747: ナイ神父Mk-2 :2020/08/29(土) 23:20:58 HOST:p12178-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp
憂鬱スパロボ 未来編小ネタ

鉄血のオルフェンズ編 その4

火の星は燃え上がる


 カラール自治区へのアルゼブラ入植以降カラール自治区は目覚ましい発展を遂げていた。
 それは単に都市の環境が変わったと言うだけでなくカラールを中心に経済の流れが発生してそれに続く様に人の流れが発生したのである。
 拡大を続け、人員を欲するカラールは、周辺から人材を吸い上げながら、自治区領地内では自治区の主要都市だけなく周辺に農村と呼べるものや、数年かけて水質を安定させた浄水施設から流入する水による湖による水分の循環が小規模ながら発生。
 更にはその湖に水草や水生生物を持ち込み魚を放流することによってPD323年にはm僅かでは有るが地元産の魚が漁によってとれる様になったのである。

 こうした地道な活動によって更に勢い付いたカラールのテラフォーミングによる拡大は、同時にある弊害を生んでいた。
 それは周辺都市における労働者不足や各火星の都市における独立運動やカラールへの合流を目指す声である。
その勢いは火星の各都市の予想を遥かに上回る勢いで拡大しているだけでなく各地で大小問わず起こり続けていた。
これは各地の治安の悪化や都市の頭を悩ませる結果となっておりやがてそれは、ポッと出の勢力が好き勝手する事と合わせて火星各地の市長や州知事達に強い反アルゼブラ・反カラール感情を抱かせていた。
 その状況が大きく変わるのがPD323年6月の事である。拡大を続けていたカラールは遂に自治区のほとんどを開拓又は緑化することで勢力拡大を続け、遂には火星におけるアーブラウのクリュセ自治区にまで影響を伸ばし始めたのである。
 コレによってクリュセ自治区の独立運動はさらに激化を極め、独立の希望となっていたクーデリアの行動と合わせて独立派の勢いは止めようがなくなったのである。
その為、クリュセにて現首相のノーマンやその裏で絵図を描いていたノブリスの許容範囲を超えた事で、クーデリア暗殺がギャラルホルンによって行われたが大勢の予想を覆して、結果は中隊規模を投入したギャランホルン側の敗北と言う形で幕を閉じたのである。

 こうした実情からノブリスは更なる強硬策を各火星都市へと提示した。
 それは傭兵や宇宙海賊、各都市で使用されている作業用MSを武装して戦力化することに寄ってのカラール自治区への直接攻撃である。
事実上の戦争を行うに等しいこの行動に対しては、当初こそ周辺の都市からは否定的な意見が多数出ていたものの、ギャランホルン火星支部のコーラル指令指揮下のギャランホルン所属のMS部隊や元々のカラールの保有国であったSAUがノブリスを通して支援をする事が通達された事で、多くの都市がカラールへの攻撃へ賛同する運びと成ったのである。
 また、ノブリスはこれと同時にギャラルホルンの統制局と交渉しアルゼブラが逮捕して火星支部側に引き渡してた海賊等を冤罪だったとして釈放させたのである。
こうして、集められた戦力は一説にはMSだけでも200機近く、MWに至ってはその数倍の数が投入されたとされており当時の火星周辺の大半の戦力を動員したと言っても過言では無い戦力が用意されている。

 その後、火星の各都市は一方的にカラール自治区に対して一方的に街道の封鎖を実施し、それを見たカラール側も周辺へと治安維持部隊の戦力や自勢力下にあるPMCを投入する等緊張状態を作っている。
 そして、来る8月戦力と整えた火星連合軍はコーラル指令が率いる本隊を含む4方向に延びるアリアドネ街道を辿る様に戦力をカラールの勢力圏へと向かわせカラール治安維持部隊との戦闘が発生する。


 カラール攻略部隊として本隊のMW隊の一部を率いていたハエダは、その時何が起きたか理解できないでいた。
 順調に侵攻を街道を進んでいると思われたMWが突然凄まじい衝撃に襲われ、意識を失っていた為である。
意識を覚醒させたハエダの目に飛び込んできたのは明らかに可笑しな方向へと傾き、横転したと思われるMWの内装と外にできたクレーターであった。
内部操作で何とか機体を動かそうした彼で有るが横転した衝撃で外部の駆動部も歪んだのか上手く稼働せず仕方なしに彼は何とか体を動かしてハッチを開けて体を外へと乗り出した。

「ったく一体何が起きて…」

 そこから先、彼は言葉を失った。機外へと出た彼の目に映ったのは大凡、この世の物とは思えない光景で有ったためである。

「何なんだよこりゃぁ…」

748: ナイ神父Mk-2 :2020/08/29(土) 23:21:39 HOST:p12178-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp

 彼の目に映った物、それは敵方と思われる大量の大型MWからの砲撃により、周囲に降り注ぐ大量の土砂や吹き飛んで転がってくる味方MWの部品であった。更に良く見るとMW隊に攻撃を仕掛けようとするグレイズや分厚い装甲に覆われたMSが、敵のMWとMSの中間の様な機体から放たれる砲撃によって踊り狂いながら行動を停止して行く様である。
 そして、独特の音と共に近くで発生した大爆発によって彼の思考は永遠に停止し、彼がいたという形跡すらその巨大なクレーターの中心には残らないという、呆気の無い最期を迎えたのであった。
 そして、その事態を引き起こした巨大な陸船艇にも見える機体…このPD歴の宙域では先ず見かけられる事の無くなったMAに分類される機体、MAライノセラスのコックピット内には必死に反撃を行う火星連合側とは違い落ち着いた雰囲気が漂っていた。

「主砲第7射目標地点に着弾次弾装填中」

「ダブデより通信、敵MS隊の壊滅に成功したとの報告が入りました。戦闘は終了です。」

「終わったか…思ったより損耗は低いか?」

「はい、MTに中破やMSに軽い損傷は見られるものの部隊に死者は確認されていません。」

 通信をライノセラス受けたライノセラスの機長はそう言うとコックピット席に深く体を預けた。
 アルゼブラ側からの戦力支援が多いとはいえ、初の実戦、それも指揮官として後方の支援射撃の他、指揮下のMS隊のへの指示出しなど機長として隊長としての重責と言うものは、治安維持部隊とは言え、佐官クラスの彼に対しては大きな責任が圧し掛かってた。
 しかし、戦闘もひと段落した事である程度の緊張からは解放されて周辺を見る余裕も出る様になっており、機体モノアイを機体上半身毎上に向けると戦闘域を超える様にカラール自治区側から飛行する航空機群見て取ることができ、コレがアルゼブラ側からの報復であることが見て取れる。

「アレが例の…」

「攻撃の主力を担った各火星都市への報復部隊ですね…航空機だけで一体いくら居るんだか…」

 その後、カラール自治区及びアルゼブラは火星の各都市に対して一方的な攻撃を理由に報復を実施。
 大型航空母艦複数による多方面に対する電撃戦を実行。周辺の都市をMSやACを用いて制圧を行い、結果的にではあるもののカラール自治区を含むアルゼブラの影響下に置かれた都市が倍増した事で、連合によるテラフォーミングによる効果範囲は更に増大。軌道上から見ても分かりやすい程に植物の繁茂や湖が成立し始めた事でアルゼブラの力を分かりやすく示している。

 その一方である意味お通夜状態であったのが、火星軌道上に存在するギャラルホルン火星支部に詰めていたマクギリスであった。
彼としては実戦に於けるカラールの治安維持部隊などの実戦の様子を確認する為に個人でアルゼブラ側に支援を行う予定であったがノーマルスーツを装着して愛機に乗り込んだ所で支部指令室に居たガエリオより通信を受けていた。

「終わ…った?」

『ああ、今アルゼブラから通信が入った。戦闘は終了。捕虜にされたコーラル等を残して侵攻勢力は壊滅だそうだ。』

「馬鹿なまだ数時間だぞ…」

『俺だって信じられんが夜間戦闘だったからこっちの光学カメラで見ていたが戦闘の光らしいものは完全に消えた…いや、各都市に分散したというのが正しいのか?
 兎に角、指令室に戻ってきてくれ。この後の対応もあるからな』

「不甲斐ない…まさかたった数時間持たないとは…せっかくのチャンスをふいにしてくれる!」

 アルゼブラや防衛隊の戦力の正確な計測が出来ると考え、事前に足止めされることを予測して計画を立てていたマクギリスであったが、ガエリオからの通信を聞き終わると怒りに任せて思わず機体コンソールにこぶしを叩き付けていた。
 暫し息を整えていたマクギリスであったがコックピットから降りて、指令室に戻る頃には普段の彼に戻っており指令室に先に居たガエリオに不審がられる事なく合流している。

749: ナイ神父Mk-2 :2020/08/29(土) 23:22:25 HOST:p12178-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp

「戻ったか?」

「ああ、すまない遅くなった。」

「構わんさ調度今調査隊のMSが付いたと通信が来た所だ」

「第二基地所属のグレイズからの映像来ます」

「きたか、モニターへと写せ」

オペレーターからの通信を聞いたガエリオはそう指示を出すと、会議室のモニターには火星らしい赤茶けた大地が映し出され、その大地の上にはまだ煙の燻ぶったMWやMSの残骸が見て取れ其処で戦闘があったことが如実に示していた。

「酷いな…」

「ああ、しかしこれは白兵戦の跡じゃないなコレは…」

「どういう事だ?」

 マクギリスのその発言にガエリオは訝し気な声を上げるも、マクギリスは写されている映像を別画面に出してMSの撃破映像を拡大して見せる。

「此処の断面図を見てくれ。周辺が弾痕でその吹き飛んだ右腕も、鈍器や剣で叩き切られた様な物では無く、点での破壊に近い。ナノラミネートを切ったMSへの射撃の用にな」

「とすると、連合は敵のMSに細工していたのか?」

「いやその線は薄いだろう。機体の中にはゲイレールもある。
 旧式とは言えギャラルホルンが作り、経済圏などの地球圏で使われて居る機体だ。火星に持ち込まれて細工をされたとは考えにくい」

「本当に唯の射撃兵器がMSをフレーム迄破壊したのか…?」

 信じられないと言った表情をするガエリオが、そうである様にMSをフレーム迄射撃兵器を破壊するという事はこの世界の常識では中々信じられる話では無く、マクギリスからしても予想外で有った。
その後、報復として火星都市が複数制圧された事や暫時で司令官になっていたマクギリス側からの交渉の結果、ハーフメタル利権の維持と引き換えに、ギャラルホルンの周辺の地上拠点の撤退を行う事で合意し事実上カラール自治区の勢力圏の拡大を認める形になっている。

750: ナイ神父Mk-2 :2020/08/29(土) 23:23:34 HOST:p12178-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp
以上です。取り敢えず止めていた以前の鉄血ネタも含めてWIKIへの転載はOKとさせていただきます。軽く襲撃時のカラールでの様子やギャランホルンの動きをば…
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最終更新:2023年10月10日 21:53