678: リラックス :2019/07/29(月) 18:38:41 HOST:pw126233224133.20.panda-world.ne.jp
よし、ネタを投下

天の涙事件、小ネタ 『魔物と食料事情』

日本政府、というより夢幻会は大戦後の世界的な気温低下やそれに伴う食料危機を予想していたため、食料の確保の為に様々な手を打った。

自国で飢餓が広まる中、講和条約の履行の為に食料を差し出さなければならない中国からは当然のことながら不満が上がった。

それでも、それが国際的な日本の悪名に繋がらなかったのは、戦後秩序を日本と共に築いた列強があの大戦における日本の血と勝利の配当に文句を言えば手痛いしっぺ返し、というよりブーメランになるし、その傘下の国々も自身の盟主にまで類が及ぶロジックで覇権国家の一つを非難する不味さに気づかない程、血の気は有り余っていなかった。

まあ、ぶっちゃければそれ以上のことをやっている国もあったし、似たようなことをやっている国もあったので、「誰もがやっている当たり前のこと」で「日本だけを批難する」構図が形成されかねず、日本が単なる国民の不平不満を打ちまけてガス抜きする政治パフォーマンスをする相手に『多少』の譲歩をする……ポーズでも見せて得点を与えることで借りを作れば良いという風に受け取らず、

日本という存在を欧州は例え覇権国家となろうが認めないと受け取り、我ら共に天を懐かずと民族存亡をかけて雌雄を決する大戦争を覚悟完了しかねない、一度大衆の不満に火が点いたらコントロールする自信も無いと理解していた各勢力のトップが必死にこの件に関してはタブーと誤魔化したのもある。

(未だに核兵器を配備していたのが日本のみであり、更に核弾頭搭載型の弾道弾の試射に成功したニュースの記憶も新しかったこともあり、日本を理不尽に叩き過ぎると早まった決断を下しかねないと、割と本気で思われていたらしい。)

さらに言うなら、中華という国自体に同情する者が少なかったのもあるが……

閑話休題。

このように、各国でそれぞれに食料問題を抱えている状況で、天の涙事件は追い討ちと言って良い事件だった。

隕石による一次被害もそうだが、その後に発生した魔物により流通に影響が出たり、農業地帯に被害が発生する、または生態系に影響を与えて漁獲量などに悪影響を与えるといった二次被害も洒落にならないレベルで様々な分野に及んでいた。

そんな中で、魔導技術を用いての食料増産や魔物の食用利用と言った試みは文字通り失敗すれば(主に傘下の国々で)飢餓や栄養失調による死人が出かねないという切迫した状況で行われることになる。

そして、その成果は良い意味で予想外の結果を叩き出す。

元々、魔導技術の解析の方が先に行われていたこともあり、これらの技術を食料問題の解決に役立てられないかという研究は真剣に行われており、天の涙事件発生時点で、ある程度の成果を出してもいた。

そして、魔物の肉もあからさまな毒があるような種族は別として、食えないことはないことが早い段階で確認された(どうやって確かめたかって?実際に食って問題がないか確かめた奴がいたんでしょうね(目逸らし))。

そうした幸運もあり、各陣営毎にある程度の特色を持ちながらも、狩った魔物の肉の加工品により急場を凌ぎつつ、魔導技術による恩恵によって食料増産が軌道に乗るまで持ち堪えることに成功している。

679: リラックス :2019/07/29(月) 18:39:16 HOST:pw126233224133.20.panda-world.ne.jp
こうして共通の危機を協力して乗り切ったことで各勢力間の関係改善がある程度進んだのは余談である。

そんな訳で二度目の食料危機は何とか乗り切った訳だが、食料問題が解決すると、より美味しい物が食べたいと思うようになるのも人の心理である。

特に『美味しい物を食べてこその人生なのです』という座右の銘を持ちそうな日本人からすると、無視出来ない問題が浮上した。

具体的には海産物、水棲系の魔物の発生による生態系の混乱である。

鯨や海豚などですら『漁獲量の制限など気にしない漁師が24時間営業で漁を行っているようなもの、それも1年365日無休で』と言われる訳で、肉食で大食らいな魔物が海で増える事態は鰻、鮭、秋刀魚、海老、鮪といった様々な海産物をこよなく愛する日本人にとって見過ごせない大問題であった。

例のインスマス族を臣民として受け入れるという(欧州枢軸圏の人型の魔物などからすると)破格と言って良い待遇で受け入れることに反対意見が大きくならなかったのも、こうした問題への対処に当たり、彼らの協力は大きな助けになることを国民が理解したのが大きいと言われている。

実際、そうした日本人に馴染み深い海産物の養殖化の際に、彼らの知識や技術は大いに役立ち、同じ養殖物でも生産者『インスマス』というのはちょっとしたブランドとなった程だ。

養殖場が水棲系の魔物に襲撃されるといった事件も発生したが、例の『俺たちは魔物の餌じゃない!』運動に参加したインスマス族も少なからずおり、そうした襲撃から養殖場を守る為にも活躍したことから、インスマス族は日本の食卓(に並ぶ海産物)の守り手として、広く支持されることになる。

ちなみに、鰻の陸上での完全養殖に成功するという、転生者からしても万歳三唱モノの成果も上がっているのだが、家畜の繁殖用に生まれた魔法で発情させて産卵や人工孵化に成功したり、水槽の壁にぶつかって顎を負傷するのを回復魔法で治したり、餌が分からない?なら点滴を容易に行えるようにした魔導技術の応用で栄養を直接注入してしまえ!という魔導技術のごり押しによる所が大きかったという。

これを知った欧州の人間は「そこまでしてあんな変な魚を食べなきゃならんのか?」と首を傾げたり、「魔導技術によって色々と出来るようになったせいで迷走してんだろう」と肩を竦めたとか何とか……

まあ、これはさておき、農林水産省を中心に魔物の家畜化や既存の動物との交配により食用化に向けての品種改良などを試みた結果、様々な成果を得ることにも成功していた。

どうせ魔物を食べるなら、美味しい方が良いじゃない!と、 国費をつぎ込んで研究する日本の様子に、「だから何がお前らをそこまで駆り立てるんだよ」と海外からツッコまれることもあったようだが、日本人なのだから仕方ない。

まあ、こうした成果や農作物の生産プラントの建設もあって、食料自給率が大幅に改善されたのは間違いなく、決して馬鹿に出来たものではないことは念の為付け加えておこう。

世界は変われども、日本人の食に対する情熱は衰えない。

680: リラックス :2019/07/29(月) 18:40:38 HOST:pw126233224133.20.panda-world.ne.jp
以上、多分、どんな世界でもこういう技術があるならこの方面で全力で活用するはず(偏見

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最終更新:2019年08月03日 09:13