284: ナイ神父Mk-2 :2020/09/20(日) 23:42:15 HOST:p12178-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp
憂鬱スパロボ 未来編小ネタ
鉄血のオルフェンズ編 その5
革命者の旗印は
カラールでの戦いの後、新会議を控えたクーデリアの姿は、カラールにて貸与されたハーリーティーの一室では無く、そこから離れたハーリーティー内に設けられたMS工廠にあった。ここは大型機動兵器等を主に開発又は整備する為の区画であり、そこに足を運んだ彼女はある二機のMSと対峙していた。
「これが…」
「ご要望にあったフラグシップMSイシス・ヴィルゴー、その隣がクィンマンサです。」
「頼んだのは一機の筈ですが?」
クーデリアの呈した疑問はもっともと言える物であった。
本来彼女がこの格納庫を訪れたのは新会議に向けての政治的パフォーマンスとしてMSを使いたいと言う要望を出した為である。
これは彼女自身裏切りや武力で革命の芽を潰された事に対する一種の反抗をアピールする為であり、その為の反抗・力の象徴としてMSを求めた事が始まりである。
当初は確保したグレイズを使用するつもりであったが安全性やアピール等の理由から連合側で機体を用意することを申し出た為依頼していたのである。
そして、機体が完成したと連絡を受けて機体を確認しに来たのだがMSが流石に2機存在することは予想外で有った。
「ええ、ご注文のされていた機体として組み上げたのはイシス・ヴィルゴーだけだったのですが、途中連合側からの追加の提供がありまして」
「急な話ですが何かあったのですか?」
「工場長、そこから先は私が…」
「失礼ですが何方様で…?」
工廠区画を担当する工場長と話していたクーデリア達が振り返ると其処には一人の女性が立っていた。
突然の来訪者で有った為、用向きを確認しようと声を出したのだが振り向いた先に居た人物の姿を見た彼女は途中で言葉を詰まらせてしまった。
視線の先に居た人物、それは彼女の知る人間とは大きくかけ離れた姿をしていたためである。
見かけこそ自分より年下の少女に見える人物である物の到底生きている人間には見えない様な色の皮膚をした上、体の各所に何らかの機械の接続部の様な物を付け、更に顔の上半分を覆いつくす様な仮面の様なものを付けていた。
当初は今の侍女を務めてくれているアンジェラの様なアンドロイドかとも思ったが、それにしては機械的な部分があるのに生きた人間の様にも見えるという、ある種の異形ともいえる存在であった。
しかし、そうした存在ですらアルゼブラの人間からすれば日常の一部の様で隣に居た工場長は慣れた様子で彼女に話しかける。
「おや大佐、もう到着していたのですか?」
「はい。今回はコレからを考えて本格的な軍を作るという話でしたから教導を担当してる先発の部隊の様子を見に…っと今は関係ない話でしたね申し遅れました。私は水城、今回の連合軍の派遣部隊の一人です。」
「は、はい、宜しくお願いします。あの、早速で申し訳ないのですがMSの件に関しては連合軍が何か関係が有るのでしょうか?」
「そうなりますね…政治的アピールです。火星は武力には屈しないという…」
「それだけならイシス・ヴィルゴーだけでも良かったのでは?」
クーデリアの疑問の声に対して水城はゆっくりと首を横に振る。
顔半分を覆う仮面のせいで表情こそ見えない物の何となく出ている雰囲気や口元の動きによって否定の意思や大まかな感情は読み取れるが、角の生えたマスクと言うのはやはり多少威圧感を感じる等とクーデリアは現実逃避気味に考えつつも彼女の言葉に耳を傾ける。
「イシス・ヴィルゴーはあくまでも防衛・或いは避難を重点に置いた機体です。
どうしてもこれからの荒波に巻き込まれる火星に対しては守りだけでは不足であるという話が連合側で議題に上げられたのです。」
「それでもう一機ですか?」
「はい…昔の人の言葉を借りれば、今はイージスの盾よりハルぺーの鎌が必要な時代なのです」
此処まで頑張って革命を目指す英雄の為に赤いヴァルシオンを用意するべきとの意見も有ったのですがね?などと彼女の話を聞きながら、クーデリアは再度目の前の二機のMSに視線を戻す。
通常のMS、三日月達の使うガンダムフレームと比べて尚も威圧感を放つそれに対して、クーデリアはそれを使いこなせるかを不安に感じながらも、火星独立に向けて後戻りできない段階に踏み出している事を改めて実感させていた。
285: ナイ神父Mk-2 :2020/09/20(日) 23:43:01 HOST:p12178-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp
ガンダムについて
無事に鉄華団を結成したオルガとビスケットの姿は、アルゼブラが建造したスペースコロニーに有った。
現在進行形で数を増やしながら増大を続けるスペースコロニーの港湾部には所せましと艦艇が犇めいて居るだけでなく、コロニー内にも都市が出来ており火星近くの施設だとは思えないほどの近代的な街並みを有していた。
物珍し気に眺めながらも、セントエルモスの指揮官であるクロードや主任渉外官であるエリック共に指定された施設の会議室に入ると、其処には既に数人の人間が席についていた。
これまで散々予想外な年齢を聞かされたオルガにとっては彼等の見かけから年を判断することは難しかったが、少なくとも見掛けで言えば、比較的若くは見える男女の二人組と如何にも傭兵ですと言った風体の男が部下らしき人間を連れて席に掛けていた。
案内をしてきた施設職員に促されてオルガ達が席に着いたことを確認すると口を開いたのは傭兵風の男である。
「さて、これで関係者が揃った訳だが…クロード指令、アンタの横にいる若いのが例の鉄華団か?」
「そうだな彼等が鉄華団だ。」
「鉄華団団長、オルガ・イツカです。隣に座ってるのが事務を担当しているビスケットと言います。」
オルガが名乗ったことに対して嘗てのアルゼブラ支社長がそうであった様に一瞬興味深いと言った表情を浮かべると間もなくソレを消して仕事の顔へと戻った傭兵はビスケットが役職などを名乗った後に再び口を開く。
「傭兵団リリアナの司令官兼団長を務めるオールドキングだ…今回の移送任務に置いては航路上に於ける艦隊防衛を担当している。」
「俺たちはタービンズ、今回の航路は俺たちのルートを使って貰うことになっている。」
「タービンズといや確かテイワズの…」
「ほう?独立したばかりで忙しかったと聞いたが確り勉強していたようだな。」
「ありがとうございます。」
「話を戻すが今回の護衛計画は…」
その後、契約や計画を構築したアルゼブラとタービンズであったがその大凡が成立した後、タービンズが席を立った後フリーとなったオルガは席を立とうとしたオールドキングに対してあることを尋ねた。
「そう言えばアルゼブラの支社長も言っていましたが連合にとってのガンダムって何なんですか?」
「ふむ…色々意味は有るが連合にとってのある種の伝説では有るな特に若い少年がガンダムに乗るという事はその地域に大きな変革が起こりえる証でもある。」
「変革…」
「後は人類の革新だのも有るが…一番は変革だと言えるだろう。そう言った物を多くのガンダムに乗った少年たちは成し遂げてきた。だからこそガンダムを操る少年と言うのは大きな存在と成って居る。君たちもそうなり得るだろうと。」
「買い被り過ぎです。」
「それはコレから決まる事だ。だが、少なくともアルゼブラも連合もそれなりに目を掛けているという事だけは確かだな。まあ、それ抜きにも孫や子供位の年齢のお前たちの頑張りを気に入ったという事も有るだろうが…」
「…」
自身が想像していた以上の規模の事実だったことに面を食らったオルガであったが、この会合の後には地球行きの準備が開始された事で仕事に忙殺されてこの話は暫く頭の片隅へと追いやられている。
そして、エドモントンに於ける戦いの後、オルガ自身三日月や明宏の活躍ぶりを見て、改めてオールドキングの言っていたガンダムの特別さを目の前で示される事と成なる。
286: ナイ神父Mk-2 :2020/09/20(日) 23:43:47 HOST:p12178-ipngn901akita.akita.ocn.ne.jp
以上ですWIKIへの転載は自由です。取り敢えず会議や出発直前までの動きなんかを軽く…
最終更新:2023年10月10日 22:03