940: ナイ神父Mk-2 :2020/08/24(月) 21:36:50 HOST:p12178-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp
憂鬱スパロボ 未来編小ネタ

鉄血のオルフェンズ編 その3

巨人は策を巡らせる


「では、向こう側は順調に戦力を集めているのか?」

『少なくとも周辺一帯の海賊や密輸ルートを持つ連中は活発だな…幾らかこっちの船団で潰してはいるが…』

「暫くは続けてくれ、このままノブリスを締め上げる…我々の為に大枚を叩いてくれるんだ。その上前は貰わんとな」

火星軌道上に浮かぶ巡洋艦内の通信室ではこの時代では珍しくも無い緑色の肌をした男、アルゼブラカラール支社長であるペトローフが画面向こうの中年の男より報告を受けていた。同時に手元の端末には複数の名称はその数と思われる物が表示されており。添付された写真や映像からそれが海賊が一般的に使用するこの世界のMSロディやヘキサ系に属する物と思われる物が写し出されている。少しの間資料を確認していた男であったがふと、この火星周辺では珍しい機体が海賊が良く使用する機体などに交じって鹵獲されているが目に付いたコレは火星到着当初より行われていた海賊狩りや密輸ルートを通る密輸業社の警備戦力や商品には見られなかったものである。

「?ロディに比べれば少ないが…ゲイレールがソレなりに混じっているのか?」

『其方に関してはカラールの元持ち主の意向だろう。』

「ほう、となると撒いた種を刈り取り来たという事か…」

だろうな、と頷く画面の男を尻目に再度資料を読み解くと、確かに鹵獲された艦艇の直近の航路や寄港地を確認するとSAUやその関係者が良く使うルートからの物が散見され、それがゲイレール系やユーゴーに改造されている物のSAUの標準装備を多く装備した機体が増えてきている。そう考えれば彼らは更には最近は此方の艦を見れば逃げる様になった部法者達には珍しく此方に攻撃を仕掛けて来る者も少なくなく、近辺の海賊より上質な装備を装備している事がその証拠として存在している。

「しかし、そうなると少し面倒だな…」

『ハーリーティーの火力で有れば問題は有るまい?』

その言葉に対してペトローフは首を振ってこたえると通信向こうの相手に見える様にモニターに対してある画面を映し出す。それはアルゼブラが行っている開発やその中心においてカラール全域を射程に収める様に設置されたスピリット級機動要塞「ハーリーティー」の射程の表示で有ったが、既にアルゼブラの開発範囲は主砲を除いた射程の範囲を大きく超えた範囲の開拓を始めており火星軌道上からも見える程に開拓範囲が広がっている事を示していた。

「それ以上に周辺を荒らされるのがな…此方の開拓が進むのは良いがそれに伴ってタワーの効果範囲も拡大している。その点を考えるならせっかくの緑を荒らされるのものな…」

『此方でも狩りは続けるが、まあ数は早々減らんだろうな…』

「リリアナだけでは限界か、オールドキング?」

そう声を掛けられた通信の男、オールドキングはそれを聞いて口角を吊り上げる。その様子は可笑しな事を聞いたとでも言いたげであり事実としてその少し後には噴き出した様に笑い始めて居る、少し間を置いて笑いが収まるとオールドキングは改めて話だした。

『リリアナの追加部隊が近々到着する、先遣隊も含めて展開すれば火星の裏ルートの多くを遮断する程度造作も無い』

「そうか、それなら良い。少なくとも暫くは抑えていてくれ」

『了解した任せてくれ、支社長殿』

オールドキングの言葉が示す通り数日後には到着したリリアナの追加部隊が火星の主要な密輸航路等に展開、その効果によって多くのSAUが裏に居ると思われる密輸船や輸送船の多くが火星にたどり着く前に制圧される運びとなり、結果的にではある物の実戦傘下戦力と経済圏間が遮断された事で経済圏の多くは火星で何が有ったかという事で知る手段を制限されてしまう事と成って居る。

941: ナイ神父Mk-2 :2020/08/24(月) 21:37:27 HOST:p12178-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp
アルゼブラの支社がそう言った企みを順調に進めている頃、テイワズの本拠地で準備を整えた名瀬タービン率いるタービンズはアルゼブラに依頼された要人護送の護送ルートなどの細かい打ち合わせを行うべく、タービンズ保有の艦艇ハンマーヘッドの進路を火星へと向けていた。一時期は行き違いから思わぬ対AF戦を強いられ掛けた彼等であったが現在に関しては、その行動に対して一歩も引かなかった事等から一定の信用をアルゼブラに持たれ、こうして地球へ向かうための航路の案内人を依頼される事と成ったのでは有るがそのタービンズは現在アルゼブラから指定された既存の航路から外れたルートに入っており頭を悩ませていた。

「本当にこのルートで合ってるの?航路からは大分外れてるけど」

「向こうからの要請じゃこのルートで正解な筈だが…」

「前方より艦艇3隻が接近」

「機種は分かるか?」

望遠カメラに映し出された艦艇は見える範囲では報告の通り3隻存在し、旗艦と思われる旧暦に使われた船をそのまま宇宙に浮かべたかの様な艦艇を中央に側面二隻はまるでハイヒールの様に上部に伸び上がった船体が特徴の船が確認できる。様子を見ていると艦のオペレーターは困惑した様に何度も艦艇の反応を検証している様であるが如何にも収穫が無かった様で困り顔を名瀬へと向けた。

「エイハブリアクターの反応も識別もありません。通信はつながって居ますが…」

「ここ等でエイハブリアクターを使わない変わり種なんて連合かアルゼブラだろうな、通信を繋げてくれ」

名瀬がそうオペレーターに要請すると間もなく艦の前方モニターに軍服を着た艦長職と思われる男が写し出されている。

『此方第224哨戒艦隊、そのエイハブリアクターの識別番号…君たちがタービンズで有っているかね?』

「ああ、間違いない其方は?アルゼブラでは無いようだが…」

『我々は監察艦隊の所属だ。まあ、目的としては似たような物だが取り敢えず艦の誘導を行う我々の後ろについて来てくれ』

そうモニターに映った制服姿の男は必要な事を伝えるとそのまま通信を切りそれに合わせる様に哨戒艦隊を名乗っていた3隻の艦艇が回頭、ガイド用のビーコンを出しながら進み始めている。

「どうするのあんた?向こうさんは付いて来いって言ってるけど…」

「此処迄来てまさか逃げる訳にも行かないだろ?」

名瀬のこの言葉に合わせる様にハンマーヘッドも再度航行を開始、数時間ほどすると前方にはコロニーと思われる施設が複数設置されておりその周辺には誘導してきた艦隊と同じ様な船やそれ以上の大型艦も数隻確認されておりそれ以外にもMSや武装の少ない輸送艦等も見られており大きな拠点と成って居る事が伺える。この存在はつい数か月前までは確認されなかった物でありこの数か月で連合やアルゼブラが用意した物だろ言う事がうかがえる。

942: ナイ神父Mk-2 :2020/08/24(月) 21:38:11 HOST:p12178-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp

「おいおい、ここら辺前まで何にもなかっただろ?」

「その筈だけどねぇ?」

「となると本当にここ数か月でコレだけ用意したのか?どれだけ金持ちなんだか…」

その言葉に合わせる様に今度はコロニーからの通信が入るがその画面にはノーマルスーツの様な格好をした人物が写されており機械的な声が響いてくる。

『こちらアイランド・イフッシュ3管制、此方の誘導へと従って頂きたい。』

「此方、ハンマーヘッド了解した。」

その通信に名瀬が答えるとコロニー側より誘導ビーコンが示され、それに合わせてハンマーヘッドはコロニー港湾部へと入港していく港湾内部では宇宙用と思われるMWの様な機体やアルゼブラの社員と思われる人間が其処彼処で忙しく飛び回っており此処がアルゼブラの大規模な拠点の一つである事を伺わせる。更に周辺を艦のモニターに写せば連合が使っていた艦艇とは違う青色の巡洋艦が複数隻駐留しており、アルゼブラや連合とも違うエンブレムを掲げている。間もなく誘導された地点に到着すると名瀬を含む数名は艦から降りて港湾へと足を付ける。するとそれを待っていた様に近くの部屋から複数名警備と思われる人間を連れた人物が出てきて名瀬達の前へと歩みを進める。

「ようこそ、アイランド・イフィッシュ3へ私はアルゼブラから此方の施設を預かっているアキムと申します。」

「名瀬・タービン、こっちは俺の妻達だ」

「支社長より連絡を受けております。現在支社の方では少し厄介事が起きて居りましてその為、此方に誘導させて頂きました。」

「となると打ち合わせは此方で?」

「はい、担当者が応接施設で準備しておりますので一先ずは向こうからエレカへ」

案内を受けながら通路を歩いていると目の前に扉が現れ、その向こうには街路樹や多数の工場と思われる施設が人工の光に照らされた都市と言える空間が出現した。コロニーらしい上下左右なく建てられた建物やその中を行きかう人々の多さには思わず圧倒されるが周辺を見ればそれが全てアルゼブラの社章が掲げられているのが見て取れる。施設の前に用意されたエレカに妻達と乗り込みながら名瀬はコレから相手にするアルゼブラの大きさに対して一種の戦慄を覚え始めて居た。

943: ナイ神父Mk-2 :2020/08/24(月) 21:39:03 HOST:p12178-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp
以上です。
大体、アルゼブラ襲撃が起きる少し前位の話をいくらか…
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最終更新:2023年10月10日 21:44