297: 弥次郎 :2020/06/06(土) 23:33:13 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
日本大陸SS 北米進出ルート(仮) 「The Short-Timers」
※若干ヘイト物になっています。ご容赦ください。
※他の方の北米進出ルートとはある種のパラレル世界でのお話と考えてください。
※無理だと思った方は速やかにこちらにありますマクドネル・ダグラスDC-10にて脱出してください。
ただし、同乗者にはL・S・ケネディ氏とJ・ジョースター氏がおられるようです。
北米における日米間の激突に関して、
アメリカは最初は楽観さえ感じていたとされている。
彼らにとってみれば、これまで蹴散らしてきた先住民たち程度という認識であり、極端なことを言えば厄介な「害獣」の駆除に過ぎなかった。
彼らの認識するところの「人間」に彼らは該当していなかったのだ。故にこそ、住処を追い出そうが、女を意に反し娶ろうが、それは自由であった。
しかしながらも、それは当初の、彼らの楽観の元での話。現実は、そう甘くはなかったのである。
たかだか銃の扱いを知っている程度の民兵と数の少ない正規兵の混成で、所謂屯田兵として訓練を受けている開拓団にかなうはずもなかった。
最初は何をやっているんだと笑っていた彼らも、やがて積み重なる被害に顔色を悪くしていくことになり、それ以上の問題に突き当たることになった。
そも、西方への開拓団の移動というのは当時命がけである。道なき道を進むだけでさえも危険が伴う。
まして、彼らは戦闘に必要な道具を運び、遠隔地で戦う必要がある。そのストレスは、負担は、そして命さえも失いかねない危険は、言うまでもない。
必然的に自ら行きたがる人間は減り、強制的に連れていかれる黒人やアフリカから連れてこられた奴隷が中心になった。
だが、一時的に数の問題は解決したかに見えたが、今度は別な問題が生じた。兵士たちを連れていく側が反乱を想定しなければならなかったのだ。
無論、奴隷たちに積極的に反抗の意思があったかといえばNOであるが、ないとも言い切れない。ただでさえ従軍というストレスにさらされ、おまけに長距離移動を強いられれば、誰だってそういった方向に思考が傾いてしまう。主人(マスター)も奴隷(スレイブ)も。
簡潔に言えば、ストレスで風紀が乱れ、まともに軍として体を成せなくなるのである。
さりとて、彼らは止まるという選択をとらなかった。いや、取れなかった。
マニフェストデスティニーの掛け声のもとにフロンティアを開拓していくのはもはやどうしようもない性であり、動きであり、衝動だ。
理性で分かっていても、とめようがない。実際問題として移住者たちは旧大陸から新大陸へと押し寄せてきており、充実した生活を求めるならば、あるいは自らの財さんや土地を得たければ、住処を求めて西進するしかないのである。
298: 弥次郎 :2020/06/06(土) 23:34:11 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
ほどなくして、アメリカの抱える正規兵というのは払底の様相を見せた。
しかして、それでもなお西進の動きは止まらず、勇敢な兵士や民兵の見せる有様をマチズモとたたえて敗戦を払拭する動きは止まらない。
西海岸を中心とした地域を抑える日系人たちは悪魔の手先だとか邪教だとか異端であるとけなされ、イメージを固定化されていき、マニフェストデスティニーの元に戦わなくてはならないという風潮を新たに生み出していく。何時しか西進という名の侵略ではなく、異端や異教の侵略を身を以て防いでいるのだというカバーストーリーがまことしやかにささやかれ、大衆を支配していく。
侵略を受けている側、日系人やその庇護下にある人々、あるいは同化していく人々にとっては失笑物であったが、アメリカ側としてはある種の防衛機制であり、思い込みであり、真実であった。
だが、流石にいつまでも移民が無限に来るというわけではない。
最前線に兵士として放り込まれるかもしれない、しかも、働き盛りの男を引き抜かれ、短い訓練後に戦いに送り出されてはたまらないのだ。
移民してきた側も、土地を開拓し、農地とするにせよ酪農などをするにせよ、人ではあっても余ることは決してないのだ。
そもそも移民してきた人々は新天地を求めに来たのであって、何らかの目的で戦うために来たわけではない。
そうして、アメリカの正規兵の補充は大きく滞ることになってしまった。徴兵という手が無くもないが、それでは移民たちの反発が強すぎる。
そうした移民たちの噂や心配事は、最初は真実ではなかった。兵士になりたがる人間が減っているならば、兵士にする人間を増やせばいい。その考えの元、黒人やアフリカ系の人々が兵士へと仕立てられ、最前線で「消費」されていった。
要するに、弾除けだ。相手に無駄な弾を消費させるための、生きた楯だった。彼らの扱いは劣悪を極めた。
何しろ、戦いで真っ先に消費するものなのだから当然だった。それをしなくてはならないほどに、劣勢を強いられていたということでもある。
しかして、その黒人たちも有限である。奴隷たちを購入するには当然であるが対価を支払う必要があるわけであるし、戦いで簡単に死なせては「元」が取れないことがざらなる。そんなことならば奴隷州で働かせた方がよほどまし、というわけだ。
だが、そうもいっていられないのも事実。やがては、大々的に「在庫」のある南部の奴隷州に対して「徴発」せよという北部州の声が高まり、南部との間で軋轢の一つとなっていく。それがアメリカというものをきしませると同時に、不可逆的な変化をもたらしていく。
斯くして、アメリカは一つの経済の循環を得た。天命の名のもとに進み続け、命を、武器を、あらゆる物資を消耗する侵略戦争を続けるという循環を。
それは黎明期のアメリカの経済の地下鉱脈、あるいはプレートの運動となって、長らく動き続けることになる。
問題の解決---西進の停滞を解決するための派兵や産業の発達が、何時しかそれ自体を目的として動き出してしまう本末転倒の動き。
あるいは手段の目的化。アメリカという国家が、史実から歪にゆがめられ、違う方向へと進んでしまう、その一歩であった。
299: 弥次郎 :2020/06/06(土) 23:35:00 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
以上、wiki転載はご自由に。
フルメタル・ジャケットのオリジナルのタイトルは「The Short-Timers」、つまり短期労働でベトナムでヒャッハーするって意味らしいですね。
それくらい気軽だったってことでもあり、戦後のアメリカの風潮に繋がるんだからちょっとね…
あとは誰か続きをお願いします、もういくつも戦線を抱えるのは難しいです…絶対無理だかんな!(フラグ
最終更新:2020年06月07日 16:34