399: 加賀 :2019/09/14(土) 16:38:28 HOST:softbank126224136156.bbtec.net
「ふざけるなよジョンブルども……」
マケインは旗艦『エセックス』の艦橋で被害報告に頭を抱えていた。マケインの機動部隊は五航艦の攻撃を何とか凌いではいたものの、空母『フランクリン』『ランドルフ』『ハンコック』を喪失し『ベニントン』等三隻が大破していた。
特に酷いのは英太平洋艦隊であり空母は全て炎上、二隻後退(後に沈没)し四隻は沈んでいた。あまりにの体たらく差に米機動部隊の参謀スタッフ全員が罵倒する程である。だが此方も日本の空母五隻を沈めているのでどっこいどっこいではある。
(問題はヤマトクラスの艦隊がいない事だ……まさか奴等は……)
マケインは直ちに海図を見る。我々は沖縄本島の北部……北部でも東250キロの海域を航行している。そして伊平屋島方面は……手付かずだった。
(まさか……まさか……まさか!?)
マケインは咄嗟に左胸を抑える。最近、心臓に違和感を覚えていた。そしてその不安は現実となる。
「直ちに伊平屋島方面に偵察機を送れ!! 奴等は……ジャップの狙いは……ウグッ!?」
「マケイン提督!?」
マケインは倒れた。心臓発作によって倒れ機動部隊の指揮はマリアナから生還しているミッチャー中将が取る事になる。そしてマケインが倒れる前に発した命令に従った偵察機は与論島沖を航行する宇垣中将の第二艦隊を発見したのであった。
「動ける艦艇は全てヤマトクラスに当たれ!! 奴等を沖縄の海に沈めろ!!」
戦艦部隊を率いるディヨー中将は旗艦『ミズーリ』の艦橋にて叫ぶ。彼の手元には新旧合わせて14隻の戦艦はいたが上陸部隊の援護として旧式戦艦は置いていく事が決定しておりそのため実際に動かせるのは戦艦8隻の戦艦である。
ディヨー中将の戦艦部隊は直ちに宜野湾沖から出撃、先行した『インディアナ』『ノースカロライナ』が伊江島沖で砲撃戦を展開した。(第一次沖縄沖海戦夜戦)
だが二隻では『大和』『武蔵』を擁する第二艦隊には勝てず二隻は開始10分で爆沈、与えた被害は『武蔵』に二発のみである。
「クソ、ジョンブルも連れて行けたら……」
あっという間の二隻爆沈にディヨー中将は拳を強く握りしめる。主力が戦艦だけとなった英太平洋艦隊は北上してくる橋本中将の第五艦隊迎撃のため慶良間列島沖に展開していたのだ。
「少しは骨のあるところを見せてほしいものだ……」
そう願うディヨー中将だった。一方で橋本中将の第五艦隊も慶良間列島に近づいてはいた。
「いよいよか……山口さんの三艦隊は壊滅したが残存艦艇が沖縄へ突入する予定だそうだ」
「今度ぁ勝ったかな」
「松田……お前なぁ……」
松田の言葉に橋本は溜め息を吐くがその表情は笑っていた。
「戦の前は誰でも緊張はするんです。解れたでしょう?」
「クク、ありがとうと言っておくかな」
「ハハハ、では戻ったら橋本中将も瑞雲音頭を踊りましょうか」
「いや、あれを踊るならアンコウ踊りをするぞ」
「何でやねん……」
そう言う松田だった。そして0130、慶良間列島沖に近づいた第五艦隊に22号水上電探が反応を示したのである。
「予想より早い接触だな。瑞雲は?」
「『妙高』の瑞雲が発艦しました。恐らくは英艦隊ですかな?」
「此方は旧式だからな。恐らくはそうだろう」
程なくして瑞雲から連絡が来た。
「大型艦らしきが6隻か……ちときついな」
「此方は航空戦艦ですからねー」
「ならば卑怯をして勝てば良い。全瑞雲は爆装して発艦、奴等の頭の上から爆弾を叩きつけろ」
第五艦隊は瑞雲発艦のため一旦英太平洋艦隊と距離を取る。距離を取られた英太平洋艦隊のローリングス大将は首を捻る。
「何をしているのだ奴等は……?」
「水上機を発艦しているようです。対空レーダーが次々と反応を示しています」
「何、水上機? ジャップは追い詰められて気でも狂っているんじゃないのか?」
呆れるローリングス大将だが上空に吊光弾が投下されるとその表情を一変させたのである。
400: 加賀 :2019/09/14(土) 16:39:47 HOST:softbank126224136156.bbtec.net
「ば、爆撃だと!?」
瑞雲隊は低空飛行で突撃、外れたのは三発でそれ以外はそれぞれの戦艦に命中したのである。
「こちとら夜間空襲はソロモンで何度もやってるんだ!! 舐めるんじゃねーぞジョンブルども!!」
帰還する瑞雲のパイロットがそう叫ぶ。混乱する英太平洋艦隊に橋本中将は突撃命令を発した。
「全艦突撃!!」
五戦隊が最大速度で斬り込みをかけ砲撃によって空いた穴に『矢矧』以下の四水戦が突撃を開始し次々に必殺の酸素魚雷を発射して離脱していく。
「弾ちゃーく、今!!」
時間通りに酸素魚雷が定められた目標の側面にぶちこみ爆発したのである。
「命中!命中!」
被雷したのは『アンソン』『ハウ』であり防御面に不安が元からあった彼女達は一気に浸水して速度低下する。それを『伊勢』『日向』は見逃さずに二隻に砲撃を集中し二隻は大破して戦闘不能となる。
「たかが二隻の旧式戦艦に何を戸惑う必要があるのだ!! 奴等を踏み潰せ!!」
まだ雷撃の混乱が立ち直ってはいないが『ネルソン』『ロドニー』は『伊勢』『日向』に向けて砲撃を開始した。40サンチ砲弾が周囲に着弾したのを見た橋本は焦る。
「二、三斉射で命中しそうだな」
「その前に何とか……」
その時、後方から一筋の光が『ネルソン』『ロドニー』を浮かび上がらせた。
「く、『熊野』が探照灯を照射しています!!」
「……砲撃を二隻に集中!!」
『伊勢』『日向』は砲撃を集中して二隻に命中弾を与えるも探照灯を照射する『熊野』に二隻が砲撃して『熊野』は瞬く間に大破した。だが、『熊野』の時間稼ぎによって再装填した第三十二駆逐隊が再突撃し距離6000にて酸素魚雷を発射、『早波』が撃沈されるも24本の酸素魚雷は9本が二隻に命中した。
「駄目です、浸水が止まりません!!」
「くっ!!」
『ネルソン』に六発、『ロドニー』に三発が命中し『ネルソン』は『日向』の四番砲塔を旋回不能に陥れるもそこで力尽きた。『ロドニー』には更に抵抗したが五戦隊の乱打により炎上、沈黙を余儀なくされ後に第五十二駆逐隊の『楓』『梨』の雷撃で撃沈する。
「て、撤退だ!? この海域から撤退する!!」
ローリングス大将は自軍の被害に撤退を選択、残存艦艇は久米島沖に退避して態勢を整える事にしたのである。(名目上)
そして伊江島沖では死闘が続いていた。
401: 加賀 :2019/09/14(土) 16:41:19 HOST:softbank126224136156.bbtec.net
マケイン、心臓発作のため退場
ミッチャー、復帰
勝ったらあんこう踊り
英太平洋艦隊、不幸しかない
最終更新:2019年09月22日 11:58