601: 弥次郎 :2020/06/18(木) 00:05:12 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
日本大陸SS 漆黒アメリカルート 「日露戦争勃発前夜」


 日露戦争の勃発は夢幻会にとっては予想されたものであった。
 ロシア帝国側の傲慢あるいは強欲な要求---不凍港としても当然のように機能する沿海州、対馬、北海道、樺太の割譲、加えて大日本帝国が利権を持つ遼東半島などの割譲、開拓費用、その他付随する利権もろもろ---は予想外であったが。
無論、ロシアとしてはこれはブラフに近い。これで大日本帝国の側から開戦を誘い、自らが戦争を仕掛けられた側に回ることで優位を得ようとしていた。

「勝てればそのまま要求を押し通し、負けても知らぬ存ぜぬでとぼけるつもりだろう」

 とある夢幻会の一員はそう分析していた。沿海州をはじめとした帝国領に攻め入る理由が欲しいのだ。
 あるいは永世中立化という形でロシアの南進を事実上ブロックしている朝鮮半島を遠回しに恫喝しているのか。
例えば、「永世中立化に反発する親ロシア派が朝鮮半島でクーデター」などがおこれば間違いなくロシアは強硬策でも介入してくるだろう。
あるいはそれに準じる行いを、例えば朝鮮王国側が譲歩を行えばそれだけでロシアとしては万々歳といったところだろうか。
 ともあれ、このような要求を直接国民に明かすことはできない。そのような判断から情報統制を敷きつつ、日本はロシアとの交渉にあたった。
ついでに同盟関係にある英国からも圧力を加えさせるとともに、朝鮮王国に対しても念を押しておくなど、外交面での活動に力を入れた。

 他方、要求を突きつけた側のロシアは、案外余裕というものが無かった。
 史実同様に清露密約に基づいてロシア軍が直接朝鮮半島へ展開する道筋をつけ、また、沿海州を多方面から攻撃できる体制を作り上げた。
しかし、順調に言ったのはここまで。問答無用で沿海州へ攻め入るという案が無かったわけではない。だが、比較的沿海州は遠隔地にあたるものであり、極東まではるばる展開して戦うには些か不便であった。同じ条件であるのは大日本帝国側も同じであったが、そうなれば地獄の殴り合い、だ。
ただでさえロシアから見て南西方向、東欧や西アジア方面への南進政策で兵力を必要するかもしれない状況において、二方面の作戦を強いられることになれば如何にロシア帝国とて押し負ける可能性がある。
 また、列強各国のSAであり中立国として振る舞う朝鮮王国をロシア側の失点なく制圧するには、朝鮮王国か大日本帝国の非が存在した方が望ましい。
兎も角、何らかの口実が欲しかったのだ。政治的な問題も絡んで確実な戦果を求める動きは国内でもあり、下手をうてば、南下政策の行き詰まりはロシアの行き詰まりとなりかねなかった。そうなれば、ツァーリズムのロシア帝国とてどうなるかは不明だ。

603: 弥次郎 :2020/06/18(木) 00:06:16 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp

 そんなわけもあり、ロシア帝国軍は国境ともっているアムール川(黒竜江)付近での演習を繰り返してはいたが、日本側のアクションは冷ややかな監視。やるならばどうぞご勝手に、というあからさまな放置プレイはロシア側の願うところではなかった。
まあ、一応監視のための軍が展開しているので望んだような状況になるかもしれなかったのだが、少なくとも日本軍は動かなかった。
さらにはロシア側は清国領土内での演習を行い挑発を掛けたのだが、こちらも朝鮮王国には無視され続けた。
 日本と朝鮮を甘く見ていたロシア側は混乱していたが、傍から見ればロシア側の独り相撲にも見えなくもないのであって、ロシア側の意図や領土欲を見透かすことなど極めてたやすく、少々政治的観点からモノを見ることが出来れば看破できるものであった。

 そして1900年3月。朝鮮王国において親ロシア派および親清国派に対する事実上の粛正が発生したことを契機に、ロシアはその計略が破綻したことを悟る。
一族郎党までまとめて極刑という極端な内部粛正が表ざたになっていること、そしてその粛正対象になった人物のプロフィールが内外に明かされたのは、朝鮮王国がロシアの圧力外交には屈しないということを明確なものであると改めて表明することとなった。
 ここまでくれば、水面下での外交戦争や圧力の掛け合い、あるいは駆け引きなども他国の目に明らかになって来るものであった。
清国の切り取りを進めんとする列強にとっては、ロシアに対する絶好の攻撃対象となり得ると判断して朝鮮王国を支持していたし、少なくとも表立ってロシアの肩を持った発言や行動などができる状況でなくなったことは確かであった。

 大日本帝国は、その裏側に立つ夢幻会としては朝鮮が史実のそれとは異なるのだと改めて認識するとともに、大国ロシアに対して啖呵を切った胆力に驚きを隠せはしなかった。とはいえ、それはこれが日本が大陸であったが故の結果であり、
日清戦争後、いつもの流れとは異なると目ざとく気が付けた朝鮮王国の生存への嗅覚の賜物というべきであろうか。
 ともあれ、そのような態度をあらわにしたことでロシアが黙っているはずもないという確信をもって、夢幻会はその動きを活発にしていく。
極東アジア圏、満州や沿海州、場合によっては史実朝鮮半島付近での戦闘を考慮に入れて武器弾薬食料の備蓄を進め、あるいは磨き抜かれていた艦隊の準備を進めることとなる。極東の地にて日露が相対するまで、あとほんのわずかと迫ったころの話であった。

604: 弥次郎 :2020/06/18(木) 00:07:45 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp

以上、wiki転載はご自由に。
日露戦争勃発までの流れって感じでした。
あとはざっくりざっくり戦争の流れを書いておしまいですかねぇ。
最近低血圧&貧血気味なので辛いです…朝が特に…

(積んである山を見ながら)皆、おらに元気を(ry

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2020年06月23日 10:30