713: 陣龍 :2020/07/10(金) 21:59:46 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp
「あのアニメを思い出すな…まさか空想が形を変えて現実になるとは」
「アニメ?……あぁ、あの美人な貴族がクッソ笑えるダセェ名前を堂々と名乗り上げたヤツか」
「悪意ある切り抜きだがまぁそれだ。後名前の事は言ってやるな」
「だが俺達が行く先は中世風ファンタジー世界では無くて、ヤクでイカれた連中より狂った『化け物』共の住処だ。全員、油断するんじゃねぇぞ!」
「「「ウーラー!!」」」
――――M2 ブラッドレーに乗り込み『ゲート』先へ侵攻する兵士達の雑談。既に自分達の世界で捕縛した虐殺犯からの尋問により『ゲート』の先が異世界、それも飛びっきりのドス黒い『アメリカ合衆国』で有る事を知らされている為に、侵攻する兵員全てがそれぞれなりに相応に覚悟を決めていた。
「……見た目だけは、まぁ何と言うか……」
「『
アメリカ』っぽさが有る、ってか?」
「奇襲で制圧した複数の民家が完全にトーチカだったけどな」
「そして俺達アメリカ軍を見て混乱したのか襲い掛かって来たのは、軍服も付けていない人狩り連中に古臭い軍服の兵士。本当に、『異世界』だな」
――――『ゲート』を超えた瞬間に四方八方から銃撃されて複数負傷者が出たモノの、アメリカ軍らしく問答無用の火力掃射にて抵抗戦力を一掃した後に、周囲を確保した兵士達による巡回と陣地構築中の会話。異世界とは言え『アメリカ人』を多数射殺した事に拒否反応を示した兵士は一人も居なかったが、この日の夜にこの世界特有の【洗礼】を受ける事に成る。
「撃て!撃て撃て撃て!」
「畜生!あいつら一歩足りとも止まる気配がねぇぞ!!」
「マジでヤク中かゾンビと戦ってる気分だ!ほらよっ、補充の弾だ!」
「サンキュ!全く、祖国
アメリカに感謝だな!!絶対に弾が切れる事は無いんだからな!!」
――――大馬力にて『ゲート』周辺に臨時野戦築城要塞を構築した当日の夜に、漆黒
アメリカから多数の『敵兵』が来襲し、これをある程度予期していたアメリカ軍により、
多数の照明弾を打ち上げながらの一晩中に渡る防衛戦を決行。的確な機銃掃射と迫撃砲や各種重砲、戦車砲等によりその晩アメリカ軍に大した被害は出なかった。
物理的には。
「……嘘だろ、おい」
「ホーリー シット……」
「なんだよ……何なんだよコレは!?俺達が、俺達が昨日の晩撃ち殺しまくっていたのは……!?」
「……この世界は……いや、この世界の『アメリカ合衆国』は……」
―――― 一晩明けた後に戦況見聞をするまでも無く、陣地の外に積み上げられた多数の死体には数えきれない『女性』『未成年者』が含まれており、しかも表情を見るからに何らかの薬物を投与されたと思わしき異様な容姿をしていた者が見受けられた事に、計り知れない衝撃を受ける
アメリカ兵。
彼らもまた、漆黒
アメリカの【洗礼】を受けたのだった。
714: 陣龍 :2020/07/10(金) 22:01:13 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp
「……白旗?軍使か?」
「かもな……だが、警戒は怠るなよ。万が一敵の兵士だったら……」
「我々は!大日本帝国と!イギリス連邦カナダ!
アメリカ連邦の使者です!!貴軍の上官と対話を申し込みに参りました!貴方達の敵では有りません!!」
「「「「…………………はぁ?!」」」」
――――『ゲート』の周辺地域を制圧、拡大を続けるアメリカ軍の偵察隊に接触を図った、この世界の大日本帝国ら反米合連合のエージェント。
敵勢力のど真ん中に乗り込んで来たその能力と度胸云々よりも、何故に大日本帝国が北アメリカ大陸に出て来るのか、一瞬理解が追い付かなかった史実アメリカ兵であった。
「畜生……帰りてぇ」
「……泣き言言うな、鬼も逃げ出す海兵隊員が」
「……おめぇだって、今にも吐きそうな顔してんぞ陸軍さんよ」
「……此処が敵地じゃ無かったら、遠慮なくぶちまけてるわ」
「……だがよ。……一体、どうすれば良いんだ」
「……知るかよ」
――――周辺地域を制圧する中、偶然にも、そして不運な事に『ゲート』近隣の中規模程度な『牧場』に入り込んでしまった史実アメリカ陸軍と海兵隊員。
『それら』を視野に入れた瞬間、周辺警戒すら忘れて十分近く、定期報告の通信が入るまで完全に呆けると言う、鍛えられた軍人にあるまじき姿をさらしていた。
後に増援に来た兵士達も、皆例外無く良くて茫然と、大多数は近くで嘔吐し、悪ければ気絶する魔境と化した。
「どうしてこうなった!?どうしてこうなった!?どうしてこうなった!?」
「何でだよ!?『ゲート』とか言うファンタジックな代物が繋げた先が何であんな並行世界の地獄絵図何だよ!?一体どうしてこうなった!?」
「そうだ、これは夢なんだ。寝て朝起きれば、あの『ゲート』が繋げた先は巨乳エルフやロリ魔法少女の居るファンタジー世界なんだ(錯乱)」
「『ゲート』の先に行った兵士達が多数心を病んで後送されたり出て来る情報が生半可は悪の帝国顔負けでホント異世界は地獄だぜフゥハハハァー!(発狂)」
「もうこうなったら『ゲート』を無理矢理にでもぶっ壊すしか無いんじゃ無いかな!?」
「既に専門家とかが調べているが、『ゲート』は完全なる未知の物質で刃物もドリルも、機銃掃射や爆破ですら傷一つ付けられていないそうだ……」
「どうしてこうなった!?どうしてこうなった!?どうしてこうなった!?」
――――次々と出るわ出るわの漆黒
アメリカの情報の狂気度の深さの前に、SAN値チェック失敗して大混乱に陥る
アメリカの役人や軍人達。
自分達の世界の歴史でも類を見ないと言うか一つも無いレベルの狂気的国家体制を直視してしまえば、こうなってしまうのもむべなるかな、と言うしか無いだろう。
715: 陣龍 :2020/07/10(金) 22:07:01 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp
以上、報復として誰彼憚る事無き『正義の戦い』を掲げて何処かしら意気揚々と地獄に吶喊してしまった史実アメリカ軍兵士達の群像絵(?)でした
正直異世界で完全な無関係とは言っても自国と同じ名前と同じっぽい容姿の人間がクトゥルフ神話も逃げ出すドス黒政策を長年続けてそれが『正義』と堂々と掲げられてるのを見たら、
アメリカさんが狂うレベルで済まない精神的打撃受けそう()
最終更新:2020年07月12日 23:11