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銀河連合日本×神崎島 ネタ 民俗学者が見た神崎島その二
雑誌『民間傅承』 現代の異界、神崎島 ヨミノウミ その二
神崎島で語られ実際に存在する死の異界夜海、その存在は畏れと異界の存在を我々に思い出させた。
異界は天国や地獄、浄土だけでなく、日本中の伝承、都市伝説を紐解けば海の彼方や海の中だけでなく、地中にも山の中にも学校の怪談にすら存在する。
そしてそこには昔話や怪談で幼い頃より慣れ親しんだ存在が住み着いている。
我々が忘れ去っただけでありおそらくは現在でもそれらは私達のすぐそばで未だに口を開けている、それを日本人達は思い出したのだ。
畏れと異界は我々日本人の意識を変えた、いや元に戻ったと言うべきであろう。
かつてのように死後の安寧や人へ再び生まれることを神仏に願う為に寺社を訪れる者が増えた一方で別の動きも起き始めていた。
大戦中の国家神道による思想統制、戦後直後の混乱、戦後教育による戦前文化への忌避、科学発展による伝統への軽視、
そして経済発展に伴う祭祀の観光資源化、それらによりそれまで各地に根付いていた民間信仰は形骸化し祭祀は物質的なものとなり形のみ残るかあるいは消滅、
異界に住まう者達も我々の直ぐ側、御伽噺の中から去って行った。
しかし神崎島の現世への帰還により大きな変化が訪れた。
現世より去った筈の日本人達が妖精となり常世より帰還、日本各地の故郷へと戻った彼らにより各地域独自の土着信仰、祭祀が復活、あるいはあるべき姿へと戻っていった。
ある村では岐の神を祀る社が再建され、ある集落では集落を守る道祖神を祀る祭りが再び行われるようになり、
またある神社では観光の為に日曜日に行われていた祭りが本来の月日に催されるようになった。
実際に筆者の曾祖母の暮らす地域で巨人の名を持つゲーム会社に務める地元の若い人間が中心となり集落と異界とされてきた外部の境にある諏訪系の流れを汲む村社を復興、
祭祀も復活させることとなりかつて村社の巫女を務めで神崎島で妖精となっていた曾祖母の姉が招かれることとなった。
神の内、数え年七歳未満の少女を巫女として行われる村社の祭祀は戦災により記録が消失、関係者も戦火により亡くなったためにその多くが失伝してしまったからだ。
曾祖母の姉は現在は神崎島の洩岩(もりいわ)高地に鎮座する同じ諏訪系の洩岩神社の社の一つにて巫の一人を務めている。
戦時中に米軍機の攻撃で亡くなり年齢が神の内であったことから見た目が幼く、集落に祭祀を務められる年齢の少女がいないため村社で巫女を務める少女の代わりをして頂いた。
妖精達だけでなく、地元の人間も参加し行われるようになった祭祀、それは金の為、人を呼ぶ為のものから姿を変えた。
荒ぶるものを鎮める為、異界より現れる悪神を封じる為、異界より集落を守る神を祀る為、人が畏れるものと人の為の神遊びへとその姿を取り戻した。
そこでは異界に住む者達を模した仮面をつけた現世の人間たちによる神楽が行われる。
異界と現世を繋ぎ行われる神遊び、それは異界とそこに住むものを愛しながらも畏れ敬うこの国の人々に根付く思想を表現しているのかもしれない。
334: 635 :2020/02/10(月) 16:54:42 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
かつての姿を取り戻した祭祀、そしてそこには妖精と共に艦娘達が姿を現すこともあった。
火山を鎮める霧島六所権現、神崎島の両熊野から勧請を受けた熊野三山そして各艦の艦内神社を始めとして各地の社にて姿を見受けられることも増えた。
これらは民心慰撫の側面が大きいとマスコミは謳うが実際の所は民が艦娘達を神の御霊代、巫女と見なしているのだろう。
戦艦霧島は霧島権現、あるいは龍神、巡洋艦熊野は熊野権現、如来か菩薩であろうか。
だとすれば妖精たちは我々の祖神或いは氏神の御霊代だろう。
そんな御霊代とも見做される艦娘と妖精は大きな寺社霊地にのみ姿を現すわけではない。
消滅した集落跡や僻地の人も来ないような場所にある神社や見放された小さな社に現れる場合も散見される。
管理する者の血筋が途絶えたたために、あるいは大災害により、放棄され荒廃した神社にもその姿はあり、彼女達は進んでそうした社を復興しているようだ。
筆者の主観であるが艦娘が出現する神社・霊地、彼女達が現れる場は大抵の場合、異界との境、黄泉の門と思しきものを封じるといった伝承が多いように感じる。
巌の命を現世に流れ出さぬように、悪神が蛭子神の眠りを妨げぬようにと現世との境を断った神崎島。
その島を夜海より守り続けて来た艦娘達、彼女達はおそらくは常世と夜海の境界を守る巫女でもある存在なのだろう。
日本各地には黄泉との境界の伝承は数多く存在する。
神崎島の夜海を例に取ればそこにある社と人々は人知れずその境界を守り続けて来たのではないかと考えてしまう。
しかしそうした境界を守る人々を失ってしまった社は多く、黄泉の境界は放置されたままだ。
そこに現れる艦娘達はそうした人々に代わり巫女として黄泉より現世を守り続けているのではないだろうか。
335: 635 :2020/02/10(月) 17:01:16 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。
柏木「俺たちは思い違いをしていたのかもしれない…、艦娘は月守の巫女や濡鴉ノ巫女と同じ黄泉から現世を守る存在だったんだよ!!」
安保メンバー「「「な…なんだって―――!?」」」
最終更新:2020年02月19日 21:44