846: 加賀 :2019/08/20(火) 12:45:09 HOST:p2376131-ipngn200804osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
10月26日0030、第七艦隊の上空は突然眩い光が放たれた。
「照明弾!?」
「クソ、上空に敵機だ!!」
「叩き落とせ」
吊光弾を落としたのは一航艦に所属する903空の瑞雲と零水偵だった。第一遊撃部隊がサンベルナルジノ海峡方面に向かった情報を入手した一航艦司令長官寺岡中将はサンベルナルジノ海峡に敵艦隊は待ち伏せていると予測し瑞雲と零水偵の第一次攻撃隊(48機)を出撃させ、夜間空襲になるのを承知でロケット弾を搭載した零戦と銀河・一式陸攻に吊光弾を搭載した彩雲(96機)の第二次攻撃隊を出撃させた。
最初に到着した瑞雲と零水偵は海峡にて航跡を発見すると吊光弾を投下、浮かび上がった魚雷艇に20ミリ機関砲を容赦なく叩き込んだのである。この銃撃で数隻の魚雷艇は炎上または魚雷に誘爆して沈没したりする。そこへ第二次攻撃隊が到着し魚雷艇、更には追加の吊光弾で発見した駆逐隊に零戦隊がロケット弾を叩き込み炎上させた。
この頃になると第二部隊の『最上』から発艦した瑞雲9機がサンベルナルジノ海峡に到着し先の攻撃隊同様に銃撃を加えたのである。更に『利根』から発艦した瑞雲が海峡出口にて敵第77任務部隊を発見、これによりオルデンドルフは手の内を知られる事になる。
まだ、上空には銀河と一式の第二次攻撃隊がおり彼等が第七艦隊を攻撃し吊光弾を投下する彩雲が第一遊撃部隊に詳細を報告、そのため第一遊撃部隊は万全の態勢で第七艦隊の攻撃する事が出来たのである。戦艦部隊等への夜間空襲は其ほどの戦果は無かったが、彼等が夜間空襲を耐えきった後は巨弾が降り注ぐのである。
海峡出口に配備していた第七艦隊の魚雷艇と駆逐隊は橋本中将の五戦隊と『能代』以下の二水戦により掃討された。
そのため、『大和』『武蔵』は自身が搭載する46サンチ砲を第七艦隊に咆哮させる事に専念出来たのである。まず最初に倒れたのは『テネシー』である。『テネシー』は『武蔵』から放たれた46サンチ砲弾五発が命中、『テネシー』は大爆発を起こしながらその巨体を波間に没するのである。『武蔵』に負けじと『大和』『長門』『陸奥』は中央に展開していた『ミシシッピ』『メリーランド』『ウェストバージニア』に砲撃を集中、『メリーランド』『ウェストバージニア』は『長門』『陸奥』の砲撃によりスクラップの状態に成り変わり『ミシシッピ』はウェイラー少将ごと大和の砲弾四発の命中により海中に引きずり込まれるのである。
瞬く間に四隻が撃沈破された事にオルデンドルフはなおも怯まずに砲撃を続行するも遅れて到着した『扶桑』『山城』が左翼に展開していた巡洋艦部隊を砲撃、この砲撃がオルデンドルフの旗艦『ルイビル』に命中、オルデンドルフは重傷となりその開いた穴に四戦隊が突撃した。
四戦隊は『鳥海』を喪失するも(『ミネアポリス』の左舷にラムアタックを敢行、乗員の一部が白兵戦をして『ミネアポリス』ごと海中に引きずり込ませる程である)左翼に展開する巡洋艦部隊を壊滅させる事に成功した。
右翼に展開するバーケイ少将は撤退を命令するも遅れて海峡出口に到着した第二部隊の『金剛』型四隻が右翼に砲撃、旗艦『フェニックス』が爆沈した事で右翼も敗走するのである。それでも『ペンシルベニア』『カリフォルニア』は『長門』を中破させるも『大和』『武蔵』の砲撃に屈する事になる。
847: 加賀 :2019/08/20(火) 12:45:48 HOST:p2376131-ipngn200804osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
「態勢を建て直し、レイテを目指す」
第77任務部隊との戦闘後、まだやれると判断する宇垣中将は艦隊を前進、サマール島沖合いを南下させた。この事態に大いに慌てたのがキンケイド中将の残存艦艇である。
「スプレイグの第四群の航空支援の元、ハルゼーが来るまで粘るんだ!!」
彼の手元には乙巡×2、駆逐艦×7、護衛駆逐艦×8しかなかったがまだスプレイグ少将の護衛空母群が存在していた。この護衛空母群の航空支援で時間稼ぎをしつつハルゼーの第三艦隊を待つ方針だった。しかし、スプレイグ少将の護衛空母群から悲痛な電文が来た時、キンケイド中将の作戦は崩壊した。
「敵の護衛空母群だ。叩き潰せ!!」
無傷に近い橋本の五戦隊と七戦隊を先頭に突撃を開始、スプレイグは航空機を出すも『隼鷹』等から飛来する零戦隊に阻まれ、第一遊撃部隊を攻撃する事が出来ずに砲撃を受ける事になる。
『敵戦艦部隊カラ砲撃サル。援軍必要』
スプレイグ少将の電文は最悪の状況を物語っていた。ニミッツ長官はハルゼーに『全世界は知らんと欲す』を打電した。
「何だと!? 俺はヤマグチの機動部隊を攻撃しているんだ!! ふざけた事を抜かすな!!」
ハルゼーは電文を見て野球帽を床に叩きつけた程だったが戦艦部隊を転進させ自身はまだ山口の第三艦隊を攻撃するのである。だがその戦艦部隊は間に合う事はなかった。
スプレイグ少将の護衛空母群を壊滅させた第一遊撃部隊はレイテを目指した。そしてスルアン島沖に達した時、キンケイド中将の残存第七艦隊が最後の抵抗とばかりに第一遊撃部隊を攻撃するも会敵から14分でキンケイド中将の艦隊は壊滅するのである。
そして第一遊撃部隊は目標とするレイテ湾に到着、宇垣中将は全艦艇に打電した。
『天佑マサニ我等ノ手ニ有リ、全艦突撃セヨ、踏ミ潰セ』
その瞬間、レイテ湾は地獄の閻魔が死者の書類作成に困る程の戦死者を出す事になる。残存第七艦隊の通報から必死に錨を上げて機関を最大にして逃げようとする輸送船団に対し水雷戦隊は無慈悲に砲弾と必殺の酸素魚雷を叩き込む。戦車揚陸艦等に20サンチ砲を放つ重巡部隊、戦艦部隊は弾薬船等を砲撃し火山の噴火の如く大火災や大爆発を何度も演出させ観客である日米両軍の兵士の興奮・絶望を作り上げる。
特に九戦隊の『北上』『大井』の乗員は「やっと重雷装艦の任務が出来た」と感激の涙を流す程であった。ある程度の輸送船を破壊した戦艦部隊は海上から物資等が揚陸している陸地へと目標を変更、通常弾と三式弾を徹底的に叩きつけたのである。物資は元より上陸していた陸軍の兵士達は逃げ惑う中を砲弾で次々と吹き飛ばされていく。
0730、漸く嵐は終わりを告げた。レイテ湾にある物を全て薙ぎ倒し破壊した第一遊撃部隊は朝日に照らされる中を悠々とブルネイへ帰還するのである。米陸軍の死傷者は約9万であった。唯一とも言える救いはマッカーサーがタクロバンにいる事かもしれない。
848: 加賀 :2019/08/20(火) 12:51:36 HOST:p2376131-ipngn200804osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
以上、地獄のレイテでした
どうしても電文に踏み潰せを入れたかった(2202を見つつ
最終更新:2019年08月23日 20:00