572: リラックス :2019/06/29(土) 21:45:08 HOST:119-228-10-186f1.hyg1.eonet.ne.jp
よし、投下
【ネタ】魔法や魔物が発生してしまった世界ですが、今度はゲートが開いてしまったようです。
さて、更に時は流れ……
WW2と戦後を乗り切り、後継者達が問題なく国を運営している事を確認しながら、それぞれが未だに裏で時折暗躍しながらも思い思いの趣味に時間を割く余裕も出た頃。
(辻の奴が育てた後継者連中の中には奴以上のバランス感覚と腹黒さを兼ね備えていた怪物もいたな…… 全く、何処から見つけてくるんだあんなの。
まあ、未だに
夢幻会OBの集いに呼ばれることはあるが、一時期に比べれば大分人間らしい生活を過ごせるようになった。
余程の繁忙期でなければ一日八時間眠れるし)
今や日本家庭の必需品とも言われるカラーテレビには、 一部史実の21世紀の技術を知る自分からしても驚くべき最先端技術について研究する日本の技術者達、成長著しい福建や東南アジアについて報道されたり、西太平洋での共同演習について報道されていた。
また新型機関を搭載し、山岳地帯活動を想定したパワードスーツの新型を装備した部隊の訓練風景が紹介されたり、その他にもレールガンや光学兵器、重力制御システム搭載型艦載機など、どこのSFですか?と尋ねたくなるような代物について報道されているのも、まあ良いだろう。
「そう言えばSF作家としての活動に精を出してる連中もいたか。せっかくだし、今度、俺も読ませてもらおうか……」
ふと、木曜日の次の日とかいったか、そんな感じの雑誌の一ページにて先日開いたゲートについての特集が目に止まる。
「あれか…… 久しぶりの緊急召集だったな。何処のなろ○ファンタジーか分からないが、そんな感じの世界に繋がってたんだったか」
幸いにして、ゲート自体が不安定だった為、関係部署の早期の対応もあり、その日の内に繋がりを断ち切ることが出来た。
こうしたゲートの開通や未遂は過去にもいくつか例があり、幸いにしてその頃には兆候の段階や不安定な状態なら閉じることが可能な技術を確立していたことから大事にはならなかった。
余談だが、この魔物及び魔導技術関連のトラブルに対応する関係部署……、当然、魔導技術と魔物が現れたことで新たに立ち上げられることになった機関なのだが、この部署の名前を決める際にエラく揉めたのを思い出す。
関西呪術協○、時空管理○、機動六○、魔術協○、緊急対策特命○、etc.etc...
(最終的に命名規則に従って云々と怒鳴りつけたはずだが、えーと正式名称は……)
そうやって昔を懐かしむなんて柄にもないことをやっていたのが良くなかったのかもしれない。
しばらくは無いだろうと思っていた緊急召集が行われるのは、その数時間後である。
「淡路島にゲートが現れた?」
「はい。5メートル四方程度の小規模の物ですが、しかもそのゲートはこれまでと違って安定的であり、開いてしまうのを止めることは出来そうにない、と。
ある程度移動させることなら出来るそうですが、それは置いておきましょう。
観測によると他に二箇所、欧州と朝鮮半島にも間もなくゲートの開く兆候が確認されています。恐らく繋がる先は同じ世界だろうとも」
そして繋がった先が問題です、と資料がそれぞれに配布される。
そこに記されていた情報から、一部の未来の情報を知る者たちはゲートの繋がった世界の正体を悟った。
「まさかと思うが、我々の知る世界の?」
「信じられませんが……間違いないでしょう」
この後、我々の元々いた世界だからゲートがかつてなく安定したんじゃないのか、とか、あったかもしれない可能性の世界だから割と近しい世界ということで……とか、様々な憶測が飛び交ったが、それは割愛する。
そうでもして一度気を紛らわせないと、これから起きるであろう面倒に気が滅入りそうだったからとも言う。
573: リラックス :2019/06/29(土) 21:45:40 HOST:119-228-10-186f1.hyg1.eonet.ne.jp
「一応、向こうの日本政府とは情報交換を行うということで接触を?」
「そうだな。しかし、問題は向こうの世界に進出を図ろうなんて考える輩が出かねんことだな。魔物のいない世界は魅力的だろう」
「史実世界のどの時期かはまだはっきりしませんが、米中、時期によってはソ連、そうでなくともロシアとのパワーゲームに巻き込まれるのは笑えませんしね」
「完全閉鎖は無理にしても封鎖くらいなら出来るそうだが…… 稼げる時間は一年程度、やれやれ」
「海上に移動させると艦艇が突入してくる可能性がありますし、こちらの勢力圏に関しては人気の少ない場所に移せば良いでしょう」
「問題は朝鮮半島だ。あの国なら宣戦布告も何もなしに突然部隊を派遣してくるなんて真似をやっても驚かんぞ。米中露が取り敢えず捨て駒にしてこっちの対応能力と反応を図ろうとそれとなく煽るのも含めて」
「朝鮮半島には確か魔物の研究施設を兼ねた保護区があったな?取り敢えずそこのど真ん中にゲートは開くよう移しておこう。
向こうの軍が物理攻撃に滅法強い魔物に対してどれくらい戦えるかデータになるやもしれん」
「後は簡単に魔導技術とそれに関する兵器の情報でも流しますか。こちらを甘く見ると痛い目を見ることは示さないと」
唐突に開通したゲート。
双方の世界はお互いの世界に色々な面で驚愕することとなったが、歓迎式典と名の太平洋の覇者となった大日本帝國の兵器等の開示は魔導技術という得体の知れない物もあり、各陣営の軍の顔を蒼くさせた。
それがどのような物だったか、情報開示後の某島国のネットでのやり取りを参照にすると
317名前:名無しさん[sage]
おい、誰だ?魔導技術、ぷーくすくすだの魔法の才能による格差社会だの封建制度だの貴族趣味だのバカにしまくってたのは?
私でございます。ごめんなさい orz
科学的に解析して技術昇華って何ですか……
318名前:名無しさん[sage]
立ち直ったら戻って来い。
えーと、ほとんどガンダ○世界のレベル?
319名前:名無しさん[sage]
電磁火薬複合方式の主砲に加えて反応式の……ほとんどTP装○な防御形式を採用しただけでなく、重力制御ドライバでホバー移動も実現て(汗
320名前:名無しさん[sage]
それが数的主力ってことは、こっちで言う90式か、下手すると74式ポジだろ?
10式相当はどうなってしまうんですか(gkbr
321名前:名無しさん[sage]
噂というか向こうの配布資料によると、例の天の涙事件が再発した際に備えて、この主砲を更にデカくした物をイージスアショアと連動させて配備してるとか何とか
322名前:名無しさん[sage]
>>321、それなんてストーンヘン○
323名前:名無しさん[sage]
他にも金属の理論強度の99.999…%まで出せる技術があるとか、電磁励起式火薬を実用化してるとか、材料工学に関してぶっちぎってるという話だね
324名前:名無しさん[sage]
歩兵用のパワードスーツも火力も防御力もとんでもないな……。
デカさ以外、ほぼモビルスー○じゃん。
325名前:名無しさん[sage]
ちょっと待て、この防御力を航空機に適用したとすると、そして重力制御を行う技術があるということは……
え、これ冗談抜きで洒落にならなくね?
326名前:名無しさん[sage]
この数的主力の戦車の主砲に耐えられる垂直離着陸能力持ちで、戦術核レベルの火力を出せる航空機、なにそれ怖い
しかも50年代にFー20(もどき)が飛んでるってどういうことなの……
ttp/XXXXXXXXX.XXX
327名前:名無しさん[sage]
これのヤバさを端的に言うとだ。いずも型の改装終了後にこれを載せられたらどうなるかって考えると大体分かる。
>>326、何というか、Fー20をベースにしたFー2を実際に作ってみましたという感じだね。ありがとうございます。
328名前:名無しさん[sage]
人型に変形しないリオ○
シリーズ?
329名前:名無しさん[sage]
>>328、大体合ってるんだよなぁ…… もしくはストー○チームの活躍に追いついたE○Fの空軍部隊とか
330名前:名無しさん[sage]
科学と魔法はそもそも相容れるものではなく、それを行おうとすれば矛盾を生じ、大きな歪みを引き起こさなければおかしい。故にこの発表は嘘である。
331名前:名無しさん[sage]
>>330、と○るシリーズからの借用かな?魔法と一言に言っても作品ごとに設定が存在するんで、そのロジックは創作における論議ですらと○るシリーズでしか通じない。そしてここはと○るシリーズの世界ではない。
………
……
…
574: リラックス :2019/06/29(土) 21:46:20 HOST:119-228-10-186f1.hyg1.eonet.ne.jp
とまあ、こんな感じにネット上ですら半ば呆然としていたのだから、国防関係者からすると悪夢以外の何物でもなかった。
「数的主力の戦車ですら公開されているスペックだけで見てもまともに対抗できんぞ……M1A3もポシャったのにどうしろと」
「F35以上の垂直離着陸能力と万能性を持った戦闘機というだけでも何の冗談だというのに、ミサイルの二、三発物ともしないとはどういうことだ……」
「歩兵の火力バカ高すぎワロタ」
「それも脅威だが、こうした存在がいてなお、根絶には至っていないのが魔物という存在だろう?これがこちらの世界で発生した場合、もしくはゲートから流入した場合、対処は可能なのか?」
「「「………………」」」
基本的に軍や技術研究が金食い虫であり、財務関係者の仲が悪いのは新聞を読むなりニュースを読むなりしていれば軍にも政治にも興味がなくとも常識として知っていて不思議ではないレベルの話だ。
それは、恐らくゲートを越えたところで変わりようのない一つの真理だろう。
にも関わらず、過剰としか思えないレベルの火力や性能の兵器を調達し、軍に持たせる予算、更にそれを達成するまでの技術研究を含めると、どれだけの予算をかけたのか、それは考えたくもない。
しかし、向こうの世界では、それを実現している…… つまり、財布の紐を握ってる者が、必要と判断するに足る理由があったということ。
僅かな時間と限定的な情報からそこまで辿り着き、魔物という未知の存在に対する対抗手段として憂鬱世界側の魔導技術を入手しなければならないと判断した彼らは間違いなく優秀だろう。
しかし、彼らにとっての不幸は、その迅速と呼ぶに相応しい対応をも上回る速度でやらかした国がいること、そして、それが書類上は同盟国であるということだった。
自国に開いたゲートが異世界の地球へと繋がっており、しかもその異世界において自国が日帝の支配下にある(保護国にされている)ことを知った困った半島の動きは早かった。
その素早さは大統領が国民からの支持を取り付けなければ物理的に首が飛んでも不思議でないと焦っていたのに加えて、国民感情が全力で後押ししていたことも大きかった。
憂鬱世界にとって不幸中の幸いだったのは、某半島南部に開いたゲートの場所というのが都市から離れた人口希薄地帯であり、魔物の保護と研究を行う施設のど真ん中だったことである。
その魔物というのは、物理的の攻撃には滅法強いスライム系統の魔物(ただしドラク○のでなくクトゥル○寄り)で、魔物に対する対処法を熟知し、擬似魔法を扱える憂鬱世界の兵士にとっては動きも遅く飛び道具も持たない対処の容易な相手なのだが、そうした存在であるという知識すらない史実側の軍隊がいきなり相手をするには少々酷だった。
「ウワァァァァ!!」「なんだこいつ、銃が効かないぞ!」「足が!足が溶かされる!」
ゲートの向こうの同胞を解放する、と意気揚々と乗り込んだ部隊が魔物との遭遇からパニックに陥るのはそう時間は必要でなかった。
パニックに陥った味方の放った弾に当たったとばっちりも含めて、それなりの被害を出した部隊は這々の体で逃げ帰ったのだが、これを受けて半島南部は史実側の日本に対して、「同じ日帝のせいだ!」と部隊費用、遺族への保証金や年金の肩代わりを『強く要請』すると共に、ゲート先の日帝への報復に協力するよう
アメリカにも要求した。
そして、アメリカが先の判断に至ったのと、この結果を受けた某半島南部の政府が「日帝の卑劣なる攻撃により我が軍の兵士に犠牲が出た!謝罪と賠償を!」と公式の場で発言するのが、ほぼ同じタイミングだった。
575: リラックス :2019/06/29(土) 21:48:12 HOST:119-228-10-186f1.hyg1.eonet.ne.jp
この時点で相当なのだが、更に悪いことに某半島南部と某極東の島国のマスメディアは報道しない自由と国民の知る権利を盾に『こちらがわの半島南部の兵士に銃創を含む負傷者や犠牲者が多数出た』『この時点でゲート向こうの日本から宣戦布告は為されていなかった』という『事実』だけを報道した。
これを知った担当者は頭を抱えた。
向こうの日本が大日本帝国として存続している以上、自らの身すら守ろうとせず、抜き過ぎてしまった牙をどう戻そうか悩んでいる史実日本のような体たらくであることを期待する方が間違っている。
つまり怒り心頭で、軍事的行動も現実的な選択肢として用意しているであろうゲート先の日本と話をしようとすれば、当面「御宅の同盟国がこんなことやってんだが、どういうこった?」としつこく問い質されることは予想出来た。
しかし、実際に完全武装の歩兵部隊が被害を多数出して撤退せざるを得なかったという情報から魔物対策について一刻も早く手を打たなければならないという事情、更に切り捨てが進む半島南部のケツを拭くのも馬鹿馬鹿しいという思いがあった。
ついでに言うと、この時点で南北アメリカ大陸に開いたゲートが存在しておらず、ゲートが開いてからあまり時間も経過していないことから、現在のゲート周辺の事情について以外の情報に関して、未だによくわかっていなかったことも不幸だった。
具体的に言うと、魔導技術や魔物が存在したり大日本帝国が存続していることは知っていたのだが、まさかゲートの向こうでアメリカ合衆国がアメリカ風邪という負の遺産を残して滅び、そこから分離して誕生した複数の国家の何れもが「アメリカの後継者ではない」と宣言しているような、史実世界でいうナチスと同じくらい忌まわしい歴史の中の存在と化しているとは思わなかった。
なので、アメリカの担当者は同盟国の暴挙に対して弁明があるなら聞こうと言う憂鬱日本の窓口に対して「貴国の怒りは尤もだが、まずはそれについて、今後の話をする為にもそちらの世界の我が国と話をさせて欲しい」と発言した。
向こうのアメリカから魔導技術について買い取る為に交渉(または日本が独自に抱えてるそれを差し出すよう『強く要請』してもらう)を行い、その上で向こうのアメリカに「確かに今回の問題を起こした片方の当事者は同盟国だが、今回の件は二国間の問題であり余計な国が口出しして問題を大きくするのを望んでいない」と明言しておけば良い。
後は向こうのアメリカが向こうの日本を宥めて大丈夫と判断した辺りで、こちらは「同盟国だが、いや、同盟国だからこそ今回の彼の国の行動を我々は支持しない」と表明すれば十分だ。
確かに、アメリカという国が存在しているという前提で考えば、推測が混じっているとはいえ補習や再試も無しにいきなり赤点を出すほど酷い判断ではないだろう。
アメリカという国が滅びずに存在していたとすれば、という前提がまず間違っているのが最大の問題だが。
そして、憂鬱日本は史実側の日本の実質的な盟主国がアメリカであることをきちんと知っており、史実側の日韓がこちらを無意識レベルで軽んじている理由を、『こいつも所詮はアメリカの威を借る狐に過ぎない』と思い込んでいるからだとは察していた。
だからこそ、憂鬱世界のアメリカが乗り出して来ない以上、大事にはならないと見なしているのだと。
なので、この発言が上記の解説をもう少し噛み砕いた物と合わせて公表された結果、都合の悪い話から体良く逃れようとしている悪印象に従って「話ならお前らの事実上の盟主国とやるから、取り敢えず引っ込んでろ」という意味だと受け取った。
そりゃもう、各省庁から一般市民レベルまで。
「まあ、そうなるように誘導したとはいえ……」
「仕方ないさ。当事者として当時リアルタイムでその様を見た我々ですら信じられない思いで報告を聞いていたんだ」
「しかし、今回は上手く利用できました。大西洋大津波や戦後の歴史について概要を教えてやった後は塩対応でゲートを封鎖して厳戒体制を取っても、こちらの世論から大きな不満は出ないでしょう」
「WW3とまではいかずとも、米中のパワーゲームに利用されてやる理由はないからな」
576: リラックス :2019/06/29(土) 21:52:35 HOST:119-228-10-186f1.hyg1.eonet.ne.jp
こうでもして向こうの世界への悪感情を育てないと、魔物のいない世界に魅力を感じる声が抑えられないというのが総研の分析だった。
しかし、開いた時期というのが米中の対立や欧州のグダグダ、困った半島やリベラリストの暴走が洒落にならない時期であり、こんなタイミングで向こうの世界に関わるのは地雷原に踏み込むようなものである。
最悪はゲートがきっかけとなってWW3勃発まで有り得るというのがジョークにならないかもしれない……そういう不安を感じるくらい不安定なタイミングでさえなければ他の選択肢もあったのだが、交流を深めた結果、なし崩しに向こうの世界大戦に巻き込まれるというのは悪夢でしかない。
「問題は欧州ですが、こちらは特に心配ないでしょう」
「リベラリストの暴走が酷い時期だからな。ナチスの直系が欧州の支配者だということがわかった段階で関係深化なぞ有り得ん。
ミラクルが起きて向こうの沼に引き摺り込まれたとしても……連中の自業自得だ」
「では、向こうのアメリカの要求を受け入れる前にこちらの世界の歴史や情勢について理解してもらうという名目で概要を渡すということで良いですね?」
「向こうが虚実だと断じた場合は?」
「近いうちにカリフォルニアやアラスカにゲートが開く兆候が確認されてますから、そこから我々の手を介さずに得た情報と照合すれば事実だと受け入れざるを得ないでしょう」
憂鬱世界が史実世界に対して強気に出られる理由に、ゲートの完全な制御とまではいかずとも、ある程度の解析は終えているというのが大きかった。
これにより、ゲートの開く兆候を感知することも出来たし、完全に消滅させたり、もしくは開いたりするならともかく、一時的に封鎖(最大一年前後)したり、動かす程度なら遠隔からでも可能だったし、
仮に最大でも10メートル四方のゲートから部隊を投入して来たところで、ゲートを通過した連中がいれば観測も可能であるし、ゲートを越えてきた奴にマーキングを施し、それを追跡するという技術すら有している。
577: リラックス :2019/06/29(土) 21:53:05 HOST:119-228-10-186f1.hyg1.eonet.ne.jp
そして担当者が憂鬱世界から「取り敢えず、まずはこちらの世界について齟齬が無いように」と渡された資料を見たアメリカは大騒ぎになっていた。
「大西洋大津波だと?」
「アメリカが滅び、ソ連が負けて、大日本帝国とナチスドイツが勝ち残った!?何の冗談だ?」
最初は半信半疑で謀略か嫌がらせのつもりじゃないのか?と言っていた関係者達は、ようやく北米大陸にも開いたゲートが確認され、これで日本を介さない窓口を持てるとホクホク顔で現地と交渉に向かったのだが……
「日本領アラスカ県?」
「カリフォルニア共和国だと?」
そこから得られる情報の悉くが日本からの情報を否定するどころか補完するものでしかなかった。
「戦後にカリフォルニア、オレゴン、ワシントン、アリゾナなどは独立し、日本を中心に太平洋に構築された体制に組み込まれた模様です」
「他にはテキサスが枢軸に組み込まれ、西海岸を中心とする日本の影響下にあるそれらの国々と対立関係にあると……」
自分たちが関係を深化しようという先で、尤も機嫌を損ねてはならない相手の逆鱗を踏みつけ続けていたことに気づいたが、既に手遅れに近かったのは言うまでもない。
魔導技術に関しての情報が欲しいとカリフォルニアに打診したが、「国防の要の一つを宗主国に無断で宗主国に喧嘩を売った国に売り出す程、我々も命知らずではない」と当然の如く断られ、
ならば大西洋大津波に関して、もっと詳細な情報が欲しいと粘ったが「東海岸の封鎖地帯はその後、魔物のコロニーが出来かけたこともあり、各国共同の封鎖地帯に指定されており、立ち入りたいと言われても我々の独断ではどうにもならない。また、津波の発生源となったラ・パルマ島は日本の領土となっているので、そっちに話は持って行って」といった具合である。
強硬路線も唱えられたが、ゲートがどのような物か分からない以上、派遣された部隊は向こうでの作戦行動中、全てこのゲートに命運を託さなければならない。
複数ゲートが開いているとはいえ、ゲート同士はかなり離れており、作戦行動中に突如として補給が絶たれた上で他のゲートを目指して撤退を行うというのはかなりの悪夢だ。
撤退作戦中に魔物の大群に襲われたとなれば、魔物の種類や消耗度合にもよるが、全滅すら現実味を帯びる。
(ゲートを完全閉鎖ならともかく一時的に封鎖可能な技術を持っており、仮にアメリカが部隊を派遣しようものなら撤退と補給を断った上で煮るなり焼くなり人質にして交渉するなり出来てしまうことはこの時点のアメリカは知らなかったが、結果的にファインプレーと言える判断をしていたことになる)
これは閉じるゲートが一つだけのケースであり、場合によっては北米のゲート、いや、確認されている全てのゲートが閉じる可能性も考慮しなければならない。
そのリスクを考慮すると、彼らに出来るのは散々にメンツを潰し世論レベルでこちらの世界に不信感を募らせる向こうの太平洋の覇者相手と地道に関係改善を図ることだけであった。
「それにしても、向こうのカリフォルニアの態度はどういうことだ?こちらの世界でステイツが健在であることが判明すれば、もっとこちらと積極的に関係を結ぼうとするのではないか?」
「それは我々も疑問に思ったのですが、どうも向こうの世界のアメリカは単純に大西洋大津波の被災と戦争によって滅んだというだけではないようです」
それに関して簡潔にまとめた資料を部下から受け取った上司は、それを眺めている内に頭痛を堪えるように頭を抑えた。
「ペストを元にしたと思われるBC兵器が津波により流出し、アメリカ風邪と呼ばれる疫病が発生。更に被災と対日戦争の劣勢から起きた国内の混乱を好機と見たメキシコが北進、カリフォルニアは東部からのキャリアやメキシコに対応する為に日本に頭を下げた、と」
「更に、元々日米戦争は宣戦布告こそ日本側からだったとはいえ、アメリカが日本を追い詰める根拠としていた事件を、日本が自作自演だと証明した上に、アメリカがそれを理解しており、その上で利用したという疑惑まで浮上した模様です」
「つまり、向こうの世界のアメリカは正義の無いと分かっている戦争に固執して敗れ、それまでの外交のツケで外患と疫病という負の遺産だけを遺した、と」
ナチスドイツがゲートの向こうで生き残っており、こちらの世界の西ドイツに接触を図ったような扱いだと例えれば、大凡イメージとしては間違っていないだろう。
向こうの日本にストレートに喧嘩売った同盟国、その後の対応で日本を怒らせた担当、そして向こうの世界で滅んだ合衆国の全てに呪詛を吐きながら彼らは必死に動いた。
彼らの苦労が報われるのは、もう少しばかり先のことである。
578: リラックス :2019/06/29(土) 21:54:42 HOST:119-228-10-186f1.hyg1.eonet.ne.jp
以上、むしゃくしゃしてやった。
反省と後悔は信濃が実装されたらやる(マテ
最終更新:2025年03月15日 18:24