566: モントゴメリー :2020/11/04(水) 23:10:10 HOST:116-64-111-22.rev.home.ne.jp
漆黒の合衆国強化プラン②

A-39  Airacobra


• 全長:約9.2m
• 全幅:約11m
• エンジン:液冷エンジン(約1800馬力)
• 最大速度:約740km/h(高度3000m以下)
• 航続距離:約2000㎞
• 武装:37㎜機関砲1基、12.7㎜機銃2基


合衆国及びその同盟国で運用された攻撃機。高空性能を切り捨て、中・低空での機動性と速度を徹底的に追求した機体である。
Airacobraは「空飛ぶコブラ」と言った意味である。日本軍パイロットの多くは「エア・コブラ」と発音した。

第二次世界大戦前、合衆国では次代を担う「対地攻撃機」の開発を進めていた。
中南米でのデモンストレーションや、先の大戦でドイツ軍が実施した「電撃戦」の戦訓から
これらの機体が戦局を左右し得るものであると分かっていたからである。
しかし、その道のりは予想以上に厳しかった。

このような攻撃機がその能力を十全に発揮するためには「航空優勢の確保」が絶対条件であるが
かつてのフランスと違い、日英両国がそんな簡単にそれを明け渡すとは合衆国人たちも考えてはいなかった。
また収集された各情報を分析すると、地上部隊の対空火力も強化される一方であった。

——爆弾を搭載し鈍重になった攻撃機など、運用できるのか?

開発陣たちは途方に暮れ、計画は停滞した。しかし、ある時一人の技術者が発した言葉が全てを変えた。

「ならば、爆弾を積まずに速く・素早い攻撃機を作ればいいのでは?」

ここにコンセプトは決まった。
『とにかく高速で、高機動力な機体』である。

速度を稼ぐために爆装は最初から考慮されていない。懸架装置すら無いのである。
攻撃手段は機関砲(と機銃)のみである。
これも運動性能を可能な限り上げるために機体中央、すなわち胴体部に集中配置している。
具体的には12.7㎜機銃2挺とエンジン同軸に37㎜機関砲(いわゆるモーターカノン)1門を装備している。
肝心の対地火力が不足しているのではないか?という指摘に関しては
WW1でイギリス空軍が実施した「戦闘機による機銃掃射」がドイツ軍に与えた被害に関する分析を提示して納得してもらった。

エンジンには開発当時、液冷エンジンで最も高出力なもの(約1800馬力)を選定。
被弾に強い空冷エンジンにすべし、という意見もあったが速度性能優先のため液冷エンジンとなった。

対空砲火対策として重要箇所にはある程度の装甲を施している。が、それ以外については徹底的に軽量化されている。
対地攻撃が任務のため高空性能は必要ではない、としてエンジンには過給機など高空用装備は一切装備されていないほどである。
パイロット用の酸素ボンベすら外されている(後付けできる空間はある)。

運動性能も強化され、当時の合衆国航空機で最高レベルの能力を獲得した。
旋回性能と高速性能とは本来は矛盾するものであるが、そこはエンジンの大馬力と機体の軽量化で対応した。

また合衆国製製品の例にもれず、本機も整備性と量産性が可能な限り追及されている。
そのため、開戦前には第一線の対地攻撃部隊の全てに本機が供給されていた。
無論、日英同盟側にも本機の情報は流れていたが夢幻会メンバーは
「ああ、『かつお節』ね」
という先入観から全く警戒心を抱かず(合衆国が流した情報も史実P-39レベルの試作機のものだった)
特に反応を示さなかった(イギリスも同様)。

567: モントゴメリー :2020/11/04(水) 23:10:56 HOST:116-64-111-22.rev.home.ne.jp
第二次世界大戦開戦後、本機は世界中のほぼ全ての戦線で使用された。
合衆国本土戦線では誘導弾『雷火』による奇襲攻撃の後、前進する同盟軍地上部隊に対し阻止攻撃を敢行。
低空をおよそ700km/hで突進し37㎜機関砲を浴びせてくる本機により同盟軍、特に戦車部隊は事前想定を大幅に上回る被害を出した。
これにより進撃は停滞、日英の目論み(あるいは願望)とは異なり戦争は長期化した。
もちろん、前線のみならず後方にも襲撃を行った。
前線飛行場に対しては駐機してある機体や弾薬・燃料貯蔵庫、さらに管制塔などの各種施設を攻撃した。
(実際、「疾風」の損失理由の多くは『地上撃破』である)
たとえ滑走路が無傷でも、これらが破壊されれば飛行場はその機能を失う。
また、補給トラックの車列や列車なども優先目標であった。
基本非装甲のこれらに対しては、爆弾は必須ではないのである。
そして、最優先目標であったのは『雷火』発射基地であったのは言うまでもない。
『雷火』を破壊し基地全体が誘爆した際の爆発は遠く前線でも確認できるほどだったといわれる。
合衆国軍将兵はそれを見るたびに戦意を回復させたという。

当初の想定では本機により地上の対空砲火や飛行場を破壊し航空優勢を確保
その後に爆装した攻撃機本隊が攻撃を仕掛ける流れであった。
実際戦争初期はその戦術が機能したが、同盟軍の対空能力が強化されてからは爆装機の運用は困難を極めた。
つまるところ,本機の開発時に想定された状況そのものになってしまったのである。
そこで合衆国軍は戦術攻撃機に関しては本機に装備を統一することを決断。生産の効率化を図った(大型爆撃機は別)。

日英同盟軍も本機に対して対策を講じようとした。
しかし、低空を高速で侵入してくるため発見が遅くなることが常でありしばしば奇襲を許してしまった。
事前に発見できたとしても、「飛燕」シリーズは低空では速度も機動力も劣っているため撃墜は困難であり逆に撃墜される事例が相次いだ。
「疾風」の場合は、今度は速度があり過ぎて本機と同じ高度に降りようとしても地面に激突する恐れがあった。
本機のパイロットも、疾風に迎撃された場合は超低空を飛べ、と訓示されており実際そのようにして切り抜けた。
更に少数ながら格闘戦に引きずり込み「疾風」を撃墜した事例も存在する。

本機はその優れた運動性能により制空任務にも駆り出されることが多く、特に地上部隊を攻撃しようとする同盟軍襲撃機部隊に対しては猛威を振るった。
合衆国軍将兵は本機に対して全幅の信頼を寄せ
「あの『ヘビ』たちが空にいる限り、俺たちは戦える」
と言った言葉が交わされたという。
同盟軍でもその性能は脅威と認識され
「A(=攻撃機)というのは欺瞞情報である」
と公式文書に記載したほどである。

本機は戦争終盤まで第一線で使用された。
特に、「用途特化備品」(=乳児の頃より各分野に特化するように選別、訓練された備品)パイロットで構成された飛行隊は
「2階の屋根より低く飛んだ」
という伝説を残すほどの練度を誇り、最後まで同盟軍地上部隊に対して砲弾を叩きつけたのである。

568: モントゴメリー :2020/11/04(水) 23:11:55 HOST:116-64-111-22.rev.home.ne.jp
合衆国戦線以外でも本機の活躍は特記に値した。
創立当初から地上軍支援と低空での戦闘に重きを置いていたソ連空軍は本機の性能に惚れ込み
「最高の『戦闘機』である」
と称賛した。
東部戦線ではドイツ戦車部隊に対して猛威を振るい、「黒死病」と恐れられた。
制空戦闘でもドイツ空軍と激闘を繰り広げ、低空では最後まで脅威であり続けた。

「高度3000m以下は最後まで我々の空だった」

戦争を生き延びたソ連エースパイロットはこう回想している。
またソ連では37㎜を20㎜機銃に換装してより軽量化した「制空型」が多く用いられた。

南米戦線では戦闘機部隊が「飛燕」シリーズを食い止めている間に(ほとんど『囮』であるが)
同盟軍地上部隊を攻撃。
前線部隊はもちろん、物資集積所なども徹底的に焼き払い同盟側南米諸国軍のブラジル侵攻計画を「遅延」を通り越して「破綻」させた。

「我々の『ワニ』はどこにいる⁉俺たちの上にいるのは忌々しい『ヘビ』どもだけだぞ!!」

アルゼンチン軍戦車部隊指揮官が発した悲鳴の如き電文は、戦後両陣営の映画や小説に引用されている。

バルカン連邦が戦った地中海戦線では対艦攻撃にも多用された。
本機が先行して突入し、敵艦の対空火器や射撃指揮所、艦橋などを攻撃し対空能力を低下させ本隊が攻撃するのである。
さらに装甲の薄い駆逐艦には37㎜機関砲であっても脅威であり、何隻もの駆逐艦が本機の攻撃だけで戦線離脱している。
中には魚雷や爆雷に誘爆して撃沈した駆逐艦もあるほどだ。

だが、艦船攻撃で最も戦果を上げたのは通商破壊である。
輸送船には装甲など皆無であるし、船そのものが沈まなかったとしても積荷を燃やしてしまえば通商破壊は達成される。
また、上陸作戦に対する水際防御にも活用され、特に上陸用舟艇には「死神」と呼ばれるほどの被害を与えている。


本機は「対地攻撃機」として設計されたが、その卓越して運動性能により「戦闘機」としても運用された奇異な機体である。
その出自ゆえに高度6000m以上の高空では性能が極端に低下し、そこを「飛燕」シリーズに撃墜されること数多であった。
しかし、逆に言えばそれより低い中空、特に3000m以下の低空ではその性能を十全に発揮に日英同盟軍(特に地上軍)を最後まで苦しめたのである。

569: モントゴメリー :2020/11/04(水) 23:14:43 HOST:116-64-111-22.rev.home.ne.jp
以上です。
ウィキ掲載は自由です。

低空特化!高空性能は捨てた!!
そのかわり「飛燕」シリーズを上回るスピードと機動力を持った「対地攻撃機」だ!!!

(エンジン馬力が同等のP-51Hが785km/h出すんだから、740km/hくらい出してもバチ当たらんやろ)

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最終更新:2020年11月05日 22:13