394: トゥ!ヘァ! :2020/11/03(火) 17:41:00 HOST:FL1-118-109-165-4.kng.mesh.ad.jp
日本大陸 漆黒世界 英国の哨戒網艦隊
事の発端は戦間期。漆黒世界における独仏戦争ことWW1と米合殲滅戦争ことWW2の間の出来事である。
アジアの一角。朝鮮半島に存在する朝鮮王国が大型巡洋艦を流用した軽空母を日本に受注した。
(陣龍さん作 漆黒世界戦間期 アジアの米合リクルート(人狩り)連中被害者たちの証言集 より)
四四艦隊計画と題される、このプランは金のない朝鮮王国の苦肉の策であったが、それに目を付けた国がいた。
英国である。東洋の大魔神日本と共に世界を二分する欧州の覇者である。
欧州に並ぶものなしと言われる大国であったが、彼等には悩みがあった。
大西洋を挟んで敵対するアメリカ合衆国である。
時は遡りWW1前。続海賊時代と言われている時期。
米合から許可を受けた私掠船がそりゃ大西洋中に跋扈していた時代である。
無論大西洋が主要航路の一つであった英国も打撃を受けており、多くの巡回艦隊や護衛艦隊を出している。
その中でも続海賊時代末期に運用しだした水上機母艦は哨戒任務に関しては格段の性能を発揮していた。
当時のまだ目新しかったが、カリブ海での実績を鑑みて、英国も大々的に導入していたのだ。
その後WW1に突入し、実質続海賊時代が終焉した後も英国は水上機母艦を中心とする大西洋哨戒部隊を幾つも保有していたわけだが、流石にWW1後の戦間期ともなると旧式化が目立った。
では新しく今はやりの空母にすればいいかと言えば、少々お値段がかかりすぎる。
今手持ちの水上機母艦を全てを正規空母へと更新するのは大英帝国と言えど中々骨であった。
そこで目を付けたのが朝鮮王国が発注したという大型巡洋艦の船体を流用した軽空母という代物である。
(大型巡洋艦と言っても180~190m級。史実で言えば重巡クラスであるが、この時期の巡洋艦の中では大型と言えた)
確かに性能は正規空母に及ばない。運用だって色々問題があるだろう。
しかし巡洋艦流用なのでそこそこ安い。あと足が速い。使い勝手は悪いかもしれないが、まあそこら辺は上手く誤魔化そう。
ここら辺はあくまで後継として求めているのは平時における哨戒用の艦艇であり、実戦時に主力として扱いたいわけではなかったので妥協できた。
というわけで水上機母艦の後継にこの巡洋艦流用軽空母に白羽の矢が立ったのだ。何より巡洋艦流用ということで空母にしては足が速かったのが気に入られた。
平時とは言え哨戒用の艦艇としてなら足が速いのは色々便利だからだ。
というわけで自前の巡洋艦を流用して早速建造を開始(流用した巡洋艦はケント級なのか、ダイドー級か、はたまた史実では存在していない漆黒世界独自の巡洋艦なのかは諸氏の想像に任せる。ぶっちゃけ筆者はそこら辺詳しくないからのである)
というわけ早速完成したのがサザーランド級と命名された軽空母たちである。
速力良好、居住性そこそこ、安定性も微妙、装甲は妥協され、搭載機数も20機程度と言ってしまえば半端な性能であった。
しかしこれで良かったのである。設計の一部を既存巡洋艦から流用し、性能も妥協したためコストを抑えることに成功。
既存の巡洋艦規模のドッグを流用できるため、同時建造数も多い。
正直船としての性能は今一であったが、素早く量産できる点は中々に魅力で旧式化した水上機母艦を速く代替したい英国からしてみれば丁度良い船であった。
平時における大西洋の監視が主目的のため性能に妥協しても問題はなかった。
395: トゥ!ヘァ! :2020/11/03(火) 17:41:45 HOST:FL1-118-109-165-4.kng.mesh.ad.jp
そんなわけで短期間にポコジャカ建造されたサザーランド級軽空母。その総数はなんと50隻。
20隻ほどが英国海軍で運用され、残りの30隻は空母を欲した他国へと売却、もしくは他国からの受注で建造したものである。
ポルトガル、スペイン、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、コロンビア、カナダ、米連、中米連邦、アルゼンチン、メキシコ、カリブ海諸国等々。
大体大西洋に面している国々の多くに売りさばいたのである。
一部は地中海に面した国々にも。
英国海軍で運用された15隻は旧式化していた水上機母艦を見事代替することに成功。
そのまま大西洋中の航路に配備され運用された。
もっぱら米合陣営の海軍やら密輸やらを見張ることが目的のためそれぞれが小部隊に別れて行動した。
軽空母1、駆逐艦2が内訳である。
20の戦隊に別れた彼らは、大西洋中に監視網を引き、戦間期における米合陣営の動きを多少は鈍くするなど、十分にその役割を果たした。
無論戦時中も彼らは活躍した。
船の性能は今一だが、速度が速いので艦隊に追随しやすい点を活かし、もっぱら船団護衛の任務についたのだ。
一隻あたり20機の搭載。ちょっと無理すれば25機くらいまでは乗る。
それを船団一つに付き多数の駆逐艦と共に二隻付随させる。
哨戒から防空、対潜までをこなすサザーランド級は重宝した。
とは言えあくまで平時で使うことが想定されていた急増品。装甲は薄いし、滑走路は短いし、格納も遅いしと性能自体は左程よくないため、大戦初期に活躍して以降は戦時急造空母の傑作と言われたコロッサス級軽空母へと徐々に出番を譲っていった。
英国海軍が運用した20隻、他国の海軍が運用した30隻。合わせた50隻のうち、WW2中には15隻以上が沈んでいる。
逆に言えばたった15隻で済んだのは、相対した米合陣営の海軍力の低さを物語っている。
こうして大戦を戦い抜いた生き残りも、戦後は旧式化と巡洋艦流用という点が祟り、性能不足となりすぐさま退役となった。
さて。ここでお立合い。
これだけなら単なる平時の格安空母というだけで終わるが、実はそれだけではない。
この戦間期にばら撒かれたサザーランド級が自国初の空母という国は意外と多かったのである。
スペイン、ポルトガル、オランダ、スウェーデン、ノルウェーなどの欧州国は勿論、中米連邦、メキシコ、カリブ海諸国、コロンビア連邦、アルゼンチンといった中南米の中小国にとっても無論初めての空母運用であった。
米連とカナダに関しては続海賊時代から水上機母艦の運用経験があったが、本格的な空母の運用はこのサザーランド級から始まった。
つまるところ大西洋に面する国々にとっては空母部隊の母となったのがこのサザーランド級なのだ。
このサザーランド級を運用し、戦間期に空母運用ノウハウを蓄積された国々は戦時中に英国や日本から供与された戦時急造空母や旧式空母を良く扱い、対米合陣営戦へ多大な貢献を果たした。
正にこれが英国の狙いだったのである。平時に格安空母でノウハウを学習させ、戦時に一気に花開かせる。
対米合陣営戦を見据えた十年二十年単位の友好国教育計画。通称マーマイトプラン。
396: トゥ!ヘァ! :2020/11/03(火) 17:42:46 HOST:FL1-118-109-165-4.kng.mesh.ad.jp
大西洋は広い。そして米合陣営の活動領域も広い。となれば英国単独で幾ら空母を運用しようと限界がある。
ならば友好国の力を借りればいい。しかし彼らは空母の運用ノウハウなぞ持っていない。
なので戦時にいきなり空母を与えても、ろくに扱えないのは目に見えていた。
そこで考えたのが平時用の格安空母でノウハウを積ませるという点である。
あくまでノウハウを積むのだから艦載数はそこそこでいい。装甲だなんだも薄くて構わない。
とにかく空母の運用に慣れさせておこう。あと船団護衛の任務とか哨戒とかのノウハウも積ませられればいいよね!といった具合。
事実彼等中小国は空母を求めた。続海賊時代に米合の私掠船が散々暴れた記憶もあれば、WW1でドイツの潜水艦がフランス相手に散々暴れた記憶もある。
そしれそれらに対して有効に働いた水上機母艦と日英の初期型空母部隊のことも勿論覚えていた。
このため彼等は自国の航路を守るための手段とした空母を求めたのである。既に先例は日英が見せていた。後は経験だけだ。
そして目の前には性能は今一だが格安の空母がある。元が巡洋艦なので巡洋艦用のドッグがあれば整備も可能。
艦載機も日英が放出した適当なのがある。日英に艦載機部隊の教官が欲しいと言えば快く派遣してくれた。
何より足が速いので空母を使った船団護衛や哨戒任務に打ってつけなのも嬉しい。
こうして彼等中小国はサザーランド級を実質訓練艦としながら戦間期に少なくない空母運用ノウハウを手に入れたのである。
英国の目論見通りに…
因みにマーマイトプランは「不味い(性能は微妙)が栄養(ノウハウ構築)はあって、普段から不味いのに慣らしておけば、いざという時の食事(戦時急造空母の荒さ)にも耐えられる」という意味からきているという。
そんなわけで英国の目論見通りまんまと育成された彼らはWW2の最中に常に米合陣営の海軍相手に上手く立ち回り、大戦で米合陣営の空母部隊相手に目に見えた差を突き付けていたという。
なお後の世で艦艇を擬人化するゲームにて、サザーランド級はママ空母だ、ママシスターズだ色々な仇名を付けられるのだが、それはご愛敬であろう。欠点は多分身体にいいからとマーマイトを押し付けてくる点。
397: トゥ!ヘァ! :2020/11/03(火) 17:43:21 HOST:FL1-118-109-165-4.kng.mesh.ad.jp
〇説明
全長:190m
排水量:1万(満載)
最大速力:30ノット
搭載数:20機(甲板駐留含めれば30機)
武装:20mm機関砲12門 12.7㎝単装両用砲2門
英国が自国の巡洋艦の設計を流用して建造した軽空母。
モデルは史実米のインディペンデンス級軽空母。性能的にはそれの劣化版。
平時運用前提のため速力はあるが、装甲は弱い。武装も貧弱。
英国が自国の旧式化した水上機母艦の後継…というお題目で友好国にばら撒くために開発した格安空母。
平時に50隻ほど建造され、大西洋に面した国々にばら撒かれた。
決して抜群に運用しやすいとは言えないが、足は速いため使い勝手は良く、何より導入コストも、運用コストも安く済んだため空母初心者の中小国にはありがたがれた。
英国の目論見通りに戦間期にて、各中小国はこの空母で空母運用、艦載機部隊運用のノウハウを培い、WW2開戦時には日英から供与された多くの戦時急造空母や旧式空母を運用してみせた。
その練度は明らかに米合陣営海軍の空母部隊のそれを上回っていたという。
サザーランド級の酷さに慣れた彼らは戦時急造の荒い仕上がりを見せる護衛空母や軽空母などにも文句を言わず粛々と運用してみせたのだ。
最もサザーランド級に大幅に劣る速度の船ばかりだった点は愚痴っていたそうだが。
戦後は流石に旧式化が進みお役御免に。基本は退役からのスクラップだが、中には記念艦として残す国もあったそうな。
意外と戦時中の生き残りが多いのは、基本日英陣営が常に米合陣営の海軍力に勝っていた点と、足が速いので敵の攻撃を避けたり、戦場から離脱したりすることが得意だったため。
後の世の艦船擬人化ゲームでは姉妹の殆どにママ属性が付いた。
もっとも微妙に不味い健康食品を進めてくる点を見てお祖母ちゃん属性の方が強いとの声もある。
398: トゥ!ヘァ! :2020/11/03(火) 17:45:11 HOST:FL1-118-109-165-4.kng.mesh.ad.jp
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素直に空母使えや!って押し付けても良かったけど、それだけじゃ今一マーマイト味に欠けたので。
多分最初は本気で水上機母艦の後継の意味で作ってたけど、途中で割と安くて使い勝手いいから中小国にも回してやろうぜ!ってなったのが真相。
最終更新:2020年11月05日 22:00