438: 加賀 :2020/01/05(日) 21:59:19 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
樺太戦車戦 四式中戦車達の鎮魂
1945年 8月8日。沖縄で日本海軍の連合艦隊が自分達の命と引き換えに沖縄を守り通した後、日米の停戦が成立した。そして北では日本陸海軍最後の戦いとも言える戦争が勃発するのである。
「報告!ソ連軍が満州国境を突破!」
「牡丹江市街がソ連軍の空襲を受けています!」
「航空部隊は全部出せ!一方面軍と三方面軍は可能な限りの邦人保護とその護衛のため死守せよ!!」
新京に構えていた関東軍総司令部では関東軍総司令官の山田乙三大将はその対処に追われていた。
「邦人の避難は?」
「国境付近の開拓団等の邦人は日米停戦が成立した時点で強制的に此処新京に避難させています。また、各地にいる邦人も順次旅順に避難中であり旅順にて手配した輸送船で順次日本へ向かう予定です」
山田の問いに秦総参謀長が報告し山田は満足そうに頷いた。
「宜しい。邦人の虐殺は絶対にさせぬように再度徹底しろ。諸君」
山田は立ち上がり参謀達を見渡す。
「先頃、海軍は沖縄の民を守るため米軍を相手に宜野湾で消滅した……ならば我が関東軍は満州の邦人を守るためソ連軍を相手に消滅するぞ!!」
『オオォォォ!!』
参謀達は雄叫びをあげたのである。そして樺太でもソ連軍は侵攻を開始していた。
「何、ソ連軍が侵攻? 宜しい、ならば即座に出撃して敵の出鼻を挫くぞ!!」
そう発するのは樺太に配備された第334独立混成戦車旅団の視察に訪れていた杉山だった。
「お待ちください、閣下は退避してください!!」
「くどいぞ島田!! 儂は逃げも隠れもせん!!」
杉山は戦車帽を被ると近くにいた試製四式中戦車『チル』(史実チト)に乗り込んだ。この他にも制式採用されたばかりの四式中戦車『チト』12両、試製三式中戦車改『チヌ改』12両、九七式中戦車『チハ』28両、同改『チハ改』36両が参戦していた。
「ソ連戦車を叩き潰す!! 戦車、前へ!!」
斯くして混成旅団は駐屯する敷香町から出撃した。同時刻、国境では歩兵第125連隊等が奮戦していた。
「クソッタレ!! チハはまだ来ないのかよ!!」
「今はロタ改で凌ぐしかないわ!!」
「それでもスターリン戦車は弾くぞ!!」
「愚痴る暇があるなら撃ちまくれ!!」
ロタ改(史実の試製九糎噴進砲)が早期配備していた事もあり侵攻してきたT-34/85は側面から撃破する事は出来たスターリン戦車が出てきたのは予想外であった。
「何!? スターリン戦車もいるだと!!」
「は、はい」
「(むぅ……確か史実ではいなかった筈だが……)まぁ良い、楽しくなってきたぞ」
というのも侵攻する前、ソ連軍司令部ではチハの性能を恐れていたからであり油断すれば壊滅するやもしれんと睨んでいた。そのためソ連軍第16軍は戦車の増援を要請し極東ソ連軍総司令官アレクサンドル・ヴァシレフスキー元帥も承認し第一極東方面軍に配備されていたJS-3戦車一個中隊を主軸に史実の部隊+三個独立戦車大隊と二個榴弾砲連隊を第16軍に配備させたのである。
それは兎も角、杉山はそう思いながらもJS-2戦車と戦える事に期待していた。そして通報を受けて17分後に混成旅団は半田集落に到着した。この半田集落には一個大隊が布陣しており侵攻するソ連軍に奮戦していた。
「戦車だ!? チハが来たぞ!!」
「神様仏様チハ様だ!!」
混成旅団の到着に大隊の士気は最高潮となりアンパンでT-60を仕留める者やT-34/85のカタピラを吹き飛ばす者もいた。
「ノモンハンから6年……我々陸軍は6年待ったのだ」
ふと杉山はポツリと呟く。
「あの時から……待ちに待った時が来た……ノモンハンで散った戦車兵の英霊のためにも!! 全車に通信!!」
「はっ!!」
「再び戦うために!! 戦車兵のために!! ソ連軍戦車よ!! 日本軍戦車は帰ってきた!!」
そして混成旅団は戦闘を開始するのである。
439: 加賀 :2020/01/05(日) 22:02:04 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
後書きという名の反省会
問 0083?
答 執筆中に親父が0083を見てるのが悪い(何
問 試製『チル』?
答 史実チトを試製にして制式採用されたのが和製ヤクパンという設定。混成なため試製のも持ってきた設定(試製のは二両のみ生産)
最終更新:2020年01月06日 09:44