20: 弥次郎 :2019/04/08(月) 22:23:35 HOST:p2729046-ipngn201308tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp

大陸SRW IF 融合惑星ε世界編「Battle of Mali」2






      • 太陽系 融合惑星 ε世界 アフリカ大陸 マリ戦線


 ネクスト2機による奇襲が始まってから10分も経つ頃には、空の模様もだいぶ変わりつつあった。
 日企連のハイエンドノーマル主体の航空部隊が性能差と数、そして全体的な練度と疲労度合いの差から優位に部隊を展開しつつあるので、ブリタニア側は一転して攻勢を必死に受け止めなければならなかった。
 ここでブリタニア側の航空戦力の要ともいえるサザーランド・ジークⅡから構成されるKGF部隊とアマツミカボシの操るノース・セブンスの戦闘は、激しさを増していた。低空域で虎鶫からの支援砲撃や狙撃から逃れているKGF部隊であったが、その機動力と爆発的な攻撃力で翻弄して来るノース・セブンスには苦戦を強いられていた。
本来、KGFの武器はその搭載火力と巨体に見合わぬ瞬発力、そして防御力である。だが、いずれもがアマツミカボシの既知を超えるには至らない。
 連続射出される巨大なスラッシュハーケンはメイスや蹴りなどで容易くあしらわれるか回避され、弾幕として展開されるミサイルはQBの連発で明後日の方に行くばかり。

『しつこい…!』

 飛んできたスラッシュハーケンを片手で軽々と弾きながらも、アマツミカボシは悪態をつくしかない。
 牽制だったそれに重ねるようにしてさらに飛んでくるのだが、その程度では怖くもない。剣戟のようなそれの隙間に身を躍らせ、QBをふかし、身をひねり、襲い掛かって来る嵐を軽い動きで飛び越えていく。
 だが、奇襲効果が抜けている状態では流石に一方的とはいかなくなった。距離を常に一定に保ち、一撃離脱に徹するようになったので、簡単には撃破できなくなったのだ。それでも10分程度の間に複数のKGFを単独で狩っていたこと自体がブリタニア側としては驚愕すべきことなのだが、上空のKGFを直接叩く役目を負っている状態から言えば、今の状態は硬直状態に持ち込まれたに等しい。
せっかく後詰めとなっているハイエンドノーマル部隊のおかげでKGFに集中できるのに、それを叩けませんでしたでは面目というものが立たない。
 流れを変えなくてはいけない。自分達が作った流れがブリタニア側に読まれ、対応されたならば、ここでまた大きく流れを変えてぶつけてやる必要がある。

『ミカ君、大丈夫か?』
『問題ありませんよ、この程度なら…』

 虎鶫からの通信だ。今は対空攻撃もそうだが、地上への支援狙撃を行っていたはず。
 話ながらも、無意識に手のうちでメイスをくるりと回す。慣れ親しんだ重さが、思考をリセットしてくれる。

『なんとでもなります。虎鶫さんは地上部隊の支援を続けてください。そろそろ社長と桜子ちゃんの出番ですから、地ならしを』
『それだけ言えるなら大丈夫だな』
『じゃ、仕掛けます』

 切り替えた思考のままに、アマツミカボシは動いた。

21: 弥次郎 :2019/04/08(月) 22:25:18 HOST:p2729046-ipngn201308tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp

 OBが起動し、ノース・セブンスは瞬時に加速した。
 それを見てとったKGF部隊はすぐさま散開し、弾幕を張り、距離をとろうとする。だが、一歩遅い。
 ミサイルの隙間をくぐり抜け、スラッシュハーケンを裁き、吶喊していくノース・セブンスには先程まであった回避の概念が無かった。
大きくかわすのではなく、最短距離を突っ走り、その上でわずかに回避する。ほんの一瞬の差にしかならないのだろうが、ネクストの速度で積み重なれば、当然ながら到達時間に差が出てくるというもの。そして、距離を詰めたノース・セブンスは射撃を浴びせる。

《簡単に抜けると思うな…!》

 だが、それらをブレイズルミナスは何とか受け止める。強力なショットガンとレールガンの一撃は重く、動きが硬直させられるが、致命傷には至らない。至らないからこそ、サザーランド・ジークⅡのパイロットは敢えて受け止め、他の機体のために時間を稼いだ。

『ああ、抜けないだろう……なッ!』

 しかし、それを見越していたのは、攻撃を仕掛けたアマツミカボシの方も同じだった。
 次の瞬間、それまでにない一撃がサザーランド・ジークⅡを襲う。

《ぐがっ……!?》
『そこだぁ!』

 メインウェポンたるバトルメイスが先端からレーザーブレードを展開した状態で一瞬で投擲され、突き刺さった。
 ネクストの膂力による投擲と高出力レーザーを合わせたそれは、ブレイズルミナスを電磁装甲ごと強引に打ち破った。
まさかメインウェポンであり、投擲に向いているとは思いにくいそれを躊躇なく投げつけてくるなど想像はしても、本当に実行してくるなど考えはなしないだろう。だからこそ、今度こそ完全に動揺し、動きが止まったサザーランド・ジークⅡに接敵したノース・セブンスは、追加装備として背負っていたバトルソードを腰から瞬時に引き抜き、躊躇いなく貫いた。積み重なった連撃でついに限界を迎え、巨大なKGFは力を失う。
 だが、そこからバトルメイスとバトルソードを引き抜いて飛び上がったノース・セブンスは止まらない。
次々と自分を狙って飛んでくるスラッシュハーケンを回避し、やがて一つのハーケンのワイヤーを掴むと、そのままQBも利用して強引に引っ張り、振り回す。

《ぬわぁぁぁ!?》

 ある意味非現実的な光景であった。ブリタニアにとっては大型兵器に分類されるKGFが、それより小型の兵器に文字通り振り回されるなど。
勿論サザーランド・ジークⅡはフロートシステムを起動して振り切ろうとするが、生憎とその程度では止まらない。止まらないほどに、振り回していた。
たまらずハーケンを収納しようとしたが、それこそアマツミカボシの狙い通り。KGFへと戻っていく勢いを利用しながらもQBで加速したノース・セブンスは、

『堕ちろ!』

 通りすぎながらバトルメイスの一撃を見まい、圧壊させた。これで完全に流れが傾いた。ブリタニア側に今度こそ恐怖が蔓延したのだ。
 今自分達が相対しているのはKMFより大きいだけの人型兵器ではない、人の形を真似ただけの、恐ろしい怪物なのだと。

『今だ!集中攻撃を仕掛けろ!』
『敵の動きが鈍ったぞ、続け!』
《おのれ!》

 追い打ちをかけるのが集団で攻撃を仕掛けるハイエンドノーマル部隊。ネクストほどではないにしろ、油断ならないレーザーや実弾を放ち、ブレイズルミナスがあっても油断ならない状況を生み出し、ぐいぐいと押し込んでくる。航空KMF部隊も足止めを図ってはいたが、ここにきて継戦能力の差が出てきており、数で何とか埋めていた性能の差、機体出力の差が露わになってきた。
 だが、それでも。

『さあ、遊戯を続けようじゃァないか』

 まだ戦争は続いている。どうしようもない状況に、ブリタニア側は陥ろうとしていた。

22: 弥次郎 :2019/04/08(月) 22:26:07 HOST:p2729046-ipngn201308tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp


      • 神聖ブリタニア帝国軍 マリ戦線司令部


「ここまで落とされるとは…!」

 前線司令部は怒号と指示と、無線で連絡を取り、歩き回る人間で埋め尽くされていた。
 忙しなく飛び交う声と、モニターの表示が切り替わる音と、さらには人の動く音。それらが混じりあうカオスは、正しく一つの戦場ともいえた。
 最前までは物量を投じ、集中的な突破をかけることで敵の厄介な機動兵器を押しとどめ、戦局を優位に進めていたことは確かだった。
だが、それはたやすく捻じ曲げられ、ひっくり返された。KGF部隊に甚大な被害が出ており、地上部隊は強力な砲撃と狙撃に苦しめられた。
それもたった二機の機動兵器に、だ。奇襲効果や新手ということもあって対応が遅れたことももちろんあるのだろうが、それでも尋常ではないペースでこちらの戦力が大きく削られてしまい、大打撃を受けた。
 すでに予備戦力も投じて必死に止血を図っているのだが、それも間に合っているとはいいがたい。敵も新たに戦力を投じつつあり、それは明らかにブリタニア側の数を上回り、勢いでも上回っていた。さらにISAFの足止めを行っていた部隊が軒並みやられたことで、ISAFが息を吹き返し、攻勢に転じ始めていたのだ。
 そして、司令官の望みは、この戦場における最高戦力の動向へと託された。もし仮に成功しているならば、まだ希望はある筈。

「ナイトオブワンの部隊からの連絡は…!?」
「……途絶したままです!交戦にはいってからこちらに通信する余裕が無いとも思われますが…!」

 オペレーターの悲痛なその言葉に、沈黙の帳が降りる。
 敵前線司令部への攻撃へと送り出された部隊が、通信途絶。それの意味は、おのずと察せられる。
 その場にいた人間の多くが、それを信じたくはなかっただろうし、事実オペレーターたちは必死に呼びかけを続けていた。

      • ラウンズのいる戦場に敗北はなく、ナイトオブワンのいる戦場に敗北は許されない。

 ブリタニア最強の騎士が就くナイトオブワンとその部隊というのは、ブリタニア側が有する戦力でも最精鋭といってもよく、同時にその動向や作戦の成否、あるいは---その死は、あまりにもブリタニアという軍、そして国家に対して影響力がありすぎた。
ナイトオブワンが屈するとは、ほとんどイコールでブリタニアの武威が屈するということである。だからこそ、敗北は『許されない』。

 一度、悪逆皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアのナイトオブゼロである枢木スザクに破れ、しかし奇跡的に生還したナイトオブワン、ビスマルクを殆どサイボーグ化するかのような治療の果てに再び戦場へと戻したのも、それだけ戦局が切羽詰まっていたことであり、同時にブリタニアという軍、国家を支えるための精神的な主柱を欲していたことが原動力として存在していた。
 だが、それが仮に再び折れてしまったら---もはや、彼等の内面を支えることは極めて困難であった。

「まだだ……まだ、終わってなどいない」

 司令官は、何とか絞り出すように言い放った。
 まだ負けたわけではない。まだ手が打てるはず。簡単に負けるなど、ブリタニアの恥だ。考え、指示を出し、動く。それが務めだ。

「上空より、巨大な航空機…なんだこれは、要塞か!?巨大な反応あり!メインモニターに映像回します!」

 だが、それを打ち砕くように、さらなる一手が放たれた。
 それは、全てを覆い尽くすように、空から現れた。

「なんだ、あれは……!?」

23: 弥次郎 :2019/04/08(月) 22:27:09 HOST:p2729046-ipngn201308tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp

『残念だが、ブリタニアは時間切れのようだな』

 機動狙撃戦を一時的に緩めて、カメラとレーダーに映る巨大な鳥を眺めた虎鶫はひとりごちた。
 無数という言葉を通り越した数の火砲を放ち、さらに艦載機を次々と展開していく超巨大な航空機---否、航空プラットフォーム型AFであり、企業連が連合へのPRも兼ねて今回の戦場に投入した無人AF『アーセナルバード』。それがついに戦場へと展開したのだ。
アマツミカボシと自分、そしてハイエンドノーマル部隊によって楔を穿たれたブリタニア側の制空権は、完全にこちらに傾いたと言ってよい。
アーセナルバードに致命傷を与えうるKGFの数は減らされている上に戦闘が継続したことで消耗しており、ここからさらに戦闘をするのは無茶が過ぎる。
 加えて、地上の方もアマツミカボシが空で暴れている間にだいぶ様変わりしている。轟天および雷電が投入されて、地上部隊を吹き飛ばしたのだ。
ガチタンという言葉がこれほどまでに似合う二機のタンク型ネクストがその随伴機と共に火力を全面投射したことで、地形ごとブリタニア地上軍は吹き飛ばされてしまったのだ。このままの勢いで機動戦力が突破をしかければ、もはや止める術を持たない。
彼等にできることは、前衛部隊が持ちこたえている間に何とか撤収を図ることだけであった。

『虎鶫さん?桜子ですー』
『桜子ちゃんか。そっちの様子は?』
『順調そのものですね!ISAFも戦力の再編と補給が終わったので、攻勢に出ていますよ!
 このままブリタニア側を包囲殲滅するだけですねぇ』
『もうそこまで一気に持ち込んだか。なろう乙とか言われそうだな…』
『なろうで流行する前からハンニバルだとかソ連だとかが実行してますけどね』

 いや、その撤収さえも、ISAFと共に展開、前進、包囲を行う日企連部隊の勢いに飲み込まれつつあった。
 なまじ最前線でネクストとKGF部隊が拮抗してしまったがために、ブリタニア側はその前線の維持に拘泥してしまい、逆に身動きをとれなくなっていたのだ。その拘泥こそ、これまでのブリタニアのドクトリン的には正しいことであり、
しかしながらも、連合のドクトリンに置き換えてみれば包囲してくださいと言わんばかりの判断ミスであった。
快速の地上部隊はもうブリタニア側の側面を捉えて攻撃を加えており、上空にはがっちりとアーセナルバードの蓋がなされている状況。
総時間をおかずにブリタニア側は後方への浸透を赦すことになり、逃げきれなくなるだろう。あとはもう、ロードローラーが前進するが如く、前衛部隊が潰されていくことなのだろう。

『ともあれ、そちらは社長と桜子ちゃんに任せた。こっちはこっちで援護する』
『了解です!』

 通信が終われば、またスコープの中へと没入していく。既に機動しながらの狙撃は必要が無く、長距離狙撃に集中できる。
 前線では、タンクが咆哮している。いや、タンクという形をした暴虐だ。アーマードコア・ネクストという怪物が暴れているのだ。

(いや、違うな)

 これは山猫の戯れだ。本来ならば人を守るための山猫が、その力をほんの気まぐれに敵対する人間へと向けただけの事。
この戦いは、本来の戦いからほんの少しだけ外れた、幕間のような戦いであり、長い長い国家戦略のほんの一部でしかないのだ。
前世でも似たような戦いはしていたと自負はしているが、ここまでの規模となると初めてといっていい。

(まったく、新鮮だな)

 そう思いながらも、虎鶫はスコープ越しに戦場を俯瞰し、狙撃を続ける。
 自分から見てももはや流れが決定づけられつつある戦場だが、もう少し、自分が絡んでも良いだろう。
 山猫の狙撃手は、戦場の終息を加速させるように、攻撃を続けて行った。

24: 弥次郎 :2019/04/08(月) 22:28:02 HOST:p2729046-ipngn201308tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
《メカニック紹介》


  • JPNT-018 TORYU ノース・セブンス

《ステータス》
サイズ:M 移動力:8 地上:A 空:S 海:C 宇宙:A

《装備》
銃装備 剣装備 コジマ機関 テスラドライブ バリア(PA) EN回復(中)

《武装》
アサルトライフル 属性:P C 射程:1~5
ショットガン 属性:P 射程:1~4
大型バトルメイス 属性:P C 射程:1~3
レーザーキャノン 属性:B 射程:2~6
レールキャノン  属性:- 射程:1~7
アサルトアーマー 属性:P   射程:1~2
アサルトアーマー 属性:MAP 射程:1~5(自機周囲無差別型)
セブンス・クロス 属性:P 射程:1

《概要》
 大日本企業連合のムラクモ・ミレニアムが開発した最新の軽量二脚ネクスト『TORYU』をベースとしたカスタム機。
『TORYU』のコンセプトは前身機である『HAYABUSA』のそれを踏襲している高機動型ネクストなのであるが、技術的な進歩や度重なる戦乱で得た戦訓を反映した次世代機としてYORIMASAⅡなどと共に開発・製造がすすめられた。
というのも、これまでの軽量で高機動型のネクストではどうしても火力や積載量などが現場の需要に追いつかなくなつつあったのが現実で、特に総合火力の強化が求められる中では二律背反状態の打破が求められていた。さりとて、搭載火力を増やせば機動性に難が出て、高機動型ネクストの長所を殺してしまいかねない懸念というものがあった。

 そこで考案されたのが、YORIMASAⅡでも取り入れられていた大胆なテスラドライヴへの機体的な比重の重さを変えることであった。
具体的には、新規設計の火器にテスラドライヴの仮想砲身形成技術をあわせることで大胆な軽量化を実施、多少のバランスの悪さを無視した設計への見直し、コジマ機関の出力向上とそれに伴う各種出力の向上などであった。
 結果としてはムラクモ・ミレニアムの特徴であった汎用性や扱いやすさというものが若干失われてしまった物の、火力の増強と搭載火器及び武装の増大、腕部や脚部などへの内蔵武装の実装、携行火器の増加などを実現し、尚且つ機動性などの面でHAYABUSAを上回ることに成功した。

 これを配備されたアマツミカボシは、上記の武装の他、腕部ワイヤーアンカーや脚部内蔵のレーザーブレード、バトルブレードなどをアセンブリ。
継戦能力をはじめとした総合的な戦闘力の向上を重点に置いている。やはり主体としているのは機動力を生かした格闘戦であるが、合間に行われる射撃戦の腕前も悪くはなく、バランスがとれていると言える。

25: 弥次郎 :2019/04/08(月) 22:28:49 HOST:p2729046-ipngn201308tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
以上、wiki転載はご自由に。
これでマリ戦線は決着…でしょうかねー。
あとはビッスと一目連の激突か、社長と桜子ちゃんの様子でも書くか…予定は未定状態なので投下できなくてもどうかお許しを。
まあ、筆がのったらにします。リアルがめっちゃ忙しいのでね(白目

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最終更新:2019年04月11日 12:43