8: yukikaze :2020/11/29(日) 17:43:06 HOST:p283239-ipngn200405kamokounan.kagoshima.ocn.ne.jp
ようやっと完成。話題になっていたカウンティ級装甲艦投下。
カウンティ級装甲艦
排水量 13,000t
全長 205.25m
全幅 22.4m
吃水 7.3m
主缶 ヤーロー式石炭・重油混焼水管14基
主機 パーソンズ式タービン4基4軸推進
出力 88,000hp(公称120,000hp)
最大速力 28.5kn(公称32kn)
航続距離 14ノットで6,000海里(公称14ノットで8,000海里)
兵装 45口径25.4センチ砲連装砲3基
45口径15.2cm単装速射砲8基
45口径76mm単装高角砲4基
533mm3連装魚雷発射管2基
装甲 舷側:76mm(弾薬庫のみ102mm)
甲板:38mm
主砲塔:100mm~150mm
乗員 700名
同型艦 12隻(計画では3国合わせて20隻)
(解説)
1930年代、海上戦力において劣勢であった共産陣営が、通商破壊作戦艦の主力として計画・建造した艦艇である。
発表当初、ドイツ第二帝国及び大日本帝国を慌てさせることに成功したものの、結果的に海上戦力の戦力差を広げてしまう羽目になり、その中途半端な性能から、短期間で陳腐化するなど、失敗に終わった艦となってしまった。
1920年代前半はまさに共産主義の躍進の時期であった。
ロシアでの革命こそ失敗したものの、第一次大戦での敗戦や
アメリカ風邪での対応失敗により既存政治勢力への不信感が強まっていたイギリス、フランス、アメリカ合衆国において革命が成功したことは、「カール・マルクスの理念は正しかった」という格好の宣伝になり、その後20年ほどは、各国の高等教育を受けた層において、共産主義が伝染病のように蔓延する要因となっていた。
とはいえ、共産勢力が順風満帆であったかといえばそうではなかった。
何しろ彼らが政権を握れたのは、「戦後の混乱」「アメリカ風邪の混乱」という要因によるものであり、この混乱を抑え込まなければ、すぐにまた権力から追い落とされるのが目に見えていた。
何より旧体制の勢力を壊滅させることに失敗したことは致命的で、事実、アルジェリアとカナダに落ち延びた亡命政府は、即座に本土奪還を叫び、植民地の大半も亡命政府に靡く有様であった。
このことが、1920年代後半の共産勢力によるテロと謀略を一層活発化させることに繋がり、アルジェリアにおける亡命フランス政府に対する爆弾テロや、共産アメリカ成立に焦ったカナダが準備不足のまま共産アメリカに攻め込み、徹底的なゲリラ戦とテロによって、逆にカナダが共産革命を受けるという展開へとなっている。(なおカナダを共産アメリカが確保したことで、石油問題でようやく一息つけることになり、1940年代にアラスカで油田が発見されたことで、石油問題に解決の目途がつくことになる。)
9: yukikaze :2020/11/29(日) 17:43:56 HOST:p283239-ipngn200405kamokounan.kagoshima.ocn.ne.jp
無論、国内の諸問題については、特効薬などあるはずもなく、旧体制から奪った資本を原資として統制経済を敷くなどすることで、無理やり抑え込んでいる状況であった。
せめてもの救いは、英仏米の実務者の内、共産アメリカに逃亡していたクリメント・ヴォロシーロフが、、指揮官としては無能であったが、戦時経済の構築などの分野では優秀であり、彼の提言により英米仏の工業規格が統一されることになったことであろう。
余談だが、ヴォロシーロフの提言によって、統一規格はメートル法で策定されることになるのだが、これによりヤード・ポンド法を利用しているのはアメリカ連合位になってしまい、完全にローカル単位へと落ちぶれることになる。
さて、国内外のゴタゴタを何とか抑え込んでいた共産陣営であったが、状況は徐々に悪化していた。
まず一番大きいのは、国外市場を全て失い、事実上の鎖国状態になったことであろう。
無論、人口で言えば、1億5千万人近くあり、資源もボーキなどを除けば、大半は国内で賄えていたことから自給体制は整えられていたものの、当然のことながら成長は頭打ちとなっており、市場に物資がそれなりに安価且つ安定して供給されていたので、まだ抑えられている状況であった。
そして2番目は、敵対勢力である日本やドイツの国力が増大していたことであろう。
欧州の大半を統合していたドイツは、10年の期間を経て体制の構築を終わらせ、外へと目を向けようとしていたし、殆ど漁夫の利を得ていた日本に至っては、
アジアどころかインドや中東市場にまで食い込み、超大国として君臨しようとしていた。
結果的に、共産陣営は、10年間において他の2勢力と比べて弱体化してしまい、仮に2勢力に攻め込まれた場合、なすすべもなく叩き潰されると判断されていた。
特に敵対勢力と地続きな共産フランスと共産アメリカの危機感は相当なものであり、共産アメリカはロシアにおいてドイツや他の軍閥たちと渡り合っていたトハチェフスキーやイエロニム・ウボレヴィッチを、軍事顧問として招聘するなど、軍の近代化に勤しむことになるのだが、それだけではなく、『共産勢力唯一の輸出品』と揶揄された共産主義思想の浸透による友好国の増加や、外貨獲得のために大々的に麻薬や覚せい剤の密輸、そして3国の兵器の統一化及び旧式化した武器の販売を行うことになる。
これらの取り組みは一定の成果を上げることになったのだが、問題となったのは、海軍力の圧倒的なまでの劣勢であった。
この時期、海軍力を示すのは戦艦であったが、ドイツ海軍が17隻、日本海軍が12隻保有しているのに対し、共産アメリカはJ級戦艦を含めても5隻、共産イギリスも6隻、共産フランスが2隻と、3国合わせても劣勢であり、しかも海軍軍人の大半が亡命政府についたことから、稼働率や練度といったものは非常にお寒いものがあった。
この時期の3国の海軍軍人にしてみたら「ドイツ相手だと各個撃破。日本相手だと第二のロジェストヴェンスキーを生み出すだけ」という状況であったのだが、海軍を政治的に信頼していない3国の指導者も、大西洋という通商航路の防衛がいかに重要であるかという点について、否定するほど愚か者ではなかった。
もっとも、3国が海軍の拡張計画をできるかというと、前途多難であった。
前述のとおり、多くの海軍士官を革命の混乱で失ったことから、艦艇を運用するだけの人材に事欠くという問題もあったが、同時に国内立て直しの期間中、艦艇の新造はおろか、維持費用にも事欠き、これまで軍艦建造を担っていた工廠や大手造船会社等も、艦艇建造や修理のノウハウを失うという状況に陥っていた。
つまり、いくら3国の指導者が「艦隊拡充する」と宣言したとしても、それを建造するだけの人材も運用する人材も不足しているという状況であった。
そのため、3国の海軍担当者は、バランスの良い海軍編制をあきらめざるを得なかった。
何しろ『ヒト・モノ・カネ』全てにおいて不足しているのである。
大口径砲や分厚い装甲版、小型の高馬力機関を量産することも困難である以上、日本が所持しているような高速戦艦や、外洋を疾駆できる大型駆逐艦の保有など夢のまた夢であった。
よって、3国の海軍担当者は「戦艦よりも足が速く、巡洋艦よりも攻撃力が上で、比較的建造や運用が容易な艦」の整備以外に方法がなかったともいえる。
10: yukikaze :2020/11/29(日) 17:44:30 HOST:p283239-ipngn200405kamokounan.kagoshima.ocn.ne.jp
以下、本級の性能について説明する。
主砲は、当時共産アメリカにおいて製造ラインが生き残っていたテネシー級装甲巡洋艦の主砲を砲身長を伸ばす改正をして採用をしている。
これについては、イギリスのJ級戦艦群で採用されていた30.5cm連装砲を取り外して採用したらどうかと言う意見も出たが、その場合、2万トン近い排水量になるのではと試算されるのと、小型戦艦として取り扱われてしまうということから、中間砲として現在所有している中で一番威力が強いと見込まれる砲を採用している。
なお、主砲の給弾方法については、自由装填方式を採用しているが、ジュトランドの問題点から、装薬等の管理については厳重にしている。
副砲と高角砲については、イギリスのMk XII 1913年型 15.2cm(45口径)速射砲及びMark I 1913年型7.6cm(45口径)高角砲をそれぞれ採用している。
これは同系統の砲の中で一番ストックが多かったという理由が一番強く、取得コストと信頼性は申し分なかったものの、どちらも既に旧式化していたため、駆逐艦や商船攻撃用としてしか使えず、高角砲に至っては「あってもなくても意味がない」とまで言われることになる。
魚雷については、戦艦と相対した場合の最後の切り札扱いであったが、アドミラルティW級と同じ発射管を装備している。
防御に関しては、装甲巡洋艦の防御構造をそのまま流用したものであり、見るべき点はない。
工作能力の問題から、艦内の水線下部の傾斜装甲などは割愛され、完全に箱型の装甲配置となっているがこれによって、建造速度の促進こそ(資材さえ無時に到着すれば)されたものの、肝心の防御装甲が弾薬庫部分を除けば軽巡レベルでしかないため、搭載砲と比べて非常に脆弱と言ってよかった。
しかも、後述する燃料問題から、本級は石油と石炭の混焼缶であり、舷側装甲の後方を石炭庫にして防御区画として用いるなど、こちらも第一次大戦時から殆ど工夫されていないのが見て取れる。
機関については、共産イギリスが拿捕していたホーキンス級重巡洋艦の機関を参考にしている。
ただし、共産勢力で石油が採掘できるのはカナダ領内だけであり、基本的に陸軍と空軍に燃料が優先されることから、燃料は石炭と石油の混合であり、当然のことながら機関馬力にも影響している。
実際、当初計画と比べると3万馬力近く下がっており、速度や航続力も低下している。
もっとも、機関自体は当時の3国でも普通に使えるレベルにまとまっており、機関のトラブルが発生するなどの問題は生じていない。
なお、当初は『装甲巡洋艦』と呼ぶ予定であったが、3国の指導者達から『装甲艦の方が新艦種のようで宣伝になる』ということで、『装甲艦』と名付けられることになる。
また、艦名については、社会主義の偉人名を付ける予定であったが「戦艦に取っておこう」という意見から「州名乃至は大都市名」から採用されることになる。
同級は、当初3国合わせて20隻(英8隻、米6隻、仏6隻)建造されることが予定されており、完成した暁には、ドイツ第二帝国への通商破壊及び、共産勢力の大西洋航路の防衛を担う予定であった。
しかしながら、米仏において、ドイツやアメリカ連合の陸軍強化に対応するために、海軍予算を流用せざるを得なかったことや、本級の建造計画が打ち出されたことで、独日も対抗手段として似たような艦艇を整備し、個艦性能で立ち向かうことが困難であったことから、英6隻、米3隻 仏1隻の建造でストップすることになる。
3国の海軍担当者は、同級はあくまで習作であり、本命として本級を強化した2万トン級装甲艦や高速戦艦なども考慮していたものの、予算と人員の問題からなかなか計画は進むことはなく、最終的に、本級以降、装甲艦が作られることはなかった。
そのため、失敗艦として評価されるケースもあるが、運用実績そのものは良好であり、フランスの『ノルマンディー』は、ドイツ侵攻時に、空軍に撃沈されるまでに、味方の支援砲撃に活躍し、共産イギリスの6隻も、王政復古時に共産アメリカの下に脱出し、『ヨーク』が撃沈されたものの残り5隻は共産アメリカにたどり着き、同海軍で運用されるなど、一定の成果を上げている。
11: yukikaze :2020/11/29(日) 17:53:54 HOST:p283239-ipngn200405kamokounan.kagoshima.ocn.ne.jp
投下終了。元ネタはドイッチュラントを更に旧式化したもの。
まあ当たり前っちゃ当たり前で、1920年代、海軍がいろいろな事情でほっぽっとかれたため艦隊作ろうにもそれだけの『ヒト・モノ・カネ』がない状況。
ぶっちゃけ、艦隊の維持費用と最低限の訓練だけはやっていたドイツ海軍の方がはるかにマシという状況に陥っています。(イギリス本国に残っていた13.5インチ戦艦群も基本的に整備不足で朽ちていましたし)
そんな状況下で、第一次大戦の戦訓をきちんと汲んだ艦艇が簡単にできるかというとねえ・・・
なので、艦体設計については装甲巡洋艦のまんまで、コンセプトも装甲巡洋艦のそれと一緒。
主砲については、最悪戦艦と打ち合っても多少は打撃与えられるレベルでというのと、準備できる砲の生産技術がこの程度でしかなかったというのが。
どっちかというと、3国の規格の統一化でしょうね。一番大きかったの。
実際、陸軍は、海軍を英米系に譲る代わりに、小銃と軽機関銃及び弾薬以外は基本フランス製の兵器で占められることになりますし。装甲車両や戦車もフランス製となりますから。
土台、海軍が一度壊滅してしまった以上、強大な海軍相手に戦うとするのなら、どうしても歪なものになりますからねえ。
最終更新:2020年11月30日 15:15