318: 弥次郎 :2020/07/01(水) 22:50:28 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
大陸SRW IF GATE 自衛隊(ry編SS「邪神に抗う者たち」
帝都からの民間人の避難とそれまでの時間稼ぎを行うため大規模な遅滞戦を展開した「スラリット作戦」から数日。
連合及び傘下の企業連はヴォルクルスとその眷属に対する漸減攻撃を続けていた。基本的にデモンゴーレムは土塊さえあれば増えるので、それを適宜減らさなければ何処に赴いて破壊活動にいそしむか分かったものではなく、また、特地の霊的汚染を抑えるためにも必要であると判断されていた。
そして、今日もまた特地の一角で漸減のための戦いの幕が開けたのであった。
ANX-N67G ナイトローアG型をはじめとしたネクストの陣取る火力投射陣地は、定期的にKPキャノンによる収束砲撃をヴォルクルスの眷属の群れに放っていた。
一つ一つが艦砲をはるかに超える出力と威力のそれは、地面を抉り飛ばし、デモンゴーレムやスナピルなどをまとめて吹き飛ばす。
また、ナイトローアだけでなくハイエンドノーマル達も据え置き型KPランチャーによって砲撃を行い、あるいはスナイパーキャノンの射撃を送り込む。
放たれる砲撃のインターバルをついて陣地目がけて眷属たちが迫ろうとするが、そこはナイトローアS型などがインターセプトに入る。
近距離戦闘に特化し、機動力に優れたS型は音を置き去りにする有機的な機動力を発揮して背後や無防備な横から襲い掛かり、一瞬で格闘兵装でバラバラにしてしまう。反撃も襲っては来るが、それを喰らうようなのろまな機体などいない。
また、追従しているのは大量の砲撃型MTも同様だった。弾幕を形成し、一発の威力こそ低いが球数を打ち込むことでじわじわと削り取っていく。
しかし、膨大な眷属の群れに対してはそれ以上の効果を出せていなかった。兎に角、数が多すぎた。それに尽きるのである。
『くそ……数が多すぎる…!』
それは、誰が吐き捨てた言葉か。潰しても潰しても、総量としてなかなか減らないのである。
物量と物量のぶつかり合いは、より物量が多い方が勝つ。これは至極当たり前のことであり、まして相手はユニットを精製しながら進軍しているのである。
対する連合の兵力は弾も消費するしパイロットも消耗していく。どうしようもなく、消耗戦では不利なのだ。
まあ、消耗戦が目的というよりは手が付けられなくなるほど増えるのを防ぐのが目的なので、一定の勝機はそこにある。
機動兵器の群れの一角、ANX-N59 メイルストークのコクピットに納まる虎鶫は、スコープ越しの世界に広がる暴虐にため息をついていた。
(まったく……テスト機体じゃないと追いつけなかったなこれは)
神居がわざわざ使えと言ってきたわけだ、とイクシード・カノン・オービットも動員しながらの制圧射撃と精密射撃を繰り返す。
吐き出されるKPビームの奔流は、従来のネクストではとてもではないが発揮できないレベルで確実に敵機の数を減らしていた。
こうやって大多数の敵を相手にすることも考慮に入れた新世代のネクストなのだからというのもあるが、やはり、従来からあった枷にとらわれていないのが大きい。
『コジマ粒子充填完了……フルブラスト、もってけ!』
展開したカノン・オービットが収束射撃用PAを展開し、KPスナイパーキャノンと同期して極太の光線を解き放つ。
射線上の敵機はコジマ粒子の持つ破壊作用と熱量とに蹂躙され、形を失い、あっけなく消し飛ぶ。
そして、それは決して一つではない。メイルストークはナイトローア同様に試作機ではあるが量産されており、この間引き作戦においても有人機・無人機ともに複数投じられているのだ。インターバルを挟みながらも、フルブラストは連続して解き放たれる。
(……)
ふと、日企連世界でのことを思い出す。
第二次リンクス戦争終結と、第6世代のアーマードコア---通称アーセナルへの発展は、ネクストの開発を半ば停止させるものとなった。
ネクストもAFも企業連残党が散発的に使うばかりであり、現行モデルのバージョンアップ程度で十分対処できるものだったが故だ。
ネクストをはじめとした兵器がまき散らしたコジマ汚染の除去が優先されたといえばそれまでだが、ネクストはそこで歩みを止めてしまった。
319: 弥次郎 :2020/07/01(水) 22:51:15 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
その後、コジマ粒子の無毒化や除去技術が発達した後もネクストが余り用いられなかったのも、コジマ粒子への忌避感や遠慮なく使った自分たち自身へのトラウマが、企業上層部の中で残り続けていたためなのだろうと辺りはついている。無論、その頃自分はリンクスを引退していたので、詳しい事情は
夢幻会を通じて断片的にしか知りえない。
(でもま、人間同士で不毛な経済活動の駒として使われるよりは百万倍もマシだな……)
正直、そう思うのだ。少なくとも今は、人類を守るためにネクストを、コジマ技術を使えている。
かつて世界を破滅させた力、と後の時代で評されたネクスト。なるほど、コジマ汚染とあわせれば世界を滅ぼしてもおかしくはない。
それがさらに発展してあの時代、あの世界で暴れていたら、それこそ人類は地球を捨ててでも新天地を求めたことだろう。
そうして残された地球が、やがてあのVのポストアポカリプスな世界へと繋がっていくのかもしれない。
だが、日企連世界はそうならなかったし、この世界もそうではなかった。一歩間違えばそうなったかもしれなかったが、結果的には良かったのだ。次世代のために土地を開き、改良し、種をまいた。後の時代の人々が受け継いでいってくれただろうと思う。
(なんか、センチメンタルになってしまったな……)
考えながらも攻撃の手は緩めていない。
二丁のスナイパーライフル---KPビームスナイパーライフルと実弾のスナイパーライフルによる連続の射撃で、ピンポイントで破壊しつつ、カノン・オービットやマルチスナイパーキャノンで面として敵機を屠っていく。無論、前衛のナイトローアなどを巻き込まないように注意を払っている。
また、システム面やハード面でまだ荒があるのか細かいエラーや不具合の情報は逐次AMSを介して自分の脳内にダイレクトに送られてくるので、逐次それを裁いていく必要がある。如何に蓄積を元に開発したものだといっても、まだまだ安定して運用できるとは言い難いようだ。
実戦投入ができるのと、制式配備ができるのとではレベルが違って来る。まだまだ実戦におけるデータ収集が必要なのだろう。
「…!引き上げのサインか」
その時、引き上げのサインであるコードが回線で通達される。
見れば、無人機のMT達やノーマルACが用いていた据え置きのKPランチャーなどは既に打ち切りのようだった。
無論、ネクスト組だけで攻撃を継続しても良いが、そうなると今度は眷属たちの攻勢を受け止めきれなくなる可能性が高い。
加えて、今虎鶫が同期しているネクストも、まだ不安定で何が起こるか分からないのだから、リスキーなことは避けるべきだろう。
「ここまでだな…」
オペレーターに撤退を告げると、残っていたKPミサイルを一気に打ち切り、離脱を開始する。同じく間引きを担当していた部隊も、だ。
消化不良な感覚が残っているが、無理は禁物。というか、多少の無理は誤差の範疇にしか収まらない。ならば、有意義に過ごすべきだ。
この後にも次の部隊がやってきて、間引きを引き継いで実施することになっているのだし、と虎鶫は呟く。
(だが…)
心配なことは一つ。ヴォルクルスを完全に撃滅できるか、という点だ。
ISA戦術で殴りこむのは決まっているし、可能な限りの戦力と精鋭を集めて行うことは知っている。
ヴォルクルスの方も、嘗て相対した本体というよりもどこかの世界の生まれの模造品らしいということで勝機も見えている。
だが、あと一歩。何かが足りない予感がするのだ。決定的な違いを生み出す、何か、ジョーカーの様な存在が。
何故だか、それがひょいと顔をのぞかせそうな予感もする。何ら根拠のない予感だが、外れるような気がしないのも確か。
(考えすぎか……)
飛び上がった上空、ハッチを開いてこちらを迎え入れるリガウ級を確認し、虎鶫は自嘲の笑いを浮かべる。
だが、実際のところ、彼は失念していたのだ、今自分達がいるのがSRW時空であることを。
320: 弥次郎 :2020/07/01(水) 22:52:30 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
【メカニック紹介】
ANX-N59 メイルストーク
《諸元》
製造・設計:企業連合共同開発機構
生産体制:性能実証機
操縦方式:試作型第五世代型AMS 補助電脳並列処理
機種区分:アーマードコア・ネクスト
カテゴリー:中量四脚
装甲材:ナノマシン装甲
動力機関:コジマ機関(ダブルドライブ)
特殊機関:テスラドライブ
防御機構:プライマルアーマー
特殊装備:エジェクションポッド
FCSおよびOS:ANX-OS
武装:
アサルトライフル
KPビームスナイパーライフル
マルチスナイパーキャノン
チェーンガン
肩部シールドユニット(KPマイクロミサイルポット)
イクシード・カノン・オービット
概要:
企業連において試作されたネクスト。
ダブルコジマドライブシステムなどを採用した新世代のネクストの試作機の一つで、こちらは四脚型のテスト用に開発された。
これまで四脚ネクストは狙撃戦というイメージがついて回っていたが、ダブルコジマドライブの採用により殲滅力や火力に重きを置くようになっており、より攻撃的な側面が強く出るようになっている。実際、カノン・オービットや搭載火器のダブルコジマドライブの採用による火力向上は顕著であり、量産型AFクラスの火力も平然と発揮できるようになっている。
321: 弥次郎 :2020/07/01(水) 22:53:14 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
《武装紹介》
標準的なBFFのネクスト向けの実弾ライフル。
中距離射撃戦を重視しているためか、連射レートを抑え、精度と射程を優先した設計となっている。
KP式ビームを用いたスナイパーライフル。極めて単純な、しかし信頼性の高い機動戦闘向けの狙撃銃。
KP式ビームとレールガンの二種のスナイパーキャノンを束ねた実験兵装。
砲身をテスラドライブによる仮想砲塔によって構成しており、出力を調整することで中距離から超長距離まで適合する。
近・中距離における迎撃用の兵装。実弾を採用しているのは、主兵装がKP式であり、そちらにコジマ粒子のリソースを割くためと思われる。
外付けのマイクロミサイルポット。弾幕形成に使われる。
機体各所に配置されたイクシード・オービット。狙撃に特化した分落ちている殲滅火力を補うために、一つ一つがKPカノンを内蔵している。
スナイパーライフルもしくはスナイパーキャノンとあわせたPAによる収束射撃も可能であり、この機体で最大の火力を持つ。
後の四脚ネクスト達にも様々な形を以て引き継がれることになる。
リガウ級航空母艦
全長等:富岳級に準じる
概要:
大洋連合から大日本企業連合に払い下げられた富岳級を元にした空中母艦。
ネクストの運用がメインとなることから専用のハンガーや整備区画を設置したほか、武装なども企業側のそれに合わせた形となっている。
据え置き型KPランチャー
砲身長:11.2m
全長:21m
概要:
ネクスト以外でも大出力のコジマ兵器を使えるようにと開発されたKP式のビーム兵器。
小型ながらもコジマジェネレーターを搭載しており、粒子生産が尽きるまで強力な砲撃を行うことができる。
六本脚とホバーによる自走式となっており、ほとんど構造的にはMTなどにも近い。
322: 弥次郎 :2020/07/01(水) 22:54:10 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
以上、wiki転載はご自由に。
ヴォルクルスとの決戦前の一幕を。
ZOTはまだお待ちください…
他の世界線の観測をやったり、リアルが忙しさを増したりしておりますので…
最終更新:2023年10月10日 23:14