未来を任せて良いのか?)』

脳内で好き勝手に言い始めたメンバーに対し、山本五十六は相変わらずついて行けずに頭痛を発症させたようだ。
それは九曜も同じで、早々の念話を切り上げて試合会場を見る。
使い魔と融合し、主導権を得て乗っ取った九曜の視力は通常の人間の比ではない。
それこそ、顔の皺ひとつまで見分ける事が出来る。
その視力を生かして会場の中の指揮所を見た。透視能力は持たないが。分体を中継地点とした遠視は出来る。

208: 影響を受ける人 :2019/01/03(木) 17:12:21 HOST:softbank060068219187.bbtec.net
だからこそ気が付いた。どう見ても同じ人物が二人づつ居る事に。
どういうことだと思ったが、最近は度々異世界からやってくる息子(?)いたりするので、その類と判断。
さて、状況をよく知らないといけないと思い、この世界の時空の安定を願った。

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見事勝利をおさめ、天皇陛下からお褒めの言葉を頂いた一同は、てんやわんやの大騒ぎ。
この時ばかりは厳しい上級生たちも、多少の無礼講を許してくれた。
更に食堂に行けば、おやつの引換券が多めにもらえてホクホクだ。

「すみません。手伝っていただいて・・・」
「いえ。こちらこそ部外者なのに、出しゃばってしまって。」

西住とみほがペコペコ合戦をしている横では、

「アンタねぇ! もう少し指揮をする立場の人間とか、仲間の事を考えなさいよ!!」
「考えているわよ! ただ、他の連中の言う事が嫌なだけなの!!」
「なら仲間の事を考えて動きなさい!! 戦場は独り善がりの考えで動くわけじゃないわ!!」
「今までボッチだった奴が、早々上手くできるかぁ!!」
「自慢できることじゃない!」
「ガルルルルルルルウゥゥッ!!!!」

我の強い二人の滑舌戦が行われていた。
それを見る一同の視線は、何というか暖かい。

「いや~、まさに本人そのものだね。」角谷杏
「本当にそうだね。というか、そのもの?」小山柚子
「いや。片方は親戚の方が、頭が良いような気がするぞ。」河嶋桃

言いたい放題である。
それを尻目に、四人は早速本題に移る事にした。

「それで、これからについてですが・・・」
「出来れば、あの神社に戻りたいのよね。」
「神社、ですか?」

首をかしげる西住の姿は、隣でお茶をチビチビ飲むみほそっくりだ。
ちょっとだけホッコリしつつ頷く。

「えっと、名前が・・・」
「【白守狐護(はくしゅこご)】だよ。稲荷神社の。」
「稲荷神社なんて、全国各地にあるわ。しかも白い狐ともなると、特定も難しいわ。」
「そんなにあるんですか?」
「そうですね。白弧の伝説自体が多く伝わっていて、この辺でもそれなりに信仰されていると聞きます。」

この学校にもかかわっているんですよと言って、食堂にある神棚を視線を向ける。
そこには【白爪狐武(はくそうこぶ)】と言う名前が書かれた札を付けた、小さな神社があった。

「それに、中々導術士学校の外にもいかないので・・・」
「「う~ん・・・」」

ああだこうだ言ってみたが、解決策が浮かばない。早々に手詰まり、悩む二人。
何せ世界間移動だ。国から国へ移動するのとはスケールが違う。
そうこうする内に食堂の利用時間が過ぎてしまい、四人は散歩も兼ねて学校内の散策路を歩く。

「ごめんなさい、エリカさん。あの時、路地裏に入ってみようなんて言わなければ・・・」
「何言ってるの。それに賛同したのは私なんだから、気にしないでよ。」
「でも・・・」
「あねぇ。そんな風に自分を苛めて、頼られないのが一番嫌なの。」

209: 影響を受ける人 :2019/01/03(木) 17:13:47 HOST:softbank060068219187.bbtec.net

どんよりしているみほの頭を、エリカがナデナデするとホニャリと顔が緩む。
それを見た西住が逸見の頭を見たが、少し威嚇されたのでやめた。しかしいつかしようと心に決める。
取りあえず自分達が寝泊まりしている部屋に向かうことを決め、一行が足をそちらに向けると同時に白い狐が校舎の角から現れた。

「え・・・」
「なんとまぁ・・・都合が良い事で。」

呆れるエリカに対し、良くわからない西住が顔を向けて説明を求めた。

「御約束よ。これって。」
「御約束?」
「そう、私達を帰してくれるんでしょ!」

大雑把に説明をして、狐に怒鳴るように問うと頷かれた。
頷くという行為により、人語を理解するだけの能力を持つという事がわかる。
狐は先導するように歩き始めた。そしてエリカとみほの二人は西住と逸見を見る。

「そう言うわけだから、何とかなりそう。」
「見送りは「いらないわよ」そうですか。」
「今日は、有難うございました。」
「まあ。戻っても元気にやりなさいよ。」
「アンタも、もうちょっと頭を働かせなさいよ。」
「ぐるるぅぅ・・・」
「どうどう。」

唐突に訪れた別れではあったが、御互いの顔に悲観はあまりない。
それぞれ握手をすると、先に進んで行く狐を二人は追い駆ける。
遠ざかっていく異世界の自分達の背中を、何時までも二人は見続けた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

白い狐をついて行った二人は無事に帰還した。
どうやら時間も同じ様に進んでいたらしく、すっかりあたりは暗くなっており、エリカは翌日の早朝便で帰って行った。
異世界に迷い込んでいる際に友達と忠犬が訪ねてきていた様なのだが、どうやっても位置が特定できずに大騒ぎになっていた。
忠犬が狂犬に噛み付いたが、御主人様の御叱りによりすっかり消沈してしまったのは、別にいだろう。
ただ、異界に迷い込んだ二人の形態には、勝った際に撮った異世界の自分達との野心が大事に保管されている。
短くも濃厚な冒険にこりごりだと思いつつ、もう一度会いたいと思う二人であった。





九曜「無事に帰還したか、よかった。」
辻「それにしても迷い込み過ぎでは?」
九曜「まだエジプトのゲートも開いたままですし。どうにかしないといけませんしねぇ。」
山本「しかし、陸軍の女性化を元にした世界か・・・ どちらかと言うと学園艦と言う代物の方が気になる。」
近衛「あってみたかったなぁ。」
東条「下手に会えないでしょう。これでいいのですよ。」
冨永「ばあちゃん! 俺に念話を教えt「死ね。」ちべたぃ・・・」(氷に閉じ込められる。



以上です。
久々に書いたので時間がかかりました。申し訳ありません。
そして困っている事が一つ・・・
ちいさいズ・ちいサーニャが見つからねぇェェ!!
ブックオフについ最近まであったじゃん!!
遠出してみるか・・・・・・

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最終更新:2019年04月06日 11:37