708: 加賀 :2020/03/15(日) 12:23:59 HOST:softbank126140177031.bbtec.net
「しかし、昭和15年になってから史実でないのが起きましたね」
「伊号潜の防振ゴムにスノーケルはまぁ大丈夫だろ」
「ですが……まさか『日向』と『扶桑』が砲塔爆発事故を起こすとは……」
「口の悪い奴は『第二戦隊事件』と呼んでいるよ」
「でしょうね……ところで松田はどうしました?」
「奴なら『扶桑型と伊勢型を航空戦艦にしてくる!!』と踊ってから艦本に設計図片手に持って凸しているよ今頃……」
「暴走し過ぎじゃないですかね……」





 1940年1月、この月は16日に米内内閣が成立したり21日には房総沖での浅間丸事件が発生したりする中、一隻の伊号潜水艦が改装が完了して就役した。

「こいつは伊号潜を救うぞ……」

 再就役した伊号『8』潜水艦を見学に来た海軍兵学校長の新見中将が満足げに頷く。
 史実には無い伊『8』潜の改装であるが、艦首主排水孔増加、外殻タンクの油密、シュノーケルの搭載等であり極めつけは防振ゴムを取り付けており2ストローク機関であるディーゼルエンジンの防音防振対策を伊『8』を実験艦として行う事になったのだ。特にシュノーケルに関しては新見らの肝いりでドイツ海軍と共同で開発を行う程であった。(代償として酸素魚雷の譲渡や零式水偵の図面提供等)

「伊号潜の大量喪失などさせるものか……」

 前回を経験している新見にとって伊号潜の大量喪失は避けるべき必須科目である。実際、対潜演習で伊『8』を中々探知する事が出来ず護衛対象の『赤城』『陸奥』を容易く撃沈されてしまう。この騒動に軍令部やGF司令部も対潜対策に力を入れる事になり、ディーゼルエンジンを搭載する駆潜艇等から防振ゴムの改装が行われる事になる。
 そして同年3月、日本海軍に再び激震が走る。

「砲塔爆発事故だと!?」
「は、はい。豊後水道で対艦砲撃演習をしていた『扶桑』以下の艦隊が爆発事故を……」

 砲撃練度向上のため、GF司令部は砲撃演習を実施させる事を決定した。最初に選ばれたのは演習のために臨時編成された『扶桑』型と『伊勢』型の四隻である。更に護衛には水雷演習も兼ねて乙巡『五十鈴』『名取』等の駆逐艦隊も参戦していた。
 事故が起きたのは夜間砲撃演習中だった。まず最初に砲塔爆発を起こしたのは『日向』の五番砲塔だった。この五番砲塔、ここでも火管から突然電流が流れる特有の癖を抱えていた。後の調査報告でも主砲弾装填後、尾栓が完全に閉じないうちに火管から電流が流れて装薬に点火してしまい弾丸を前方へ飛ばす筈の圧力が砲塔内に逆流してしまったのである。
 『日向』艦長の原田大佐の咄嗟の判断で火薬庫に緊急注水した事で爆沈は免れた。相手側の『扶桑』『山城』も『日向』の砲塔爆発を視認して直ちに演習を中止した。両艦艦長らも慎重に砲弾を弾薬庫に運び込む事にしたが『扶桑』の四番砲塔から火災が発生したのである。

「畜生!? 直ちに消火に当たれ!! 火薬庫にも緊急注水だ!!」

 『扶桑』艦長の佐藤勉大佐は『日向』の事もあったので直ぐに消火活動と火薬庫への緊急注水を決定した。この緊急注水により『扶桑』も爆発は免れる事になり艦隊は0900までに呉に帰還したのである。
 後にこの事件は『第二戦隊事件』と呼ばれる事になり砲弾の管理等は徹底的に行われる事になる。

「しかしこの時期に二隻が離脱ですか……」
「起きた事は仕方あるまい。次にどう活かすかだ」

 いつもの料亭に集まった橋本達はそう話していた。

709: 加賀 :2020/03/15(日) 12:24:40 HOST:softbank126140177031.bbtec.net
「それで二隻はどのように……?」
「うむ。ついでだからと改装する方向に動いとる」
「では……航空戦艦に?」
「『伊勢』型は確定している。今頃は松田君が動いとるよ」
「だからいないんですね彼……」

 なお、松田は欧米出張に赴くまでは瑞雲の開発計画につきっきりだったりする。

「フハハハハハハ!! 瑞雲こそ最強!! 『日向』は瑞雲にて最強である!!」

 試作一号機の前で連日に渡って踊る松田が見られたらしいが闇に葬られている。それはさておき、損傷した『扶桑』『日向』は修理のついでに改装も決定されていた。即ち航空戦艦への改装である。といっても実際に決定されたのは史実通りの『伊勢』『日向』である。『扶桑』は損傷具合は比較的マシだったので砲塔(中間の三番・四番)と15.2サンチ単装砲を降ろして代わりに高角砲を搭載して防空を強化する事にしたのである。
 なお、『伊勢』『日向』についてはちょっとの特殊となっていた。というのも『日向』は砲塔爆発事故であるがこの爆発による爆風で機関に異常が来している事が判明した。(煙が機関室にまで届いていたとの報告もあり原因は現在でも不明)
 そのため機関の交換も決定された。近藤はこれを利用してロ号艦本式の高温高圧缶を二隻に搭載する事を出張した。

「ついでとばかりに『伊勢』型は各種のテスト兵器をしてもらいましょう」

 この時、海軍は二種類の試作対空電探(後の21号と22号)も完成していたので『伊勢』型で実験する事にしたのだ。更に秋月砲ならぬ長10サンチ高角砲も制式採用されたばかりだったのでこれは『扶桑』型も搭載する事になった。この改装工事は開戦直前の1941年10月まで続けられるのであった。

710: 加賀 :2020/03/15(日) 12:31:21 HOST:softbank126140177031.bbtec.net
  • 伊『8』改装完了。防振ゴム諸々搭載へ
  • 第二戦隊事件(フコウダワ……)
  • 松田、暗躍へ(瑞雲!瑞雲!瑞雲!)
  • 『扶桑』型改装(防空強化)
  • 『伊勢』型、航空戦艦(速度向上をまだ諦めてなかった奴は私です(自白))
  • 『伊勢』型、各種兵器のテストヘッド化へ(真田さん、テストは?そんな暇あるか!!)

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最終更新:2020年03月15日 18:40