256: 名無しさん :2020/09/20(日) 21:17:16 HOST:p420159-ipbf308imazuka.yamagata.ocn.ne.jp
OGクロス会話集・未来編その5

「銀河帝国と自由惑星同盟のホスト役、本当に俺にやらせるのか?」

「ああ」

「俺は銀河英雄伝説とやらを知らんのだぞ?」

「だからいいんだ。変なことを口走ったりしないだろう。
 頼んだぞ、山本元帥」

 夢幻会会合での一幕。



「どうした、尚哉?」

「帝国と連合の視察の日程覚えてるか?」

「ああ、確か1日目が100年前のゲート開通から一連の戦いの終息までを向こうに教えるんだったな。
 そして2日目が向こうと1万5千対1万5千の艦隊戦シミュレーション 。
 3日目魔法の座学と実習の視察。
 4日目が午前中にこちらのシミュレーターで向こうのパイロットも参加してホワイトスター攻略ステージをやってからシミュレーターで最大往生ステージをお前が単独で攻略、それから午後は実機の演習の視察。
 5日目が午前中に体力錬成の視察で、午後は格闘訓練視察」

夢幻会所属の教官が教えてくれたんだけどさ。
 俺の2日目の相手……金髪とヤンなんだって。
 立花はメルカッツとビュコックが相手だし、4敗は確定じゃねえか。
 和哉の相手の、シュターデンとフォークに取り換えてほしいぜ……」

「それは――ご愁傷さまだな。
 まあがんばれ、泥仕合の帝王」

「そういうお前は同盟のワイドボーンはともかく、帝国側は赤毛だぞ? 勝てるのか?」

 幼年士官学校の転生者たち。



「ご不満ですか、ラインハルト様」

「当たり前だ。
 幼年学校卒業後の初の任務が、謝罪行脚の付き添いだぞ?
 そういうお前は随分と楽しそうだな」

「ええ。核の炎に焼かれず発展した、並行世界の地球ですからね。
 今から心が躍ります」

 連合の船で地球へ向かう途中のラインハルトとキルヒアイス。



「しかし、戦闘艇のパイロットたちままで一緒に来ることになるとは思いませんでした。
 さらにはローゼンリッターまで連れてくるとは」

「向こうさんのご意向でね。戦術シミュレーターでの艦隊線シミュレーションと、戦闘シミュレーターでの模擬戦がしたいそうだ。それと体力錬成と格闘訓練を玄人に見てもらいたいと」

「帝国もワルキューレのパイロットを連れてきてるようですね。それと――」

「ああ。まさかあのミンチメイカーを、この目で見ても生きていられれるとは思わなかったよ」

 連合の船で地球へ向かう途中のヤンとアッテンボロー。



「しかし違和感がすごいなぁ」

「分かる。旧作っぽい外見に新作の声だったり、その逆だったりな」

「中には道原風、鴨下風、藤崎風の外見の奴もいるし」

 銀河帝国、および自由惑星同盟の人員を見た転生者たち。



「では、こちらでアストラルパターンを登録します。
 このパネルにお手をかざしいただきたい」

「あの、アストラルパターンの登録とは?」

「生命体がもつ霊的波長のパターンを登録して、セキュリティに使用するんです」

「えっ!? つまり地球連合は霊魂の存在を科学的に証明したと!?」

「はい、そうですが」

「……まいったなぁ。ここまで差があるなんで」

 連合の科学力の高さに頭を抱えるヤン。

257: 名無しさん :2020/09/20(日) 21:17:48 HOST:p420159-ipbf308imazuka.yamagata.ocn.ne.jp
「うわっ!? きょ、巨人!?」

「巨人の儀仗兵……」

「……まるでヨトゥンヘイムだな」

ゼントラーディの儀仗兵に驚く両国の訪問団。



「ふん! こういう式典で、反徒どもの国歌とやらを聞くことになるとはな!」

「しかも我が国の国歌より先に演奏するとは……」

「これは皇族に銃を撃ったことに対する仕返しも、多分に含んでいるでしょうなぁ」

 地球到着後の式典で居心地が悪そうな帝国側。



「いやぁ……参った」

「やわらかい言葉で切々と説かれるのが、ここまで堪えるとは……」

「厳しい言葉で責められるた方が、まだましであった……」

 今上帝への謝罪のあと、げっそりとやつれた姿を見せる帝国の貴族たち。



「連合への加盟は難しそうだな」

「コーネリア・ウィンザーの発言が響いたか」

「というより、国全体が好戦的すぎるととらえられた様ですね。
 ですが滑り出しとしては悪くないかと」

 実務者会議のあとの同盟側。



「えー、以上がクロスゲート出現からL5戦役終結までの流れです。
 何かご質問は?」

「ISA戦術でしたかな? なぜそのような無謀なことを?」

「当時の連合は列強などではなく、ひとつの星系を領有するに過ぎない弱小勢力。
 それが国力も首都の位置もわからない強大な星間国家相手です。取れる手段は少ない勝ったのです。
 そして負けるわけにはいかなかった。
 『これまで地球人たちは、多くの戦争を引き起こしてきた。国境問題、宗教対立、そして低下する支持率に歯止めをかけるなどというくだらない理由で起こったこともある。
 そのどれもが、この戦いのに備えるための演習であった。
 この度の戦いに敗れることがあれば、地球人という種族は消えてなくなるのだ。
 今まで流された血が無意味でなかったことの証のために、総員ますます持って奮戦せよ』
 これがホワイトスター攻略前の山本元帥閣下の訓示ですが、本当にギリギリの戦いであったのです」

 シュターデンの質問に答える連合士官。



「あー、自分からも質問があります」

「どうぞ」

「ロンド・ベルにはどんなパイロットたちがいたんですか? 戦闘艇のパイロットとしては気になります」

「それについては確かな技量を持ち、地球圏を守る強い意志を持ったパイロットとしか答えられませんね。それに該当するのであれば、傭兵だろうと王侯貴族であろうと召集されました」

「王侯貴族?」

「ええ。例えば銀河帝国訪問団団長の暁仁殿下、随員の段間候爵閣下、本田伯爵閣下もL5戦役からロンドベルに所属されており、『紫電』『ファイアーボール』『青き風』と呼ばれるエースであります。
 加えて同じく帝国訪問団随員の刹那・F・セイエイ王配殿下は、大洋の特殊部隊が救出するまでテログループが拉致し洗脳していた少年兵でしたが同じくロンドベルに配属されました」

「なんと!? 殿下は人類を守り通した英雄のひとりであられたと!?」

「も、元テロリスト!? そのような者が、なぜ王配になれた!?」

「それだけではありません。自由惑星同盟訪問団団長キャスバル・レム・ダイクン議員は、当時のスペースコロニー国家であったジオン共和国大統領ジオン・ズム・ダイクンのご子息。随員のアスラン・ザラ議員は同じくスペースコロニー国家であったプラントの国防委員長のご子息で、おふたりともロンド・ベルのパイロットあります。
 特にキャスバル・レム・ダイクン議員は『赤い彗星』と呼ばれる大エースで、精鋭揃いのロンド・ベルの中でも三指に入るパイロットでした」

 ポプランの質問をきっかけに、ロンドベルのパイロットの一部の経歴が明らかに。

258: 名無しさん :2020/09/20(日) 21:18:33 HOST:p420159-ipbf308imazuka.yamagata.ocn.ne.jp
「他にご質問がある方は?」

「では私からひとつ。
 L5戦役まではこちらと同じように戦車や戦闘機、戦闘艇の様なMAが主力であったと聞きます。
 それからどうやって人型機動兵器へと移行したのでしょうか?」

「それについては当時色々な議論がかわされた結果、産業にするべきという結論が導き出されました」

「産業化ですか?」

「ええ。かつての第二次世界大戦では、自動車産業が発達していない国では自動車化歩兵師団や機甲師団をまともに用意できなかった。であるなら人型の機械の産業を発展させてしまえという結論です。
 そして様々な分野で人型の工作機械が導入され、MSのシミュレーターを模した大型ゲーム筐体が各地の遊技場に設置されたんです」

「シミュレーターを模したゲーム筐体? つまり知らない間に子供たちは軍事教練を受けることになったと? ひどい話だなぁ」

「そういう声は当時の連合内でもありましたが戦況が傾いてから徴兵年齢を引き下げ、何も知らない子どもたちを集めて短期の訓練で戦場に送り込むよりは遥かにましであるという結論になりました。
 最も当時の各国の努力の結果、そこまでひどいことにはなりませんでしたが」

 ヤンからの質問。



「これが明日の対戦表か。同じ苗字が3つほどありますが?」

「兄弟なんですよ。二卵性双生児の藤丸和哉と藤丸尚哉、そして年子の妹の藤丸立花」

「へえ、珍しい」

「すみません。私の明日の対戦相手の苗字が、資料に書かれていないのですが誤表記ですか?」

「ああ、それかね? 我が国では姓はもともと皇族から下賜されるものでね。
 だから表記はそれで合っているんだ」

「や、山本閣下、つまり――私の対戦相手は皇族であらせられると?」

「その通り。陽仁殿下は陛下の第三皇子であらせられる」

 一連の戦いの歴史の説明の後、明日のシミュレーションの資料が配られる。
 そして自分の対戦相手が皇族であると山本から教えられ、驚くキルヒアイス。



「いやー、参った。戦史を聞いていたつもりが途中から壮大な神話に変わるとはね」

「金属生命体やら並行世界から来た巨人族との講和。
 知的生命体を抹殺することしか考えてない、無数の宇宙怪獣。それを抹殺するためにブラックホール爆弾で銀河を丸ごと吹き飛ばす。
 流石は異世界って感じです」

「どっと疲れた。帰ったら明日に備えて寝ることにするよ」

 視察初日の帰りの車中でのヤンとアッテンボロー。



「キルヒアイス、分かっているな?」

「はい、全力を尽くします」

「それでいい。皇族だからと手を抜く必要などない」

 視察初日の帰りの車中でのラインハルトとキルヒアイス。

259: 名無しさん :2020/09/20(日) 21:19:27 HOST:p420159-ipbf308imazuka.yamagata.ocn.ne.jp
以上です。
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最終更新:2020年09月21日 12:36