13: 加賀 :2020/03/28(土) 15:26:04 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
「淵田機の電文を受信しました。『トラ・トラ・トラ』!!」
「……始まったか」
「瑞雲隊発艦準備完了!!」
「瑞雲隊は直ちに発艦!! ウェーク島を爆撃しろ!!」
「マレー半島の陸軍も上陸を開始しました!!」
「下駄は山下に預けているから心配は無用だ」
「……時間的にトラ連送を発信したのは『日向』の瑞雲なんですけど……」
『おい待てや松田!!』
1941年12月8日未明(ハワイ時間12月7日)、オアフ島北方沖まで進出した南雲中将の第一航空艦隊の各空母の飛行甲板にはオアフ島へ向かう第一次攻撃隊が勢揃いしていた。既に第一航空艦隊は12月2日に大本営から発信された『ニイタカヤマノボレ 一二◯八』を受信しており準備は整っていたのだ。
「来たか」
電文を受け取った山口はただそう呟いたのみだった。そして12月8日0130、各空母の飛行甲板に勢揃いした第一次攻撃隊(零戦45機 九九式艦爆54機 九七式艦攻90機)は次々と発艦を開始するのである。
「発動!!」
「帽振れェ!!」
攻撃隊は手すきの乗員達からの惜別の見送りである帽振れに見送られながら発艦していくのである。更に0245には第二次攻撃隊(零戦36機 九九式艦爆81機 艦攻54機)も発艦してオアフ島へ向かうのであった。そして0749、真珠湾上空に到達した第一次攻撃隊は上空に敵戦闘機が乱舞していない事に奇襲成功を確信し淵田機は『ト連送』を発信、更には0752には淵田機からトラ連送である『トラ・トラ・トラ』が発信されたのである。
先に攻撃を開始したのは高橋赫一少佐率いる九九式艦爆の急降下爆撃隊である。彼等はフォード島のホイラー飛行場に250キロ爆弾を投下、これが初弾となったのだ。
そして村田重治少佐率いる40機の艦攻隊は高度5メートルという超低空飛行で戦艦通りと呼ばれた戦艦泊地への突撃を開始した。
「攻撃目標、前方の戦艦!!」
村田は直率の8機を率いて戦艦『ウエストバージニア』に狙いを定める。
「用ぉ意……撃ェ!!」
重い荷物である九一式航空魚雷を投下して離脱する彼等の目には『ウエストバージニア』の側面から次々と水柱が噴き上がるの確認したのである。
「命中!! 命中!!」
斯くして真珠湾攻撃はほぼ史実通りの展開となる。ほぼというのは喪失機が史実より少なかった事である。艦爆・艦攻は史実通りの喪失だったが零戦は僅か2機の喪失であり喪失理由も対空砲弾が直撃したというのであり防弾装備をした事で帰還出来たというのもあったのだ。
また、史実ではドックに入渠していたため軽い損害だった戦艦『ペンシルベニア』であるがたまたま水平爆撃隊の一部が入渠していた『ペンシルベニア』を発見爆撃し、800キロ爆弾三発が命中した。しかもこの火災で弾薬庫にも誘爆し『ペンシルベニア』はドック内で爆沈を遂げてしまうのである。
このように史実より僅かでは戦果を上げているが此処で一つの問題が起きた。というのも淵田機が発信したトラ連送の電文と同じ電文を淵田機が発信する12分前に発信した機体があった。
それが航空戦艦『日向』に所属する第634海軍航空隊の瑞雲であった。
「神様仏様瑞雲様!! 今回も!! あ、今回も!! 貴殿の御活躍を期待します!!」
瑞雲隊の出撃前に『瑞雲魂』と記載された法被を着て踊る松田が目撃されたが箝口令が敷かれた模様である。それは兎も角、12月8日0120に『日向』から瑞雲隊18機が発艦した。胴体下には250キロ爆弾を抱えており通常の水上機では有り得ない事だったが瑞雲だからこそ出来る所業である。
瑞雲隊がミッドウェー島上空に到達したのは0735、瑞雲からトラ連送が発信されたのは0740だった。
「『トラ・トラ・トラ』や!!」
14: 加賀 :2020/03/28(土) 15:27:51 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
関西出身の瑞雲隊隊長は自身で電鍵を打ちつつ叫ぶ。瑞雲隊は一斉に急降下爆撃を開始した。18発の250キロ爆弾は各機が定めた目標物に対し悉く命中し炎を上げたのである。
「長居は無用や。引き揚げんで!!」
瑞雲隊は編隊を組んで悠々と引き上げるのであった。そして同日1711、『日向』以下の砲撃隊はミッドウェー島を三万五千の距離にて発見。近づいて距離二万にて『日向』は艦砲射撃を開始するのである。
「薙ぎ払え!!」
某王女ぽい台詞の真似をしつつ松田は砲撃命令を出し主砲は装填された三式弾を叩き出す。無論、ミッドウェー島の米海兵隊も直ぐに沿岸砲にて反撃をするも夜間ながら上空を飛行する瑞雲隊が吊光弾を次々と投下して沿岸砲の場所を『日向』に報告、修正砲撃をして沿岸砲を全て沈黙させるのである。
『日向』は一時間半に渡る艦砲射撃を敢行、沿岸砲は元より滑走路や格納庫に置いていた航空機は全て吹き飛ばされ格納庫もボコボコの穴だらけとなりミッドウェー島砲撃は完全に成功するのであった。
そして姉である『伊勢』を含むウェーク島攻略部隊も開戦と同時にクェゼリン環礁のルオット島から第24航空戦隊の九六式陸上攻撃機の爆撃隊が離陸してウェーク島を爆撃したのである。ウェーク島への空襲は史実通りの展開に移行し攻略部隊は9日に瑞雲隊18機による爆撃も行っており不用意に接近してきたF4F2機を20ミリ機銃によって撃墜に成功している。そして10日夜にはウェーク島沖合いに到着した。
しかし、波が高い事もあり陸戦隊は上陸を断念し『伊勢』らによる艦砲射撃と再度瑞雲隊による爆撃を敢行する事にした。
『伊勢』は瑞雲隊18機を0250に発艦させウェーク島のピーコック岬に0320に到着し0325には砲撃を開始したのである。
「砲撃始めェ!!」
『伊勢』は三式弾を発射し瑞雲から連絡があった砲台を破壊して一つずつ沈黙させていく。流石に35.6サンチ砲の威力は凄まじく、ピーコック岬の砲台は11分で沈黙。それに続いて吊光弾を瑞雲が投下しその場所を通報又は250キロ爆弾を投下して破壊していく。砲台の破壊は僅か一時間で完了した。その間にも残ったF4F2機が攻略部隊に爆撃しようとしたが『伊勢』の対空砲火に阻まれ逆に撃墜され全滅するのであった。
結果として陸戦隊は『伊勢』の艦砲射撃の元、上陸を開始。米海兵隊は残った守備陣地にて抵抗を示そうとしたが上空を飛行する瑞雲隊の爆撃や機銃掃射に阻まれ陣地は次々と陥落した。海兵隊指揮官のカニンガム中佐はこれ以上の抵抗は無意味と判断、海兵隊司令部は0711に血染めの白シーツを掲げた。降伏の証であった。
「そうか、一先ずは武装解除を優先しろ」
攻略部隊の第六水雷戦隊司令官の梶岡少将は安堵の息を吐いたのであった。
15: 加賀 :2020/03/28(土) 15:31:18 HOST:p2761248-ipngn200907osakachuo.osaka.ocn.ne.jp
夜勤中だったので掲示板の作成が出来ずに申し訳ありませんでした。
御詫びとはなんですがハワイ方面作戦のを大急ぎで仕上げました。(一時間11分は最短記録)
零戦は二二型(以前に出したあれ)ですしまぁ被弾はそんなにかなと。多分ニイハウ事件もありませんし飯田大尉も生還していると思います
うん、松田が先走りやりました(笑)
だって瑞雲だもの仕方ないよね
瑞雲!瑞雲!瑞雲!
最終更新:2020年04月04日 13:45