261: 加賀 :2020/02/23(日) 08:55:24 HOST:om126208230094.22.openmobile.ne.jp
「……では言葉通りの全滅……というわけだな?」
「ダ、ダー同志」

 ソ連の首都モスクワにあるクレムリンでは書記長でグルジアの髭親父ことヨシフ・スターリンは腹心の一人であるゲオルギー・マレンコフから報告を受けていた。
 スターリンはパイプタバコに火を入れようとしたが、自身の握力によってパイプタバコを破壊した。その様子にマレンコフは大量の冷や汗をかいた。
 明らかにスターリンは怒っていたのだ。

「……ウラジオストクの艦隊は早期に再建させる必要がある」
「……ダー」
「捕虜にしたドイツ人やヤーパン人も使って再建させるのだ。海軍にはそう伝えろ」
「ダー同志!!」

 マレンコフが部屋を退出するとスターリンは新しくパイプタバコに火を入れて煙を身体に入れる。

(……此処まではよくも虚仮にしてくれたなヤーパンよ……)

 第二次日本海海戦(海外では第二次ツシマ沖海戦と呼称されていた)の結果は既に全世界で報道されていた。

『ツシマ沖の奇跡』
『ジャパン海軍はアカの艦隊を海の底に叩きつけた』
『ジャパン海軍の復活』

 アメリカやイギリス等の報道各社は面白おかしく報道していた。なお、『長門』以下の第二艦隊は『信濃』『瑞鶴』らの第一艦隊の航空援護の下でウラジオストクを艦砲射撃をしていた。

「米海軍の旗艦『ミッドウェイ』に打電!! 『トラ・トラ・トラ』だ!!」

 大破をしつつ満身創痍の『長門』だがそれでも尚堅牢だった。沖縄沖で今なお戦う『大和』達に負けてたまるかとばかりに三式弾等をウラジオストクの港湾施設に叩き込んでその機能を喪失させた。
 ちなみにウラジオストクとウラジオストク艦隊の再建が出来たのは合わせて8年の期間が必要だったのである。

「損傷艦艇は舞鶴に向かえ」
「分かりました。それで我々はどうしますか?」
「まだ対地支援が残っているだろう。徹底的に追い詰め殲滅させる」

 橋本はニヤリと笑う。艦砲射撃後、第二艦隊は燃料補給を済ませると再度対馬水道を抜けて国連艦隊と合流するのである。

「流石はハシモト。歴戦の猛者は理解している」

 報告を受けたフレッチャー大将は苦笑しつつも作業に取り掛かる。既に5年は太平洋艦隊司令長官をしているフレッチャーだが、後釜の候補はまだ育てきってはいないためまだ長官席に座っていたのだ。(後釜候補はソロモンを筆頭に多数戦死しているため)

「上空支援は絶やすな。我々は今、歴史の岐路にある」

 そう訓示するフレッチャーであった。斯くして国連軍は仁川に上陸して反撃を開始するのである。そしてスターリンもまた一つの決断を降すのであった。

「ヤーパンの頭に太陽を落とす。場所を選定しろ」
「し、しかし……」
「我々には10発以上の太陽を保持している。数発を落としても問題は無い」

 スターリンの決断は日本を混沌の渦に巻き込むが自身の余命を短くさせる要因にもなったのである。
 それはさておき仁川上陸作戦後、第二艦隊は呉に帰還していた。

「今度ぁ勝ったかな」
「誰がドリフをしろと……」

 ドックに入渠する『長門』を見つつボケる松田に橋本はツッコミを入れる。なお、隣のドックでは鹵獲した『シベリア』こと『プリンツ・オイゲン』が入渠していた。

「これから……どうなりますかな半島は?」
「分からん。既に史実とはかけ離れているからな」
「それもそうですね」
「だが今は……」
「今は……?」
「……勝った喜びを味わおうじゃないか」

 『長門』を見つつ橋本はニヤリと笑うのである。










「ところで水上機の予算でシーダートを購入しません?」
「おい馬鹿やめろ」

262: 加賀 :2020/02/23(日) 08:57:43 HOST:om126208230094.22.openmobile.ne.jp
てなわけで第二次日本海海戦の最終話を御送りしました。
スターリン、転んでもただで起き上がらないですはい。
とりあえず松田はシーダート購入に向けて工作するようです(何

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最終更新:2020年02月29日 16:29