471 :名無しさん:2012/01/25(水) 22:33:27
「こちらは同盟の方へのお土産です、どうぞ」
「ご丁寧に恐れ入ります」
内心首を傾げながら、シトレは箱を受け取った……。
「何でしょうかね?」
「分からん」
戻ってきた一同はとりあえず開けてみようと開封したのだが……。
「これは……ゲーム機?」
「のように見えますが……」
そう、そこにあったのは縦横30cm程、厚み5cm程のゲーム機と、それに接続するヘッドセットが一揃いであった。
一緒に説明書が入っている。
「なになに……えーと、校長、これ日本のゲームのウォーゲームを同盟版にデータ差し替えしたものみたいですね」
「……ゲームだと?」
顔をしかめた者もいた。
「まあ、簡単なお土産だ、そう深く考える事もあるまい?」
シトレの言葉に顔をしかめた幕僚も「それもそうですね」と苦笑した。
よく考えれば、これはおまけの類なのだ。
正式なデータ資料などとは別の……ちょっとしたお遊びという面があるのだろう。
「折角だ、少し試してみよう。これだけでも、日本側の技術力がどの程度なのか実感出来るだろう」
「そうですな」
どの程度再現出来ているのか。
家庭用ゲーム機だが、それだけでもこのレベルが一般に出回っているのだと考えれば、技術力検証となる。
そう考え、彼らは順に説明書に基づき、ヘッドセットを装着した……。
……しばし後。
彼らは一様に呆然としていた。
「……うちの軍用シミュレーターより出来がいい」
そう、同盟軍が正式に採用している軍用シミュレーターより出来が良い、というか本物と見紛う臨場感があった。
いや、触れば感触すら再現されていた所から判断するに感覚すら再現しているのか……これほど小さな家庭用ゲーム機だというのに。
「それより……なんで、同盟軍艦艇の詳細なデータが搭載されてるんでしょう……」
そう……。
正式な同盟軍艦艇データがしっかり登録されていたのである。
装備の名称、索敵範囲、主砲の射程に至るまで全部だ。
その意味する所は……。
「……うちと彼らってどのぐらい差があるんでしょうね……」
「……向こうはこちらの存在を前提にして行動してたが、うちは存在知ったの事態ここ最近だからな……」
会合するまでにどのぐらい情報を収集されていたのかと考えると暗い気持ちになる一同であった。
最終更新:2012年01月27日 19:30