256 :名無しさん:2012/01/24(火) 20:06:02
※132,133の続きです
現在、日本帝国が力を入れて開発を進めている空間兵器、とでも呼ぶべきものがある。
兵器という言い方は少々違うかもしれないが、その開発を知る者達の間では間違いなく『戦略兵器』であった。
【空間障壁】
要はワープを阻害するシステムの構築である。
大日本帝国はエア回廊などに強固な防衛線を強いている。
だが、それらをあっさり飛び越えられては意味がない。
ならば、どうするか?答えは簡単だ、飛び越えられないようにすればいい。その為には超空間に相手の跳躍を適時妨害可能な壁を立てる事が出来ればいいのだ。
「実の所、跳躍を阻害するだけならば簡単なのです」
超空間とはかき乱してやればあっさりと跳躍不可能になる。
重力波によってかき乱された空間を鎮める事が可能ならば、その逆もまた可。元々、人類とは古来より作るよりも破壊の方が得意な生き物でもあるからだ。
「ですが、問題は必要な時に展開し、必要な時に格納出来るかどうかなのです」
空間に飛び越え不可能な障壁を張れました、メデタシメデタシとはいかない。
何故ならば、張りっぱなしでは今度は自分達が跳躍の必要がある時に、そう逆に追撃の為に侵攻する際などに今度はその障壁が壁となって立ちはだかってしまう。
必要な時には素早く展開。
必要ない時には適時格納。
その双方が成立してこその兵器なのだ。
「……一応、跳躍阻害の為の装置そのものは完成しているのだな?」
「はあ、ですが……」
単なる跳躍不可能な領域ではない。
それだけでは飛び越えられる。
そう、現在の跳躍不可能領域とは、例えるなら一般道から高速道路に上がる道がない状態を示す。
ここでの跳躍障壁とは必要に応じて高速道路そのものを封鎖する技術を示している。
「ですが、これを用いた場合、最低数ヶ月、最悪の場合には年単位で跳躍が不可能となってしまいます」
エア回廊で行った場合、通常航行だけで前線に赴き、通常航行だけで帰還せねばならない。
その移動だけで日本帝国の高速艦船を用いても片道数ヶ月単位になってしまうだろう。だが、それでも……。
「万が一に備えて、生産だけはしておくように」
今後も開発は進める。
だが、それでも。
そう、最悪の場合は空間そのものを破壊してでも回廊を飛び越えられる事を阻止せねばならない。
……最低最悪の宇宙版衝号作戦計画案、カルネアデス計画の発動を行わせない為にも。
最終更新:2012年01月27日 19:26