33: 名無しさん :2019/10/15(火) 00:49:09 HOST:175017014222.ppp-oct.au-hikari.ne.jp
ネタの神様がおりてたけど、ここ最近の空気を読んで遠ざかってたけどそろそろいいかな?
投下しますね。たぶん単発になるかと


「困ったなぁ……」

1946年10月、ハワイ沖北西200キロメートル。海里に直せば107海里の洋上。
大日本帝国海軍に属する空母赤城はそんな場所に浮かんでいた。

「本当に……困ったなぁ……」
ハワイで発生した争乱に対し、救援を求める金切り声の無線が全域に放たれている。
アメリカ、ロサンゼルスに寄港予定の日本艦隊はその無線の声を聞きながら悩んでいた。
この救援要請。受けるべきか否か。

夢幻会にとって想定外だったのは――――WW2、つまり第2次世界大戦が起きなかった事だろう。
すべての始まりは、1902年、カリブの島国にある火山、スフリエール山で発生した破局的規模の大噴火が原因だ。
いわゆる破局噴火に比べると弱いが、それでも一つの国が滅ぶのに不思議では無い規模のその噴火はまるでそれが
始まりであったと後に言われるようになる。
毎年……と言えるレベルでは無いが、各国各地で火山噴火が発生。
最後の大噴火は1921年、史実に無いインドネシア、ケルート火山のこれまた破局的レベルの大噴火から始まる。
史実であれば2年前の1919年の噴火では無く2年遅れたその噴火は、ただでさえ世界各国が苦しむ『夏の無い年』と呼ばれる
冷夏の続く日々を新たに大量生産する事になった……。
夢幻会にとって幸いだったのは、かろうじて人類史は史実の大枠道理にある段階までは進んでくれた事だ。
細部は兎も角、第1次世界大戦の発生と終結は大枠として史実通り。しかし、所詮は大枠でしか無かったと
夢幻会が思い知るのにあまり時間はかからなかったのである。
もう、史実と称された歴史知識はほぼ役に立たない。
第2次世界大戦が起きなかった時点で、それは完全に証明されてしまった。

遣米艦隊がロサンゼルスに向かうのもある意味で日本の迷走の一つと言える。
満州問題に端を発する何度目かの日米交渉だ。
わざわざ艦隊で乗り込むのは前年度のホワイトフリートの意趣返しだ。もう何度目だよ相互砲艦外交。
だが、この航路上で金切り声を上げて騒ぎ立てる無線機。ハワイでどうやら大規模な火山噴火が起きたらしい。
もはやこの世界線の人々にとって、聞き飽きると同時に体がこわばるそんな報告。

34: 名無しさん :2019/10/15(火) 00:50:38 HOST:175017014222.ppp-oct.au-hikari.ne.jp

「火山島であるハワイで噴火が起きているのは日常では?」  「それだったら、ここまでSOSを発信しないだろう。おそらく本当に大規模なんだ」
実際大規模な争乱が発生していた。爆発的な噴火はそのまま混乱を呼び込み、暴動へとすぐさま変わってしまったのだ。
何故そうなっているのか? 結局の所WW2が起きなかった事で、世界は平和に見えて内情はどこもどろどろの状態になっただけに過ぎないのだ。
そりゃ戦争なんて無いに越したことは無い。が、それと平和な時代、平和な人々に不満がゼロなんて事は絶対に無い。
コンビニエンスなお店が24時間365日どこにでも開かれ、夜1人で歩いても普通で、餓死が滅多に無い異常事態と考えられ
選挙権もあれば、それを放り投げて遊びほうけても特にペナルティなく、言論の自由があっても人は不満を持つ。
やれ、あーだこーだと。実際当たってるときもあるのだが、そういうのが無い時代、空間の人々にすれば何を甘ったれた事を……
となるにも関わらずである。人はどんな極楽にも慣れる。そしてどんなことにもケチを付けることが出来る。
そんな生き物である。

国際情勢的には平和でも内心は平和では無いヒャッハーがしたくて溜らない奴らが火山噴火を機にヒャッハーをしちゃっている感じである。
さて、事の顛末を語ろう。
悩んだ吸えに日本の外交団は救援要請に応える事にした。
その結果、日本は金剛型4番艦、戦艦霧島を失い、空母赤城大破という結果を受けることになる。

その衝撃の時間から1日たった後

「つまり、何だ。クーデターという事か?」  「ハワイの争乱にはアメリカ反乱軍も途中から関わっていたようです」
帝国ホテルの一室に通常ではそろわないであろう面々がそろう。
陸海軍の重鎮に政治家、官僚に財閥の人間。一見すると共通点など無い。秘密の政治結社夢幻会の中枢に位置する人間たちである
という裏世界では知られてる共通項を除けば。
困った事に戦争が起こらなかったしわ寄せは夢幻会にも押し寄せていた。戦争に備えて国内権力を掌握するべく
暗躍してた夢幻会だが、結局戦争が起きなかった以上結社内外で拍子抜けしてしまい、あっという間に権力の座から
追い落とされてしまった。最も解散していないように夢幻会の持つ力は今でも大きい。が、それ以前に戦争に向けて
全権を無理に掌握してしまったことがたたってしまったというのが正しいだろう。
最も、おかげで日本が世界で最初の核兵器保有国になったのだが。

35: 名無しさん :2019/10/15(火) 00:51:21 HOST:175017014222.ppp-oct.au-hikari.ne.jp

「満州事変を関東軍の反乱として処理していらい、どうもケチが尽きまくってるな」  「……アレで日比谷公園が焼けましたね」
「515事件が形を超えて517事件になるとは想定外だったな。想像以上に大きくなってたし、アカまで蜂起した」
「鎮圧したら、日比谷公園が焼けましたね」
「よくよく考えたら、シベリア出兵縮小した時点で日比谷公園焼けてない?」
「シベリア出兵しなくても米騒動が起きたな。修めるのに苦労した」  「ああ、あのときも日比谷公園が焼けたな」
「考えて見ればあの頃からすでに歴史がおかしかった」  「冷夏はほんと大変でしたねぇ」
「光文事件でも日比谷公園が焼けましたねぇ」  「いい加減日比谷公園やけすぎじゃ無い?」
「最近では千代田区の住民及び職員は血走った目でラジオから厄介なニュースが入るたびに消火用ホースとバケツで武装しているそうだ」
「悪化してない?」
「最近では、年に1度の消防訓練祭と称して街全体がびしょ濡れになるぞ。俺は濡れ鼠になった」
「楽しんでね?」
なにやら怪しげなサバトが開かれてるらしい千代田区はさておき

「嶋田さん。念のために聞きますがもう一度大命降下を受けてもらえますか?」  「……俺は独裁者と貴族院に叩かれて挙げ句引き釣り下ろされたんだぞ」
今回ばかりは辻が何を言おうが、聞くつもりは無いと珍しく強気で突っ張る嶋田。
辻が珍しく弱った口調で嶋田に頼み込む風景は滅多に見れない光景であり、周りが珍しいモノを見たと目を丸くしている中
「――では、次はどうする? 下手すりゃ日米開戦だ。キリシマショックが世界各国に広がっている今の状態。下手にアメリカ相手に妥協したら
何が起きるか分からん。だが、アメリカ側としても簡単には引けないだろ。ただでさえ、満州問題で関係悪化だったんだから。全部反乱軍の
せいにするにしても、連邦議会を納得させなきゃいけないだろうしな」
近衛さんのその言葉に皆が一斉に黙り込む。
活動中の戦艦が航空機に沈められるPOWの汚名を被ることになった霧島。それは世界に衝撃を与えている真っ最中だ。
が、遠からず日本国民の罵詈雑言が響き渡るのはもう目に見えてる。たぶん日比谷公園が焼ける。
しかし、様々な対立があるアメリカ側も反乱軍のやったことと逃げる訳にもいけないだろう。日本に一方的に折れなきゃいけなくなる。
フランクリン・デラノ・ルーズベルトはニューディール政策の行き詰まりをごまかすためにアンチ旧世界、アンチアジアの御旗を振り上げ
イギリスと日本と言った大洋の帝国たちとの仲を急速に悪化させている。
最も彼個人にすべての責任を問うわけにはいかないだろう。イギリス側も日本側もそれぞれ色々やりたい放題やっている事は自覚している。

例えば、日本では白鳥とその一派が大暴れだ。史実で暴れたが松岡というレジェンドの影に隠れ史実戦後、その名前が知られることが少なくなった
暴君系外務官僚白鳥とその白鳥を預言者が如く崇めたてる一部革新派官僚たち。
何故転生者にならなかった? と夢幻会の主要幹部が逆に不思議を感じる彼の人物がここでも大暴れだ。満州事変を反乱軍のやったことと
処理し、懲罰連隊という組織をわざわざ新編し、クソだが使える困った面々を封印したハズなのに満州問題と称する日米の課題になってるレベルである。
と言うか、いい加減日米が共同出資で満鉄を運用し、満州を自治区という形で中華民国から事実上分離すると言う形で決着付きそうなのに
何年細かい条件で折り合いが付かず延々と砲艦外交しあっているのかと両国民がフラストレーションをためるほど。
と言うか、最近日米共同出資から日米英中ソ共同出資とか言う訳の分からない話になるのはいったいどういうことか。

「も、もうしわけ、ご、ございませんが! 近衛さま!」
とそこに貸し切りにしている部屋にホテルのボーイが入ってくる。夢幻会の手が加えられ、このボーイだけが今この状態の部屋に入ってこれるホテルの人間だ。
そんな人間が差し出すのは暗号化された電報。どうやら時同じくして
陸軍の伝令まで(夢幻会の手が加わってる)慌てた様子で入ってくる。
内容はきわめて単純。

『ポーランド、ドイツに侵攻』。
アメリカ、原爆実験成功を宣言』。
天のいたずらか、その2つのニュースは奇しくも殆ど同じ時間に……。

36: 名無しさん :2019/10/15(火) 00:53:21 HOST:175017014222.ppp-oct.au-hikari.ne.jp
以上です。ネタのコンセプトとしては

「2度の『世界大戦』とか言っといて、惑星の半分も焼いてないじゃん。もっと村を焼こうぜ」
「せっかくだからにゅーでくりあなパイ投げ合戦WW2とかやっちゃいなよ」

的な声に導かれた結果です。最もまだ戦争になってないけど

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最終更新:2019年10月22日 14:57