944: 弥次郎 :2020/04/29(水) 22:11:44 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
憂鬱SRW IF 融合惑星編SS リンクスたちの日常とお仕事
アフリカ。それは人類の祖先が生誕した土地とされ、長らくこの大陸で生活した後に、人類はグレートジャーニー(大移動)を開始したとされる。
だが、心臓の形をしたこの大地の半分以上が、既に居住には適さぬ大地へと様変わりしていた。
WLFの蜂起と、それに伴う後始末で北アフリカは「命の壁」によって囲われた領域が生まれた。
結果だけ言うならば、その周辺は厳戒警戒区域として定められ、膨大な数の無人機による絶対防衛ライン---沈黙を持って語る領域、即ち、サイレントラインを構築していた。ここに入るモノは無警告の攻撃の嵐に晒されることになり、何人たりともその先に行くことは叶わない。
まあ、そうでもしなければ汚染に塗れ、カイジュウが跋扈する世界を安全に隔離し、長い時間をかけて再生していく計画など遂行できるはずもない。
ともあれ、そういった事情から周辺は人がいないということでもあり、周りへの被害を気にしなくてもよく、さらには人がいれば確実に目立つという点から、アフリカの大地においてはそういった機密に分類されるものを動かしたり、あるいはテストを行ったりということがしやすい土地でもあった。
そして、現在。中部アフリカのとある地域において、企業連のエンブレムを各所に配した一団が集まり、動き回っていた。
球体に足が生えたような巨大な構造物を中心として、気密や対コジマ粒子性能を考慮に入れた建造物、車両、作業MTなどが並び、そのどれもが忙しく動き回り、あるいは内部にいる人間が自らの役目を果たすべく動き回っていた。中にはアンドロイドも混じり、人間には不可能な高速タイピングでコンピューターを一度に複数オペレートしつつ、流れる膨大な量の情報に目を走らせていた。
その集団の中央、巨大な球体はアーマードコア・ネクストのメンテナンスベットを兼ねた移動式のハンガーであった。
自走式とするための移動脚部、コジマ粒子を無毒化する浄化装置、メンテナンスに必要な機材一式、搭載可能な火器が一揃い、さらにアセンブリ変更に合わせて装着されるスタビライザーやペイント装置、そしてAMS関連の調整とモニタリングを行うための整備区画。
それらすべてが一つとなっているオールインワンのユニット。さながら、ネクストという怪物を生み出す卵だ。
事実、ここから世に姿を現すネクストは、控えめに言うならば、これまでのネクストを小物扱いしかねないカタログスペックを持つ怪物なのだから。
『ではアマツミカボシ君、準備はいいかな?』
「いつでも」
コクピットブロックに納まるアマツミカボシは、既にAMSプラグを介して接続された状態にあり、実験開始を待っていた。
いつも通りのコクピットに納まり、いつものようにAMSで機体と繋がり、いつものように球形のハンガーの中で待機する。
いつものルーチン、いつもの光景。だが、違うところがあるとすれば、これは戦闘というわけではなく、これからテストを行うということだ。
『ではこれより、試作V.S.C.のテストを開始する。
ANX-N39 ペトローゼは前方α地点へ進出。道中の仮想標的ドローンを撃破し、その後β地点でV.S.C.から武装を受領、それを用いて射撃実験を行ってくれたまえ。V.S.C.の射出はこちらで行うので、タイミングの指示は任せる』
「了解。ペトローゼ、実証実験を開始します。メインシステム、待機モードから通常モードへ」
アマツミカボシの声と共に、AMS越しに操作が行われ、システムが起動を開始した。
945: 弥次郎 :2020/04/29(水) 22:12:28 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
『メインシステム起動を確認。初動システムチェック問題なし』
『第一および第二コジマジェネレーター、リポーズ解除。コジマジェネレーターおよび周辺電力蓄電・供給システムチェック!』
『システムチェック、フェイズ1から34まで完了、異常は見られず』
『発電量安定、電力供給ライン問題なし』
『コジマジェネレーター、コジマ粒子生産開始を確認。粒子生産は安定状態』
『コジマ粒子コンデンサー問題なし。順調に貯蔵中。PA展開確認』
『対コジマ汚染機構、順調に稼働。汚染活性状態コジマ粒子量は許容範囲内で推移』
『ペトローゼ、起動を確認。メインシステム、通常モードへ』
オペレーターたちの確認の声と共にネクストがゆっくりと起動プロセスを経ていく。
AMS越しにそれらを近くするタケミカヅチは、自分の体が徐々に火照っていくのを感じていた。
ネクストはリンクスにとってみればもう一つの、否、自分の肉体そのものとなる。故に、機体に火が入れば、そのように感じられる。
『武装アセンブリを開始します』
続けてハンガー内部に設けられている作業アームが一斉に稼働し、武装の搭載を開始した。腕部にコジマライフルとレーザーライフル、背部には武装ハンガーが接続され、そこにアサルトライフルが搭載されていく。当然、それらに付随するマガジンなども同様に、だ。
それらの情報をAMS越しに改めて確認していくアマツミカボシは、搭載されていく武装の共通項に気が付いた。
(今回のテスト用武装はダミーではなく実戦型…まあ、挙動に耐久出来るか試す良い機会なんだろうなぁ)
今回アマツミカボシの乗るペトローゼは、新型のシステムを機関部へ採用している。それが、ダブルコジマドライブ。
コジマジェネレーターを通常1基で済むところを2基搭載し、発電力とコジマ粒子生産量を2倍化。あわせて搭載バッテリーを2倍化し、単純に発揮できる出力を2倍へと引き上げることでこれまで存在していた性能限界の壁を超えようという試みの産物だ。
現在のところはまだ実戦投入は出来ない。正確に言えば、出来なくもないが、テストが不足しており、実戦では何が起こるかまだ不安定な状態だ。
ともあれ、出力が2倍化されれば、これまで通りのフレームや内装、あるいは武装では耐久出来ない可能性がある。
そして現在ペトローゼが搭載した武装は全てテスト品、ダブルコジマドライブに合わせて耐久性や剛性などを強化したモデルだ。
AMS越しに感じる重みが普段のそれと若干違うのは、その強化のためと、各種データ収集のためのセンサーなどを詰め込んでいるためだろう。
そして、そのわずかな違和感もシステム側の調整によってAMS越しに感知できる範囲のものがカットされ、情報量が減ることで消えていく。
些細な量の情報であろうとも、AMSに混じると時にそれは致命的となるのだ。殊更、一瞬間の判断が物を言う状況においては。
946: 弥次郎 :2020/04/29(水) 22:13:03 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
「各武装、問題なく接続を確認。FCSとのリンク、オンライン状態を確認」
『こちらでも確認した。セーフティー等にも異常なし。出撃準備!』
『了解、拘束を解除。リフトオフ!』
『コジマ無毒化ガス、充填完了。外部散布状況問題なし』
『メインハッチ開放』
そして、球形のハンガーが卵が割れるように、あるいは花が開くようにフレームを動かし、中身をあらわにしていく。
可視できるほどまでに圧縮されたPAとそこから漏れるコジマ粒子、そしてコジマ粒子を無毒化するガスが入り混じり、輝きを放った。
その中で、ネクストの頭部のツインアイカメラが鋭く光り、
「メインシステム、戦闘モードへ。ANX-N39 ペトローゼ、出撃します」
そして、オーバードブースターを起動したペトローゼは一瞬で音速を超えた世界へと飛び込み、テストエリアへ突入していった。
「想像以上だな…」
ターゲットドローンを次々と撃ち落としながら、アマツミカボシは己の体---ネクスト「ペトローゼ」から発揮される力に驚嘆していた。
このテストを行う前に散々シミュレーションでダブルコジマドライブによる恩恵について理解はしてきた。だが、それを超えるものだったと言わざるを得ない。
身体の内からわき上がる力が二倍化されることの高揚感や湧き上がる興奮。AMS越しの実体験として感じ取ることで、多くがシミュレーション以上だった。
先程から巡航オーバードブーストで飛びながら、レーザーライフルを使い、あるいはアサルトライフルでドローンを次々と攻撃しているが、それらはすべて既存のネクストを超えている。PAは殆ど減衰を見せず、蓄電されている電力のメーターもほとんど減りを見せない。
先程からわりと容赦なくQBやQTなどを使いながら機動戦を繰り広げているのに、息切れの気配を全く見せていないのだ。
これでもジェネレーターの出力を抑えているというのだから、全力で振り回せばどうなることやら。
無論、ゲームでならば、ネクストの設定どおりのスペックが発揮されるレギュレーション1.15で同じことはできるし、これまで登場していたネクストはそれを再現したものといっても過言ではなかった。とはいえ、それはそれ。
発揮できる馬力が二倍と言葉では簡単でも、高にまで影響が出るとは思わなかった。
(これからのスタンダート、これを超えていくのか…!)
高揚感のままに、アマツミカボシはテストを続行した。
β地点に到達する時刻の計算を片手間で終わらせたアマツミカボシは、コントロールへと通信をつないだ。
「コントロール、こちらペトローゼ。V.S.C.を頼みます」
『了解』
そして再び、音速を超えた世界へと機体を飛び込ませる。
それからしばらくして、β地点付近。
V.S.C.、ヴァンガード・サポート・キャリアーの接近を、アマツミカボシはきちんと把握していた。
AI、フォーミュラ・ブレインの亜種によりコントロールされるV.S.C.はV.O.B.同様にコジマ粒子と通常ロケットのハイブリッドで飛来し、接近中。
頭の中で地図を呼び出せば丁度良くβ地点付近だった。ランデブーはどうやらタイミングは良い様だった。
947: 弥次郎 :2020/04/29(水) 22:13:59 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
「間もなくβ地点。V.S.C.とのコンタクトを確認。相対速度あわせ、相対距離を維持」
レコーダーに記録されるので、逐次アマツミカボシはAMS越しに伝わる情報を読み上げていく。
別に声に出さずとも、AMSを搭載しているネクストでは、AMSを介して記録したい文章なりを何らかの形でイメージし、ダイレクトに文章として書き起こすことができる自動叙述機(ワーカム)機能があるので不要といえば不要なのだが、こうして声に出して操作を行うのも、リンクスの要請過程においてはAMS操縦技術の涵養に使われる手法であるし、声に出して自分に言い聞かせるという心理的な効果も見込めていた。ともあれ、だ。
「V.S.C.コントロールへのアクセス確認。武装の状態を確認、異常なし。ペトローゼ、武装換装準備を開始する」
声に出しながら、背部の武装ハンガーに手持ち火器を預け、速度を維持したまま姿勢を整える。
シミュレーションでは何度もやってきたが、この音速飛行をしながらの武装の受け渡しというのはかなり危険度が高い。
相対速度をあわせ、軸線をあわせ、精密に動作を行わなくてはならない。まして、思考をダイレクトに反映させるAMSならなおさら。
そして準備を行うペトローゼと同じくして、V.S.C.側もその準備が始まっていた。保護用のカバーがパージされて、運搬のために3分割されたレールキャノンが露わになる。
(……デカいな、おい)
それが素早くドッキングされて、長大なレールキャノンとなった。全長はネクストよりもさらにあるといったところか。
確かにあのサイズの武装となると、携行するには些か問題ありとみなされるだろう。大艦巨砲の代名詞と言えたOIGAMIクラスだ。
嘗ての世界ならば別段採用しなくとも問題はないだろうが、この世界ではそれではいけない。より巨大な敵に、より多くの敵と戦わねばならない。
(最近のノーマルやネクストが大型化しているのもその影響か…)
既にネクストを操っていくつかの戦線に参加したことのあるアマツミカボシでさえも、ネクストの性能限界は感じていた。
役割分担などが出来ているから問題ないといえばそれまでだが、せっかくあるポテンシャルを活かさないというのも問題だ。
一体どのような敵が襲い来るのか、それが全く未知数なのだから。
「V.S.C.、レールキャノンを射出」
だが、そんなことを考えるのも一瞬。思考を切り替え、武装をV.S.C.から射出させる。
コンピューターの予想した通りの弾道で、その長大なレールガンは迫りくる。通り過ぎるまで数秒もかからない。
だが、そんなことなど反応性に優れたネクストでは大した問題にさえならない。難なくマニピュレーターでキャッチしてのけた。
「重ッ…!」
が、アマツミカボシの予想以上の重さが返ってきた。
幸いにして取りこぼすなどという失態は起こしはしなかったのだが、それでも重たさに引っ張られてしまった。
全長が同じくらいとは言え、OIGAMIよりもスマートな銃身と機関部を持つものだからと油断してしまったか。
だが、武装が重たいといえども、持ち上げる側の馬力もこれまでのネクストの2倍だ。
『V.S.C.、武装射出を完了。退避軌道へ』
「了解。これより目標地点へ降下し、射撃テストを開始する」
そして、目標地点でレールキャノンの試射を行ったわけであるが、その出力から地形が簡単に変わりすぎてしまったことに瞠目したのはまた別な話である。
948: 弥次郎 :2020/04/29(水) 22:15:31 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
《メカニック設定》
ANX-N39 ペトローゼ
《諸元》
製造・設計:企業連合共同開発機構
生産体制:性能実証機
操縦方式:試作型第五世代型AMS 補助電脳並列処理
機種区分:アーマードコア・ネクスト
カテゴリー:中量二脚
装甲材:ナノマシン装甲
動力機関:コジマ機関(ダブルドライブ)
特殊機関:テスラドライブ
防御機構:プライマルアーマー
特殊装備:エジェクションポッド
FCSおよびOS:ANX-OS
武装:
コジマライフル
レーザーライフル
アサルトライフル
レールキャノン
《概要》
ダブルコジマドライブシステムの実証機。この新技術実証のために企業連に属する企業が合同で開発したネクストとしては39機目を意味する形式番号を持つ。
内装には、フォーミュラ・ブレイン搭載の無人機によるテストを経てリンクスが問題なく動かせるレベルに設計した新規設計のフレームとコジマ機関を搭載。
各種試験で各種機関・機構が問題なく作動するかどうかのテストを行った。まだ技術的には足りていない所があるため、安全面を考慮してリミッターやセーフティーなどを遠隔でかけられるように機能を拡張しているほか、脱出ポッドを採用し、万が一の際にはリンクスをコクピットブロックごと射出して脱出させることもできるようになっている。
構成するフレームは全て試作段階のもので、大多数のターゲットを連続射撃する際のカメラアイの展開機構、オーバードブースト時の機体構造の一部変形、出力リミッターの一部解除に伴う機体構造の変形機能、PAの部分的重層展開のための格納式アンテナ等々、これまでのネクストにはなかった機構を多数取り込んでおり、これらの実証試験も兼ねていることが窺える。
技術的に未熟な箇所がまだ残っていると判断されているとはいえ、一応実戦投入が可能なレベルまで仕上がっており、曲がりなりにもダブルコジマドライブを採用していることからKP出力、コジマ粒子生産量、ジェネレーター出力、PA強度、機体出力などは既存のネクストを大きく上回る数値を叩きだしており、テストパイロット達を半ば恐怖させた。
最も実戦投入も可能と言って入るものの、どれほどまで耐久出来るか、あるいはどういった挙動なのかはまだ未知数なところが大きい。
なお、実際にはシミュレーション上で性能不足や構造の欠陥などが発覚して没になった機体が数十倍存在しているので、形式番号の数字は半ば飾りに近い。
949: 弥次郎 :2020/04/29(水) 22:16:37 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
《武装解説》
背部のハンガーに搭載される予備兵装。向上したネクストの馬力や挙動にも耐久出来るように構造の強化を行ったモデルで、本機ではこれを用いての機動戦のテストを行ってデータ収集を行った。
コジマ粒子を圧縮・荷電させることによってコジマ粒子の持つ物理的作用を攻撃に用いる射撃兵装。
これまでのネクストでは発射までにチャージの時間を必要とし、またコジマ粒子をコジマジェネレーターから回すことによるPAの減衰が見られていたが、ダブルドライブ化によってこれを従来よりも短縮あるいはPA減衰を大幅に抑えることに成功している。
試験用に搭載された光学兵器。電力供給を必要とする兵器を搭載し、その使用負荷にどの程度対応できるかの検証を行った。
大電力を必要とする大型の手持ち火器。これまでのネクスト用兵装の大きさを凌駕するもので、機体負荷も極めて大きい。
本来ならばネクストの搭載武装としてはサイズが大きすぎるのであるが、V.S.C.の登場により解決の見通しが立っている。
その大きさからV.S.C.ではおおまかにバイポット付きバレル、機関部、グリップおよびストック部の3つに分解された状態で運搬し、ネクスト側からの要請を受領した後に組み立てられて射出される。
実験における試射では旧来のネクスト1機分の電力を丸ごと回してもなお機動を行うだけの余裕があることを実証。ネクストの高性能化において存在していたボトルネックの一つを解消したことを証明した。
950: 弥次郎 :2020/04/29(水) 22:17:54 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
以上、wiki転載はご自由に。
リンクスたちも忙しいのです…ということでその一端を。
なんでやたらとオペレーターたちが喋っているか?〇ヴァの新劇場版の無料公開が悪い(決めつけ
ついでに言えば最近ドハマリした〇園追放が悪い
よって私は悪くない。Q.E.D.
最終更新:2020年05月04日 14:03