194: 加賀 :2019/10/06(日) 11:12:22 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
「旭川と札幌に原爆が投下されたんですか!?」
「あぁ。まさかの史実を再来する形となったな」
1950年に開始された朝鮮戦争は坂井らが思っていた以上の戦果となっていた。
「まさか釜山が陥落して李承晩が対馬を経由して博多に臨時政府を立ち上げましたからね……」
「そのせいで対馬と博多は占領されるしな。まぁ九州の陸自が直ぐに叩き出したがな」
「その後は第二次日本海海戦と仁川上陸……そりゃあスターリンもキレて落とすのを決断するか」
坂井達は今日も但馬飛行場で『震電改』のテスト飛行をしている。その『震電改』を空自の上層部も1日でも早く戦力化を要望していた。
「旭川と札幌の例がある。漸く日本の防空態勢を一部ではあるが此方側に譲渡してくれたから『雷電』や『紫電改』では限界がある」
そう話すのは航空自衛隊航空幕僚長の吉良空将である。今の空自はレシプロ機である『烈風改二』『雷電』『紫電改』を局戦として運用していたが要と言える『烈風改二』は関東方面に重点的配備していたので空自としては『震電改』の投入を急がせようとしていた。だが、それに待ったをかけたのが倉崎と愉快な仲間達である。
「貴方方の気持ちは分かる。だがこの『震電改』はそう簡単には配備出来ません。これは我々技術者の意地と貴方方のロマンのためです」
(そのロマンは一部だっての……)
倉崎の言葉に会議に出席していた橋本は溜め息を吐き、松田は力強く頷くのである。
「ですが防空態勢も委譲されたのは関東方面だけで他はまだ米空軍が管轄してますね」
「あぁ、まぁ徐々にという事だろう(だが懸念はあるな)」
坂井の言葉を聞きつつ倉崎は思う。
(岩国基地にいたF-86等の中国地方の米空軍の部隊が北海道方面に転出したのはまだ分かる。何せ北海道は落とされているからな。だが中国地方は替えの部隊が来ていない……)
ソ連がもしこの情報を知っていたら……。
(もしかしたら三発目が……)
そして1951年8月6日、ウラジオストクから一機のTu-4が離陸し日本海を高度20メートルという低空飛行で飛行し日本海を横断、日本の中国地方へ侵入し徐々に上昇しつつ0813には高度一万で広島上空におり一発の爆弾を投下した。この時、広島は米軍からの情報が無く警戒警報すら発令されておらず人々はいつもの日常を歩もうとしていた。
そして0815、広島は太陽の光に包まれたのである。
「坂井二尉!? 広島がやられた!!」
「広島が!?」
永野三佐からの報告に坂井は驚く。馬鹿な、米空軍は何をしていたのだ。
「坂井二尉、もしかしたら四発目があるかもしれない」
「そんなまさか……」
「いや、ソ連なら有り得る」
倉崎博士の言葉に坂井を息を飲む。
「緊急発進に備えて『震電改』にもRATOを搭載するように改造する。奴等が来た時は……頼むぞ?」
「無論です」
倉崎の言葉に坂井は即座に頷いたのである。そして奴等はやってきた。
「大型機の反応だと!?」
「はい、この大きさはB-29クラスです!!」
日本海で対潜警戒をしていた海防艦『志賀』の対空電探が一機の大型機を探知したのである。
「こいつの行き先は!?」
「大阪……いえ違います、こいつの行き先は……!?」
「京都だと……」
測定した結果、Tu-4の目標は京都だった。その結果に『志賀』艦長は愕然としつつ怒りに身を任せたい気持ちだったがそれでも艦長としての責務を果たそうとした。
「平文でも構わんから直ちに打電だ!!奴等の目標は古都京都だ!!」
195: 加賀 :2019/10/06(日) 11:20:14 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
やっぱり前中後になってしまった
最終更新:2019年10月07日 10:02