97 :YVH:2012/01/23(月) 09:11:43
昨日投稿の→32の後半です。
-大日本帝国軍、試製・都市級改機動要塞「シラサギ」ー
-シラサギ内、要塞司令部兼艦橋-
「跳躍成功。各部署、状況知らせ」
オペレーターの指示に各部署からは、異常無し、問題無し等の報告が上がってきた。
それを提督席の傍らで聞いていたシラサギ司令大日本帝国軍中将・池田厚政「侯爵」は
本来、彼が座る席に腰を下ろす女性に声をかけた。
「殿下、この後は?」
声をかけられた女性、四品女王・月詠宮皐月は正面の大画面3Dスクリーンを見詰めながら答えた。
「まずは同盟の方々に挨拶を。その後、このシラサギで目的地手前まで移動。現地へは艦隊で参ります。
ですので、同盟の方々をシラサギに招待なさい。勿論、艦隊ごとね」
そんな宮様の言葉に池田侯は唯一言、御意、と答えた。
それに一つ頷くと、彼女は立ち上がり艦橋を出ようとする寸前、
参謀長の本多少将に声をかけられた。
「殿下、お待ちを」
その声に振り返り、参謀長に先を話す様、目で促す。
「万が一、妨害等が御座いましたら対処はどの様に?」
最初、同盟は日本が銀河帝国に接触するのを非常に嫌い
あの手この手で遅延工作を行ってきたのだが、その態度に
苛ついた日本政府が、強い調子で抗議し
(抗議と前後して、日本へ派遣した使節団から詳細な報告が届き、同盟側が軟化)
漸く、ここまで来た経緯から、参謀長は何かあると読んでいた。
その言葉に宮は、笑みをたたえて答えた。
「ふふふっ。その時は[遺憾]だけど、
不幸になって貰いましょう」
その言葉に少将は唯、一礼する。
その後、同盟艦隊に対し、こちらの代表が招待したい故
こちらに艦隊ごとお越し下さい、とシラサギから通信が入り
折り良く(悪く?)盤古艦橋に居たキタザキ氏が司令官を押し切り
結果、同盟艦隊は、シラサギの賓客となった。
98 :YVH:2012/01/23(月) 09:13:08
日本側艦艇の説明です。少々、はっちゃけていますが
ご容赦を。
試製・長門級戦艦
全長 二千四百メートル
全幅 三百五十メートル
-武装-
四十センチ口径、埋め込み式主砲×四十基
夢幻会系の技術者集団がブリュンヒルト搭載の物を
苦労(主に予算上)の末、開発。
ほぼ、全周囲に対する射角を確保している。
十四センチ口径、対空砲×五十基
主砲の縮小版。ただし、単一目標に十基ばかりが
集中斉射した場合、大型戦艦でも撃沈可能。
百十センチ電磁投射砲×八基
ミサイル発射管多数
弾種 通常誘導型:所謂、熱元・レーダー誘導型
思考誘導型:所謂、ファン○○ミサイル
電脳技術の応用で、専門射手の思考波を
艦内戦術電算機経由でミサイルに送り、
目標に当てる物。
唯、まだ試験段階で各種の問題を抱える。
試製・伊勢級量産型戦艦
全長 千九百メートル
全幅 三百三十メートル
-武装-
三十五センチ口径、埋め込み式主砲×三十二基
口径以外は、長門級と同タイプ。
十四センチ口径、対空砲×六十基
百センチ電磁投射砲×四基
ミサイル発射管、多数
弾種 思考誘導型が無いだけで、後は長門級に準じる。
ー長門級・伊勢級に付いてー
夢幻会が国の全権を掌握した頃から、対銀河帝国・対同盟を
主眼に建造していた戦艦
シリーズ。
艦体が大型なのは、母艦機能の搭載を計画した為であるが
肝心の艦載機の選定が進んでおらず
(それぞれのヲタ達が自分たちの推しを主張して譲らない為)
やむなく、長期間の作戦行動に耐えられる様、物資のベイロードを
確保したとして、お茶を濁している。
試製・都市級、機動要塞型
全周数キロの巨大構造体。
多くは、小型小惑星を改造した物で、内部には
各艦艇用のドックを始め、各種物資の生産プラント
造兵工廠、食料生産プラント、医療施設、娯楽施設を
備える。
武装に付いては、基本的に艦艇搭載型の拡大版が基本だが
大きさを生かした兵器を装備した型も存在する。
上記、試製型艦艇には、新開発の跳躍機構が搭載されており、
これにより、サジタリアス回廊を天体規模でも
「跳び越える」事が可能になった。
他国には,部外秘。
-防御機構 艦・要塞、共通-
エネルギー中和磁場
アンチ・ビーム爆雷(サジタリアス回廊では、環境的に使用不能)
ヤタノカガミ:ビーム偏向粒子を吸着させたナノマシンを周辺に散布
それをコントロールする事で、防御にも又、反射させて
相手に反す事も出来る。
100 :YVH:2012/01/23(月) 09:18:49
-シラサギ内・式典ホール-
同盟側代表団が入室すると、そこには数名の男女が彼らを待っていた。
その中から気品のある女性が立ち上がって、挨拶をしようとしたのだが、
同盟代表のキタザト氏が、先に喋り始めてしまった。
「この度は、遠路はるばる我が同盟へのお越し、ご苦労様です。
私〔わたくし〕、代表のキタザトと申します・・・」
この後、歓待の言葉をとうとうと述べる彼に日本側の人員が
苛付き始めた時、キタザト氏の秘書が彼の袖を引いて話を強制的に終わらせた。
最初はその行為を咎め様とした彼だったが、ここに来て、相手方の代表の挨拶を遮った事に気付いた。
しかし、かなしいかな。彼は日本側の人員を銀河帝国からの亡命貴族と
同列と見ており(日本側からの通達で対銀河帝国派遣人員は、貴族階級を派遣するとあった為)
その為、自然と貴族を軽んずる癖が付いていて、この失礼に値する行為にも、
特に注意を払わなかったのであるが同盟側にも、その行為を咎めるような空気があった為、内心では
面白くなかったが。一応は、謝罪した。一応は・・・
それから、漸く相手の挨拶が始まった。
「初めまして。私、月詠宮皐月と申します
この度は、お出迎え頂き恐縮です。キタザト代表」
そう、静かに述べ優雅に一礼する月詠宮。
その挨拶にキタザト氏は鷹揚に頷き、爆弾を投下した。
「ほぅ。ツクヨミノミヤ サツキ・・・
何とも言い辛いファミリーネームですなぁ
おお、そうだ。ミス・サツキと呼ばせて頂いても宜しいかな?」
ここまで彼が言った時、宮と一緒に座っていた男性が立ち上がり、キタザト氏に注意した。
「貴公、少し失礼ではないのかね?」
その言葉に、彼は発言した男性を:何だ、こいつは:という目で見て
相手の名前を知らない事に気が付き、かなりぞんざいに名前を尋ねた。
「何だね、君は?ああ、失礼。名を聞いていなかったな・・名前は?」
そんな態度にも、男性は優雅に一礼してから答えた。
「お初にお目にかかる。私、久我通雅と申す、恐れ多くも
代表、四品・月詠宮皐月女王「殿下」の輔弼を御上より命ぜられし者」
その名乗りに、言われた本人よりもその秘書の方が真っ青になり
慌てて上司の耳元に小声で~宮とはファミリーネームではなく、
彼の国の皇族を表す称号だと囁いた。
部下の言葉が、彼の頭に浸透していくのに反比例して顔から凄い勢いで血の気が失せ始め、
最後は失神して、その場で昏倒してしまった。
結局、挨拶会は中止になり、この事が外部に伝わると、日本側の同盟側に対する態度は余所余所しくなり
それに耐えかね、出港しますと同盟側が言えば「歓待せよとの殿下の御状が御座いますので」の一点張りで断られ、
目的地の手前、ポレヴィド星域に着くまで針のムシロ状態を味わう事を余儀なくされた・・・
ちなみに、本多少将の疑念は現実の物になり、幾つもの海賊、帝国という名にヒステリーを起こす
「自称、愛国者団体(笑)」の船団が行く手を遮ったが、海賊の船団は「動力炉の突然の暴走」で次々と爆沈し
市民団体(笑)の船団は、生命活動に関する装置以外、すべて反応しなくなり、その場に放置プレイされ、
日本側の通報で駆けつけた付近の基地の艦隊に、拿捕されたそうである。
【あとがき】
如何だったでしょうか?
偏りすぎた知識や経験は、身を滅ぼす。
帝国然り、同盟もまた、然り・・・
最終更新:2012年01月30日 19:28