299: 635 :2020/12/04(金) 00:22:20 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
完全なお遊びですw


銀河連合日本×神崎島? ネタ サセボ異界紀行



「エス、待たせたね。」

「それほど待ってはいないよ。」


正月気分も抜け、若者も成人認証式を終えて一段落した頃、私はサセボに停泊する戦艦リシュリューを下艦し迎えに来たエスの元へと来た。
二人共、鎮守府海軍第一種軍装を身に纏っている。
エスは実際に士官であり、私も職務上の必要性から士官の地位を賜っている。

振り返ればいつもの三十八センチ四連装砲に代わり試験的に搭載する長口径四十六センチ三連装四基を搭載する戦艦リシュリューの威容が見て取れる。
その艦橋には島で新規開発された対宙対応型の新型電探が見て取れる。
しかし重力や空間変動の検知も可能で電波を用いないコレを電探と言って良いものか…

しかしヤマトやコンゴウの様なニホンの城郭を思わせる様な艦橋ではなく、ニホン的美意識の中にも仏国出身らしい機能的かつ芸術的感覚も感じられる。
改装設計の段階で妖精となっていたウエノの国立西洋美術館の設計者も実用的かつ芸術的な艦内デザインに参加していたからだろうか?
しかしながらモダニズム的なのは内装であり、現在の戦艦リシュリュー全体のイメージとしては仏国のノートルダム・デュ・オー礼拝堂が近い気がする。

そして艦内に幾つかある貴賓室や食堂等大凡戦闘に関わりない機能を持つ区画は別の美術センスを以てデザインが成されているものもある。
それらのデザインには艦長であるファーダリシュリューの指示によりイゼイラやダストール等ティエルクマスカ出身の若いデザイナーが多く起用された。

ティエルクマスカ出身のデザイナーの大半は発達過程文明への留学として神崎島を訪れ自分のように神崎島の国籍を取得したものが大半だ。
芸術面においては本土より神崎島の方が優れていると見なされているからだ。
アール・ヌーヴォーのアルフォンス・ミュシャ、アール・デコのルネ・ラリック、モダニズムのル・コルビュジエを始め、
何れも神崎島で現役で活躍する綺羅星の様な芸術家やデザイナーばかりであり今回の若いデザイナー達の師となっている者も多い。
また本土の芸術家はティエルクマスカと反りが合わないリベララリズム主義者(ティエルクマスカの新語で言うバイコクド)の持ち主が多いのも理由である。

そしてそれらの師から様々な発達過程の芸術を身に着けたティエルクマスカの若者達はそれぞれの祖国の芸術と融合させより昇華させた。
師達から見ればまだまだ荒削りであるが新しく芽生え始めた芸術の潮流に神崎島の師達は心躍らせている様子であった。


そんな流れを作り出したのはファーダリシュリューがニホン政府や鎮守府に提案した芸術の道を志すティエルクマスカの若者達の島への留学である。
芸術の道を志しながらティエルクマスカでは新しい芸術に触れる場も活躍する機会もなかった若者たちに機会を与え、
島の芸術家達には異星の芸術という新たな刺激を与えた。
芸術に対するファーダリシュリューの見識の深さに誠に頭の下がる思いである。
そんな訳で戦艦リシュリューの艦内はチキュウとティエルクマスカの芸術が融合した美術館ともいえる状況にあるのだ。

そんな戦艦リシュリューに私が乗艦している理由であるがまたとなるが並行人類文学のためである。
島の学校にて並行人類文学(その主たるは両世界大戦のものが多いが…)を志すティエルクマスカの若者達に講義をすることがあるのだが
私自身が勉強を怠っては意味がない。
かつての姿と違い最新技術とティエルクマスカの若者の情熱により新たな姿となった戦艦リシュリューは並行人類文学作品を作る上で
非常に良い例となっている。
戦艦リシュリューのあり得たかも知れない並行宇宙での姿、そう書くとなんとも浪漫が溢れる。

そして何故私がエスと共にサセボへと降り立ったか。
エスの上官であるファーダコンゴウが主催する高速戦艦の会慰安旅行がこの度開催されたからだ。
参加者は各高速戦艦艦娘だけでなくその乗員達も対象となっている。
ファーダコンゴウ曰くみな高速戦艦の子なら家の子とのことなんとも母性溢れる発言である。
これがお艦気質というものか。

慰安旅行は流石に全艦一度にといかないので複数回に分けて行われる。
その際に妹君のファーダヒエイが別組の引率を任され敬愛する姉と別行動を嘆くべきか責任者を姉君より任されたことを誇るべきか複雑な感情であったそうな。

300: 635 :2020/12/04(金) 00:22:52 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

サセボに降り立った筈の私とエスそして上官であるファーダコンゴウとファーダリシュリューと共に見知らぬ街の夜の路地裏にいた。
見回せばなんとも異国情緒溢れる、あえて言えば蘭国風であろうか?大きな街であるがサセボやその近郊にこれほど巨大な都市は存在しなかった筈である。
何故こんなとこにいるのかと言えば私達と上官達は戦艦リシュリューに忍び込んでいた白黒柄の猫がリシュリューより逃げ出し追っていたからだ。
オスカーという名前であるそうだが何やら色々とあるらしい。

私達はオスカーを追いかけサセボの街を駆け回った訳であるがいくら追いかけても追いつけなかった。
艦娘の身体能力を以てしても、我々ティエルクマスカが誇るトーラルシステムの近未来予測演算を以てしてもだ。
あのオスカーは逃げ水かなんかであろうか。

私達はオスカーの後を追いどことも知れぬ街の小径を駆け抜けるとオスカーが座っていた。
追いつきやれやれといった感じでファーダコンゴウはオスカーを抱き上げた。
そしてふと私は通りを見回し見慣れぬ景色であることに気づく。
大勢の人々が行き交いニホン人や外人だけでなくティエルクマスカ諸種族の姿も見受けられる。


「エス、サセボにこんな街並みあったかな?」

「…いや何度も佐世保を訪れたがこんな場所は知らない。」


不安げに周りを見回す私と注意深く周囲を警戒するエス、それに対し何でもないかのようなファーダ達。


「んー、取り敢えず周りを少し見てみるデース。」

「Oui、コンゴウの言う通りね。」


上官二人は歩き出した。
二人が冷静なことに安堵しつつ私とエスは後に続く。



しばし歩けばなんとも祝賀ムードな街であった。
今日は何なのか日なのか周りの人々にと聞きたい気もするがそれは我慢する。
恐らくはここがある種の異界だからだ。

異界の者と話せばこの世界のものではないと気づかれ良くない目に合うのは自明の理である。
同じく気づいているだろうエスも何も話さない。
なので専ら周囲の人々と話をするのはファーダコンゴウとリシュリューである。
艦娘とは異界を航行出来る存在であり何かあっても二人なら対処可能だろう。
特にファーダコンゴウはさり気なく情報を引き出しつつ、相手に疑心を抱かせないのは流石は明治生まれは高性能である。
公共放送の児童向け歌唱の番組で流れていた歌唱でもそう歌われている。
そして私とエスはゼルクォートを用いてこの世界のネットワークに介入情報を収集していた。
そうしながら海、港の方へと移動して行きながら分かったことがある。


「大陸となった日本…。」

「正確には亜大陸の連合体ネー。」

「Oui、しかもティ連への加盟式典の祝賀モード。」

「この巨大な街がサセボとはまあ…。」


恐らくは平行宇宙、まあそれも驚きなのだが…。

301: 635 :2020/12/04(金) 00:24:28 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

「Nederlandが世界帝国で日本と創造主の鎖で繋がれてるというかどうしてあーなったデース…。」

「それを言ったらRepublique(共和国)だってこっち敗戦国なのにFFRとかいう国家連合体にTeleportation(ワープ)進化してるわよ…。」

「共産化したアメリカ…。」

「第二次世界大戦からの戦艦存続も中々…。」

「いやそれについては私達の世界も笑えないデース。」


確かに21世紀で戦艦復活からの世界に氾濫するとか誰も予想つかないだろう。
そしてさっきからチラチラとファーダコンゴウやリシュリューを見る人々がいる。


「艦長、こっちにも艦これあるんですね。」

「デスネー…。でも何で最終改装がペルシャ風なんデース!?」


そうしている内に港に出れば周囲をよくよく見れば見慣れた艦これのファーダコンゴウのボードが存在したりする。
どうも転籍先の国家の伝統衣装を身にまとっているようだ。
ならばファーダコンゴウのいつもの巫女の様な姿はこちらの日本人にとっては懐かしい感じがするのだろうか…。
まあそれ以上に気になることがあるのだが…。


「貴方達、気づいてる?」

「勿論デース。」

「私でも感じとれます。」

「艦娘でもないのに圧を感じる程の気配を感じるとは凄まじい…。」


ファーダリシュリューに全員が答える。
私でも気配を感じられる程のこちらを見る視線を感じるのだ。
それは目の前にある大和やエイブラハム・リンカーンにも匹敵しうる超大型大型戦艦から発せられる。
この世界の『大日本帝国』のティ連加盟を祝福するために来日した、
フランス連邦共和国、FFRとも呼ばれるこの世界のフランスから来た『戦艦リシュリュー』だ。


「フゥ、こちらの私はFFRの国民からの信仰だけで軍艦という存在から逸脱しつつあるんじゃないかしら?」

「日本で言う神になりつつあると…艦娘である貴女が言うほどですか…。」

「FFRはこのリシュリューに対してどれだけ想いが重いのデース…。というか貴方も普通のイゼイラ人からは逸脱しつつあるデース。」

「…マジですか?」

「マジデース。神道についてその辺の日本人より理解してるとか普通のイゼイラ人と感性がズレてる上に
 気配を感じるという感覚自体普通のイゼイラ人は持たないデスよー?」


言われてみれば確かにその通りである。
イゼイラ人を外れてるのは見えないものを見たりするエスぐらいなものかと思っていたが…。
スーパー野菜人ならぬスーパーイゼイラ人とでも言うべきか。

元来イゼイラ人は科学的に観測されたものしか信じない性質である。
神や気配というあやふやなもの信じないというか信じたくない性質を持っている。
まあ神という存在に関しては蛭子命等を通し状況証拠がどんどこ積み重なって来ているので信じられ来てるのであるが。



ドサリ

302: 635 :2020/12/04(金) 00:25:07 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

そんなことを考えていると周囲の音が急に小さくなった様に感じ、重いものが入った紙袋を落とした様な音が一際大きく響く。
振り向けばエス、ではなくエスに似たイゼイラ人がヤルバーンの制服を着て信じられないものを見つけ
驚いた様に目を剥いてこちらを見ている。
その足元には先程の音の原因と思われる紙袋が落ち中身のカレーパンと思しきものが散乱している。
もったいない…。


「に、兄さん…!?それにそっちは…。」


ああ、平行宇宙であればそういうこともありえるか。
エスがファーダコンゴウとリシュリューの顔をそれぞれ見ると二人は揃って首を縦に振る。
エスは困ったような顔をしながら口を開いた。



「弟よ。下の弟と両親は息災か?」



その言葉にエスの『弟』はエスに涙を浮かべ顔をクシャクシャにして突進するように抱きついた。
それを軍務を通して鍛え上げた肉体で微動だにすることなく受け止めるエス。
まあつまりこちらの世界でエスの上の『弟』は生きている上にヤルバーンの乗員なのだ。
そして反応から見るに私達の世界とは逆にエスはもう、もしかしたら私もこの世にはいないのだろう。


イゼイラ人が別のイゼイラ人に抱き着き泣き叫ぶという状況に周囲がざわつき始めどうしたものかと私は頭を捻っていた。
すると私の耳は焦ったような仏語を捉えた。
私はゼルクォートによる翻訳だけでなく海外の文学作品を読む際にはやはり現地の言語を習得した方が良いと考え、
英仏葡西露など主要な言語の日常会話くらいは出来るようになっている。


『おい!あの女性は!!』

『日本の艦隊これくしょんでのリシュリュー!?』


話しているのはFFR海軍の軍装の人間…あ”っ!!(察し)
この世界でのリシュリューとはFFRの象徴でありそのものでもあり主神でもある。
即ち我々イゼイラ人にとってのナヨクァラグヤ・ヘイル・サーミッサ以上の存在だ。


「ファーダリシュ、ファーダ神崎達!!」

「Je sais!!コンゴウ!!」

「了解ネ、リシュリュー!!みんなMove!Moveネー!」


ああ、せっかく名前ぼかしたのに…。


『やはりリシュリュー!!何故本国ではなく日本で降臨されたのだ!?』

『きっと深い理由があるのだろう!丁重にOMOTENASHIしなければ!!』


その間にも騒ぎは周囲に伝搬し拡大人々が集まり始め道を走って逃げるのは無理だろう。


「Shit!みんな上を行くネー!」


ファーダコンゴウは言葉共に艤装を展開、ファーダリシュリューも続き私とエスはM型コマンドローダー(M9タイプ)を造成する。


「やっぱり艦娘の金剛!でもペルシャ仕様でなく何故改二のまま!?」

「あっちの人間大のアーム・スレイブ!?」


私達を見る人々は大混乱に陥っているようだが私達はお構いなしにその場を離脱する。
私と弟を米俵のように担いだエスは斥力推進で、
ファーダコンゴウとリシュリューは自身の脚力と空間振動エンジンで空へと飛び上がり夜の闇に消えていった。

303: 635 :2020/12/04(金) 00:26:17 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp


街中を脱出した私達は郊外の人気のない公園に来た。
ファーダリシュリューが軍用艦艇クラスの探知艤装を展開し、
ファーダコンゴウが人払いの為に人が近づきたがらない程度の軽い殺意を公園全体に広げているため人が近づくことはないだろう。

ゼルクォートでインターネットに接続してみればワクワク動画にあたるサイトには誰が撮影していたのか
早速ファーダコンゴウとリシュリューの動画が上がり再生数が凄まじい勢いで増えている。
特に艤装を展開した瞬間など大量のコメントで動画が視聴不能に陥っている。
その動画がツブヤイターで広まり情報が拡散しそれを見た人が動画を見てツブヤイターして情報を拡散の繰り返しである。
ニュースサイトでは在大日本帝国FFR大使が緊急で総理官邸を訪れ艦娘リシュリューの所在確認と引き渡しを求めるニュースがトップとなっている。
そしてこの世界のヤルバーンに来訪していたティエルクマスカ連合艦隊では、


「なんか大混乱みたいネー。」

「この世界では死んだ人間が存在して一緒にヤルバーン乗員が連れ去られ行方不明になっていればね…。」

「まあでもこちらでもファーダ柏木は御大臣様ですか…。」


我々が原因で大混乱に陥っているのであった。
どうも現場に広域情報省の映像記録員がいたらしく私とエスの映像もしっかりと記録されていたようである。
そのことについて日本側へ説明を求めているらしくティエルクマスカ担当大臣のファーダ柏木がてんてこ舞いであるとか。

ちらりとエスと弟を見れば泣いている弟をエスがよしよしと撫でて落ち着かせようとしさらに泣くという悪循環に陥っていた。
下手にどの勢力の元にも行けない状況であるが、いやはやなんともどうしたものか…。
なおそもそもの原因となったオスカーは私達の足元で欠伸をかいていた。

304: 635 :2020/12/04(金) 00:30:02 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。
いつもの『私』と『エス』のコンビがヤルバーンが来た日蘭大陸世界に迷い込んだというお話です。
かなりお遊び要素が大きいので現状転載はしないで下さい。
なおネタを思いついたのは毎晩FFRの人が枕元に立つというモントゴメリー氏のリシュリュー関連とかのネタだったり。

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最終更新:2020年12月05日 11:37