246: 弥次郎 :2020/07/05(日) 00:05:54 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
日本大陸SS 漆黒
アメリカルート 「キャラバンの一幕」
土産話?そうだな……色々とあったが、一番は米連でキャラバンに同道したことだろうな。
何故かって?そりゃあつくづくあの国と離れている幸運を噛みしめる契機になったからだ。
キャラバンって何かって?要するに、隊商だ、街と街を結ぶ集団だよ。
知っているかもしれないけれど、米合との国境に近い米連の街は大体が要塞化されているんだ。人攫いを避けるためにもね。
だけど、何時まで籠っているわけにはいかない。交易をしたり、外と行き来をしないと生活していけるわけがない。
畑を持っていればそこに行かなくちゃならないしな。で、狡猾な人攫い共はそういう行き来をする人間や外に出て働く人間も狙う。
だから安全を徹底するためにキャラバンを組んで、集団で効率よく移動するってわけだ。
米連だとマフィアが抱えている警備会社が戦闘訓練を受けた人員をだしてくれるからさらに安全だな。
おまけに、ただ道のりで守るだけじゃなくて、事前の訓練……キャラバンで行動する際の知識とか、襲われたときにどう対処するかとか、自分の身を守るための武器の使い方を教えてくれるのもありがたかった。無論金はかかるが、命には代えられないさ。
いや、ただ殺されるだけならまだマシか……あの国にさらわれたら、どんな目に遭ってもおかしくないしな。
ケンタッキーの戦いを知っているだろう?あの時のことを考えれば、捕まったら人間以下の扱いをされるのははっきりしている。
米合から逃げ出してきた人間からの証言もあるし、あの国の人間を同じ人間と思わない方がいい。
と、話がそれたな。
ほら、これが配られた教本だ。基本的にキャラバンのリーダーが事前の計画を定めておいて、実際に指揮をして移動する。
休息のポイントや夜営の場所を決めたり、警戒態勢をどう敷くかを決めたりする。一つの集団は極端に大きくなることはないけど、大きくなれば指揮を執るのも楽じゃない。食料や水の問題もあるし、病人が出たりすることもあるしな。
そして、一番の心配事はやはり人攫いだ。奴らもただ襲うだけじゃなく、夜討ち朝駆け奇襲など何でもありだ。
即席のトラップを仕掛けたり、行軍予定の道を意図的に荒したりして動きを鈍らせて、襲撃を仕掛けたりする。
時には同じキャラバンに化けてくることもあるからな……全く油断ならない。今では隊商旗や旗指で判別したり、いきなり相手には近づかず遠距離から信号で所属を伝え合うとか、そういう工夫で対策をしているらしい。
247: 弥次郎 :2020/07/05(日) 00:06:51 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
あとはキャラバンといえば、火器の支給があったことだな。
言ったろう?自衛が前提だってな。だから、キャラバンに加わるなら武装しなくちゃいけない。最低でもリボルバー拳銃は持っていないとな。
あとは鉈のようなものとかだ。行軍の時には、時に道が悪い時もあるし、何かと作業をするときに便利だからな。
これを持っていないと人攫いに襲われたときに逃げるしかなくなる。無防備になると周りにも迷惑になる。自分の身は、自分で守る。
それに、さっきも言ったが捕まったら人として死ねるかどうかもわからん相手だ。いざってときはけじめをつけるためにZ銃を渡されたよ。
Z銃……ああ、石動の作った護身用拳銃のことだ。2発しか撃てないが、誰でも最低限身を守れる。そして、捕まりそうな自分を殺すのに十分だ。
まあ、渾名らしいがなZ銃というのは。プランAからYまで全部だめだった時のプランZ、つまり…そういうことさ。
もちろん渡されたときは訓練をしたよ。整備の方法から故障した時の修理の仕方、安全な使い方、実際に撃つところまでね。
で、実際はどうだったかって?
幸運にも人攫いには遭わなかったよ。まあ、それほど長い距離の移動ではなかったから。でも緊張感は常にあったよ。
何時鉢合わせするかも、何時襲撃があるかもわからない。眠る時でさえも安心できない。むしろ夜間こそ襲われる可能性が高い。
僕たちでさえ緊張を強いられたんだから、警備を担当するマフィアの人たちはもっと大変だっただろうね。たくさんの人の命と財産を背負っているんだから。
だからこそ、比較的安全な街に入ることが出来たときは安心したね。思わず緊張の糸が緩んで倒れそうになったくらいだ。
でもすごいものだよ、あちらの城塞都市というのは。壁で街の周りを囲うのは当たり前で、水堀を張り巡らせたり、土塁を築き上げて囲ったりとね。銃眼もついているし、登ってこれないように構造が特殊だったりと色々と工夫されていた。
夜間でも警備が敷かれているし、訓練を受けた犬が常に巡回している。おまけに武器が常に手に届くところにあるっていう徹底ぶりさ。
機関銃が置かれているのは当たり前だし、銃以外にも槍とか剣とかそういう武器も備蓄されているんだ。まったく物騒な話だよ。
そんなものを用意しないといけない連中がいる時点で、今更ではあるけれどね。
そうだね……一番はやはり意識が高いことだね。
自分の身は自分で守る。そういうのが徹底されているよ。常に備えていないと、何時平穏が失われるか分からない。
緊張感というべきかな。勿論、良い意味でも悪い意味でも米連の人々は危機に備えている。一歩間違えば取り返しのつかないことになりかねないけど、備えずにいることの方がよほど恐ろしいってわけなんだろうね。ウチの国だって、災害が多い。それに、米合と接していることに変わりはない。
全部が全部とは限らないけれど、参考にすべきところはあるんじゃないかと思うよ。まあ、あくまでも彼らの姿を見た僕の主観、だけどね。
さて、土産話の続きはまた今度にしよう。次はもっと明るい話をしてあげようかな。土地の名物料理とかね。
248: 弥次郎 :2020/07/05(日) 00:07:39 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
【アイテム・企業紹介】
石動重工33型回転式拳銃(Type-33 Movestone revolver、キャバラン・キーパー)
種類:リボルバー拳銃
機構:シングルアクション 振出式弾倉
装弾数:6発
概要:
米連および大日本帝国加州(一部カナダ)において普及した民間向けのリボルバー拳銃。
名前の通り、国境沿いの町や村を結ぶキャラバンに支給されることを前提としたモデルであり、軽量化・整備性・耐久性に重点を置いて設計と開発が行われており、シンプルで扱いやすく、荒い扱いにも耐える。
一方で、軍用モデルに比べて射撃精度や射程にやや劣るところがあるが、ある種トレードオフと言える。
石動重工18型騎兵銃(Type-18 Movestone Carbine)
種類:ライフル
機構:ボルトアクション
概要:
キャラバン向けに製造販売されたライフル。現在で言うところのカービン銃の走りとも呼べる。
元々騎兵向けに開発された過去を持つカービン銃は、馬などに乗って移動するキャラバンにとっても合致するものであり、転生者知識として知っていた石動重工(ムーヴストン・ファイヤーアーム)の開発者が設計した。
通常のボルトアクションライフルと共通の弾薬を使う為補給面でも融通が効くなど、当時のカービン銃にあった欠点を補った設計なのもその一環。
当然、命中精度や威力、初速などは劣っていたが、許容できる範囲であったことから民間用の銃として普及した。
石動重工11型自衛拳銃(Z Gun)
種類:護身用拳銃
機構:中折式 シングルアクション
装弾数:1発(若しくは2発)
概要:
加州において生産された護身用拳銃。モデルはレミントン・デリンジャー。使用弾は.41shortリムファイア相当の弾。
マンハンターと鉢合わせになる可能性が高い米合との国境沿いにおいては、正規軍や警察組織によるフォローや封鎖が間に合わないことが多く、民間人は自前での自己防衛のための銃火器を用意する必要に迫られていた。本銃はその一環として開発されたもので、誰でも手軽に使用でき、尚且つ携帯しやすく、とっさの際に発砲して身を守るというコンセプトで開発されている。
そのサイズも小さく材料費や製造コストが抑えられることから値段も安くメンテナンスもたやすいためかなり普及しており、スタンダートとして普及した。
ゼットガンという名称は、正式なものではなく「石動重工11型自衛拳銃」「ムーヴストンM11SDG」が公式な商品名である。
この拳銃のコンセプトや実際の運用においてどうにもならない状況において最後の最後に使う拳銃という認識から、「Z Gun」と渾名がつけられたことでそれが普及した。即ち、マンハンターに捕まりそうな状況で最後での抵抗、自決用としても使われたことに由来する。
ムーヴストン・ファイヤーアーム
概要:
加州に存在する銃器メーカー。日本のブランド名は石動重工。
創業者が石動さんなので、英語圏向けに名前を弄ってムーヴストン。こらそこ、ブリジストンと同じとか言わない。
249: 弥次郎 :2020/07/05(日) 00:08:30 HOST:p2580066-ipngn200609tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp
以上、wiki転載はご自由に。
キャラバンについての小話を。
銃についてはふんわりです。
最終更新:2020年07月12日 23:02