394: 第三帝国 :2019/12/10(火) 22:26:43 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net
銀河連合日本×神崎島ネタSS――——――「雑談、戦略機動演習」
船団の航海は戦艦『大和』を旗艦とする艦隊と合流。
昼間はマスメディア、さらに招待客として招いた日本郵船などの海運関係者への対応。
などなど広報的な業務がアレコレあったが、今の所赤軍役である艦隊から接触。
つまり発見はされておらず航海は単調であり、順調そのものであった。
観戦武官として駆逐艦「Jervis」に乗り込んだ香坂裕三等海佐にとっては、
船団護衛のノウハウを直に得るという得難い経験と艦娘たちとコネクションを築けたのは大満足であった。
もっとも「冬の大西洋でも好んで露天艦橋に立つ」という特殊な性癖を持つ英国人の船に乗り込んだせいで、
常にずぶ濡れ、濡れ雑巾な状態になったのは閉口せざるを得えず物のためしに乗船したのを後悔していた。
もっとも、今飲んでいる塩入りココアは口にしても、
そうした不安やらなにやらな心情は伊達と酔狂の精神で押しとどめて口にしない。
「さてさて、ここまで無事二ホンの戦車を運べたけど」
香坂以上に忙しい艦娘「Jervis」が疲れを感じさせぬ態度で発言する。
こちらも同じく手には塩入りココアのマグカップを手にしている。
「―――――戦車を持て、戦車を、戦車を持ってきた者には王国をやるぞ」
「陛下、ご退却ください。
馬は私めが持って参ります―――――っと言ってもリア王のように追い詰められてませんが現状」
シェイクスピアのとある一節を改変したネタに対して香坂は即座に切り返した。
「アハハハハ、いい突っ込みね!!
原作をすぐに口へできるなんてやるじゃないの!
士官たる者、軍人である前に紳士たれ―――――。
ネイビーの精神は未だ健在なんて嬉しいわ、英日同盟に乾杯!」」
「お褒めいただき、有り難くあります。
まことにうるわしき日英同盟に幸あらんことを。
先の大戦で武勲輝く貴女の艦に乗船して共に任務にあたるなど、一言では表現しきれない複雑な情勢ですが」
香坂はJervisの称賛に対してわざとらしく恭しい態度で答えた。
「まあ、確かに貴方たちから見ればそうよねぇ。
自分で言うのもアレだけど、カートゥンとかゲームとかマンガのキャラクターが現実に現れたから」
かなり複雑な表情を浮かべるJervis。
なお艦娘以外にも様々な元となるキャラクター達が普通に三次元化している事実に、
サブカルチャーの関係者は当初混乱し、著作権やら何やらで頭を悩ましたが今は解決。
今では鎮守府とサブカルチャーの間で積極的にコラボイベントを組むなど友好的な関係に至っている。
鎮守府は意識の高い教養人たち。
別名、感情の瞬間湯沸かし器型の面々から言われている軍国主義云々を和らげるため。
サブカルチャーの関係者側は作品の宣伝と販売促進につながり、双方Win-Winで損のない関係となっている。
「でもだからと言って神の奇跡だとか、
艦娘と宇宙人を使徒として崇められるのはちょっと、ね」
395: 第三帝国 :2019/12/10(火) 22:27:24 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net
ヤルバーンの来訪は既存の宗教関係者に衝撃を与えたが神崎島の出現はそれを上回る。
何せ一夜にして島が出現した上に創作上キャラクターであるはずの艦娘に妖精といった人間とは違う種族の存在。
駄目押しにウィンストン・チャーチル氏を筆頭に過去の人間が現世に蘇るという死者復活。
などなど宗教関係者から見れば信じる神の奇跡としか表現できないことをやり遂げており、
既にバチカンからは艦娘と島に存在するキリスト教関係者の訪欧を強く希望しおり調整が進んでいる。
「さらに言えば宇宙人までいますからね、
こんな情景が現実になるなんて子供のころ、
いえ訂正します、つい数か月前まで思いもしなかったです・・・しかもあのタコ型宇宙人までいるなんて」
「そうよねぇ・・・」
小説「宇宙戦争」に出て来そうな例のタコ型宇宙人。
ザムル国のザムル人ことデヌ閣下の姿を2人して思い浮かべる。
なお、閣下のお陰で小説は山のように売れ、火星人ネタで世の中を賑わせている。
「何にせよ。
すべてこの世はひとつの舞台。
すべての男や女は役者にすぎない―――――と言ったところでしょう」
香坂から再度のシェイクスピアのネタ振り。
「なかなかの―――――」
「卓見ね」と英文学への知識の深さも含めてJervisが称賛の言葉を発する直前。
ふと、動きを止めて視線を宙にさ迷わせた。
「何か―――――?」
どうしたのか聞こうとした香坂であったが、
『旗艦より船団全船に警告。
赤軍潜水艦、及び偵察機を確認せり無線封鎖解除、警戒を厳とせよ』
艦内スピーカーより流れた音声に同じく動きを止めた。
――――――これが赤軍側の潜水艦「伊14」を筆頭に群狼と化した十隻あまりの潜水艦との熾烈な戦いの幕開けであった。
さらにそれだけで終わらずその後は空母機動部隊同士での殴り合い、
加えて戦艦を含む艦隊による夜戦など大規模な戦闘が立て続けに起こることが確定していた。
もっとも神崎島鎮守府にとっては少し前まで過ごした「日常」であり「イベント」にしかすぎなかった。
おわり
397: 第三帝国 :2019/12/10(火) 22:43:01 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net
以上です。
ところでAFPの『香港民主派の黄之鋒氏、「ドイツは中国軍への支援中止を」』
という記事にですね、
ドイツ軍は2020年に人民解放軍の兵士11人に、兵たんおよび指揮官養成訓練を行う計画だという。
最終更新:2019年12月12日 10:14