599: 影響を受ける人 :2019/06/23(日) 21:00:45 HOST:softbank060068219187.bbtec.net
【影響を受ける人版
ストライクウィッチーズ:改訂版】
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。
いくらか月日がたち。とんでもない変貌を遂げた嶋田繁太郎の姿になれた頃、一部の男共が動き出した。
彼らは何度転生しても、直らなかったオタク共。当初はアニメ世界という事実に喜んでいたが・・・「三次元はないわ~」と、すぐにテンションが低くなった。
しかし、前世で鍛えられていたおかげ(?!)で、素面上はまともに過ごしている。
だが・・・フラストレーションは溜まるのだ。
「嶋田さn・・・九曜様、お願いです。何も言わずに、これを着てくだされ。」
「・・・はい?」
何時もの会議の後、ユックリお茶を飲んでいた嶋田繁太郎=九曜葛葉に、オタクメンバーの数人が包みを持ってきて土下座した。
急な頼み事に呆然としていたが、取りあえず包みを受け取って開けてみる。
「・・・服?」
入っていたものはぱっと見、中華風の服。 それを持ち上げて広げてみて・・・げんなりと顔を歪めた。
青い前掛け、ヒラヒラが付いたピンクの襟巻と袖、狐耳が入りそうな巾着帽子。
どう見ても東方な、胡散臭い主に仕える従者の服装だった。ジッと目で馬鹿共を見やる。
「これを、着てほしいと?」
「「「お願いします!」」」
「なんで?」
「「「生のランシャマが見たい!!」」」
「・・・」←呆れている。
「「「お願いいたしゃぁーす!!」」」
救いようがないヲタク共の懇願に、周囲はあきれかえる。
冷たい目で沈黙している姿に、この騒ぎを見ていた部外者は「着ないだろう」と予想していた。
彼らは確かに嶋田の性格を知っている。しかし・・・ため息をついて回答述べた。
「いいですよ」
「「「!!??」」」
「「「「おっしゃー!」」」」
まさかの了承に一同唖然、一部歓喜する。
周囲が驚いているのを尻目に衣装を手に立ち上がり、空いている隣の部屋に行く為に立ち上がった。。
いち早く茫然自失から回復した山本が、慌てて近寄る。
「お、おい。嶋田着るのか、それ・・・?」
「ええ、着てあげますよ。これくらい別に何でもないですし。」
「そ、うか・・・」
そのまま九曜は、隣の部屋に入る。
その際、除くなと厳重注意をしておくことを忘れない。一応女性なのだ。裸を見られるのは避けたい。
数分後・・・
―――ガラ
引き戸が開いた音に全員が反応して振り返ると、そこには理想が立っていた。
髪を纏め、尻尾は九本あるが白いままであるが、確かに理想的なコスプレイヤーがいる。
「らんしゃまだ~♪」「写真、写真を撮れ!」「美しい・・・」
入室してくる姿に、全員が見惚れた。
そのまま山本五十六達の元に来ると、くるりと回って見せた。
「どうですかね?」
「・・・意外と似合っている。が、何のキャラクターなのだ?」
「ありがとう山本。キャラは・・・わからんな。そういう知識は大分昔に忘れてしまったよ。」
「嶋田さん。アグレッシブになりましたね。東方という弾幕ゲームのキャラクターです。」
「辻さん。長く生きていると、こういうのには慣れますよ。無頓着に近いですし。」
600: 影響を受ける人 :2019/06/23(日) 21:01:39 HOST:softbank060068219187.bbtec.net
そう言うと、オタク共の方に向き直ってニッコリ微笑む。
「「「「「うぉおおおおおおお!!」」」」」
その中の一人が小さなメモ用紙を渡す。小さな声で「台詞まで用意してあるのか」と呆れつつも感心する。
未だに盛り上がる野郎どもに対し、小さく溜息をつきつつも台詞を覚えてコホンと息を整えた。
キリッと表情を引き締め、嶋田九曜は姿勢を正す。
「紫様。お食事の用意が出来ました。」 「「「おお、それっぽい!」」」
「霊夢、酒ばかり飲まないでこっちも喰え。」 「「「言わなそうで、言っていそうだ!」」」
「チェェェェェェン!」(誰だろうか?) 「「「うひょぉぉぉぉ!」」」
盛り上がる男共に女性陣の冷たい視線が突き刺さり、常識人達から視線を外される。
様々な台詞を言い終わると、いい時間だと判断した九曜は睨みつけた。
急に威圧的になった様子にオタク共は硬直し、何気なしに姿勢を正す。
「私に振れたいか人間。」 「「「サー、イエッサー!!」」」
「ならば努力しろ!」 「「「サー、イエッサー!!」」」
「こんなところで飲み食いしている奴らに期待などせん!」 「「「サー、イエッサー!!」」」
「努力するモノにこそ権利はある!」 「「「サー、イエッサー!!」」」
「ならば行け!」 「「「ひゃっはぁー!」」」
奇声をあげた野獣共は、そのまま勢いよく出て行った。
その光景を見ていた山本五十六と辻正信両名はヒソヒソと話し合う。
(なんなんだ? 何でこんなにノリがいいのだ?!)
(恐らく・・・女性として去勢された影響かと。後は年の功でしょうか・・・)
(こっちに被害は来ないか?)
(大丈夫です。いざとなったら近衛さんを生贄にしますから。)
(・・・ならいいか。良くはないが。)
(一部の)
夢幻会は今日も元気だ。飯がうまい。
さて。辻は手元の書類と言う名の、歴史資料を見ながお茶をすする。
その対面に嶋田九曜が頭巾を脱ぎ、そのままどっかり座っていてチビチビとお酒を飲む。
ちなみに。つまみは味付け油揚げ(
夢幻会側の差し入れ)だったりする。
「ほうほうなるほど・・・この為に法術士学校があるのですね?」
「そう。だから日本のウィッチは三十路過ぎても戦えるのよ。」
辻正信が見ていたのは法術士学校の資料。
この世界に生まれた辻正信はもちろん、独自にお嬢様学校を作ろうとした。
しかし。準備を整え、前世と比べてどの様な学校があるか消えているか、調べていくウチに見慣れない学校があるのに気が付く。
法術士学校:法術士学校は主に北と東から能力のある子を招集し、医療や地整、風水を用いた運勢調査、生活に根付いた事を教えている。
導術士学校:導術士学校は反対に西と南から招集し、肉体強化、各属性の魔力変換、効率的な術符作成、等の戦闘的な面を教えている。
これらは将来を見越した嶋田=九曜の計らいで生まれた、ウィッチ専門の学校。
「元々なんで魔力がある世界なのに、ウィッチが二十歳までぐらいしか活躍できないのか?
それは“普段から使っていないから退化していく”と考えたの。
時折老齢まで戦える人もいるらしいけど、それは恐らく先祖返りしているだけだと思う。
そうなると対策は簡単、最初からそう言う環境を作ればいい、そう判断したわ。」
「なるほど・・・科学技術が発達すれば、面倒な魔法が衰退するのは必至ですからね。
戦争に疫病対策で、さらに減ったと・・・」
「転生して驚いたのは“妖怪”と呼ばれている存在が。
使い魔が暴走して、身体を乗っ取られたウィッチだった事かな。
主に“妖怪”になっていたのは、未覚醒のウィッチ。
討伐は大変だった。下手に知性があるし、獣独自の身体能力があったから・・・」
お酒が入り、少し酔った目で御猪口のお酒に移る自分を見る九曜葛葉。
それに対して辻はあえて声をかけず、資料に目を向け続ける。
九曜葛葉は退魔士の家に生まれたが、すでに鉄砲等の技術が発達していた戦国という時期。
“妖怪”が出てきても出番が少なく、徐々に衰退していたと言っていた。
しかし。それでも仕事が無くなったわけではないはず。つまり・・・
(恐らく。嶋田さんは、その手で人殺しを下した経験もありますね。)
以前のような間接的な殺人ではない。直接殺していた。
武器を持ち、人だった存在を切り捨てて殺害。
目の前の人物が、性別以外にも自分達の知る人物と違って見えるのはその辺もあるのだろう。
「だから、そういうのを無くす為に、各村々に水晶球を置いて判定できるようにしたわけ。」
「しかし。希望があれば親元で過ごせる・・・と。」
「ええ。大抵は、学校に来ていたけどね。」
またお酒をちびりと飲み、妖艶な感じさせる動きで息を吐き、視線を辻に戻す。
601: 影響を受ける人 :2019/06/23(日) 21:02:56 HOST:softbank060068219187.bbtec.net
「でも、聞きたい事はそんな事ではないのでしょう?」
伊達に前世で付き合いが長いわけではない。視線や声音、体動きから何か有る事ぐらい察せられる。
天皇家で鍛えられた観察眼は伊達ではないのだ。
辻は資料を下ろし、姿勢を正して問うた。
「・・・単刀直入に聞きます。宮藤家とは関係は?」
「・・・・・・この世界では、私の子孫よ。」
まるで巨岩が降ってきたような沈黙が、その場に訪れた。
理由は彼女の表情が一瞬曇り、そのまま俯いたからだ。
野次馬として残っていた
夢幻会メンバーも、誰も話さない。それだけ発せられる雰囲気が重いのだ。
一体何があって話したくないのか、話せないのか、それを察する事が出来ない。
「ごめんなさい。空気悪くした。」
顔を再び上げた時には陰はすっかり消え、メンバーに対してヒラヒラと笑顔で手を振った。
僅かに寂しさと悲しみを表情に出していたが、誰もそれを追求することなく応じる。
さすがに場の雰囲気を悪くすることを察し、お酒を一気に飲み干す。
「もう上がらせてもらうわ。」
「ええ、わかりました」
御猪口を置き、辻に断りを入れる。
そしてそのまま窓に向かい、そのまま窓を開いて飛び立った。
自力で空を飛んでいく姿を見て、一同はそれぞれに感想を述べる。
「便利だな。タケコプターが好きだけど。」「東方っぽいよな。」「いや、舞空術だろう。JK。」
「そういえば、食事をしても太らないらしいな。」「女性としては羨ましいわ。」「柑橘類がだめみたいだけどね。」
「俺さ、あの島田なら嫁にしてもいいと思うんだ。」 「「「「「やめろ」」」」」
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―――オカァ~さ~ん
―――なぁに。●●?
―――えへへぇ。呼んでみただけ~
―――甘えんぼさんね。
ああ、懐かしい夢を見ている。
―――お母さん。どうかな?
―――そうね。でも早くない?
―――私の妹か弟だもの!早く生まれてほしいなぁ・・・
―――もう。おなかの赤ちゃんに行ってもしょうがないのよ
使い魔と融合し、あの子が私を拒絶する未来を見た後だったな。二人を産んだのは。
この子たちも、自分を拒絶するのか・・・不安と恐怖が拭えなかった。
―――お父さん・・・
―――ヒッグ・・・ウェェェ・・・
―――●●姉、〇〇姉、泣くなよ! 俺までなk・・・畜生! ぐす・・・
―――・・・
私は無力だ。怪我は治せても、病気までは治せない。
知識はあっても、使えなくては意味がない。
―――ねぇ。お母さん。
―――なに、●●?
―――・・・綺麗なままだね。
―――っ!!
私は老いない。年をとることが出来なくなっていた。
いずれ子供達は私を置いて先に逝くだろう。老いない私はどうすればいい?
孫たちの面倒を見ていく? その死も見届けられるのか?
―――どうする? どうすればいい!?
だから自分は・・・ 拒絶されるくらいならば・・・
―――お母さん。こんな時間に何?
―――俺、明日早いんだけど・・・
―――お姉ちゃん。□□、ちゃんと話を聞いてあげようよ。
―――大丈夫よ〇〇・・・すぐに終わるわ。
私の事を、忘れてもらうことにした。
603: 影響を受ける人 :2019/06/23(日) 21:17:27 HOST:softbank060068219187.bbtec.net
えっと、最後の投稿で微妙に次の文章を巻き込んでいい他みたいです。
602の掲載用差し替えを投稿します。
604: 影響を受ける人 :2019/06/23(日) 21:18:01 HOST:softbank060068219187.bbtec.net
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あれから400年経つ。親として最低な事やった。
記憶消去の後に名前を九曜葛葉に改名し、天皇家に仕えて自身に野望がないこと、守護者になることを誓った。
元々ウィッチ関連を指導しており、皇族であった夫の伝手でこれらの処置は素早く行えた。
急な願いに当時の天皇には少し警戒されていたが、終始徹底して出しゃばらず、良き支援者として仕事をこなしていった。
しかし・・・ 結局子供達の動向は気になり、時折水晶で覗いていた。
長女は町で知り合った人物と結婚し、そのまま市井に紛れ。
次女は宮藤神社の跡取りに嫁ぎ、
夢幻会で再度知り得た情報に焦りはしたが無事に宮藤芳佳が生まれてホッする。
末っ子の長男は商人となり、海外に出ていき現地で妻を娶ってその地に骨を埋めた。
その子孫にエイラ・イルマタル・ユーティライネンが生まれるとは、まったく思っていなかったが。
「そして今に至ると・・・」
自室の寝床で、寝転がったまま物思いに深けていたのを中断する。
長い年月を生きたが、いまだ問題は山積み。
外国の体勢も違うから、対応も苦労している(その分外務省所属の転生者は張り切っている)。
資源は問題ないが、いつ終わるとも知らない対ネウロイ戦争に辻も頭を痛めている。
しかし良い面もある。
航空機は零戦から新型へと移行中だ。 原作とは違って宮藤博士は日本にいる。
自分と
夢幻会が、強力にバックアップをしてストライカー開発を支えた成果だ。
本人は前線に行きたがっているが、あれほどの知識と柔軟性は誰にも代えがたい。
芳佳も法術士学校に入っており、腕を磨いている。寮生活が義務付けられているので、寂しい思いをさせているかもしれない。
連合軍第501統合戦闘航空団「STRIKE WITCHES」に所属するかわからないが・・・
「できれば・・・関わって欲しくない。」
ポツリとつぶやき苦笑する。今更何を言うのだろう、身勝手に記憶を消して、恐怖から子供を捨てた自分が。
そのまま起き上がり。身支度を調えて数少ない私物である夫の位牌を前に正座し、懺悔するように祈る。
より良い明日と、己を呪いながら。
以上です。
だいぶ自分の欲望にまみれたSSになった気がします(汗
次回は佳芳の話を最後にしたいと思っています。
改訂:2019年6月23日
最終更新:2020年12月05日 12:53