720: 加賀 :2019/08/15(木) 17:45:29 HOST:p2376131-ipngn200804osakachuo.osaka.ocn.ne.jp


「パラオは早期に陥落と……」
「まさかの二週間で陥落ってアリですかね……」
「東條は完全に追い出したしフィリピンは山下大将か……」
「富永の排除は出来ませんでしたねぇ……」
「聨合艦隊は?」
「既に覚悟完了してますよ」




 10月1日、パラオは陥落した。まさかの早期陥落であり陸海軍に激震が走ったのは言うまでもない。というよりもパラオ防衛の第35師団はマリアナを戦訓にしていた。というのもマリアナーーサイパンでは水際防御をしており第35師団司令部では「水際防御こそが勝利の要である」と認識していたのだ。そのため戦艦5隻を主力とする艦隊が水際陣地を徹底的に艦砲射撃によって破壊した。
 また、米軍が上陸すると司令部は反撃命令を出した。これにより米軍ーー第一海兵師団は戦力が半減するも二日間の戦闘で第35師団はその戦力を三分の一にまで低下、9月28日に行われた残存兵力の万歳突撃を以て第35師団の組織的活動は停止したのである。
 これを受けて陸海軍は『捷号作戦』を策定した。更に陸軍は徐々に後退する大陸戦線からの部隊をフィリピンに移動させる事にした。打通作戦の中止に作戦計画立案者である服部大佐は徹底的に反発したが杉山と梅津は服部を更迭、歩兵連隊長とされるのである。
 また、パラオが陥落した事で海軍内で陸軍の不信感は増すばかりだった。

「俺達の忠告を無視した挙げ句、マリアナの辛勝をひっくり返しやがった」

 口が悪い奴等平然と陸軍佐官らの前で言い放ち殺傷事件まで起こす有り様だった。それでも陸海軍は共闘して米軍と戦わなくてはならない。
 10月10日、ハルゼー大将の第三艦隊が沖縄を含む南西諸島一帯を大規模空襲を敢行した。この時、沖縄は第32軍の下に四個師団と五個旅団で編成途中であり沖縄の民間人も日本本土や台湾への疎開が開始されていた頃であった。
 沖縄には事前情報等で在泊艦艇はいなかったので艦艇の損害は無しだったが人的・地上施設等の被害は軒並み史実並だった。

「恐らくは台湾の二航艦も標的に入っているだろうが二航艦は軒並み退避させよ」

 横須賀鎮守府の一角に新しくGF司令部を新設した南雲大将は二航艦司令長官の福留中将に指示を出す。しかしこの指示は福留自身が握り潰してしまったのだ。

「マリアナで奴らは疲弊しているのだ。この好機を今逃してどうする。此処で奴等を叩かねばならん」

 福留中将はフィリピンのミンダナオ島ダバオに司令部を置いていた一航艦司令長官寺岡中将にも支援を要請して自身は二航艦で第三艦隊の全力捜索を開始したのである。

「あの馬鹿野郎……」

 電文を受け取った寺岡中将は福留中将の浅はかな思考に電文を握り潰した。

「何のための比島決戦なのだ。ハルゼーの思う壺じゃないか!!」

 寺岡中将は福留に支援拒否と出撃中止を要請、更に南雲大将にも状況を報告した。南雲大将は急いで福留を罷免して後任に山田中将を持ってこさせようとしたがそれらが終わる前に台湾沖航空戦が勃発したのである。
 結果として被害は航空機268機の喪失だった。なお、一航艦は出撃しなかったので被害は全て二航艦所属であり一番痛い喪失はT攻撃部隊こと762空の殆どを消耗してしまった事だった。南雲の怒りはまさに頂点に達していたのである。

「動くなという命令を無視して動き、比島決戦に必要な航空戦力を消耗させ撃沈艦艇無しという快挙はまさに海軍史上の恥だ!!」

 南雲は問答無用で福留を拘束し後は古賀に任せ後任に山田中将を充てたのである。なお、福留中将は即刻予備役に編入された。また古賀は陸軍側に台湾沖航空戦の細部を詳細に報告、これにより陸軍はレイテ決戦を捨て元来のルソン島決戦に踏み切るのである。

「フィリピンに来るのは史実通りかな?」
「恐らくはそうでしょう」

 この頃、橋本は舞鶴にいた。舞鶴には『大鳳』以下の第三艦隊が錨を降ろしていた。舞鶴にいたのは母艦飛行隊の再建を目指していたからである。前回のマリアナ沖海戦で第一機動艦隊はスプルーアンスの第五艦隊を撃滅したがその代償が母艦飛行隊の壊滅だった。

「やはり艦攻隊の再建は来年になるだろう」

 橋本は舞鶴鎮守府で第三艦隊司令長官の山口中将と面会をしていた。というのも橋本の五戦隊は第三艦隊所属であり山口に呼ばれたのである。

「機動艦隊は再編する事になった。君の戦隊も二艦隊の宇垣中将の方に変更となった」
「……まさか……」
「その通りだよ。我が第三艦隊は囮となってハルゼーを引き付ける」

 山口は橋本にそう告げる。

「……分かりました。ですが長官、まだ戦死はやめてください」
「分かっている。私もまだ死ぬわけにはイカン」

 橋本の言葉に山口はニヤリと笑うのであった。

721: 加賀 :2019/08/15(木) 17:48:18 HOST:p2376131-ipngn200804osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
二航艦、ほぼ史実通り壊滅
でも米軍もパイロットの腕は疲弊している(意味深
最終更新:2019年08月18日 10:20