617: 弥次郎 :2020/05/18(月) 00:22:38 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp

大陸SRW IF GATE 自衛隊(ry編「埋もれたる原石を掘り起こすもの」



 伊丹耀司への連合---というよりも企業からのスカウトはカタフラクトを用いた訓練が始まってからも続いていた。
 転生者である夢幻会の目から見て伊丹耀司は平成世界における「候補者」たる要件を満たしていたのだ。
 まず、GATE開通直後の交戦。中世の群体とはいえ奇襲であり首都を突如として襲った帝国の軍勢に対して混乱の中でも対処をし、民間人の救助などを行い、結果的にせよ二重橋の英雄と呼ばれるほどの働きをしたことが評価された。プロパガンダと言われればそれまでだが、普通ならば、そこら辺に居合わせた、言い方は悪いが有象無象の民間人もろとも殺されてもおかしくなかったのだが、彼は非番であり武装なども持っていない状態からそれだけの働きを行い、何千人もの命を救ったのだ。
 ついで、機動兵器への高い適性が見受けられた。カタフラクトへの適性試験はトップクラスでパスしており、シミュレーションでの習熟も早かった。
人の延長のように動く人型機動兵器であり、カタフラクトの備える優れた操縦性やOS、アビオニクスなどを考慮に入れたとしても、スポンジが水を吸うが如く習熟していくのは評価に値していた。

 さらに言えば、伊丹が所謂オタク趣味の一環で少なからずロボットを動かすシミュレーションゲームをプレイしていたこともプラスであった。
たかがゲームと侮るなかれ、直近で言えば白銀武、少し過去の人物で言えばテンザン・ナカジマ、リュウセイ・ダテなど、ゲームでの高い適応力を見せた人間というのは案外馬鹿にならない実力を示すのである。
 最後になるが---これは夢幻会のみぞ知る、であるが---伊丹は主人公だ。つまり、他の人物とは一線を画す人物であり、この後に特地において起こる事態において多くの場面において騒動の中心に立つことになる。つまるところの、戦いや争いを引き付ける「鳥」そのもの。
 ここまで条件がそろっていて注目するなという方がおかしい話であり、高い適性を持つこととあわせ、注目していた。
人型機動兵器が存在しない世界の人間でありながらも、そういった兵器に乗るために生まれてきたかのような出自と適性。
嘗て、機動兵器の開発の黎明期に存在し、今もなお現役で叩い続ける最古参のパイロット達と同じような存在。
一介の兵士でありながらも、伊丹がそこまで着目されてしまうのもおかしくはない話であった。
 件の伊丹は意外と高かった対G適性などを見られてそれをネタに弄られたりいていたのであるが、それはおいておこう。

619: 弥次郎 :2020/05/18(月) 00:23:25 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp


 さて、伊丹をはじめとした平成世界の自衛隊の面々が適性試験を受けた後に、何名かは追加で検査を受けていた。
表向きには機動兵器への適性が高い人間がどれほど適応できるかの追加という体ではあったが、それは欺瞞であった。
その検査を受けた人間のリストが、伊丹耀司に始まり栗林志乃や倉田武雄などで埋まっているとなれば、その意味はおのずと分かろうというもの。
 とはいえ、である。その適性試験にはカタフラクトだけでなく、MS、MA、MT、VF、ACなど連合が一般的に使用している兵器にも及んでいた。
そして、ACの最上位カテゴリー、ネクストの操縦に不可欠なAMS適性も、当然のことながら検査されていた。

「……なんて、適性」

 絹笠ミツルは画面上に表示される伊丹のパーソナルデータを見ながら、感嘆ともとれるため息をついた。
 伊丹耀司のAMS適性を含むネクストへの適性は総合評価S。トップランカーとされるリンクスたちに比肩するものだ。
補助電脳やナノマシン、マイクロチップなどのアシストを加えて適性に下駄をはかせたり、あるいは技術的にAMS負荷を下げるなど、ネクストはその搭乗者を増やすために多くの技術を生み出してきている。だが、伊丹耀司はそれら抜きにしても十分すぎた。
肉体面においても健康そのもので、操縦はもちろんの事、AMSの施術に耐える体力や健全なる魂…じゃなくて健全な状態を持っている。
肉体年齢的に見て最盛期であることは間違いないのだろう、だが、それを言えば他の自衛隊員だって殆ど同じはずだ。

「……」

 また、ため息が漏れてしまう。
 まるで、戦闘を行うための申し子だ。もしこの適性を活かして訓練を行えば、間違いなくトップランカーにまで食い込む逸材になることは確かだ。
絹笠はこれまで多くのリンクスやレイヴン達の肉体に施術を施し、あるいは調整などを行ってきた経験がある。
義体化やAMSなどの施術に関する知識も豊富で、どういった人間が適しているのかを直感的に理解できるほどだ。
その直感と、知識と、経験。それらすべてが、伊丹という人間がただものではないと訴えていた。

「辛気臭いため息をついて…何か悪いことがあったのかしら?」

 そんなミツルの耳に届いたのは、同じタイミングで特地入りして平成世界の日本と接触を持ったアーキテクト兼技術者の神居榊だった。
いつものアルカイックスマイルと不思議と耳に残る声の主は、ミツルの良く知る人間だった。というか、割と長く同じ職場で働く、先輩後輩関係にあり、同時に仕事におけるパートナー。飄々とした、あるいはどこか遠くから見つめるような目で仕事をこなす美人だ。
 そんな彼女に、ミツルは再びため息をつきながらも結果を見せるしかない。

「……これをみて、何か思うところは?」
「びっくりするくらい適性が高い、有望株といったところ?」
「そう割り切れるのが羨ましいですよ、と…」
「仕事は仕事。それに、機動兵器の輸出に関して上層部としても前向きだから、これくらいはカスタマーの情報収集の範疇じゃなくて?」

620: 弥次郎 :2020/05/18(月) 00:24:04 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp

 それはそうですけど、とミツルは苦言を呈する。

「平成って、もう100年以上は前の時代じゃないですか。そんな時代の人たちにこんな施術をするのが…」
「少し抵抗がある?」
「同意の上だとしても、すこし…それに、施術を受けた人がちゃんとした理解や配慮を得られるか心配ですよ」
「倫理上の問題、ね。確かに、面倒な問題になりかねない。でもそれに配慮したものも用意されているんでしょう?」
「当然です」

 コンピューター上に呼び出すのは、平成世界のパイロット候補者たち向けに用意された施術プランと使われる技術の詳細だ。

「第五世代型AMSから発展した簡易AMS施術…特定部位にナノマシンとマイクロチップの埋め込むだけで施術完了。
 あとはAMSプラグ…この場合はコネクターと、パイロットスーツの神経伝達を傍受して増幅させる機能で操縦に操縦者の意思を反映させる。
 とはいっても、まだ第一世代AMSに毛が生えた程度の性能ですが、安全性や手軽さという意味では飛びぬけていますよ」
「いざとなれば切除も楽で、アフターケアもきく……まあ、私たちの世界だとあっても大して変わらないレベルね」
「それにしても、こんなものでも供与を急ぐって上層部は焦りすぎているんじゃないですかね?」
「……かもね」

 事情を知っている、少なくともミツルよりは理解している榊だが、さすが口をつぐんだ。口に出すべきではないことなのだから。
 くわえて、この特地がいつまでも平穏に、原作にある通りに進む保証など全くない。スーパーロボット大戦時空とはそういうものなのだ。
何時までも平成世界の人間を守り切れるとは限らない。ならば、できる限りの武器を与え、自衛してもらわねばならない。

(ごめんなさいね。でも、これも生き延びるためだから……)

 内心、ミツルには謝るしかない。一応軍属として命令を受ければそれを受諾しなければならないのだが、気分はあまりよくはないのはよくわかる。
だが、それでも、襲い来るかもしれない脅威を考えると、やりすぎというものはあまり存在していないのもまた事実。
 アルカイックスマイルの下に恐れと焦りを隠しながらも、榊は己の仕事にとりかかった。





《人物紹介》

  • 絹笠ミツル
性別:男性
年齢:34歳
所属:如月技術研究所
概要:
 神居の親友。AMS関連の施術に関する技能と免許を持つ医師。非転生者。
 ネクストを操縦するためのAMSやパイロットが自分の肉体に施す強化施術や義体化などにおいて専門的な知識を持つ。
主な仕事はリンクスやレイヴン達の身体のメンテナンス、AMS施術を含む強化手術の担当官、AMS関連技術研究など多岐にわたる。
 倫理観にうるさく、やや潔癖症なところもあるが技術的には極めて優秀。

621: 弥次郎 :2020/05/18(月) 00:24:43 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
以上、wiki転載はご自由に。
ちょっと特地の伊丹達を取り巻く人々の様子を。
機体設定についてはしばしお待ちを…
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最終更新:2023年10月10日 23:11