961: 635 :2020/12/17(木) 18:11:07 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその十三


「日本は大騒ぎだな…。」

「というか世界中大騒ぎだぜ。」


向こう側の柏木とこちら側の白木達はグラスに入った琥珀色の液体、神崎島の高級ウィスキー天叡(時間加速により実質三十年以上物)を傾ける。
神崎島の時間加速を使ったウィスキーやワインの熟成は熟練職人の経験のみで作られる為に希少性が高い。
海上自衛隊のような旧大日本帝国海軍の直系ではなくそのものと言える神崎島鎮守府の艦艇の酒保は未だに文字通りの酒保であり、
乗組員にはアルコールが提供される。

そしてここは戦艦比叡の貴賓室付きのバーだ。
こちら側の日本政府関係者は交渉中の宿として比叡の貴賓室が割り当てられた。
比叡は神崎島の顔であるためにそうした施設が整っているからだ。
なお大和からの移動時に艦載機を使うのかと思ったら転移装置で瞬間移動したために全員が腰を抜かしていた。


こちら側の世界は大混乱の渦中にあった。
アメリカ大規模UAVテロ事件、向こう側とこちら側の日本との交渉時に姿を現したやがて来たる王のある側面に似た人物、
そして極めつけのハリソン前大統領により一部開示された向こう側で発生した戦争である。

UAVは正規軍との戦争に役に立たないのではないか?との先のテロによる疑念により多くの国々が軍事ドクトリンの変更を余儀なくされた。
民間人への被害を抑える為に確実に撃墜したが本来ならばEMPやハッキングによる電子制圧も可能だったと言うハリソン元大統領の発言も大きい。
中共やロシアは公表された情報からテロの片棒を担いだと見做され権威失墜し国内、特に軍部で粛清が相次いだ。
そしてやがて来たる王に似た人物の存在から一部では人理焼却、漂白への対応が真剣に議論されていたりする。
該当人物の逸話が残る英国や某ゲームの発売国の日本であるのは分かるが国連安全保障理事会に議題として提出されるのは如何なものか。

それ以上に世界に衝撃を与えたのはやはり向こう側の戦争である。
ドイツや韓国、中共は周辺国より危険国家という視線にさらされることとなった。
ドイツはEUに加盟する周辺国との関係が悪化、このままEUは空中分解するとの意見も出ている。
中共では一帯一路への参加の取り止めの検討、誘いを辞退する国が相次ぎ共産党首脳部は頭を悩ませた。



「俺らも概要聞いただけだがな。実際の所はどうなんだ?」

「うん?ああ向こう側の戦争についてか…俺は開戦当初はサルカスにいて当事者じゃないからなあ。あの人に聞くべ。」


柏木が顔を向けた方に全員が顔を向けるとひと目見ても高級品と分かるスーツを着て総理や副総理とグラスを傾ける男性、
サーの称号を持つクラレンス・ベイカー卿の姿。
確か向こう側の英国の元駐日大使で今回来訪した英国陣営の全権大使だった筈と白木は呟く。

962: 635 :2020/12/17(木) 18:12:16 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

大勢で囲めるテーブルに柏木達は移動しベイカー卿を中心に柏木達やこの場にいた向こう側の米英関係者は席についた。


「ふむ欧州大戦についてかね?」

「ええ、ここは私より経験した当事者で当時大英帝国安全保障会議、『円卓』の一員でもあった貴方の言葉の方が良いと思いましてね。」


何やら王立な騎士団が出てくる作品の機関ぽい名前にこちら側がざわつくがベイカー卿はそれを無視し話を始めた。


「ドイツが周辺国に侵攻したあの日、我々『円卓』は女王陛下の名の下に緊急招集を受け数日前から始まった会議の真っ最中だった。
 惑星サルカスで実際に発生した事案について協議するためだな。」

「あの当時は地球ではまだ人類いや知的生命体自体に敵対的な存在なんてあまり注目されてませんでしたからね。」

「そうだ。霧の艦隊や深海棲艦という事例はあったにせよ前者は遠い世界の出来事であり、後者は現世に出てきた時には友好的だったからな。」


むしろ第二次大戦に先祖返りしたやつ(ドイツ)と十九世紀思想(共産主義)の残骸(中共)の方が余程深刻に捉えられていたとベイカー卿は話す。
それでも戦争には至らないだろうというのが英国だけでなく日本や合衆国、ティ連も含め大勢を占めていたと語る。
知的生命体である以上愚かでないと信じたかったのだろうと。


「まあ悲観主義的な日本政府の一部や神崎島だけはその可能性が高いと思っていたようだがな。
 そのために我々が求めた在英艦隊の派遣にも同意したのだろう…。」


当時、日本や神崎島から英国に齎された情報からもそれは裏付けられている。
恐らくはトウキョウフーチやシュタージ、オフラーナ・ネットワークを通し取得した情報だろう?とベイカー卿は柏木に意味ありげな視線を向ける。


「それらにおきましてはクレムリンの殿下か暁の瞳にでもお聞き下さい。」


柏木は苦笑しながらそう答える。
どういうことかと大見が聞けば向こう側の米英関係者曰く神崎島情報機関に関する日本神崎島政府関係者の決まり文句だそうだ。
神崎島情報機関、トウキョウフーチのトップはロマノフの忘れ形見で、女スパイH-21がいるとか元MI6、00セクションの諜報員がいるとかいう噂だ。
人理保証継続機関かよとか佐藤御大の作品かよ、流石に英霊はともかく神霊は居らんよな?というこちら側に対して、
向こう側の在日米軍の士官があのゲームの神霊と呼ばれる存在がいるかは分からないが状況証拠から日本の神の存在は確実視されていると話す。

若干胡散臭そうな目をするこちらに対し話したのは自らが体験した日本に仇なす者達が公達の祟りを引き起こそうとし、
神田の公や新院、天神や殺生石で同じ日に変死や大量の昏倒した事件。

そして主観外時間の流れの加速、気象も気候はおろか空間すら変化し続け島に害為す者は突破出来ぬ海域、
研究者も匙を投げた文字通り湯水の如く湧き続ける資源、そしてそこにプレートや海嶺の存在などを無視して出現した大地を生み出した存在。
それらを為していると思われるは多くの神々が神去し後も現世に留まり続ける大八十島より古き祟り神。
色んな意味で原作のと同じくらいヤバい存在じゃないかとかあっちの世界神秘生き残り過ぎだろと知る者は戦慄した。

ベイカー卿は戦慄しているこちら側を見て苦笑しながら話し始めた。

963: 635 :2020/12/17(木) 18:13:02 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
惑星サルカスで突撃バカと愉快な仲間達が奮闘していた時の話だ。


数日前より緊急招集されている英国安全保障会議、円卓には英国首相を始めとした政府閣僚に加え各三軍首脳等英国中枢に加え、
在英神崎島鎮守府軍総司令シェルビー・M・ペンウッド、在英神崎島海軍旗艦ウォースパイト艦長神崎ウォースパイト、
在英日本、神崎島大使などが勢揃いしていた。

無論会議内容は別宇宙に存在する惑星サルカスを襲う生体兵器ヂラールに関することだ。
生体であるにも関わらず宇宙で活動するばかりかシールドを張り、ワームホールを作り出し別の宇宙へと進出するという地球基準で良く分からん存在だ。
但しこれだけは分かっていた、人類の敵であり明日にもこの宇宙に現れ地球に襲来するかもしれないと。

参加している議会の議員からはシンデンⅡに続き日英共同開発中のティエルクマスカ技術(輸出可能なダウングレード版だが)を導入、
宇宙戦にも対応したソードフィッシュⅡ航宙戦闘攻撃機を早期に導入すべしという意見も出る。
別の議員からは旭龍などのサルカスでの二足歩行兵器の活躍から陸自で戦闘ヘリの代替として採用された大型MMUベースの二足歩行機動兵器を
モデルにした米露共同のNCAF計画(新概念攻撃戦闘機動兵器)のような惑星内での陸戦にも対応した機動兵器を採用すべきと発言している。
それに対して陸軍からは限定的ながら浮動も可能でサルカスでも投入された14インチ砲搭載の日本製大型機動戦車、
一部ではHildolfrの名前で呼ばれるType16戦車を導入すべきとしている。

また航宙艦導入も議論され合衆国の航宙艦計画への参加や最早恒例の日本との共同開発なども議論がされるが、
サルカスの現状を鑑みタイフーンやチャレンジャー2のような既存兵器の強化も必要という意見では一致していた。

ナヨクァラグヤと艦娘による無人制御とはいえ造成が容易な10式戦車やF-2といった既存主力兵器を中心とした多重防衛線に加え、
榴弾砲と迫撃砲、MLRS、対空機関砲、各種ミサイルに加え16インチ砲などを多数設置し要塞都市化したハイラ王国の王都バルベラが
ティエルクマスカ連合艦隊到着まで持ち堪えた実績があるからだ。
特に大口径砲は小中口径砲では歯が立たなかった30m級大型ヂラールを一撃で粉砕したことから英国本土防衛時に有用ではないかという意見が多い。
Type16導入が主張されるのもこれが要因だ。

なおここで以前神崎島のモンティナ・マックス少佐が考案した、
英国本土防衛要塞群『Avalon』、磁気火薬複合加速式対地対空システム「Rhon」、
本土防空用高層高出力レーザー高射砲塔『Ex.caliburⅠ型、Ⅱ型』、
といったトンデモ超兵器共も再評価されてたりした。


そうしている内に会議室のドアが大きな音と共に開けられた。
そこにいたのは例のモンティナ・マックス陸軍少佐、急いで来たようで若干汗ばんでいた。


「少佐!?今は会議中だぞ!!」

「申し訳ありませんペンウッド卿、鎮守府より至急電が入りましたので!ああ、女王陛下に首相閣下始め閣僚方に三軍首脳もおられましたか!!」


ちょうど良かったと少佐は胸を撫で下ろした。
面々は会議を止められ少々ご立腹の様子であったが大英帝国の君主はそんな様子を見て自ら話しかけた。


「少佐、至急電とは何かしら?会議を止めてまですべきことでしょうか?」

「女王陛下、残念ながら答えはYESであります。それも最悪な方向で…。」


少佐は苦虫を噛んだような表情をし、最悪という少佐の言葉にその場がざわつき始めた。
大英帝国の君主は続きを促した。


「分かりました…。モンティナ・マックス少佐、この場にいる者全てに分かるよう報告なさい。」

「本日、ヒトフタマルマル(12時)ドイツ連邦はベネルクス三国、スイス連邦そしてフランス共和国に対し侵攻を開始。
 また上海安全保障条約に基づき上海条約機構加盟国の中華人民共和国、大韓民国及び他の加盟国がそれらの国に宣戦布告。
 そしてこの国に戦争を仕掛けるのも時間の問題かと…。」


その言葉にその場が凍り付き大英帝国の女王は暫し目を瞑る。

964: 635 :2020/12/17(木) 18:17:12 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

「人類はあの時から何も変わっていないのね…、いえあの時と同じ道を辿ってしまったのかしら?」


女王の声が言葉が静まった広間に響く。
言葉も出ないこの場の者達をよそに女王が目を開くとその目には覚悟があった。
少なくとも少佐にはそのように見えた。
そして女王はウォースパイト(艦娘)へと声を掛ける。


「戦争を厭う者(ウォースパイト)、戦争での人の全ての悪を知る貴女達艦娘に頼むのは申し訳ないのだけれど、
 あの時のように民を守る為に再び私達に力を貸してくれるかしら?」

「Yes、Your Majesty。その為に我々は帰ってきたのですから。」


続いて少佐(妖精)へと


「少佐、この国の為でなくていい。どうか悪しき意思から身を守る術無き人々の為に力を貸してちょうだい…。」

「女王陛下、我々第二次大戦の者の姿を持つ妖精は正義なき力、力無き正義に晒された者の憎悪と嘆きを誰よりも知っています。
 人の悪意を止める為ならば喜んで力を貸しましょう。」


ありがとうと呟き女王は玉座より立ち上がった。
そしてその場にいる者達を見渡す。
妖精や艦娘達はもとより女王と艦娘、妖精とのやり取りを見ていた人間たちも決意を固めていた、悪意より人々を守ると、


「みんなどうか力を貸してちょうだい。」

「「「「「Yes、Your Majesty!!!」」」」」

965: 635 :2020/12/17(木) 18:18:47 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
どうも自分が書くと味方は人間讃歌を歌う某吸血鬼な旦那が好きな人間が増えるみたいですw

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最終更新:2020年12月20日 10:19