198: 陣龍 :2020/11/02(月) 00:13:00 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp
連合軍標準最優秀戦闘機 飛燕とその子供達
日英による容赦の無い空売り砲攻撃にて日英陣営と米合に染め上げられた国とに世界が分裂し、形式上中立を掲げている極僅かな例外(スイス、スウェーデンら)も実質的に日英陣営へと組して行き、空売り砲の直撃を受けた米合も突然の経済的大混乱と損害を何時もの如く『備品』の徹底活用と『米合流合理主義』に染め上げたブラジルやバルカンの市場化で補おうと躍起になって『次なる大戦』への下準備が着々と進められている中、日英は自陣営に来た中小国の多くから『米合軍の航空部隊と戦える戦闘機』の売却・供与要請を受け、各国軍の要人を集めた新型戦闘機のコンペをオーストラリアにて行っていた。
アルゼンチン、チリ、キューバ、メキシコ、スペイン、フィンランド等と言った日英陣営の中でも中堅国から列強に数歩及ばない経済力を持つ国々がこの場に集まったのは至極単純明快に、『近い内に想定される米合陣営との戦争に置いて戦える軍用機を開発・量産出来ない』からであった。一応額面上の国家統計やデータ上では自力にてそれなりに優れた軍用機を開発出来るだけの工業力や地力を持つ国も全く皆無と言う訳では無いのでは有るが、あくまで『それなりに優れた』程度が限界であり、米合軍が投入すると想定される『新型戦闘機』と戦える程に有力であるとは到底判断出来ないと、各国軍や航空業界は冷静かつ冷徹に自らの限界を見極めていた。一部上り調子の国情を背景に自国産兵器の開発と量産を掲げたり放言する人間も居ない事も無かったが、米合への恐怖と情報不足からの偏見(のハズだったが現実はそれ以上に斜め上)から来た、日本的に言う『空気』によってその調子のよい意見が主流になる事は無かった。尚自国産兵器の大量生産の道が閉ざされた事に不満を抱く国粋主義的な人間も、後に日英から供給された『新型戦闘機』の性能を前に一瞬で手のひら返しで称賛の嵐を送った事から、割とミーハーな気質だったようである。
そして完全に日英勢力圏のど真ん中に有る為米合系工作員がまともに入り込めないこの地にて、日本とイギリスに米連、そして日英と友好関係と言う名の実質的同盟関係にあったドイツ、そしてバルカン連邦に属するギリシャ等によるマンハントやら様々な工作行為で上から下まで激昂し『人類史初のイタリア人の本気』とイギリス人が呆れ混じれに揶揄する程に猛っているイタリアの各航空企業が集結し、それぞれが自慢の航空機を持ち込んでいた。ただイタリアに関しては自国産エンジンの馬力不足を理由にコンペに出場させたのが練習機部門のみで残りの時間を日英独米連らに対するエンジン等のライセンス交渉をしていたので、実質的には日英独の四か国による壮絶な殴り合いになっていた。
199: 陣龍 :2020/11/02(月) 00:17:40 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp
そして各国の政治的バランスやら企業の政治力やら等は完全に投げ捨てられて性能・量産性・整備性のバランスを容赦無く吟味され、性能不足や欠陥・欠点有りとされた機体は何処の会社のモノで有ってもすぐさま落選させられると言う企業に取って阿鼻叫喚の魔境が繰り広げられる中、採用国の多さと地域から確実に世界中を飛ぶ事になると見做されて全ての企業が全力を尽くした『主力戦闘機』の座は、日本帝国の新型戦闘機『飛燕』が射止めた。決定打となったのはその拡張性能の高さと長大な航続距離、そして20㎜機関砲4門に空対空ロケット弾8発の高火力、液冷エンジンの流星型発動機搭載で時速700㎞越えの高速と言うハイレベルに纏められた機体の能力に加えて、そのハイレベルな能力に反比例しているかの如き性能に比して安価な機体価格と比較的簡易な整備性能であった。整備能力や国情の気候・環境に不安のある国には多少速度性能は落ちるが耐久力が高い空冷エンジン換装機の提供やライセンス生産も同時に提案されており、競合機となったドイツのメッサ―やフォッケウルフ、ハインケル、イギリスのホーカー、スーパーマリン、米連のビーチクラフト、スカイ・ワーカー等が総じて匙を投げざる負えなかった。序に言えばこの『飛燕』は性能のみならず外見からして『極めて優美かつ流麗にして鮮烈』と評された程に液冷エンジン機ならではの鋭さを持っていた。『見ているだけで敵を畏怖させ、操る人間に勇気と勝利を齎す』等と試験飛行したメキシコ人パイロットが絶賛するまでも無く、『飛燕』が世界各地を飛ぶ事になるのは確定事項だった。
そして『顧客』であった日英陣営の中堅国や列強未満の強国全てが満足する大成功を収めたコンペから僅か一月後には、輸出国第一号となったアルゼンチン空軍が受領した『ジャカレ(ポルトガル語で【ワニ】。危害を加えなければ大人しい性質)』が南米の空を舞っており、突然の新型戦闘機の出現に米合陣営は驚くも、事前協定にて『【その日】が来るまで性能は抑止状態とし、尚且つ国外や基地近辺外には一センチたりとも出さない』と厳しく定められていた為に、米合陣営も『飛燕』
シリーズの真の性能を正確に把握する事は出来なかった。加えてこれまでの米合による悪行と悪評が祟り、日英陣営の空売り砲に連動した各国の一斉摘発によって諜報網と工作員・諜報員が一時的に壊滅状態に陥っていて丁度再建途上の合間に起こった事で有る為に、日英陣営による情報遮断の壁は上手く超えられなかったのだ。無論その状況でも公式発表や写真による外観からの推察、また軍人達のなんて事の無い話を精査して性能調査を進め、結果『最高時速凡そ600㎞強以上、武装12.7mm以上の機関砲4門、航続距離を少なく抑えて価格を安価にした迎撃機タイプ』と予測した。本来の性能から格段に低く見積もられているのは、日英陣営の情報封鎖とカウンターの欺瞞情報の密やかな流布の成功に加えて、アルゼンチンやキューバ等がこの『飛燕』シリーズをライセンス生産していた事も一因であった。合理主義と化した米合もその全ての根源は『人種差別』が存在しており、尚且つずっと日英や【顧客】候補の紛争地域に目を向け続けていた事も有り、心のどこかで『先進工業力が未熟な国家が一流戦闘機をライセンスでも作れるわけがない』と『合理的に』考えて居たのだ。自分達米合が生み出した無数の煉獄によって突き動かされた『恐怖と絶望』が、『合理的に考えた当然の解答』を上回った等とは考えられもしなかったのだ。
200: 陣龍 :2020/11/02(月) 00:19:41 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp
そして『第二次世界大戦』の開幕直後、各国の『飛燕』シリーズに掛けられていた『枷』が全て取り外され、何の制約も無くなった燕とその主人たちは歓喜の雄叫びを上げながら出撃し、戦術どころか事実上の戦略レベルの奇襲効果を以て米合陣営に全力で襲い掛かった。『M1特殊高射砲』の如き『備品』をフル活用した外道兵器を多用する米合陣営軍に苦戦は免れなかったが、こと正規軍同士の空戦や
対地攻撃などになると、『飛燕』が持つそのレシプロ機の頂点に駆け上がるが如き高速と軽快な機動力、20㎜機関砲4門と空対空ロケット弾の高火力は存分にその威力を発揮し、軍需傾倒で民需が貧弱な結果技術の裾野が狭い米合系の兵器を操る米合陣営よりも優位に戦っていた。
加えて日英陣営は須らく『生き残る為の生存戦争』と言う上から下まで死力を尽くした本気の総力戦を展開しているのに対して、米合陣営は初動からして『利益を得る為の戦争』としか考えて居なかった為に、戦後統治の事を半ば無視した猛攻が実質的な戦略的奇襲でも有った為に、初撃の一発が鳩尾に深く突き刺さったボディブローの如く後々効いてきたのだ。アルゼンチン・チリ連合のブラジル首都空爆戦で『M1特殊高射砲』により戦略爆撃機部隊が甚大な損害を受けた際にも、アルゼンチン空軍の『ジャカレ』チリ空軍の『ピューマ』が護衛についており、不意かつ想定外の攻撃で護衛対象を多数喪失するが、その代わり打ち止めとなった『M1特殊高射砲』に続いて迎撃に上がったブラジル空軍の多数を撃墜・撃破しており、苦すぎる初陣では有ったが戦果自体は優秀であった。
そして世界各地にて羽ばたいた『飛燕』シリーズであったが、各国それぞれの国情にある程度対応できるだけの拡張性を備えていたのが強く影響し、南米やカリブ、中米、ヨーロッパそれぞれの地域や国々にて多種多様な改造が成されていた。南米では『ビーストモード』とも称された、機体に多数のガンポッドで更なる重火力を備えた『襲撃機型飛燕』、カリブでは敵艦への攻撃も考慮され、尚且つ高温多湿な気候の為に空冷エンジンに換装し機体に魚雷投下装置を改造して搭載した『戦闘雷撃機型飛燕』、中には中米、と言うよりメキシコにてエースパイロットの望みで防弾板を取り外して防弾性能の代わりに更に機動力を強化したソルジャーメイドの『対戦闘機戦特化型飛燕』等々、開発元が把握していない派生型が無数に出現していた。ライセンス生産でかなり自由に弄って良い事を契約で明記して居た事も有り一見した外見は似たように見えても当事国それぞれで改造やカラーリングが好き勝手に行われた事で、第二次世界大戦終結後の終戦記念式典に各国の『飛燕』シリーズが来た時には『なんじゃぁコリャァ!?』と『飛燕』を設計したチームの一人が思わず大声に出した位に、本当に各国で『成長』を遂げた『飛燕の子供達』が大集合していた。戦闘機系統だけなら兎も角としても、タンクバスター専用のドデカい大砲をぶら下げた『空中砲台』すら居たのだから思わずそう叫んでも仕方がないだろう。
201: 陣龍 :2020/11/02(月) 00:21:07 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp
一方その各国で元気に羽ばたき国によっては護国の象徴にすらなった『飛燕』の生みの親は、可能な限り中堅レベルの工業力でも殆どの部分の製造や整備が簡易に可能になる為にも、設計段階でコッソリと米合の設計思想を参考にした事をひた隠しにしていた。世界各国で米合の脅威と戦う為に生み出された戦闘機に米合の技術思想が一部使われていると言うのは、バレた場合に飛んでも無いスキャンダルになる可能性が有ったのだ。戦中戦後と、米合による様々な『合理的活動』が齎した地獄の惨禍によってヒステリックに米合に関係したモノは何でもかんでも叩きに掛かる風潮が出現しており、その風評被害が実害を伴いかねなかったのだ。と言う訳でその裏話は終戦後にそれなりの期間が空き、『飛燕』たちもスポーツ用等の民生用としての払い下げを除けば退役して博物館行きになった時代にネタ晴らしされたのだが、『飛燕』と共に戦った各国の反応は、開発陣が想定して居たより遥かに軽く、中には笑いながら受け入れた者も居た程だった。完全な取り越し苦労でポカーンとした日本人開発者たちに、メキシコ空軍トップにして中米最強、世界ランクでも上位に入るエースとして活躍したダビッド少将(当時)の掛けた言葉が、大体の人間の思いを代弁していた。
『米合の『合理的思想』はどうしようもないゴミの塊だが、アンタらが作ったこの『鳥』にそんなもんが混ざってるとは誰も思ってない。それにだ、米合自身が原因で『飛燕』と言う強敵を育てたんだ、最高の皮肉じゃ無いか!』
202: 陣龍 :2020/11/02(月) 00:25:53 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp
と言う訳で豊臣
夢幻会世界では疾風とほぼ同時期の登場で一瞬でお払い箱状態になり、その他大陸世界でもあんまり出て来る事の無い液冷戦闘機の『飛燕』の再臨劇でした。輸出用戦闘機となりましたが日英陣営の全世界で使われて改造も普通に自由にされていたので、まぁ各国の運用思想やらが如実に出まくる『飛燕』がそこらに出てた事でしょう。割と工業力高い国多いし自力改造は可能でしょうし
と言う訳で大舞台を用意したから頑張ってくれ『飛燕』、マジで救国通り越して世界を救った戦闘機になれる可能性有るぞコレ
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|д゚) ?!
203: 陣龍 :2020/11/02(月) 00:27:38 HOST:124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp
あ、ダビッド少将は憂鬱本編でメキシコを破滅に追いやりかけた民兵出身の強硬派だったあの人の大陸世界の同位体です。
年齢とか分からなかったので取り合えず適当にエースにしました。適当にエースにすると言うこの言霊よ
最終更新:2020年11月05日 22:10