280 :YVH:2012/01/24(火) 21:39:35
拙著→100に登場した、海賊・市民団体(笑)の裏側です。


 ー同盟内、某所ー

そこでは黒スーツ姿の男と、派手なスーツをだらしなく着崩した男がテーブルを挟んで話していた。

「では、何時も通り、頼んだぞ」

そう言って男は、相手に;かなり大きなスーツケース;を渡した。
受け取った男は何時も通り「中」を確認した後、傍らに置いた。

「へへっ、確かに。しかし旦那、今回はちっとばかし多過ぎじゃありやせんか?コレ」

そう言って男は、さっき受け取った「ブツ」に目を向けた。

「それだけの;ヤマ;だと言う事だ。それ以上の詮索は・・・」

そこまで言って黒スーツの雰囲気が変わり始めたのを感じた相手は
慌てて謝り、ケースを持って何処かへ去って行った。

;これで良し・・・後は「上」が上手く言ってニホンの行動を阻止するだろう・・・;

胸中で呟きながら男もまた、何処かへ去って行った・・・・


 同じ頃、別の場所では・・・・

「それでは頼みましたよ、代表」

仕立ての良いスーツを纏った男が、にこやかに目の前にいる男に声をかけた。

「お任せ下さいっ!「帝国」などと名乗る
 悪の手先なんか我々、;良識のある;市民のパワーで追い帰して見せますっ!!」

それを聞いたスーツ姿の男は、さらに笑みを深くして頷きながら、言葉を重ねた。

「うんうん、それは頼もしい。あなた方の様な立派な国民が居る限り、
 同盟は安泰です。同盟万歳っ!」

男の叫びにその場に居た男女も一緒になって共に同盟万歳を唱和していた。

百五十年近くにも渡って帝国と戦い続けた結果、戦死者遺族は増え続け、それに影響されたのか
反帝国教育も変質し、一部ではアンチを超えてヘイトの域までに達している者も出ていた・・・

彼ら、彼女ら「良識ある市民団体」と共に万歳を続ける男は胸中で嘲笑っていた。

;フフン 単純だな・・・大衆は無知蒙昧か・・・これに関しては帝国の貴族の言い分に賛成だな
 だが、単純なだけに使い方さえ間違えなければ格好の駒に使える・・・
 これでわが党の票も・・・;


かくして、各種の思惑を孕んで意気揚々と日本使節団の妨害に出発した彼らだったが、
事前に月詠宮から「遺憾」の文言の入った指示を受けていた※拙作>>97参照
日本軍により、立場にあった「不幸」に遭わせられたのであった・・・

281 :YVH:2012/01/24(火) 21:41:05
ポレヴィト星域に向かって通常航行していたシラサギの電探に、未確認の船団が多数捕捉された。

  =大日本帝国軍 試製都市級機動要塞・シラサギ=

  ー司令部兼艦橋ー

「!電探に感っ!!多数の反応が当艦に向け接近中っ!一部は航路を塞ぐ様に
 進路上から接近!!」

電探員からの報告に、艦橋は緊張し始める。そんな中、ナガトから通信が入る。

『如何なさいますかな?こちらで対処しますか?』

東郷提督が池田中将に問いかけた。言葉が丁寧なのは中将の方が先任だからである。
提督の問いに池田中将は、こう答えた。

「いや、貴官の部隊は、手出し無用。〔目に見える〕対処は相手側の市民感情的に宜しくない。
 ここはこちらの「アレ」の試験目標として利用させてもらう」

先任中将の言葉に東郷提督は、了解しました、と答え敬礼と共にスクリーンから消えた。

それに答礼で答えた池田侯は、傍に控えていた幕僚に命じた。

「黒田大佐、「アレ」の準備を」

それに黒田大佐は敬礼一つで答え、「アレ」の準備の為、退出した。
因みに、彼の姿は髪の色以外は、如何見ても某義眼氏だった・・・

彼が退出してから池田侯は、一応接近中の艦船に対して警告を発する様命じ、様子を見る事にした。

 =海賊サイド=

「警告がきてやすぜ。どうしやす?」

部下の言葉にこの海賊の頭は,卑猥に笑いながら答えた。

「へへへッ 無視しろ。待ってろよ・・・代表の女(スケ)に
 一番槍をキメてやるぜぇ・・・」

頭は血走った目でスクリーンに映るシラサギを見ていた。

=市民団体サイド=

「警告が来ています」

「放っとけ。こちらは民間船だ。手出しは出来んさ」

 =日本サイド=

警告発令を命じた池田侯は、現在港湾部に停泊している同盟艦隊に連絡を取り
接近中の艦船に関して問い合わせた。
これを受けた艦隊首脳部は、日本側から提供されたデータから種別を割り出し
折り返し要塞司令部に知らせた。
同盟軍からの知らせで詳細が分かった司令部は、それに合わせ「不幸」の度合いを決めていった。
尚、この一連の事は電脳ネットワーク経由で、代表・副代表に;耳打ち;されており、
宮はこの事を、相手側に婉曲に伝え、接近している者たちに何があってもそれは「不幸な事故」であると説明した。

283 :YVH:2012/01/24(火) 21:42:12
 宮様から;GOサイン;が出た司令部では、「対処」が始まった・・・

「対電算兵装「オサカベ」「タタリガミ」起動。
 「タタリガミ」を海賊として報告があった全艦船に送信。
 設定は「動力炉の異常促進」」


 =海賊サイド=

各艦船では操船担当者が、悲鳴を上げていた。

「ど・動力炉が異常促進してやすっ!制御不能!!」

その報告に、各船の船長は慌て、気の早い者たちは脱出艇に殺到した。だが・・・

「そ・・そんな!?まだ何もしてねぇのに、こっちの動力炉も・・・」

目の前の脱出艇の動力炉も、どう言う訳か勝手に起動しており、暴走を始めていた。

やがて、臨界を越えた炉から次々に爆発していき、宇宙にヒカリの乱舞が出現した。

 =日本サイド=

司令部の片隅では、こんな呟きがされていた・・・小声で。

「お前らはもう、○んでいる・・・」
「・・・あ○し」
「ひで○・・」
「汚い○火だ・・」


 =市民団体サイド=

こちらでも、動力炉や生命維持に必須な物以外、すべての機能がダウンし、多数の船が漂流を余儀なくされた。

「こ・・故障かっ!!」
「助けてくれぇーっ!!」
「い・・いやっー!!」
「おかあさーんっ!!」

そんな状況も、日本側からの通報で駆けつけた付近の基地所属の艦隊によって収まったが
その後の調査で、これらの船団が目的地を偽って出航していることが判明し、そのまま基地所属のMPに拘束され
船等も拿捕の扱いとされた。
その後、彼らは輸送船でハイネセンに護送され、虚偽申告・騒乱罪等で収監される事になる。

【あとがき】

如何だったでしょうか?

元ネタは、前スレに出ていたサイバー攻撃等の話と、原作の第十次イゼルローン攻防戦です。
ウイルスは、GOサインが出た直後から警告の通信波に混ぜられており、対策等がされていない
機器には一発で感染します。逆に言えば、対策がされていれば対して脅威ではありません。

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最終更新:2012年01月30日 19:56