36: 635 :2020/11/29(日) 11:10:16 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその九
「(よくぞ一週間で収めたというべきか、それとも一週間も掛かったというべきか…。)」
合衆国全権大使ジョージ・ハリソンはテレビ映りの良い仮面を被り握手を交わしながら心の中で呟く。
目の前には疲労の色を滲ませながらも満面の笑みを浮かべる『こちら側』の合衆国大統領がいる。
ハリソンがいるのはこちら側のホワイトハウスだ。
あのテロから一週間、ようやく全てを片付け終えたこちら側の合衆国との友好条約の締結を終えた所だ。
全てが片付くまでの間ハリソンはロサンゼルス沖に停泊するリンカーンで待機していたことに"なっている"。
実際はティ連から貸し出された転移装置や通信装置を用い、向こう側とのやりとりやこちら側の日本との交渉も行っていた。
合衆国にいる筈の自分が目の前に現れた時のこちら側の日本の反応は中々に愉快であったが。
その間にこちら側のニュースを見たり、神崎島のトウキョウ・フーチの収集した情報(恐らくは消毒されてるだろうが)を閲覧したが、
自分達が恵まれていたことを再認識した。
マスメディアであるが向こう側のマスメディアは基本的に向こう側の日本の報道資格免許を取得している。
つまりニュースの取り扱いがティ連基準なのだ。
下手に情報を捻じ曲げれば免許を取り上げられるばかりか日本内ならば国内法で処罰の対象となる。
そんな事になればマスメディアとして致命的、取材がどこ行っても門前払いとなるのは確実である。
報道資格免許というのは現在ではそれ程信頼のあるものなのだ。
それがこちら側にはない。
マスメディアが自局のスタンスの元、利益となる情報のみ伝え不利益な情報を遮断するそれが普通なのだ。
そしてこちら側のSNSでの事象情報の取り扱いも問題だ。
真偽も分からぬ情報が飛び交い、悪意ある情報をしたり顔で取り扱う報道資格免許も持たない自称専門家がいる。
SNS自身も中立ではなく特定の方向性、例えば一部のSNS運営者そのものが反大統領の傾向が強い。
特定の発言を持ち上げたり虚偽であるような処理を行ったりしている。
その事実に向こうの現在の常識が普通の感覚となったハリソンは身震いする。
つまりありもしない情報を拡散し世論を誘導、国民を悪意ある情報で煽動しても問題ないのだ。
それらが利用され特定人種差別運動や反ファシズムという名の反社会集団を生み出したとしか思えない。
そしてそれが今回の事件のテロ団体を生み出した。
テロの実行の母体となった団体自体は元来人種を問わず低所得者層の権利と賃金拡大を掲げる真っ当な組織であった。
しかし昨今の反特定人種差別や反ファシズムの美名の名のもとに不法を働く者が入り込み組織は変容、
略奪や放火、襲撃をデモという言葉で正当化していた。
そこに目を付けた者達がいた。
合衆国のリベラリスト達は現大統領を批判する道具として利用した。
彼らのデモは"平和的"なものであり"一部"の暴力や略奪は現大統領が原因と非難し、
その活動を円滑に行う為の支援を表裏問わずに行った。
そして中共やロシア等は合衆国の力を削ぐ為援助を行い、
犯罪者やテロリスト達は丁度良い隠れ蓑で合ったために合流、組織の勢力は拡大していった。
そして今回のハリソンの訪米である。
向こう側との交渉を成功させコロナウィルスへの特効薬とワクチンの製造データを手に入れたことを彼らは掴んだ。
その情報は合衆国政府や軍内部の現大統領の続投を憂うリベラリスト等により流出した。
合衆国内部の反大統領派は大統領を引きずり降ろすため、反合衆国国家やテロリスト達はこれ以上の向こう側との関係深化を止めるため、
要人であるハリソンへの襲撃をさせることにした。
各勢力が協力して事に当たった訳ではない。
そもそも各勢力が個別に支援していることを掴んではいたが好都合として放置していた。
それが今回の大規模テロを引き起こすこととなった。
中共は民間用UAVの体当たり程度で怪我をさせ向こう側との関係悪化させる程度のつもりで大量のUAVを供給した。
ロシアは合衆国で入手出来るものだけでいつもの暴動染みた襲撃を行わせるつもりで資金を供給した。
イランは供給した爆発物や火器で武装した暴徒に襲わせて警告するつもりだった。
合衆国のリベラリストは選挙で勝つためにハリソンを襲わせる為に密輸等を見逃した。
それが蓋を開けてみれば当初の警告やら怪我をさせる程度どころか、
前代未聞の無人特攻兵器による都市部への無差別爆撃とジハード染みた自爆テロへと発展していた。
両方とも防がれたが。
そしてテロの全容が明らかになるとここまでする気は無かったのにどうしてこうなったと全ての勢力が頭を抱えた。
37: 635 :2020/11/29(日) 11:12:10 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
合衆国によるテロ関係者への追求は苛烈を極めた。
官民を問わず関わった者は国家反逆罪で逮捕拘束された。
反大統領のマスメディアはテロを当初は正義の発露だと囃し立て逮捕者が出ると大統領を独裁者と非難したが、
マスメディアそのものに大量の逮捕者が出るに至り沈黙した。
テロによる逮捕は議会や政府内部にも及び民主党だけでなく共和党であろうともテロに関われば容赦なく拘束した。
一歩間違えればこちら側を超える軍事力を持ち門を制御可能な向こう側との全面戦争になる危険性もあったのだから当然である。
なおそれら逮捕のため向こう側から大量の電子データが渡されたという。
その結果が反合衆国国家の合衆国への介入手段が消えただけならまだよかったが議会や政府への伝手も壊滅し、
国家間の遣り取り可能な裏ルートもついでのように潰された。
特定人種差別運動や反ファシズムも運動家がことごとくいなくなったために自然消滅しその余波で
他の真っ当な運動もそれらと同じを見なされ活動停止に追い込まれた。
民主党も主要な議員に逮捕者が続出し議会での勢力が減退、民主党内部の真っ当な左派もついでのように議会で居場所がなくなった。
誰にも利益のない全く以て無意味過ぎるテロであった。
しかし最も深い爪痕が残されたのは市民達であった。
ある父娘が愛犬の散歩のため早朝の公園へと出かけた。
街は特定人種差別運動もなくなかつての穏やかさを取り戻していた。
安心して出掛けられることの有り難さを父は噛み締めた。
数日前の向こう側との友好条約調印の場でコロナウィルスへの特効薬とワクチンのデータ提供と供給が向こう側より示され
合衆国社会もかつての姿を取り戻すと父は思っていた。
いや変なのがいなくなった分良くなるかもしれないと期待していた。
そんな時愛犬のリードが外れ走り出し娘は慌てて愛犬を追いかけていった。
父はしょうがないなと苦笑しつつ愛犬は満足すればこちらへ戻ってくるので心配せずゆっくりと後を追う。
そして公園に娘の悲鳴が響き渡った。
尋常ではない娘の声に父は慌てて娘の元へと向かう。
娘は大きな木の下にへたり込み、愛犬は木に向かい吠え続けている。
周囲に怪しい人影がないのに安堵しつつ急いで娘の元へと向かう。
へたり込んだ娘は恐怖に染まった顔で木を見つめる。
どうしたのかと父が尋ねると震える指先を木の枝へと向ける。
疑問に思った父が木を見上げるといくつもの果実がぶら下がって…。
「なんだ…アレ…。」
父の顔も恐怖で青く染まった。
大量に木に実っていたもの、それはいくつもの場所が青く腫れ上がり大量の赤い液体を流す奇妙な果実だった。
奇妙な果実は合衆国全土で発見された。
それら奇妙な果実の大半は特定人種差別運動家や反ファシストにリベラリスト、民主党員であったモノだ。
犯人は特定人種差別運動で被害を受けた人物や地元の自警団、共和党員など様々であったが一番多いのは
良き民主党員や良きリベラリスト達であった者達だ。
彼らは理想の高い人間達であった。
現大統領を下し民主党が政権を握れば合衆国はより良い国となると信じ活動を行ってきた。
どれだけデモというなの略奪や暴力があろうともそれは産みの苦しみであると信じ、悲鳴を訴える良心を抑え込んでいた。
しかしそれが無残にも打ち砕かれた。
理想も精神も砕け散り残ったものは信じたものが合衆国に仇なすものであったという事実だけ。
そして彼らは思いついた、自らの手で贖罪をしようと…。
断罪された罪の果実それが奇妙な果実の正体であった。
特に奇妙な果実の発見が多かったのがニューヨーク州(Big Apple)であったのは如何なる皮肉か。
そして断罪を行った後彼らは決まって自らを自裁した。
合衆国の自由と権利が守られることを祈りながら。
38: 635 :2020/11/29(日) 11:12:51 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
ニューヨーク州郊外の住宅前に何台もの警察車両が停まっている。
「また"元"民主党員か…。」
「発見された遺書から近所の公園の奇妙な果実の犯人はこの人に間違いなさそうですね…。」
警官達の目の間には首を?き切たのか夥しい量の血を流した男性が壁に寄りかかっている。
「これじゃえらく苦しみながら死んだだろうな…。」
「その苦しみも罰だとでも言うんですかね…。」
周囲の住民の話しを聞いた限り善良な人物であったことは間違いなかった。
そしてそんな人物をこのように追い込んでしまった反特定人種差別運動や反ファシズム運動、
民主党やリベラリスト達に怒りを覚え、遣る瀬なさを感じる。
一部警察を目の敵にした奴らへの怒りもあるが。
「大統領が艦娘に贈った言葉もここまで来ると最早合衆国への願いというか呪詛だな…。」
「この人自身が本当はこんなことする必要なかったんです。女神様への最期の祈りとしていとあげましょう…。」
警官の目に映る男性の遺体が背を預ける壁に男性自身の血で書かれたと思しき血文字。
それは自裁した者達が決まって己の血で書き上げる合衆国への真摯なな願い(呪い)であり、
罪を止めてくれた女神(艦娘)への切なる祈り。
"女神コロンビア、願わくば我らの自由を尊び、我らの権利を守り給え"
39: 635 :2020/11/29(日) 11:13:41 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
とりあえず戦争にはならないからヨシ!
最終更新:2020年11月30日 14:37