505: 635 :2020/11/22(日) 13:06:50 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその八


時間はアイオワ達がカミカゼUAVを完封する少し前に遡る。



「「「……。」」」


海上自衛隊の護衛艦かが航空甲板で日本政府の面々は固まっていた。
というか自衛官達もみんな固まっている。
彼らの目の前にあるものが原因なのだが見ていると全員の耳に木曜日のテーマが流れてくる。


「こいつぁ…。」

「どう見ても空飛ぶ円盤…UFOですね…。」


総理と副総理が辛うじて声を絞り出した。
皿を上下に張り合わせた様な所謂フライングソーサー型なUFOと思しき物体が甲板の上から人間の身長程の高度に浮いて静止している。
機体の所々にスリットがあり光が走り回っている。
向こう側の艦艇で会談をすることとなり迎えを寄越すという話になりSH-60かV-22あたりだろうと予想していたら
未確認飛行物体が来たらそりゃ驚くだろう。

機体の材質に何が使われているか不明であるが少なくとも人類が知り得ないものであった。
ご丁寧に機体にはデカデカと『神崎島鎮守府海軍』の文字がゴシック体で書かれており、見慣れた漢字が描かれていることの違和感が馬鹿でかい。
藤堂などは「これ海軍機なのか…」とか漏らしてる。
そんなこいつが向こう側の艦隊の方からヒヨヒヨという感じで飛んだ来たのである。


そしてゴオォンというような音とともにつなぎ目一つなかった機体の一部が開き始める乗降用のハッチであろうか?
全員がゴクリと唾を飲み込む。
ハッチの扉が完全に降り誰かが降りてくる。
この場にいる者達の脳裏にはレプティリアンやリトルグレイにタコ型の火星人が浮かぶ。
そして…


「初めまして皆様をご案内させて頂く神崎電(いなづま)です。どうかよろしくお願いします。あの…何か?」


全員再度固まった。
宇宙人出てくるの想像してたら美少女が出てきたのである。しかも古き良きセーラー服を着た女学生サンだ。カワイイヤッタ!
その中で高校時代に突飛な友人を持っていたりした経験から踏みとどまってた陸自の大見が声を掛け。


「き、君が向こう側まで案内してくれると…?」

「あっ大見さん!…いえこちらの大見さんとは初めましてでしたね。艦娘の電なのです。よろしくお願いします。」

「(向こうの俺艦娘と知り合いなの!?)」


向こう側の人物がこちら側の人員を知っていることに驚くと共に艦娘という存在が間近にいるのに周囲が騒ぎ始める。
その間になんとか精神を立て直した総理と副総理が電の元へとやって来る。
そして総理は電と相対し右手を差し、電も総理の手を握り返し握手をする。こちら側と握手の意味は変わらないようだ。


「貴女が神崎電さんですか…私が日本国内閣総理大臣です、日本国とこの国の国民の代表をを務めさせて頂いております。」

「初めまして神崎電なのです。神崎島鎮守府海軍中佐と駆逐艦『電』の艦長の御役目を拝命しております。
 夫は神崎島鎮守府の元首と行政府の長である提督を務めております神崎博之です。
 本日はティエルクマスカ銀河共和連合国民を代表し皆様を戦艦『大和』へとご案内させて頂きます。」


周囲が驚愕に包まれる。
目の前のどう見ても少女にしか見えない存在が軍艦の艦長でありこの場でも上から数えた方が早い地位にいることもそうだが
向こう側の国家元首の妻、ファーストレディー自ら迎えに来たという歓迎ぶりも周囲に驚愕を齎していた。



「あのなりで人妻なのか…。」


そんな電と総理の様子を撮影しつつ黄昏る外務省のお役人が一人、こちら側の白木だ。
友人の突撃バカや大見が結婚してるのに現在彼女いない歴絶賛更新中だ。


「結婚てそんなにいいものなのかねえ。」


その隣に同じく独身の多川がやって来る。
生来の飛行機乗りであるのが結婚出来ない原因とかなんとか。
そんな独身貴族二人が結婚についてあーでもないこーでもないと話をしていると電と総理達の会話が続いていた。


「俺は副総理と財務大臣やってるもんだ。宜しく頼むぜ。」

「よろしくなのです。やっぱり総理も副総理も向こう側の二藤部さんと三島さんの同位体ですね。そっくりなのです!」

「向こう側にも俺らいるのかい?」

「名前は違いますが同じく総理と副総理をなさっています。」

「平行世界で名前が違うんですか…そういえば先程自衛官の方の一人を知っているようでしたが…。」

「おい!さっき彼女と話したやつちょっとこっち来てくれ!」

506: 635 :2020/11/22(日) 13:07:36 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

副総理に呼ばれ大見が前に出る。


「陸自の…。」

「大見一等陸佐であります。」

「そうか、こいつは名前同じなのかい?」

「同じなのです。奥さんの美里さんや娘さんの美加さんはお元気ですか?」

「ええ元気ですが…私の家族ご存知で?」

「はい、家族一緒での交流会でご一緒することもありますし美加さんはイゼイラへ留学されてますから。」

「イゼイラ?(そんな国あったか?)」

「ああ!合衆国大統領も概要だけで詳しく説明してませんでしたね。
 イゼイラは地球から5千万光年離れたティエルクマスカ銀河するに存在する共和制の星間国家なのです。
 地球に初めて来るときは2年掛けたそうですけど今では船で小笠原諸島に行くくらいの感覚で行けるくらい身近になったのです!」


全員開いた口が塞がらない小笠原諸島に行く感覚で5千万光年先に行けると言われりゃそうもなる。
しかも壮大過ぎてピンと来ない。
大見は「美加が5千万光年先のうちうへ留学?さらば地球なのか?」と混乱している。
副総理が某波動エンジン搭載艦を例に、一年掛けて行って戻ってきた大マゼラン星雲の星への距離より3百倍以上の距離を
一週間で行き帰り出来ると説明しそりゃ凄いとなった。
実に偉大なのは皆が理解できるSF作品である。
彼らの頭の中では戦艦大和が銀河系を飛び出してそのティエルクマスカ銀河に向かっている姿があったりする。
実際現在の形態でも斥力推進とか重力制御でディルフィルドゲートまで行けば出来るのであるが。


「後連絡員として私以外の艦娘を一人残していきますね。」

「連絡員ですかそれは有り難い。」


総理と電の話を聞きワクワクな周囲の一部の自衛官提督達である。
嫁艦が来るかと期待している。


「電、準備は完了しています。」

「あ!浜風ちゃん、準備おわ…り…?」


フォーラの中から返事があり浜風の声と名前を聞きテンション上がってた周囲は浜風が出て来て
全てが止まった。
黒みがかった紫色の丈の短い鎧の様な服にバカでかい十字状の物体を持った浜風。
そしてふるふると震える電。


「何で…何で…。」

「?どうしましたか電??」


「何で『 シ ー ル ダ ー 』のコスプレなのです!?」


電の絶叫がかがの甲板に木霊する。
まあつまりは浜風が人理継続保障機関の後輩な格好している訳だ。
電の様子に理由が分からないという顔をするマシュ風もとい浜風。


「こちら側と友好的関係を構築するためにはまず形からと思いまして向こうでも大人気なこの格好が良いかと…。」

「コスプレ理由が予想以上にまともだったのです!?というか公的な場なのだから戦闘服か制服着るべきなのです!!」

「???、これも戦闘服ですが?秋雲もいいねと言ってましたし。」

「もういいのです…。」


素で天然な浜風の反応に電はえらい疲れたような表情をする。
浜風を着替えさせたいがそんな時間も余裕もない。


「総理、浜風ちゃんがこんななので問題ありまくりなのですが連絡員としてかがに置いて欲しいのです。」

「そ、それは構いませんが(汗)。香坂艦長?」

「ま、まあ若いのが騒ぐかもしれませんが問題はないです(汗)。」

「 (汗) 」副総理

「 (汗) 」藤堂

「 (汗) 」多川

「 (汗) 」大見

507: 635 :2020/11/22(日) 13:09:36 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

宮藤というどう見ても少女な乗員の妖精に案内されフォーラへと乗り込んだ日本政府関係者はその内装に驚いた。
多川は少女な乗員の下の名前を聞いて魔女なのかと頭を抱えていた。
今回のフォーラはVIP人員輸送形態へと内部を変更している為にそれなりの内装へと変化している。


「まるで旅客機だなこりゃ…。」

「しかしこの椅子の材質、プラスチックでも金属でもありませんね…。」


こちら側があーだこーだと話をしていると電が何かスティック状のものを持って来た。


「皆さん大和へ行く前にコレを身体に打って下さい。」

「それは?」

「医療用ナノマシンが入った注射器です。こちらでパンデミック引き起こしてるのにも対応してるから大丈夫なのです。」

「医療用ナノマシン!?」

「ちょっとまってくれ!?ナノマシンの投与はまあいいとしてここで注射すんの!?」

「この注射は向こう側では子供も気軽に使える針無しのポピュラーなものですよ?
 後医療用ナノマシンはコロナに感染して重症化していた合衆国大統領に合成した特効薬と一緒に使ったものだから大丈夫なのです。」


電の子供で使える針無し注射器という地味に進んだ科学に気づいたものもいるが
それ以上にナノマシンがコロナ重症患者に効果があったということと特効薬という言葉に反応したものの方が多かった。
この世界では新型コロナウィルスへの対策が急務であり合衆国大統領、すなわちこの世界の人間で実証済みという事実は大きかった。


「(これが大統領が手に入れたものですか…。)」

「(総理、是が非でも持ち帰らにゃなんですな…。)」



日本政府関係者を乗せたフォーラはかがの甲板を飛び立ち大和へと向かった。
その操縦席には電が座り、コパイに宮藤が座っている。
大丈夫なのかと心配になったこちら側だが電は農業用トラクターの運転と田植えから機動艦艇の操艦に艦長まで大丈夫と自信満々であった。

何故にトラクター?機動艦艇とはなんぞや?となったこちら側の疑問に宮藤が説明した。
某鉄腕な農家の番組に出演することもあり各種特殊車両や特殊技能免許を保持している艦娘は多い。
また農家出身の乗組員もいるためにそもそも農業への親和性は高く艦娘も大体が専業農家やってけるぐらいの技能はある。
大和や武蔵なんて農園の逸話もあるくらいだし。

そして機動艦艇であるがこれはティ連の区分で所謂宇宙戦艦や宇宙空母等軍用航宙艦を指す言葉である。
航宙艦となった艦娘は自動的に機動艦艇艦長資格章を保持し機動艦艇の艦長の資格を得る。
元来艦艇であったことから艦に関することならば出来ないことの方が少なくそれは航宙艦となってからも有効であるからだ。
ちなみに機動艦艇艦長資格章だと5000m級艦艇まで艦長として指揮可能である。
一部の頭の中では銀河帝国の巨大戦艦で艦長してる電ちゃんが鎧着てコーホーと呼吸しているとかなんとか。


フォーラは内部の壁に外部の景色を映し出しながら飛行していた。
初めて地球に来たデロニカでもやったことであるがこれが意外とウケがいい。
技術の差を実感出来るし今回は向こう側の艦隊の姿を見せることで示威にもなる。
まあ自保党の二藤部の同位体が政権を担っているので変なことをする心配はないが一応である。


「壁全体で外の景色見えるなんて凄いな。」

「壁を透過させてるのか?」


多川、藤堂、大見の自衛隊代表三人組は隣り合う席に纏めて座っていた。
現在はフォーラに使われている技術について話し合っている。


「この機体の推進機関がジェット推進でないことは間違いないな。かがへ来た時も空中で静止せいていたからな。」

「SFなんかでいう反重力とかいうのですかね?振動も音もしませんし。」

「核融合にナノマシン我々が知り得る向こう側の技術だけでも未来の技術だからな。想像もつかんな…。」

508: 635 :2020/11/22(日) 13:11:21 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

そいえばと多川が思い出したように言う。


「戦艦霧島と駆逐艦雪風は冥王星経由でワープでティエルクマスカ銀河に向かってるとか言ってたな。」

「つまりは艦娘は改装さえすれば宇宙戦艦になると?」

「恐らくは、そして量子通信や重力制御に恒星間航行なんかのSF技術もてんこ盛りだろう。」

「部下の言ってたメンタルモデル方式?ってのなら艦娘の姿でもある程度は使えそうだな。」

「……。」

「大見一佐どうした?」

「いや…前にアーケード版とかして艦娘は艦娘の姿でも艦艇の能力全部使えんじゃないかって話を…その高校時代の友人としましてね…。」


ついでに自分も艦これやってんですがと歯切れの悪い大見の言葉を理解した多川と藤堂は戦慄した。
空挺で戦艦やら航空母艦やらが展開するのも相当だが下手すりゃ艦娘は人間サイズのフルスペックイージス艦や航空母艦の機能を持つということだ。
しかもと大見は付け加える。


「戦艦霧島や駆逐艦雪風は航宙艦になってるんでしょう?つまり人間サイズで航宙艦並の戦闘力を持ってるかもってことです。」


二人の背に冷たい汗が流れた。



「こちら側のファーダニトベ達を乗せたフォーラが来まシタネ。
 ヒメチャンにアカツキクンもうすぐこちらのオジチャン達と会えマスヨ」


戦艦大和の艦載機の離発着にも使われる航空甲板で青い肌の一人の女性が海風で乱れる肩まで伸びた鳥の羽のような青い前髪を抑えている。
その女性の目は遠くに見える神崎島鎮守府の文字と神崎島の国籍マークが描かれたフォーラを捉えていた。
その側には女性と同じ青い羽髪に黒い瞳した少女と赤い髪に爬虫類のような黒い瞳に肌に模様を持つ少年がいる。


「来たか…。」

「ア、マサトサン。」


艦載機格納庫から一人の男性が顔を出す。
向こう側ではアサルトバカだの突撃ドゥスだの言われてるティ連防衛総省長官をするお偉方である。
男性はハワイの熱い日差しを手で遮りフォーラを見つめる。


「ティ連でも初の平行世界間会談か…しかも同じ国の…。」

「マア、実質的にはティ連合同使節団で団長は深海提督サンなので日本オンリーという訳ではないデスガ。」

「しかし平行世界との交渉経験あるからって引っ張り出されたあの人も大変だよな…。」

「デスネ。」


二人は大和直上で止まり太陽を遮るフォーラを見上げた。



日本国総理大臣とその一行はフォーラのハッチの前でスタンバイをしていた。
全員ネクタイを占め直し、襟元を正して覚悟完了だ。
そうしている内にハッチが完全に開ききたった。


「どうぞ皆さんお降り下さい。」


電の声と共に戦艦大和の甲板へと一歩を踏み出す。
ここからは日本でも合衆国でもない異世界の国家の領域だ。

フォーラを降りた全員の目が眩しい南国の太陽の日差しで眩み目を細める。
目が日差しに慣れるとまず入ってくるのは大和の巨大な艦橋だ。
向こう側で日本の城塞にも例えられるその姿が全てを圧倒する。

そして艦橋に続く構造物の下に何人かいる。
その内の女性に一行の目が釘付けになる。
着ているのは日本の女性用スーツであるが肌が青く、目が瞳と白目の上半分が金色だ。
髪は青く前髪が鳥の羽根の様に伸びている。


「(あれが異星人か?)」

「(多分そうでしょうね…。)」


総理や藤堂達は女性を見てヒソヒソと話しをするが大見は男性の方に釘付けだった。
自分が知るより幾らか若いその姿、隣の異星人の女性と親密なのか笑いながら話しをしている。
信じられず大見は大声で声を掛ける。


「柏木!?なんでこんな所にいるんだ!!?」

「オーちゃんか…全く因果ってのはこええな。そうだよ柏木真人本人だよ。向こう側のだけどな。」


大見がよく知る人物、向こう側の柏木真人と名乗る存在はニヤリと笑った。

509: 635 :2020/11/22(日) 13:12:29 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。
転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2020年11月25日 20:08