337 :ルルブ:2012/01/19(木) 18:26:41
ネタです(><)
Newさま、ひゅうがさま、106の名無しさま、幻の皇后シュザンナさんに捧げます。。。
皆様のアイディアから思いつきました。駄作ですがよければご一読下さい。


帝国暦479年12月
自由惑星同盟を僭称する叛徒どもが、銀河連邦時代から、いや、歴史の始まりから脈々と血筋を通す古の帝国と接触して5ヶ月。
この日、銀河帝国皇帝フリードリヒ4世は文字通り帝国を動かす勅令を出した。
少なくとも、ノイエ・サンスーシ(新無宮殿)に集った全ての貴族はそう考えた。


「国務尚書」


「ハッ」


事実上の帝国宰相であるリヒテンラーデは新無宮殿の離宮にて皇帝に呼ばれた。
場は皇帝主催のパーティ。
戴冠記念と名目をうっているものの、実質は叛乱軍が接触した古の帝国、大日本帝国への対応を協議する場であった。
だが、纏らない。
誰を使者にするか。
伝統と格式を重んじる帝国だからこそ纏められない。
そんな混乱を知ってか知らずか、フリードリヒ4世は主要な貴族を集め、園遊会を開くことを国務尚書に通達した。
無論、その場には寵愛するグリューネワルト伯爵夫人を連れて。

それから2週間後、宮廷の主要な貴族・軍人はこの離宮にて驚くことを耳にする。
パーティも半ばに入ったころ。
珍しく素面のまま、殆どワインに手をつけず、国務尚書や皇太子、ブラウンシュバイク、リッテンハイム、カストロプらと皇帝は話していた。


            • そして。


「これより皆に話したいことがあるが、良いか?」


と。
一同が静まり返る。
リヒテンラーデが一同の喧騒、いや、対ニッポン帝国政策の議論を一旦打ち切らせる。
そして皇帝が口を開いた。


「皆の意見は聞いた。
彼の国は4000年の歴史を持つという。
ルドルフ大帝の御世から続くそなた等や我がゴールデンバウムの血筋を持ってしてもその歴史にはあがなえん。
されど、我らもまた貴族としての気品があろうよのう」


皇帝はあたりを睥睨した。
そしておもむろに切り出す。


「ここでそなた等の中から、誰を代表に選んだとしても歴史、伝統、貴族としての格付けによりニホン人相手に負けよう」


「・・・・・陛下?」


「な、何を?」


ブラウンシュバイク、リッテンハイムが相次いでかすれた声を上げる。
皇帝の娘を妻とする名門貴族であるからこそ許される態度。
皇帝は面白そうに顔を歪めると言った。


「そこでじゃ、余、フリードリヒ4世自らが退位し、大ニッポン帝国へ行こうと思う」


「な、あ、で、では、へ、陛下!?
皇位をルードヴィヒ皇太子にお譲りになる、と!?」


リヒテンラーデが即座にその言葉の裏にある重大な事実を読み取った。
そして続ける。

338 :ルルブ:2012/01/19(木) 18:27:26

「そうなるかのぅ。まあ、余は誰でもかまわぬ。
息子が当てにできぬと言うなら孫たちでも良い。
サビーネでも、エリザベートでも、ヨーゼフでもな。
仔細は国務尚書、ブラウンシュバイク、リッテンハイム、ルードヴィヒ、カストロプらに任せる」


そう言いきると、皇帝はアンネローゼを連れて後宮に去っていった。
そして、会場が凍りつき、皇帝が退出し、扉が閉まった瞬間、直ぐに熱狂的になったのは間違いない。
次期皇帝を誰にするか、それを決める為に。
そして大日本帝国という得体の知れない闇の怪物に、或いは亡霊と言うべき存在にどう対応するかを決めるために。






1週間後、バラ園。


「陛下の命により、国務尚書クラウス・フォン・リヒテンラーデ、参内しました」


「来たか」


バラの手入れを止めリヒテンラーデに言う。


「余の退位後じゃがな、後宮におる全ての者にふれを出す。
かまいなしと、な」


「ハッ」


そうしてリヒテンラーデは立ち去ろうとした。
だが、皇帝がそれを止めた。


「それとな、これをシュザンナに渡せ」


「? 失礼ながら陛下。
グリューネワルト伯爵夫人ではなく、ベーネミュンデ侯爵婦人でありますか?」


「そうじゃ」


そういって一通の勅書を手渡す。


「古の帝国・・・・・そこには何があるのかのう。恐らくは想像もできぬ世界があるに違いない。
じゃからな、シュザンナも連れて行こうと思う。
                    • もっとも、シュザンナが望めばの話じゃがな」


そう言ってリヒテンラーデを下がらせる。




その午後。
新無宮殿内に存在するベーネミュンデ侯爵夫人の屋敷に訪れた。
この来訪を聞いたとき、かの侯爵夫人はたいそうお怒りであったと国務尚書の日記に書いてある。


(何故じゃ!? 何故陛下はあの場にわらわではなくあの女を、あの成り上がり者の女をはべらせたのじゃ!?)


何度も何度も口惜しさが腸を煮え繰り返す。


(陛下・・・・・陛下・・・・・わらわは・・・・ただ陛下の事を・・・・・・)


八つ当たりをし、思わず枕を引き裂く。


(陛下!!!)


ソファーから立ち上がり、一目で高級品とわかる扇を破る。


「お、奥様」


そこへリヒテンラーデ侯爵が到着した旨を、執事が伝える。
拝礼したリヒテンラーデに、立ったまま怒りをぶつけるベーネミュンデ。


「何用じゃ! はよう申せ!」


そしてまず皇帝が全ての寵愛した妃を実家に戻す事を伝えた。
そして自ら退位して大日本帝国に行くことを望んでいる事も。
絶句するベーネミュンデ。
それをかまいなしという勅命の拒絶と捕らえたリヒテンラーデはこうも告げた。

340 :ルルブ:2012/01/19(木) 18:28:05


「畏れ多くも皇帝陛下の勅命にございまする。
陛下のご自愛あってお一人のみ同行を許可すると、また、その者にも拒否権は存在するとの格別のご配慮に御座います」


リヒテンラーデの前でベーネミュンデは怖いほど無表情な声で聞いた。


「・・・・・・・あの成り上がり者の女か?」


と。
絶望だった。
嫉妬だった。
怒りだった。
哀しみだった。
悲しみだった。


(あの女・・・・・あの女さえ・・・・・)


だが、次に出てきた答えは全くの別物であった。


「いえ、グリューネワルト伯爵夫人ではありません。
皇帝陛下は、ベーネミュンデ侯爵夫人、夫人を大日本帝国まで同行させよとの命にございます」


唖然としたのか呆けた様に地べたに座り込む。


「ほ、ほんとうか?」


さよう。

国務尚書はそう答えた。
そしてもう一度、この命を受けるか否か迫ろうとした時。
目の前の女性は立ち上がった。
さっきまでとは裏腹に希望に満ちた表情で立ち上がる。
まるで親鳥の巣から飛び立つ雛鳥の様なあどけなさと無邪気な子供の様な表情で。

「連れて行ってください。
どこまでも、例え叛徒どもの領域深く行くとも、このオーディンを離れようとも。
陛下がわらわを必要して下さる。
それだけで十分でございます。ですから・・・・・どうか。
陛下にわらわを・・・・・・・」


と。


こうしてベーネミュンデ侯爵夫人は大日本帝国へと足を運ぶことになる。
最愛の人物と共に。


次回銀河憂鬱伝説第XX話 「皇帝と天皇」 

銀河の歴史がまた1ページ(オイ!)


ついやってしまいました。二次ならぬ三次、あるいは四次創作SSでしょうか?
あんまり大日本帝国でてないし、殆ど関係ないけど勘弁してください。。。。
駄文ですが読んでくれた方、このひらめきを与えてくれた上記の先輩方。本当にありがとうございました。
また何か思いつけば書きたいと思います(T_T)

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最終更新:2012年01月29日 19:30