967: トゥ!ヘァ! :2020/07/12(日) 19:02:21 HOST:FL1-118-109-165-4.kng.mesh.ad.jp
漆黒世界 アメリカ合衆国解体



第二次世界大戦。
主に日英蘭西米連その他vs独伊ソ+米合(独伊ソと米合は同じ陣営ではないの)による大戦であったが、なんやかんや日英その他の連合陣営が勝利した。

戦後の仕置きとしては一々直接面倒を見る気がなかった独伊ソは領土を幾分削った後にはそのまま独立を維持させることとなる。

打って変わって北米の方では米合ことアメリカ合衆国の完全解体が決まっていた。
人攫い、人体実験、奴隷経済etcetcと散々好き勝手やってきていたため、独伊ソと違って彼らは存在しているだけで周辺国の気が休まらないのである。

これは戦前から日本、カナダ、米連ことアメリカ連合国の間で決まっていたことであったが、これがとにかく難航した。

なんせ大戦中からして大分勝手が違った。
独伊ソは割と素直に降伏し、中国の方もそう苦戦することもなく爆散させることに成功したが、米合はそうもいかなかった。

要塞化された都市圏に各地に存在する秘匿されたバンカー、また後方ゲリラと化したマンハンターなど日加米連が本気で攻め込んでいるのに遅々として攻略が進まなかったのだ。
幸い戦況は日加米連の優位に運んでいたが、結局欧州戦線が終結するころになっても米合全土の半分を制圧が済んでいなかったと言えば、どれほどのものかわかるであろう。

最終的には終結した欧州戦線やアジア戦線からも戦力を回し、更に戦後の復興支援を対価に降伏した独伊ソの兵隊も北米戦線に投入。
駄目押しに世界初となる原爆投下も行いようやっとのことで米合を下すことに成功。

結局北米戦線が終結したのは欧州戦線終結から丸2年立ってのことであった。


そして最大の問題となるのが戦後の旧米合地域。
戦火により焼け果て、文化も違えば経済様式も違う地域の扱いに日英その他の国々は頭を悩ますこととなる。

一応は日本、米連、カナダなどの近隣諸国は戦勝報酬として国境付近の幾つかの土地を現地住民を追い出す形で自国へ併合したが、それでいてなお大多数の米合地域は残っていた。

更に言えば少なからず生き残っている米合国民も問題である。素直に降伏してくれた分はまだマシで、未だ各地に潜み暴れ続ける脱走兵やマンハンターなども問題であった。

正直言って旧米合地域を馬鹿正直に統治したくない。戦勝国全ての内心はこれであったのだ。

そこで日英が導き出した答えが敗戦国に押し付けるという案である。
戦争の影響により食料生産から経済まで滅茶苦茶となり大量の国内難民が発生している独伊に対して本土への追加支援を条件に旧米合地域の統治を持ちかけたのだ。

国民全てを食わせていく手段に乏しかった独伊はこれを承諾。
こうして旧米合地域への独伊の植民地が誕生することとなる。また同じく戦争の影響で経済的に困窮した国民の多い東欧、南欧ではこの動きに便乗するように北米に建設された独伊植民地へと大量の移民が発生している。

因みに独伊とは別にソ連は中国地域の後始末の方に駆り出された。

また独伊だけではまだ足りないと日英は共同して旧米合地域にユダヤ人国家を建国を計画した。
これはナチス政権であったドイツを怨敵としているユダヤ人を引き込むことで旧米合地域が再度団結することを防ぐ目的もあった。

全世界のユダヤコミュニティはこの動きを積極的に支援。北米の地に独伊植民地に続きユダヤ人国家である「ユダヤ共和国」が誕生する。

なお独伊ユダヤの入植が進んだ後に幾度かユダヤ共和国と独伊植民地の対立が度々問題となるのだが、周辺国の説得(と言う名の脅迫)で、そのほとんどは小規模な衝突程度に収まることとなる。

968: トゥ!ヘァ! :2020/07/12(日) 19:02:52 HOST:FL1-118-109-165-4.kng.mesh.ad.jp
こうして旧米合地域の分断と上塗りは進んでいく。
まだ話のわかる旧米合の中流階級はその腕を買われ積極的に新たな現地政府に雇用されていったが、反面一部の上手く取り入った個人を除いて上流階級の殆どは没落の道を辿ることとなっていた。

旧米合の大企業や財閥は当人たちが想像していたよりも温い罰則のみで終わった。
財閥の解体や企業の再編命令は受けたが一切合切存続を許されなかった政府機関と違い、看板を変えて生き残れたのだ。
無論マンハント企業や備品製造会社などの悪質な企業は取り潰されたが。

彼等企業経営陣や株式を持つ上流階級はこのことに「流石の日英も現地の統治には自分達上流階級の力が必要なのだろう」と胸をなでおろした。
しかし別段そんなことはなかったのだ。

まず最初にやってきたのは現地に乗り込んできたユダヤ系財閥による買収攻勢であった。そもそも米合企業の多くは持ち株の少なくない割合を米合政府が持っていたため、政府解体後はこの余った企業株を日英がユダヤや独伊の企業にばら撒いたのだ。

結果元々戦争で疲弊している点と合わせ米合企業や現地資産の多くはユダヤ・ドイツ・イタリアに買収されていった。
中には抵抗を示した企業や資産家もいたがそういった人々はいつの間にか姿を消すか川や海に浮かぶ羽目となった。
そしてこの件に関して日英や周辺国は一切の嘆願を無視し、捜査は行われずに終わった。

ここに来て旧米合上流階級は理解した。自分達は許されたのではなく、新しく現地にやってくる支配者たちの前に差し出された獲物だったということを。

ユダヤ資本や独伊資本に買収された企業は経営陣の多くを自国もしくは自民族の人間へと切り替えていった。
無論既存の経営陣もそんなことすれば会社が傾くと反論したが、元々米合企業の多くがその労働力を備品に頼ってきていたため経営陣が変わろうと変わらなかろうと、どのみち大きな改革が必要とされていた。

何より現地の米合企業を買いあさったユダヤや独伊は実質一から全て作り直すつもりであったため、悪名しか残っていない既存の経営陣に価値を見出していなかったのである。
一々金を出して正式に買収していたのは「これは自分の物」だということの証明を残す以外の意味は存在していなかったのだ。

こうして旧米合における大企業のほぼ全てがユダヤか独伊資本のものとなり、その経営を行っていた人物や一族の多くは追放される憂き目となった。無論その殆どにおいて退職金など用意されなかった。

ここで謎なのがユダヤはともかく独伊はそれら企業を買い取るための資金をどこから手に入れたのかと言う点であるが、それに対しては明確な理由が存在していた。

単純に現地に残されていた旧米合上流階級から無理矢理資産や資金を分捕ったのである。
現地政府が解体された関係上、法令に関しては新たな現地政府となった独伊及びユダヤの好きにできたという点が大きい。

彼等は戦後復興の大義名分の下に各地の残されていた資産や資金を合法的に没収していったのだ。
無論中にはそれに抵抗する人間も存在していたが、独伊はそれらの人々に銃を突きつけ家財を提出させた。
銃を持ち立ち上がった人々もいたが、そういった人々は反乱分子鎮圧を名分とした独伊軍に蹴散らされ終わった。

旧米合の上流階級はこのことについて「戦後復興を大義名分とした暴虐だ!」と日英を始めとする戦勝国や元は同じ国であった米連に助けを求めたが、当の日英米連は冷めた目線でその意見を切り捨てた。
日英と米連は元から旧米合の上流階級を助けるつもりなどなかったのだ。

結局のところ。先ほど話したように旧米合の上流階級の殆どは没落し、その姿を消すこととなる。
企業に関しても看板も人員も全て取り換えられ全く新しい組織として出発していった。

落ちぶれた元上流階級の人間はそのまま労働者として働くか、未だ蔓延るマンハンターや脱走兵に与し遠からず新しい現地政府に討伐されるか、もしくは野垂れ死ぬこととなる。

969: トゥ!ヘァ! :2020/07/12(日) 19:03:25 HOST:FL1-118-109-165-4.kng.mesh.ad.jp
さて。最後に備品こと米合の奴隷兵の話をしよう。
生来の教育と薬漬けによりまともな生活が送れないであろう彼らの保護は戦前から周辺国を悩ましていた。

そして戦後においても勿論問題となった…なったのだが、日英は悪い意味で想定を裏切られることとなる。
想定よりも生き残っていた奴隷の数が非常に少ないのだ。

理由は簡単。当時の米合が保有していた備品の多くは政府へと徴収され工場及び戦場へ投入されたせいである。

彼等戦場に投入された備品兵の多くは生きて戻らず、工場で運用されていた備品も連合軍の爆撃で焼かれるか、戦争末期の際に兵力として戦場に送り込まれるなどして数を大きく減らしていた。

結果戦後に連合軍が保護できた奴隷の数は当初の想定の1%未満という非常に少ない数字となってしまったのだ。

このため戦前から日英が構築していた米合奴隷保護プログラムに基づいて保護された奴隷の数は非常に少なく、日英を始めとする各国の負担は想定よりも少ない額で済むこととなった。

保護された備品こと元奴隷の多くは“人間”としては復帰できずにその人生を終えてしまったが、極一部の若い人々がどうにか人間に成れたのが数少ない救いであった。
その後北米の各地に備品として消耗された人々の鎮魂を祈る鎮魂碑が建てられることとなる。

2000年代現代においても米合地域で消耗された奴隷の正確な数はわかっていない。

970: トゥ!ヘァ! :2020/07/12(日) 19:03:57 HOST:FL1-118-109-165-4.kng.mesh.ad.jp
投下終了

米合解体に関しての話を。

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最終更新:2020年07月12日 23:13