54: 657 :2020/10/25(日) 19:03:36 HOST:58-190-92-237f1.kyt1.eonet.ne.jp

憂鬱SRW歴史の断片 『狂った倫理とその爪痕(お茶会風)』


「さて…それじゃ次の話に移ろうと思うけども…随分人が増えたね」

「すみません…上司が話を聞きつけまして…とりあえず自衛隊や米軍の衛生兵の方々も一緒に聞きたいと…」

「まあ、1500万人が死んだとなれば看過はできないか…まあいいだろう、続けようか」


コーディネイター

「さて、君等もすでに交流したかと思うが、我々連合軍にはコーディネイターという遺伝子改造し、強化された人間も存在している」

「現在はプラスと呼ばれる電脳化や義体化を行った強化処置、ナノマシンによる強化も主流になってきて相対的に弱体化しているけどもね」

「C.E.10年代…コーディネイター作成技術が全盛期を誇った時代はそれはもう倫理というものがどこかに投げ捨てられていた時代だったのさ」

「我々の世界でもクローンなどが問題になっていましたが…そこまでですか?」

「公的には動物のクローン程度だろう?まだ可愛いものさ。こちらは人間が望むものを文字通り『製造』され売られていた」

「特に、深刻だったのは注文通りの子供が産まれなかったとして、人身売買組織に売り払われる子供も多かった…」

「『目の色が違うから注文通りじゃない』人身売買で逮捕された親が言った自分の子供売り払った際に言った有名な動機さ…」

「そんなことが…自分でお腹を痛めて産んだ子供でしょうに…!」

「黒川二等陸曹、現実はこんなものさ、私達の世界は科学が進んだ夢のユートピアなんかじゃない」

「倫理が追いつかないほど科学が異常に進んだ結果始まった悪夢を西暦時代から見続けている世界、これがC.E,の世界なんだ」



西暦時代の悪夢の遺産

「ここからが伊丹君に先程伊丹陸尉に伝えていたメンデル事件に繋がるものだけど…」

(病原体のような写真が次のスライドに表示される)

「これは…何かの病原体ですか?」

「ああ、アタシ達の生化学技術が発達した要因の一つだったものさ」

「こいつの名前はタイラント・ウィルス。通称Tウィルスと呼ばれるウィルス兵器さ」

「こいつはRNAウィルスであり、第二次世界大戦の独ソ戦で秘密裏に使われ膨大な死者を出した要因の一つ…」

「簡単に言えばゾンビを作り出すウィルスさ」

「ゾ…ゾンビですか?あの映画に出てくるような?」

「ああ、そのイメージ通りで大丈夫だよ、感染した生物の代謝を異常促進させ、銃弾を何発も受けても耐久出来るほど身体を強化する…」

「けれど代謝の異常促進により身体は腐敗し、脳はウィルスの影響を受けて不可逆的に破壊されるため、食欲だけで動き回る存在となるのさ」

(次のスライドが表示されまさしくゾンビそのものといった人間が表示される)

「「「うっ…」」」

「アタシ達はこの状態を『活性死者』と呼んでるね。もうここまでくれば救命は不可能さ、感染からどういった変貌を遂げるかは資料に封入されてる感染者の日記で後から確認してくれたまえ」

「ただ、このウィルスの真の力はゾンビを作るだけじゃない…異常な巨大化、体の一部分に異様な発達を起こし、異種間での遺伝子交配の成功率を上げる性質もあるんだ」

「ま、まさか…」

「そう、人間だけでなくこのウィルスは有機生命体ならほぼ何にでも感染する、これを悪用しない手はないだろう?」

55: 657 :2020/10/25(日) 19:05:06 HOST:58-190-92-237f1.kyt1.eonet.ne.jp

B.O.W.

「そして、第二次大戦後もこれらのTウィルス由来の生物を利用した兵器…私達はBio Organic Weapon通称B.O.W.と呼んでいる物が開発された」

(爬虫類とゴリラを掛け合わせたような化け物、装甲服を纏ったスキンヘッドの巨漢の男が映し出される)

「一般的なB.O.W.が量産品であるハンター、ハイエンドモデルであるタイラントだね」

「このトカゲゴリラのような化物はともかく…こっちは一応人の形はしてるんですね…」

「ああ、Tウィルスと完全に結合する人間クローンを利用して製造されたものさ…タイラント自体のスペックはとんでもないものさ」

「腕力だけで装甲車をひっくり返すパワーをもっている…それに着込んだ装甲服は耐弾耐爆仕様さ、並の兵士では止められないよ」

「アタシ達の世界では西暦時代ではこれらの兵器が少数だけど運用されていた…もちろんTウィルスも次々新しいものが開発されてもいた」

「まあ、当然これらのウィルスの危険性から規制と条約はあったけどね…小国がこれらの研究を行い大国からそれを理由に滅ぼされた事件もあった」

「あとはTウィルスの予防ワクチンであるデイライトと呼ばれるワクチン接種の義務化もされていたからね…相対的にウィルス自体は弱体化してると言っても良かったんだ」

「そんな驕りが16年前…大きなツケをもって支払われてしまったんだけどね…」


メンデル事件


「伊丹陸尉…これが私達の世界でB.O.W.が基本的に全面禁止になった事件…メンデル事件さ」

(フットボールの試合の映像のようだが観客席や試合会場に次々角を背部から突き出させた異形が観客や選手を殺しまくる映像が表示される)

「うぐっ…これは…!?」

「これはメンデルと呼ばれるコロニーで行われていたプロフットボールチームの試合中継でリアルタイムで流れた映像さ…」

「G. A. R. M. R&Dと呼ばれていた研究所が開発を行っていた新型ウィルス兵器とナノマシンを組み合わせた新型のB.O.W.が暴走し一気にコロニー内に解き放たれた…」

「この新型のウィルスとナノマシンは死体からB.O.W.を作り出すことが可能となっていてね…作り出されたB.O.W.ナノマシンによって制御されてある指令を最優先で行うのさ」

「人間を殺害し、材料となる死体を増やすっていうね…」

「す…すみません…気分が…」

「黒川陸曹…気にしなくていいよ、これは当時の人間も同じような状況となった地獄だったからね…」

「詳しくは後から資料で出すけど、この新型のB.O.W,や研究所で違法に保管されていたウィルスの漏洩もあり閉鎖環境であるコロニーは一気に地獄絵図となった…」

「当時違法研究の監査のために向かっていた大西洋連邦の海兵隊もこのB.O.W.の特異性からほぼ壊滅…そのまま数日で1500万の人口の内、約95%が自然発生B.O.W.やウィルス感染も含めて死亡するという大惨事となったんだ」

「最終的には当時の連合からの要請で大洋が使用した特殊兵器によるコロニー全体の滅菌作戦と周辺宙域の汚染滅却のためレギア・ソリスと呼ばれる太陽光発電衛星を兵器に転用し全て焼き払ってようやく解決したんだ」

「この事件の後、ようやくB.O.W.やTウィルス含む遺伝子生化学に対する強い規制の議論が進むことになったんだ…1500万の人間を犠牲にした後では遅すぎたけどね…」

56: 657 :2020/10/25(日) 19:06:11 HOST:58-190-92-237f1.kyt1.eonet.ne.jp

トリノ議定書


「この後太陽系全域でのTウィルスとB.O.W.関連の研究の禁止、過度の遺伝子強化コーディネイターの製造禁止が盛り込まれたトリノ議定書が採択されたんだ」

「当然この後こういった違法研究を行っていた新興企業やテロリストは摘発されることになったんだけどね…」

「当時存在した東アジアの三安、大西洋のブラックリバー、ユーラシアのPECSは遺伝子改造した強化人類の製造を行おうとしてたのが発覚したり、テロリストの強固な抵抗もあって鎮圧までに10年の年月を費やしてしまったわけさ…」

「このトリノ議定書の採択の結果、軍は今までの歩兵戦力の根本的な転換が必要になったのさ」

「この後クロスゲートの出現による新西暦世界との接触もあって、西暦時代のネットワーク災害から凍結していたAI技術やアンドロイド技術の開発が進むこととなったんだ」

「当然、このメンデル事件での戦訓も併せてノーマルスーツから強化装甲服への置き換えも進むことになったけどね…」


反面教師

「さて…これが連合の歩兵戦力の開発経緯だけども…流石に一杯一杯か」

「すみません。ちょっと余りにも想像を越えてまして…」

「仕方ないさ、21世紀の人間には刺激が強すぎるものだったしな」

「ただ伊丹陸尉…アタシがこれを説明したのは反面教師にして欲しいからさ」

「反面教師…ですか」

「そう、反面教師さ。君等の世界は我々世界と繋がったことで世界全体が大転換を起こしていくだろう」

「だけど、倫理を全て投げ捨てれば我々の世界のようなことを引き起こす可能性が非常に高いんだよ」

「アタシらの世界はギリギリで助かった…でも伊丹陸尉の世界が同じように助かるかどうかはわからないんだ」

「自衛隊の上層部にも米軍の上層部にもしっかり危険性を伝えてくれよ」

「…」

62: 657 :2020/10/25(日) 19:44:49 HOST:58-190-92-237f1.kyt1.eonet.ne.jp
あ、すみません用語説明の部分抜けてたのがありましたのでこちらでお願いします

前編含めた用語説明


何仙姑の言っていた参考にしたロボット

ナムカプ世界との関わりで遭遇したロックマンXを参考にしたもの、
汎用性の高さは参考となったものの、X自体の完全コピーには現行の技術では不可能であった。

エコーズ

ガンダムUCに登場した特殊部隊エコーズが元ネタ。
所属部隊員はダグザ含め同位体が多数所属している。
MSやACの操縦なども可能なため特殊部隊では最精鋭の一つである。


エグゾスーツのスペック

参考は平成ライダーのスペックを参照にしている、
仮面ライダー555に登場したライオトルーパーを参照。


目の色が違うから~

割とC.E.では有名な理由。
外伝ではサーカスと呼ばれるこういった人身売買で集められた子供を兵士に仕立て上げるのが存在したりと、何だかんだで鉄血世界並みの倫理観である。


感染者の日記

いつもの飼育員の日記別名かゆうま日記。
この世界では西暦時代に感染者が病状が進行するにつれ言語にどういった影響がでるかわかる貴重な資料となっている。


トリノ議定書

原作でも採択された遺伝子改変禁止に関する協定。
こちらの世界ではコーディネイター関連は一定の譲歩はあるものの、B.O.W.関連やTウィルス関連の開発の強力な規制と禁止が盛り込まれている。
後述の一部企業などは反発するものの、後に強化人類関連のスキャンダルなどで没落。
圧倒的な民意に逆らえず没落していくこととなった。



東アジアの三安、大西洋のブラックリバー、ユーラシアのPECS

元ネタはソシャゲのラスト・オリジンに登場した人類滅亡前に存在したACの企業が裸足で逃げ出すほどの外道企業。
現在では連合により徹底的に取り潰しとなったため、強化人類ことバイオロイドの製造計画も叩き潰された。
PECSが米国企業であったが、ユーラシアの企業と改変。
あくまでフレーバー要素。

58: 657 :2020/10/25(日) 19:10:02 HOST:58-190-92-237f1.kyt1.eonet.ne.jp
投下終了。 wiki転載はご自由にどうぞ。
生命倫理逸脱企業は最近やったソシャゲのラストオリジンの企業連中があまりにも外道過ぎたのであくまでフレーバーで採用。
今やってるハロウインイベなのに汚え人間は滅びろ!滅んだ!となるぐらいには外道。


62: 657 :2020/10/25(日) 19:44:49 HOST:58-190-92-237f1.kyt1.eonet.ne.jp
あ、すみません用語説明の部分抜けてたのがありましたのでこちらでお願いします

前編含めた用語説明


何仙姑の言っていた参考にしたロボット

ナムカプ世界との関わりで遭遇したロックマンXを参考にしたもの、
汎用性の高さは参考となったものの、X自体の完全コピーには現行の技術では不可能であった。

エコーズ

ガンダムUCに登場した特殊部隊エコーズが元ネタ。
所属部隊員はダグザ含め同位体が多数所属している。
MSやACの操縦なども可能なため特殊部隊では最精鋭の一つである。


エグゾスーツのスペック

参考は平成ライダーのスペックを参照にしている、
仮面ライダー555に登場したライオトルーパーを参照。


目の色が違うから~

割とC.E.では有名な理由。
外伝ではサーカスと呼ばれるこういった人身売買で集められた子供を兵士に仕立て上げるのが存在したりと、
何だかんだで鉄血世界並みの倫理観である。


感染者の日記

いつもの飼育員の日記別名かゆうま日記。
この世界では西暦時代に感染者が病状が進行するにつれ言語にどういった影響がでるかわかる貴重な資料となっている。


トリノ議定書

原作でも採択された遺伝子改変禁止に関する協定。
こちらの世界ではコーディネイター関連は一定の譲歩はあるものの、
B.O.W.関連やTウィルス関連の開発の強力な規制と禁止が盛り込まれている。
後述の一部企業などは反発するものの、後に強化人類関連のスキャンダルなどで没落。
圧倒的な民意に逆らえず没落していくこととなった。



東アジアの三安、大西洋のブラックリバー、ユーラシアのPECS

元ネタはソシャゲのラスト・オリジンに登場した人類滅亡前に存在したACの企業が裸足で逃げ出すほどの外道企業。
現在では連合により徹底的に取り潰しとなったため、強化人類ことバイオロイドの製造計画も叩き潰された。
PECSが米国企業であったが、ユーラシアの企業と改変。
あくまでフレーバー要素。

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最終更新:2020年10月26日 22:02