638: トゥ!ヘァ! :2019/10/17(木) 19:11:09 HOST:FLH1Agm229.kng.mesh.ad.jp
フォーリナー日記
私の名はメトロン。神聖白銀帝国天の川銀河方面軍所属第116艦隊司令官。
まあ所謂良くある一個艦隊を預かる人物である。
艦隊司令官ともなれば一般的にとても偉そうな感じであるが、我が帝国においては特にそんなこともない。
私のような艦隊司令官は艦隊ナンバーからもわかるようにそれこそ数百数千ほどいる中間管理職である。
地上軍で言えば1師団長と言った具合だろうか。そういうとなんか偉そうに聞こえるが今の時代ともなると同格者が数千人以上いるのだからそう偉そうにはできない。
その上に各方面軍本隊艦隊などがいて、それらの司令官が上司となる。方面軍司令官やらそんな感じだ。
更にその上に全艦隊を統率する艦隊司令長官やら作戦と目標を決める軍令部やらがいるわけなので、1艦隊司令が前線指揮官なのは変わりない。
話を戻そう。
当初私の艦隊は天の川銀河方面にて新たに表れたガミラスやら銀河帝国(銀英伝)やら相手にちょっかいかけたり、身の程を教えたりしていたのだが、突然現れた次元の歪みにより艦隊の一部が別次元に消えてしまったのである。
幸いそれほど時間もかからず、消えてしまった部隊から救難信号が届いたので、部下の生存は確認できた。どうやら彼らは別の宇宙に迷い込んでしまっていたらしい。
このことを上司(天の川銀河方面軍司令官のこと)に報告し、許可を得てから我が艦隊はビーコンからの救難信号をアンカーとして救援部隊を別宇宙へ送り込んだのである。
また同時に上司からは部下が迷い込んだ別宇宙の探索もしてこいと無茶ぶりを言われてしまった。しかも本国の宇宙軍軍令部直々の命令書付きで。
正直全く情報のない別宇宙を調べてこいとか半分くらい特攻命令なんじゃないかと思う。
しかし命令には逆らえない。宮使えの悲しい性である。
先遣隊からの報告でどうやら我々の宇宙とそう変わらない世界だと判明したため内心嫌々ながらも別宇宙へ次元転移(別世界へ移動する際に行う大出力ワープのこと)を行った。
転移は無事成功。落伍もなし。上々である。
だが遭難した部隊及び救援のために赴いた先遣隊からとんでもない報告が来ていた。
なんとこの宇宙にもかの“地球”が存在しているというのである。
私は大汗をかいた。滅茶苦茶かいた。目の前がぐにゃぁっとした。
それもそうである。あの地球。地球である。一個艦隊だけで相手なんてしようものなら死は免れない。
今の地球連合ほど出なかろうとも単一惑星軍時代ですら我が軍の一個艦隊を壊滅させ、更にかの宇宙大災害時にはご親征した先帝陛下とその直卒艦隊の一緒くたに宇宙の塵にしてしまったあの地球である。
マジやばい。あ、私死んだわと心中遺言どうしようと考えながら報告を聞いているとどうやらその地球は幾つかの勢力に別れて争っているとのことであった。
またまだ本格的に我々の正体の気づいておらず、技術レベルもかつての地球連合と同じかそれ以下だとの報告も着た。
かつての地球連合と同じ。つまり下手に手を出せば一個艦隊消滅確定。私死んだ!となる。
ま、ま、ま、まだ慌てる時間じゃない。そう。私が受けた命令はこの宇宙の調査。地球征服とかいう100%自殺フラグを建てるためではないのである。
故に私は地球に近づかない!地球の言葉には君子危うきに近寄らずともいうではないか。私メトロンは危険に近づかない!
639: トゥ!ヘァ! :2019/10/17(木) 19:11:42 HOST:FLH1Agm229.kng.mesh.ad.jp
無理であった。取りあえず救助成功と上司に連絡やったら、その地球見て来いと言われた。
あとおまけでこの宇宙における橋頭保となる拠点も作ってこいと言われた。また軍令部の命令書付きで。
酷い。ブラック労働じゃないか!人権はないのか! これでも先帝陛下時代よりもマシになっているとか本当なのだろうか。…本当なんだろなぁ…
一応これでも艦隊を預かる身。怖いと言ってサボタージュもできない。
幸いこの段階では調査の延長線上であり、本格的に地球征服してこいとは言われていない。
橋頭保も太陽系の外でいいと言われた。
上層部も流石に一個艦隊だけで地球征服を成せることとは思っていないようだ。
うんうん。慎重なのはいい事だ。だから速いとこ増援回してください!お願いします!
愚痴っても仕方ないので取りあえず偵察がてらに無人機部隊を飛ばす。
現地勢力にやられたり、鹵獲されたりしているが基本は使い捨てなので問題はない。
その途中で何だかよくわからない奴らに襲われた。
一定の姿はしているのだが、ぐにゃぐにゃ姿を変えたり、生物に取り付いたり、機械と融合したりと流体的な形と性質を持った生物たちである。
下手に無人機や生物兵器を嗾けても連中に取り込まれるだけなので切り札のサイキック部隊をぶつけた。
全体を包むシールド標準装備で、尚且つ強力な超能力を持ち、素の練度も高い彼等は私の思惑通り連中を寄せ付けず撃退に成功した。
戦闘後はサンプルを回収して詳しく調査すべきかと思ったが怖いので残骸も全て跡形もなく焼いた。
潜伏しているのがいると困るのでサイキック部隊の中で探査系能力持ちを動員して何か違和感がないか何度も探らせたが、取りあえずは何もなかったので安全は確保できたと思われる。
こんな厄介な粘菌生物がいるとかこの宇宙怖い。うちらと相性悪いわ。
後の調査で地球人がインベーダーと呼んでいる生物だと判明した。え、こいつらの大軍を十数年前に撃退しているの?
やっぱこの宇宙の地球もヤベー奴らやん!
私は絶対に手を出さないと心から誓った。やはり別のアプローチが必要のようだ。
取りあえず無人機飛ばして調査した結果現在この世界の地球は地球を支配している地球連邦と宇宙を支配しているネオジオンに別れて争っていることが判明した。
また地球内では他にも使徒と呼ばれるの謎の生物の襲撃。ドクターヘル一派と呼ばれるテロリスト(と言うには大分強力な戦力を持っているようだが)の活動にあの粘菌生物インベーダーの襲来。
どうやら大分混沌としているようだ。
彼らが運用しているモビルスーツやアームスレイブ。スーパーロボットについても性能が判明した。
MSに関してはどうやらかつて地球連合が運用していた兵器と見た目が似通っているが性能はそれよりも上らしかった。
無論現状の連合が運用している兵器と比べればずっと下であるが、我々が地球連合と接触したばかりの時期の機体よりも多少上とのことである。
アームスレイブに関しても融合惑星と呼ばれる惑星上でかつて運用されていたのと同じ物に見えたが中身は別物らしく、かつて我々の宇宙で運用されている物より数段上とのこと。
スーパーロボットこと特機に関してはかつての月面戦争で主力を担ったこともあり、インベーダー相手に真正面から対抗できる代物とのこと。
このため総じてこの世界の地球の戦力に関しても決して侮っていい物ではないことが判明した。
やはり地球は容易に手を出すべき星ではないのだ。例えそれが別世界の地球だとしても。
640: トゥ!ヘァ! :2019/10/17(木) 19:12:14 HOST:FLH1Agm229.kng.mesh.ad.jp
そして我々の宇宙にあった地球との最大の違い。あの赤い海。
どうやらあれは13年前に発生した早乙女博士の反乱とセカンドインパクトと言う二つの事件によってああなったらしい。
海からは生物が死に絶え、同時に連邦軍も大きな打撃を負ったようだ。
そしてその海から検出されたゲッター線と地球人から呼ばれるエネルギー。我々の宇宙では見なかった珍しいエネルギーのため一応サンプルとして本国の方へ送った。
個人的に何かうちの種族とはあんまり相性良くなさそうだなぁっと思った。完全に私の勘であったが。
また試し生物兵器の一つに与えてみたら進化しすぎた挙句暴走し始めた。幸いすぐに鎮圧、焼却に成功したがやはり余り良くなさそうなものだと改めて感じた。
そして本国からもこのエネルギーは我が種族とは相性良くなさそうなのでスルー安定との命令書が届いた。しかも皇帝陛下直々のお言葉で。
と言うわけであの赤い海洋やゲッター線関連に関してはサンプルを取る程度でスルーすることとなった。
皇帝陛下直々のお言葉となっては誰も文句も言えない。
同時そんなのに汚染された海洋が惑星上の7割も占めているあの地球は征服しても手に余ると判断されたのか、制圧しなくていいよとお墨付きをもらった。
つまるところ全面侵略からの私オワタフラグは折れたのだ!第三部完!
…そんなわけなかった。出来れば現地の技術や遺伝子データを収集してこいと言われた。
酷い。まだ仕事が終わらないのか。
艦隊における主だった部下も集めて会議を開く。現在の陛下になって以降艦隊の様式も大分様変わりして様々な役割を持った部下の配置や傘下にした種族の登用など革新的なことが行われている。
私は今の陛下の時代になって世界徴兵(宇宙災害アポカリュプス後に現陛下により行われた改革人事)により司令官に抜擢されたタイプなので前の時代の艦隊勤務は経験していないが、先帝陛下時代より生き残っている上司から聞くに艦隊の運営は全て艦隊司令一人が考え行っていたらしい。幾名か名在りの部下を持つこともあったそうだが、基本は補助役を置くこともなかったそうな。
なんというブラック。今の陛下の時代で良かったと思う。でも出来ればさっさと退役したいのは内緒だ。
話を戻して部下たちを招集しての会議。
結論戦争吹っ掛けてその中で技術や生物を収奪することはやめようとなった。
中には人類同士が争っている今がチャンスなのではという意見もあったが、この世界でかつて起こったインベーダー共との月面戦争を見るに外から侵略者きたらすぐに団結するんじゃないかという意見が大きく支持されたため全面進行は止めにしようとなった。
一致団結した地球人と一個艦隊のみでやり合うとか罰ゲームでしかない。しかも命をがけの。
そんなわけで我々は絡め手を使うことにした。いわゆる現地勢力への支援からの取り込みである。あとおまけに統一されるのを防ぐこともある。私個人としてはこっちの方が得意なので万々歳。
その候補としては宇宙に拠点を置いているネオジオンが選ばれた。
彼等はかつての連邦からの仕打ちと度重なる戦争により連邦憎しの過激派が主流となっているため、改めて連邦に味方する可能性は低いと推測されたためである。
また地球上で暴れているドクターヘル一派にも声をかけることとなった。
ドクターヘル個人の能力もそうであるが、彼らが運用している機械獣にも興味があったからである。
使徒やインベーダーに関しては当面スルーすることとなった。インベーダーはあんなのだし、使徒に関しては中々姿を見せず鹵獲するチャンスがなかったからである。
641: トゥ!ヘァ! :2019/10/17(木) 19:12:45 HOST:FLH1Agm229.kng.mesh.ad.jp
取りあえず会議で決まった結果行動に移すことにした。
ネオジオンへの接触は簡単。彼らのコロニーの前に我が軍の円盤でお邪魔した。
これに関しては部下に任せず私自身が赴いた。その方がスムーズに交渉が進むと考えたためである。
接触した際ネオジオンは当初は戸惑っていたが、我々の目的が交渉だとわかると割とスムーズに話が進んだ。
どうやら現在ネオジオンのトップをしているフル・フロンタルという御仁は話が分かる地球人のようだ。最も生まれも育ちもコロニーである彼らを地球人と呼んでいいのかはわからないが。
交渉はトントン拍子で進んだ。彼等ネオジオンは戦力的に連邦より余裕があると言っても、流石にこのままでは決定打に欠けると考えていようだ。
そのため我々との取引には応じる構えのようだ。無論完全には信用されていないようだが、むしろそちらの方が正常な反応なので安心する。
将来的にせよ、もしも我々の陣営に取り込むのならそれくらいの用心が出来る人々の方がありがたい。
我々が欲しているのは考え、指示できる人物であり、無言で言うことを聞く人形ではないのだ。
そんなのは無人機と生物兵器で間に合っている。
交渉の結果対等な同盟関係で落ち着いた。まあ対等と言っても現状私の艦隊との個人的な同盟と言う感じだ。
本国からは寝た子を起こすような行動以外は好きにしていいとのお墨付きをもらっている。
彼等にもそのことを正直に話したが、現状はそれでいいと言われた。
一応我が国のことに関する資料も送っておく。これで彼らが悩んでこちらの傘下に降ってくれれば上々だ。
地球人系は勇猛で尚且つ義理堅いことで有名だからだ。
取りあえずは友好の証として一部の無人機や技術を提供した。無論彼らが扱えるレベルに抑えたものであるが。
人口で地球に劣るネオジオンではこの手の無人機技術は重宝されるととても喜んでくれた。
掴みは上々である。
代わりと言ってはなんだが彼らが扱っている兵器のサンプルと使徒やインベーダーと言ったこの世界の地球圏で確認されている生物のデータをもらった。
余り接触できないか、接触できても安全を優先して殲滅ばかりしていたのでこれらのデータは素直に嬉しい。
因みに交渉の際に私が彼等と同じ大きさに変身してみると一様に驚いてくれた。
私も帝国の艦隊司令官の一人。これくらいの芸当はできる。そのように胸を張っていたら特に威張れることでもないですよと副官に突っ込まれた。言われんでもわかっているわい…
次は地球のドクターヘル一派と交渉を進めた。彼は能力相応に自尊心も高い人物だったので、あなたの才能を宇宙で活かしませんかと言ったら割と良い反応をしてくれた。
話し合いの結果現状は同盟関係に落ち着いた。
彼は取りあえず地球征服を目指すらしい。理由はそれこそが男のロマンだからだとか。
素晴らしい。ロマンは大事だ。
また彼からはかつてこの星にはミケーネという古代文明が存在しており、機械獣はその遺産を解析して開発したものだと明かされた。
そのミケーネは現在でも虎視眈々と復活の機会を伺っているとも。
彼等に対抗するための支援が欲しいと言っていたので幾つかの戦力や技術を提供した。
代わりにこちらには機械獣のサンプルや使途やインベーダーを始めとした各種生物の詳しいデータが送られて来た。
ネオジオンからもらったデータよりも詳しい。どうやらドクターヘル氏は我々が思っていた以上に有能な人物のようだ。
また彼からはアマルガムやゼーレと呼ばれる組織に関する情報ももらった。
どうやら秘密結社という類の代物らしく、前者は連邦を経済的・政治的に牛耳っており、ゼーレに関しては使徒や古代文明に繋がる組織らしい。
噂ではゼーレの指導部は外宇宙からやってきた宇宙人説があるらしいとか。
それが本当なら興味深いことである。
そして彼からもたらされた最大の情報はどうやらこの世界には我々もまだ感知していない種族が存在しているとのことだ。
アウラの民と呼ばれるそれらは宇宙でも活動可能な巨大生物を使役しているとのこと。
実に興味深い。話を聞く分には機械獣と同じかそれ以上の強さを言われた。
実際に会ってみなければわからないが、もしもそれが本当なら是非とも我々の傘下に欲しい種族である。
あ、取りあえずはまず同盟(お友達)からであるが。行き成り初対面の人にがっつき過ぎるのは良くないのである。
642: トゥ!ヘァ! :2019/10/17(木) 19:13:25 HOST:FLH1Agm229.kng.mesh.ad.jp
ネオジオンやドクターヘル氏との会談から少し経ったあと。別の勢力からの接触があった。
アナハイムと名乗る彼らは月を中心とする企業であるとのこと。つまりは商人か。
どうやら我らの戦力や技術が欲しいそうだ。一応表立って彼らは連邦に味方しているが、裏ではネオジオンと繋がっているらしい。
今回我々に接触してきたのもネオジオンとのパイプを使ったようだ。
予定外の接触だったため取りあえず今回は顔合わせということで終わった。
あんな不安定な立場と立地ながらも儲けを上げているのだ。武力や技術で劣るからと言っても侮れる相手ではない。今後彼等との交渉は慎重をきさねば。
個人的に嫌な予感がするのも大きい。
途中調略の意味も込めて地球連邦にも声をかけようかと思ったがやめた。
ネオジオンやドクターヘル氏への義理立てもあるが、どうやら上層部は大分ぐだぐだのようでまともに話が出来ると思えなかったのだ。
逆に言えば少し囁けばこちら側に転ぶ輩は幾らでもいそうだが、そういった輩たちは我々が欲しい人材ではない。
と、まあこのように私メトロンの地球勢力取り込み作戦は順調に進んでいる。
現在はインベーダーを蹴散らしながら、尚且つアウラの民と呼ばれる人々を探しながらも順風満帆に行動できている。
偶にネオジオンやヘル氏からの要請で連邦の支配地域に無人機や生物兵器を飛ばしたりはしているが、すぐさまロンドベル隊やGハウンド隊と呼ばれる連邦の精鋭部隊に駆逐されてしまう。
どうやら連邦はただの木偶の坊でもないようだ。あとロンドベル隊って聞いたことある。
我々の宇宙の地球連合にも同じ名前の部隊がいるのだ。
そしてその面子や機体もそっくりである。やはりこちらから全面戦争仕掛けなくてよかった。
そんな風に安心していた時に部下からとんでもない情報がもたらされた。
どうやらこの世界のロンドベル隊に我々の宇宙の地球連合の部隊が混ざり込んでいるという報告である。
私は再び目の前がぐにゃぁっとなった。
643: トゥ!ヘァ! :2019/10/17(木) 19:14:00 HOST:FLH1Agm229.kng.mesh.ad.jp
いわゆるフォーリナー。その正式名称。
地球連合でもこの名前が判明したのは随分後になってからである。
現在は連合ともある程度話し合いが通じるくらいには落ち着いている。
先代皇帝がアポカリュプス解決の鍵を探すために地球に親征を行ったが、地球側の特務部隊の活躍により戦死。
親征のために連れて行った艦隊もその多くは宇宙の塵へと消えた。
その後アポカリュプスの本格化により各地域に大きな被害が出る。
その際当時まだ皇太子であった現皇帝自らの手により首都星全体に強力なサイキックバリアを張り、これを凌いだ。
その後先帝の戦死報告が届けられると共に現皇帝に即位。かつてより帝国の在り方に疑問を持っていたため帝国領土の復興と共に現在に続く大改革を行った。
その際に改革を良く思わない反対派勢力なども出現したが、皇帝自らの手によって壊滅させられている。
改革内容は人事・体制の一新、完全殲滅排他主義から武力を交えた対話による新たな傘下種族の取り込み、奉仕種族であるケロン(あのカエルたちのこと)の思考レベル拡大、サイキック能力至上主義からの脱却など様々なことを行った。
首都星を自ら守ったことと、反体制派の粛清、排他的だった国を時間をかけて改革したこと、そうしていて驕らない性格などから現皇帝は新しく傘下に加えた種族を含めた臣民からの人気は高いものがある。
国家としては銀色または白銀色を至上の色合いとしており、国名にもそれが現れている。
先帝時代ではサイキック能力至上主義により人格や作戦立案能力などではなく如何に強力な超能力を持つかによって人事が決められていた。
各艦隊の司令官が一方的な侵略行為をそれに伴う現地種族の殲滅を行っていたのはこのサイキック至上主義とそれを是とする風潮、また先代皇帝による他民族排他・殲滅政策によるところが大きい。
現在では現皇帝の能力主義政策により、サイキック能力以外の点も大きく評価されるようになった。
このため先帝時代に比べ柔軟な思考と冷静な対応能力を持った艦隊司令官が多くなっている。
逆に艦隊司令官個々人の平均戦闘力は低下気味であるが、他種族受容政策とサイキック兵団の編成による精鋭の育成やギルギルガンやラズニードと言った特化戦力の開発によって補われている。
人事改革の際には生き残っていた先帝時代の司令官たちよる反乱が起きたが、現皇帝が単独でこれを制圧、粛清した。
現在のフォーリナー各艦隊では様々な種族が勤務しており、幕僚団や兵団を形成している。
中には他種族ながら艦隊司令官にまで上り詰めた人物もおり、受容政策と能力主義政策に偽りなしである。
アポカリュプス後に行われた改革人事と限定徴兵のこと。
度重なる戦争と宇宙災害により人材不足に陥っていた帝国府が行った人事であり、サイキック能力に寄らないその他の能力や人格によってポストの変更や増設を行った。
また民間においても特別優秀と認められたものを艦隊司令官として任命している。
今回の話で出てきたメトロン司令官もその一人である。
現在では帝国が再び安定してきたことから、かつて限定徴兵された人々も民間に戻っているが、メトロン司令は本人の思惑とは別にその優秀さを買われて軍に引き留められている。
644: トゥ!ヘァ! :2019/10/17(木) 19:14:39 HOST:FLH1Agm229.kng.mesh.ad.jp
フォーリナーの中核をなす巨大グレイ型宇宙人の正式な種族名。直訳すると銀の人とそのままである。
一般人すらも微弱ながらサイキック能力を持っているサイキック種族。
一般的には微弱なテレパシー能力のみを備えるグレイマンと呼ばれる形態が種族の大多数を形成しており、そこから才能もしくは厳しい修行の果てに強力な超能力を身に着けた者が銀の人ことシルバーマンとなる。
かつてはこのサイキック能力こそが至上と考えられたサイキック能力至上主義が幅を利かせており、一般階層の市民の扱いは余り良くはなかった。
しかしアポカリュプス後の現皇帝による改革によって、サイキック能力よりも個々人自身の能力が優先されるようになり、かつてのサイキック能力至上主義は鳴りを潜めている。
とは言え高いサイキック能力は現在でも彼らの社会では高い評価と羨望の証となっており、事実軍においてもサイキック兵団などの専門精鋭部隊が構築されている。
現皇帝に関しても先帝に負けないどころか歴代においても最上級レベルのサイキック能力者である。
地球においては二足歩行のカエルと言われているフォーリナーの奉仕種族。
独立していた種族というわけではなく、とある星で見つけた原生生物をフォーリナーが知性化させ作り上げた。
基本はクローン増殖によって数を増やされるが、生殖能力自体は生きており、現地においては空飛ぶ子カエルの誕生による増加が見られる。
軍では半ば特攻要員染みたクローン兵士として運用されている。グレイマン部隊の護衛から補給・整備作業。前線突撃要員。生物兵器の飼育まで様々なことをこなしている。
知能は高いが思考に関しては制限が課せられており、生きたドロイドのような存在であった。
しかしアポカリュプス後の人員不足において指揮できる人員の穴埋めを行うべく思考レベルの上昇を行った。
結果現在では自己の確率が認められており、個々で個性が発達するようになっている。
中には類まれなる才能を発揮し、前線部隊の総指揮官に任命されるものや、エースパイロットとして活躍する者もいる。
今作の主人公。作中でわかるように割と戦意に欠ける人物。
元は学者であったが、その柔軟で冷静な思考を買われて徴兵され今の地位に就いた。
代わりと言っては何だが搦め手が得意な司令官であり、本人の考えや望みとは別に数々の戦功をあげている。
特に現地勢力の取り込みが上手く、彼の戦果のみでも交渉のみで三つほどの星系と種族を帝国の傘下に取り込んでいる。
平和的な交渉一辺倒な人物でもなく、中には宇宙ケシの実(いわゆる麻薬の類)を使ったえげつない作戦や、心理戦を用いた離間・調略などでも成果を上げている。
また本人は否定しているが艦隊機動についても天性の才能があり、艦隊を手足の如く動かすことに秀でる。
このため同数の艦隊戦で彼の艦隊が負けたことは数える程度である。
弱点は本人が戦嫌いなことと面倒臭がりな点。そして個人戦闘力は余り高くない点である。
他の艦隊司令の戦闘力が100としたら彼は50程度である。
こんなんでも一応は才能と習練により銀の人へと成り上がった人物のため、一兵卒よりは強い。
なお同艦隊で最も強いのは傘下に加えた新種族のエース達である。
徴兵前の専攻は生物学と考古学。現在の趣味はフィールドワークと他種族文化の研究。
645: トゥ!ヘァ! :2019/10/17(木) 19:16:06 HOST:FLH1Agm229.kng.mesh.ad.jp
投下終了
前々から第三者視点で書いてみたいと思っていたので。
最終更新:2019年10月22日 10:31