875 :第三帝国:2012/01/21(土) 23:40:24

ユリアンの日記


宇宙暦79×年 11月某日

ニホンへ引っ越すことが決まった、それを機会に今後日記を記そうと思う。
今から7年前、同盟が「もっとも古く、新しい国」と出会った際の騒動はよく覚えている。
というよりも、あまり仲がよくなかった祖母が僕に嬉しそうに語っていたからかもしれない。

しかし、僕はここで印象は残っていても、
知性的な意味でニホンについては無知に等しいことに気づいて、
とりあえずニホンに行ったことのあるヤン准将にニホンについて聞いてみた。

「驚きの連続だったね」
「准将でも驚くことがあるのですね」
「おいおい、私をなんだと思っているんだい」

首から下は不要の人、と答えたら先輩め、と苦笑しつつ何冊かの書類を僕に渡した。
どうやら軍が纏めたレポートらしく堅苦しい印鑑が押してある。
機密上まずいのではと言ったけど、どうやらヤン准将が独自に纏めた資料らしく、公開してもよいものらしい。

「准将も働く時があるんですね」
「いや、これは趣味だよ」

准将は怠け者だった。



宇宙暦79×年 11月某日

宇宙船では准将やその他の人々と一緒に3次元チェスをして時間を潰している。
思えばこの年の春に准将の家に引き取られてから随分駆け足で楽しい生活だった、いや、であるだ。

「ん、どうしたユリアン」
「いえ、なんでもありません」

宇宙風が強いらしい。
随分と揺れる、気持ち悪い。

876 :第三帝国:2012/01/21(土) 23:41:26
→875の続き

宇宙暦79×年 12月某日

驚きの連続だ。
イゼルローン並みの要塞、いや宇宙船。
さらには各種防御施設、書類で事前に知ってはいたけど改めて見ると凄い。

難航不落の要塞地帯とはこのことかもしれない。
だからだろうか、僕はつい准将に尋ねてみた。

「准将ならどうやってここを攻略しますか」

「うん、残念だけど前提として敵対する方が間違っているかな。
 戦史上二正面作戦で成功を収めたケースは極めてまれだからね。
 それにこれじゃあ、イゼルローンと違い移動宇宙船を中から攻略して他の防衛施設が残っているから少し難しいな」

凄く参考になった



宇宙暦79×年 12月某日

今日ほど初めてと驚きの連続はなかっただろう。
ぼくは同盟から派遣された近年有力な軍人の非保護者ということで、
ニホン側の人と初めましてと挨拶だけでで一日が終わった、

驚いた点について特に印象に残るを取り上げると。
まず、なんといっても惑星周囲に浮かぶ港の巨大さ。
今まで立体TVや写真で見ていたけど、やはり実物が与える印象は違った。

今日はもう遅いので、
一度港のホテルで一泊してから、明日帝都に降り立つ。
非常に楽しみだ。



宇宙暦79×年 12月某日

帝都にある同盟の大使館近くにある、一軒家がぼくと准将の新しい住居だ。
なんでも、ニホンの貴族が所有していたと言われる家で部屋の飾り、彫刻の一つ一つが見事なものだ。
それと家に来てから、ヤン准将の気分は大変よろしいらしいからそのわけを聞いてみた。

「僕の給料ではこんな家は買えないからね」

そう言いつつ、部屋の飾りを食い張るように眺めていた。
それ以外の理由があったのはのは明確だった。



宇宙暦79×年 12月某日

ニホンの首都、いや帝都はコンクリートジャングルな同盟の首都と違い、
建築制限がされた銀河帝国首都のようにどこか古く、同時に緑豊かな場所だ。

今日はヤン准将の付き添いで、連合艦隊最高司令長官ことシマダ大将と対面した。
同盟にいたころ時からインフラネットで随分と騒がれたから知ってはいたけど、実際の人物はすごく美人だった。

見た目歳は15、6程度で背は150センチ程。
眼はグル―ン、髪は黄色、というより黄金と表現していいほど見事な金髪だ。
擬体を使用しているらしいけど、生身の人間との差が見えない。

ニホンの貴族階級出身らしいけど、気さくで、冗談も言うしすごくいい人だった。
ただ、そんな彼女が50歳超えた人であると思うと少し残念な気持ちに襲われる。

「君がユリアン君か?なるほど、いい眼をしている。」

自分より少し背丈小さい少女?から年上のような言葉を投げかけられるのは違和感を覚える。
その後、将来は軍人になりたのか?と問われた時ぼくは、はいと答えて。

「それは法に定めた義務にしたがってか?」

シマダ大将の反応はこちらを探るような感じだった。
だからぼくは堂々と自分の本心を打ち明けた。

「ヤン准将の傍にいたいからです」

そしたらシマダ大将はおもしろそうにぼくを見て微笑んだ。
その姿がなんというか、凄く様になっていたから正直どきり、とした。

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最終更新:2012年01月29日 20:39