687: ナイ神父Mk-2 :2020/12/12(土) 00:01:24 HOST:p331223-ipngn2201akita.akita.ocn.ne.jp
憂鬱大陸スパロボ
Fルートネタ短編
近くて遠い世界は…
ヴォルクルスの脅威が去った特地と繋がる平成世界の東京では全域封鎖の解除より数日で人足が戻ってきており、霞が関のビルから見える人通りも戻ってきている様に見える。
銀座での門開通以降、翻弄され続けた日本と言う小国は最後に起きたファンタジー映画か神話の一幕の様な事件を持ってようやく平静を手に入れたと言えた。しかし、それと相反する様に
政府の活動は飛躍的に忙しく成って居た。崩壊した帝都などから逃げて来た難民の保護、ゲートを挟んで並ぶ事と成った地球連合政府との折衝や外交などこの一年余りにやることが多すぎた
と言え。総理として仕事をこなし続けた来た本位は若干の日差しが差し込む窓に映った白髪の増えた自分の顔を見ながら深いため息つき思考を外へと飛ばしてた。
そう現実逃避をしていた本位は自身を呼ぶ声が聞こえてきた事で意識を会議へと戻した見ればファンタジーの世界らしいと言えばらしい怪物の映像とそれとは相反するSFに出て来そうな
ロボットが写っておりそのギャップがこの忙しい時期に本位を更に疲れさせる原因と成って居た。しかも、それが現実であり特地派遣部隊から呼び出された狭間陸将が大真面目に説明を
行い各閣僚が大真面目に目を通している事を疲れを加速させる原因であった。
「説明を戻します。これまで語った様に今回出現したデモンゴーレムと呼ばれる存在の最大の長所はその数と成ります。現在は意図的に呼び出す存在が消えた事で空爆やミサイルなどの
アウトレンジによる対処をしていますが根絶には至って居ないのが現状で有ります。」
「しかし、ミサイルだけでは予算が掛かりすぎる。歩兵まではいかなくとももう少し安価な戦力での掃討は出来ないのか?ただの土の塊だろう?」
「…恐るべきことでは有りますがこの敵は特定の操縦者も機械的な構造も有しない事から完全に本体を破壊するほかなく圧縮された運動する土砂を正確に破壊し尽くすことは難しいという
事実が有ります。更に、大規模戦闘時には時間を置くと後方へと出現すると言う現象が発生しており、そういった奇襲が此方の装甲戦力の損耗を高めました。」
「つまり、破壊するには何発も砲弾を撃ち込まないと成らない上にソレを成している間に敵は後ろで復活すると…」
「其れでは連合はどう対処したというのだそれではキリがないでは無いか…」
「連合に火力は現代のわれわれのそれを超えています。事実として解析に回された炸薬などは現代で想定されている電子励起式炸薬すら足元にも及びませんそうした技術的説明は
この後の技術者からの説明で行われるかと思います。話を戻しますと連合は復活するよりも早く掃討してしまって居たのです。その上で群れを統率していた存在を撃破した事で
その発生を抑えました。コレを成すには最早戦術や人員の追加でどうにか成る問題では無く根本的な技術的な差が根底にある物と思われます。」
狭間陸将がそう締めて席へと戻っていくとそれと変わって今度は研究者然とした人間が前に出てきていた。胸元には最近設立された連合から提供された物資などを研究する専門チームで
有ることが伺える。
「近未来技術研究班からの報告と成りますが…結論だけを申しますと現時点では何もわからない事が解ったというのが事実と言えます…」
「おいおい、コレだけの予算で何も分からなかったじゃ済まされないぞ?」
話を聞いていた議員の一部からはそうした野次の様な発言も聞かれるが研究員は分かって居るとでも言いたげな表情をすると写されている画面を切り替えて写真を映し出す。そこには連合
から提供されたと思わしき足を生やした砲台の様な機体が写っておりその周りには研究者や技術者と思われる人間が集まっている。
「これは連合から提供されたMTと呼ばれる無人機の一種ですが…コレを解析に回した物の未発見の金属を複数種混ぜ合わせた合金の他、加工方法の分からない恐らく鉄と思わしき物体が
使われているという事までは判明しているのですが…ブラックボックス化された動力部分の出力は下手をすれば発電所に転用できる様な規模の物が使われているだけでなく非常に小型
コンパクトであり現代の様な水を沸かしてタービンを回すような発電はしていないという事が調べた研究者の結論でしたが抑々何でもって発電を行って居るかすら見当がつかないのが
事実では有ります。」
688: ナイ神父Mk-2 :2020/12/12(土) 00:02:11 HOST:p331223-ipngn2201akita.akita.ocn.ne.jp
「それじゃあ何か?こいつは原子炉ですらない良く分からないエンジンを積んで良く分からない超合金で出来ているって言うのか?子供のおもちゃのロボットじゃないんだぞ!」
「そうとしか言えないのです。我々の想像を絶する技術でこの機体は量産され、消費されているのです。仮に
アメリカが戦時並みの予算と原子爆弾開発時並みの技術者を集めたとしても
出来るのはコレを遥かに劣化させた兵器が積の山でしょうとしか言えんのです。それ位遠い所から来たのですよ…仮に我々がコレを作るならコレの体の上に原子力発電所を複数並べて
富岳を何台何十台とならべて漸く動かせる様な機体なのです。一年足らずで解析しようというのが土台無理な話なのですよ…」
「今の技術ではそれが限界という訳か…」
「残念ながら…」
技術者のその言葉を聞いて議員を含めた会議出席者の顔は一様に暗く成って居た。少し前に別の議員が言い放った様に子供の玩具の話であればどれ程良かったかと思えるような事実が
次々と特地から送られてくるこの年、日本国政府は地球連合側からの技術指導を含めた技術提供を申し出る事となり少し遅れてその
アメリカが、一年後にロシアが参加してある種の秘密協定の
一つとして銀座の一角に置いて締結される事と成って居る。
又、この決定後に日本は正式に人型機動兵器カタフラクト、およびアームスレイブと呼ばれる大型パワードスーツの大々的な導入の決定の他に新型戦車配備計画や新造艦開発計画を立て続けに
発表、日本の大きな動きに対しては世界各国が大きな影響を受ける事に成るがそれを半ば無視する様に日本は過去の帝国主義華やかなりし時代にも劣らぬ様な大軍拡を開始コレを本来抑止
する筈の
アメリカが行動を起こさなかったことと相まって世界の困惑は深まっていった。
しかし、それと同時に
アメリカが何も言わない程に大きなメリットが門の先には有ると考える人間も加速度的に増えているのも事実と言え各国の門を巡る駆け引きはそうした日米の行う
行動に裏打ちされて更なる対立の切っ掛けやその富を受け取れる物と受け取れない物の溝を深めていく事となる。それがラインの黄金で有ろうが宝にしか見えない人間には是が非でもほしい物で
ある為にその行為は加速し、やがてはWWⅡ以来の大規模な大戦へと繋がっていく。
689: ナイ神父Mk-2 :2020/12/12(土) 00:03:04 HOST:p331223-ipngn2201akita.akita.ocn.ne.jp
短いですが以上です。取り敢えずヴォルクルス戦直後辺りの話ですね…
最終更新:2023年10月10日 22:52