902 :名無しさん:2012/01/22(日) 01:02:52
地球教は変質した。
一部の原理派はそう口にして、頑なに禁欲的な地球教を唱え、改革を唱える。
もっとも、地球教の総大主教含めた幹部達は「これでもいいか」とすっかり信者の洗脳やサイオキシン麻薬の栽培を彼方に忘れ去っている。
はっきり言ってしまうならば、日本帝国に地球教の教会を開設した後、日本のルーツを辿るという事で観光客が激増した。
そして、観光客が増えれば、それを目当てにする商人も増えるのが自明の理で、かつては寂れた辺境の惑星であった地球は急速に発展しつつあった。
問題となったのは統治機構が皆無だった事にある。
何しろ、かつての地球政府なぞ最早影も形もなかったのである。
やむをえず代行したのが地球教総本部であった。
いわば、地球自体を古のバチカン市国などと同じレベルで扱ったのである。
当然、運営の為に何らかの税金を取らねばならないが、お布施にお参りの為の賽銭箱、お守りなどの販売などに加えて、商人相手の税金など地球教には膨大な金額が雪崩れ込んだ。
日本の観光客を相手にする内に、何時の間にやら地球教寺院だの、そこで求められた地球守りだ、絵馬だ、記念品の地球メダルだ、果ては日本からやって来た連中が開拓した温泉地に地球まんじゅう。
要は「別にあくどい事しなくても、普通に表で儀式とかやってれば全員が思う存分贅沢してもお釣りが来る」程、金が稼げるようになってしまったのである。
こうなると、下手に後ろ暗い犯罪に手を染めるのを躊躇ってしまう。
確かに地球が人類の中心ではないかもしれない。
けれど、それなりの敬意を払われるようになり、裕福になった。
もし、下手にかつてのような洗脳だ、麻薬だのとやったらどうなるだろうか?当然、今の生活全てを失う事になってしまう。
(それは嫌だ)
現状に満足している者が次第に増えていった。
今では人口も億単位に増え、一大観光地と化している。
ここでの敬意も払われ、食い物も何もかも満たされている、そんな生活をあっさりと捨てられる者はそう多くはない。
かくして、地球教は人類にそれなりの立場を持つ一宗教としてそれなりの立場を築いた訳だが、その内容は完全に大日本帝国の文化に取り込まれ、変質したものと化していた。
こうなると、出てくるのが真面目な連中な訳で……。
かつて地球教が怪しい事に手を染めていたなど知る由もない連中が「地球教は堕落した!」と上層部を非難して、禁欲的な生活を営む連中だのが出てきたりしているのだが……。
原作を知る
夢幻会の面々の一人は後にこう語ったそうである。
「計画通りですね(ニヤリ」
最終更新:2012年01月27日 20:06