383: 弥次郎 :2019/10/26(土) 23:00:56 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
憂鬱SRW IF GATE 自衛隊(ry編 「白鳥は飛び立つ/見えぬところでバタ足」
特地における連合と日本国の交流、ひいては軍事的なレクチャーは、当然のことながら航空自衛隊も巻き込まれていた。
もとより特地にはF-4ファントム(爺さん)を始めとした航空戦力が少ないながらも進出しており、偵察機による地形の把握、輸送機による人員及び物資輸送など(建前的というか憲法的には違うのだが)一国の有する空軍としての任務をこなしていたと言える。
ではここでひとつ質問というか、確認である。空軍、ひいては航空自衛隊は何処で活動するだろうか?
これについては初歩的すぎるだろう。基本的に航空機を運用し、あるいは国によっては防空を、戦闘機にせよミサイルなどによるものにせよ、陸海軍だけでは担えない「空」という領域を担当するのが空軍というものだ。かつては水上機母艦だとか陸上戦力だとか、兵科は愚か所属する軍を間違えたかのような装備を有していた軍がヨーロッパのどこかにいたりしたがそれは割愛しよう。チクショーメ(幻聴)。
どこかの世界最大国家が陸海空軍をひとまとめにしたかのような軍を有しているのも、それに倣うとしよう。
ともかく、航空自衛隊は、恐らくではあるが、その前身である大日本帝国陸軍及び海軍航空隊にさかのぼっても初めての戦力を有することになった。
即ち、陸上機動兵器であるMT「シミター」であった。
何故に空軍が陸上戦力を?となるのも当然であるが、これもまた遠い将来、しかし確実に訪れる未来を見越してのものだ。
二足歩行機動兵器たるMT。それは、大陸側世界ではごくありふれたものである。MAと類似する兵器であり、平成世界では信じがたい安価で取引され、大量に生産され、主にAIによって大量に運用され、戦場において遠慮なく消費される消耗品として消えていくものである。
民生品は免許さえあればバイトの学生でさえ扱い、重機の役割を果たすこともあるという幅の広い応用がある。
だがそんな事情は平成世界に通用などしないのである。
ロボット。それはまだ銀幕やテレビの中の世界のお話であり、あるいは工学を学ぶ学生やそういった分野で働く人間が、ハンドメイドの一品物として制作しているか、あるいは人が難しい作業のために作られたものであったりと酷く限定的である。
この平成世界においても某工業の手による「市販される人がのれるロボット」は存在していたのだが、まだまだであった。
ではどうやってロボットに慣れていくのか?実際にやるしかないだろうということ。そういうことになったのである。
斯くして、航空自衛隊特地派遣群に追加で属することになった小鳥遊雄大二等少尉は、同僚たちと共にパイロット候補としてコクピットに納まることになった。
384: 弥次郎 :2019/10/26(土) 23:01:30 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
揺れる。揺れる。揺れる。たまに跳ねて、ドシンと衝撃が来る。
操縦系、コクピット周りはアニメの様な二本の操縦桿と見慣れた航空機のそれから見ればかなりシンプルな計器類のモニターが一つ。
シートの座り心地はいつもよりかなりよい。そして残りの空間の多くが外部カメラと連動するモニターで占拠されているとのこと。
その気になれば真後ろさえ振り返ってみることができるという視界の自由度の高さだ。
「無茶苦茶だろこれ……」
まるで、コクピットというゆりかごの中に乗せられて、映像という水面に浮かべられたかのような、そんな状況。
パイロットを本来発生する乗り手を殺しかねないほどの振動から守るための機能が十二分に働いているとのことで、航空機の機動に伴うGなどと比較にならない心地良さに包まれ、映像の海を漂う。少し誌的な表現になったが、実際にそうだから困る。
そしてその映像の海は、雄大が被っているHUDが雄大の視線に連動して適切な情報を近距離で映像と被せるようにして情報を補完している。
正直なところ、情報の量に少し目眩がする。HUDによる拡張された現実(オーグメントリアリティー)と、外部カメラの情報を元に、パイロットに見やすいように合成された仮想の現実空間(ヴァーチャルリアリティ)による二重奏は、慣れていない人間にはなれないものだった。
これがまだ地上だからいい。いずれは空を飛ぶバリエーションに訓練で乗り換えると教えられているのだが、そうなった時が怖い。
平面空間ではなくて立体空間の情報が、空中という環境の持つ情報量が、パイロットへと襲い来るのである。
(でも、技術で何とかしちまうんだろうなぁ…)
世代格差。雄大に限らぬことではあるが、自衛隊及びアメリカ軍はまさにそれを味わっていた。
圧倒的なまでに開いている技術的な蓄積とノウハウとしての蓄積の差。大陸世界が平然と人型兵器を運用しているように見えるが、その実としては膨大な技術的な進歩がその間には積み重ねられていた。まして、大陸世界は戦乱が続いていた。
戦乱期が続くことで、潤沢な資金や人材などのリソースが振り分けられたことでその進歩速度は累乗的に伸びに伸びた。
(俺達がこうして平然と動かせるのも、それだけ磨き抜かれたってことだしな)
雄大のMTへの総搭乗時間は現段階ではまだ40時間にも至らない。だが、多少の戸惑いなどがありはするものの、戦闘行動を除けば概ね自動車並みの感覚で動かせるようになってきている。座学もあったし、教官による指導もあった。
だが、一人でここまで動かせるようになったというのはかなりの速さだ。兵器の扱いの難しさは理解しているつもりだが、それでも、異常。
背中に少し冷たいものが走る。こんな簡単に兵器のパイロットを仕立てあげてしまう兵器(モノ)が著しく発展するとは、一体どれほどの戦いを経て、その為の研鑽が積み重ねられていったのだろうかと。どれほどの激戦で、どれだけの命が失われたのかと。
「……」
そんなことを考えながらも、雄大は操縦を続ける。機体を走らせながらもターゲットバルーンにチェーンガンを放っていく。
25mmという航空機に一般的なそれよりも大口径な機銃は、地面を容赦なく耕しながらもバルーンを破壊していく。
未来、SFな兵器を操りながらも、一自衛官として仕事に励みつつあったのであった。
385: 弥次郎 :2019/10/26(土) 23:02:13 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
「次は、と……ああ、自衛隊及び米軍への教導についてですね。これは現在のところ企業連の受け持ちで順調に進行中です」
「? PMCに投げないで企業連の一括受注ですか?」
「ええ。大洋連合を介しての企業連との直接契約です。自衛隊はそうでもありませんが、米軍はこの手の民間委託になれていますからね。
先方も……米軍も個別にPMCと契約を交わすよりも手間がかからずに楽にできると判断したそうです」
「特地関連の依頼は奪い合いになって混乱しますから、ここら辺は大洋連合の事情も合わさっていますね。
ただでさえ依頼料の受け取りが現物や資料などの提供といった形で行われているのですから、仲介料や手数料が大きくかかるのは大洋連合的にもNGですし」
「それPMC側は満足するんですか?」
「特地での日米の仮想敵として大洋連合が直接雇用を行っていますから、文句はないようです」
「まあ、今回みたいな事案は大洋連合が管理するものだからな。売り込みは良いが、こっちには断る権利もある」
「現物での依頼の受注…平成世界の資料とかもろもろをもらっているのって、なかなか直接的な換金が難しいですからねぇ…」
「むしろ大洋連合の様な政府を介さないとPMCにとってもうま味が少ないだろう。現物を換金する伝手が無いところが受注できないのは痛い」
「ですよねー……技術格差とか色々ありますし、企業としても売り込みには慎重になっていますから。
うちの商品を本当は売りたいですけど、そうそううまくも行きませんし、技術的な差から兵器の平均相場が破壊されちゃったら元も子もないです。
かといって、ご奉仕納品を強いられたら企業の帳簿が真っ赤になっちゃいますし、私たち傭兵も干からびちゃいます」
「……意外と桜子先輩って経営にうるさいんですね」
「ミカ君、私だって簿記とか経理とか自分でできますし、何なら個人で傭兵営業できるんですよー?」
「前世も含みでそこら辺は僕はムラクモに投げていたんで…」
「桜子君は有澤の後継者という意味合いがあったから、ある意味当然だな。あの社長なら甘やかしはしないだろうし」
「……でも甘いところもあるんですけどねー」
「桜子君?」
「あ、いえ、なんでもないですー!」
386: 弥次郎 :2019/10/26(土) 23:02:47 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
《用語》
主力航空機置換計画「オデット・プラン」
GATE世界(平成世界)の日米両軍における可変戦闘機導入についての大洋連合が立案した計画。
外宇宙からの外敵即ち侵略的宇宙人に備え、宇宙及び大気圏内航空機分野における強化を図るのは陸海軍同様に急務であり、その回答として大洋連合が示したのが、これまでマクロス世界において使われ続けてきたVFを代表とする可変戦闘機であった。
VF、TMS、TMA、MTなど融合惑星には多数の可変戦闘機が存在したが、やはり頭一つ抜けているのがVFあるいはSVと言えた。
とはいえ、いきなり可変機を渡したところで導入が上手くいくかといえばそうではないことは明白で、段階を踏んでの導入が企業連の間で決められた。
具体的にはシミター→スーパーシミター→VF-0という可変機の段階を踏んで教育を行う予定となっている。
各PMCからも平成世界の日米空軍に対する教導と新型導入についての仕事について立候補が多数あったのであるが、競合企業が多すぎるという問題点から大洋連合は教導任務については企業連に一括で受注してもらう形をとった。
《メカニック紹介》
シミター
《ステータス》
サイズ:M 移動力:6 地上:A 空:C 海:C 宇宙:C
《装備》
銃装備
《武装》
25mmチェーンガン 属性:P C 射程:1~3
背部ミサイルポッド 属性:- 射程:2~6
《概要》
企業連が販売する汎用型MTの一種。
人型に近い下半身にややのっぺりとした胴体ユニットを取り付けたシンプルな形状を持つ。
MTの開発系譜的に見るとビショップやシュトルヒなどと近い系譜に属している。ただしこちらは前述のとおり汎用性や拡張性に重きを置いているのが特徴。
機体各所のハードポイントや各種ユニットパーツの接続部などが多数設けられており、前衛機から後方支援機まで幅広くカスタマイズが可能となっている。
オプションや換装機能なども鑑みたランニングコストや導入コストはMTの中では高い部類に該当しているのだが、
ある程度の規模を持つPMCなどでは無人型がガードメカの一員として大々的に導入されているのが見受けられている。
スーパーシミター
《ステータス》
サイズ:M 移動力:8(歩行形態は6) 地上:A 空:S 海:C 宇宙:A
《装備》
銃装備 変形機構
《武装》
25mmチェーンガン 属性:P C 射程:1~3
プラズマキャノン 属性:P B 射程:2~6
マイクロミサイルポッド 属性: 射程:1~6
《概要》
シミターにフライトユニットと大型センシングユニットを装備した可変飛行型MT。
飛行形態とMT形態(地上歩行形態)を使い分けることが可能な変形機構を有している。ただし、TMSやVFなどとは異なり、完全な変形というよりは手足を折りたたんで格納するだけという簡易な変形にとどまり、機構も単純なものとなっている。
それでもガヴォークに近い形態を利用した空中格闘戦と戦闘機に近い形状による飛行能力の両方を兼ね備えている。
固定武装も25mmチェーンガンだけというある意味潔い状態から、翼部のミサイル、プラズマキャノンなどが追加された他、自衛隊及び米軍の教練向けに製造されたモデルではASやKFと共有の武装を用いることもできるように改造がされている。
387: 弥次郎 :2019/10/26(土) 23:03:39 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
ヘビーシミター
《ステータス》
サイズ:M 移動力:7 地上:A 空:C 海:C 宇宙:C
《装備》
銃装備
《武装》
25mmチェーンガン 属性:P C 射程:1~3
ガトリングガン 属性:P C 射程:1~4
腕部グレネードランチャー 属性:- 射程:2~5
多連装ミサイルポッド 属性:- 射程:1~6
レールカノン 属性:- 射程:2~7
《概要》
シミターにホバーユニットと追加装甲、さらに武装をつけ足した重武装型。
腕部パーツと頭部にセンサーユニットを追加したことでACに近い形状を獲得したMTである。
武装は左腕のガトリングガンと右腕のレールカノン、さらに多連装化されたミサイルポッド、腕部内蔵のグレネードランチャーと多岐にわたる。
装甲面でも強化がされているので被弾にも強く、それでいてホバーユニットにより機動性もある程度確保されている。
唯一の弱点は実弾系が中心であるために弾切れに弱いことだろうか。とはいえ、光学兵器を詰んでいない分ジェネレーターには余裕があり、そのおかげで機動面にリソースを割くことが出来ているともいえる。
東雲Ⅱ
《ステータス》
サイズ:M 移動力:6 地上:S 空:C 海:C 宇宙:C
《装備》
銃装備 エネルギー転換装甲
《武装》
ライフル 属性:P C 射程:1~4
ロングエネルギーカノン砲 属性:B 射程:2~6
ナックルダスター 属性:P C 射程:1~2
《概要》
重装甲・高火力を前面に押し出した防衛向けのMT。ガードメカの一種として配備されており、主に閉所戦闘を得意としている。
初代東雲(便宜上東雲Ⅰ)から各企業やPMCなどで使われていたが、Ⅱでは各種技術の発展・進歩、さらに技術吸収を経て、大幅なバージョンアップを行ったのが本機となる。まず主兵装であるロングカノン砲はエネルギーカノン砲に換装され、格闘兵装であるナックルダスターはピンポイントバリアの応用により貫通力と破壊力が向上。
さらに装甲自体がエネルギー転換装甲へと置き換えられており、機体構造の刷新とあわせて防御力の強化に成功している。
また、鈍重であった東雲Ⅰから機動性の改善が図られており、他の兵器、MTに後れを取らないようにバージョンアップがなされた。
総合性能は向上したが、やはりというか少しばかり単価が上昇したのが唯一の泣き所であろうか。
388: 弥次郎 :2019/10/26(土) 23:04:26 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
以上、wiki転載はご自由に。
久しぶりに書いてみました。
ここのところ、忙しかったですし、精神的に余裕がない日々でした…(白目
文章を読んだり、あるいは物語としており上げるのって自分を調律しているような感じがしますねぇ。
次は大陸SEEDネタでも書こうか、あるいは憂鬱SRWの別世界の様子でも書こうか…迷いますね。
最終更新:2023年10月10日 23:10