491: 加賀 :2020/12/19(土) 07:48:07 HOST:om126156135104.26.openmobile.ne.jp
「ふざけるなよジョンブルども……」
マケインは旗艦『キアサージ』の艦橋で被害報告に頭を抱えていた。マケインの機動部隊は五航艦の攻撃を何とか凌いではいたものの、空母『ボクサー』『ランドルフ』『ハンコック』『ベニントン』『レイテ』を喪失し『ボノム・リシャール』等五隻が大破していた。
特に酷いのは英太平洋艦隊であり空母は全て炎上、二隻後退(後に沈没)し四隻は沈んでいた。あまりにの体たらく差に米機動部隊の参謀スタッフ全員が罵倒する程である。だが此方も日本の空母四隻を沈めているのでどっこいどっこいではある。
(問題はヤマトクラスの艦隊がいない事だ……まさか奴等は……)
マケインは直ちに海図を見る。我々は沖縄本島の北部……北部でも東250キロの海域を航行している。そして伊平屋島方面は……手付かずだった。
(まさか……まさか……まさかァ!?)
マケインは咄嗟に左胸を抑える。最近、心臓に違和感を覚えていた。そしてその不安は現実となる。
「た……直ちに伊平屋島方面に偵察機を送れ!! 奴等は……ジャップの狙いは……ウグッ!?」
「マケイン提督!?」
意識が薄れていく中、マケインは倒れた。心臓発作によって倒れ機動部隊の指揮はマリアナから生還しているミッチャー中将が取る事になる。そしてマケインが倒れる前に発した命令に従った偵察機は与論島沖を航行する宇垣中将の第二艦隊を発見したのであった。
「動ける艦艇は全てヤマトクラスに当たれ!! 奴等を沖縄の海に沈めろ!!」
戦艦部隊を率いるディヨー中将は旗艦『ミズーリ』の艦橋にて叫ぶ。彼の手元には新旧合わせて14隻の戦艦はいたが上陸部隊の援護として旧式戦艦は置いていく事が決定しておりそのため実際に動かせるのは戦艦9隻の戦艦である。
ディヨー中将の戦艦部隊は直ちに宜野湾沖から出撃、先行した『インディアナ』『ノースカロライナ』が伊江島沖で砲撃戦を展開した。(第一次沖縄沖海戦夜戦)
だが二隻では『大和』『武蔵』を擁する第二艦隊には勝てず二隻は開始10分で爆沈、与えた被害は『武蔵』に二発のみである。
「クソ、ジョンブルも連れて行けたら……」
あっという間の二隻爆沈にディヨー中将は拳を強く握りしめる。主力が戦艦だけとなった英太平洋艦隊は北上してくる橋本中将の第五艦隊迎撃のため慶良間列島沖に展開していたのだ。しかも後詰めとしてフランスの戦艦『リシュリュー』イタリアの戦艦『リットリオ』等も含まれていた。
「少しは骨のあるところを見せてほしいものだ……」
そう願うディヨー中将だった。一方で橋本中将の第五艦隊も慶良間列島に近づいてはいた。
「いよいよか……山口さんの三艦隊は壊滅したが残存艦艇が沖縄へ突入する予定だそうだ」
「今度ぁ勝ったかな」
「松田……お前なぁ……」
松田の言葉に橋本は溜め息を吐くがその表情は笑っていた。
「戦の前は誰でも緊張はするんです。解れたでしょう?」
「クク、ありがとうと言っておくかな」
「ハハハ、では戻ったら橋本中将も瑞雲音頭を踊りましょうか」
「いや、あれを踊るならアンコウ踊りをするぞ」
「だから何でやねん……」
そう言う松田だった。そして0130、慶良間列島沖に近づいた第五艦隊の22号水上電探が反応を示したのである。
「ふむ……予想より早い接触だな。瑞雲は?」
「『妙高』の瑞雲が発艦しました。恐らくは英艦隊ですかな?」
「此方は旧式だからな。恐らくはそうだろう」
程なくして瑞雲から連絡が来た。
「大型艦らしきが19隻か……いやマジで?」
「いやマジみたいです」
「……嘘だと言ってよバーニィ……」
「ハッハッハ、此方は航空戦艦と旧式戦艦の四隻ですからねー」
「ならば卑怯をして勝てば良い。全瑞雲は爆装して発艦、奴等の頭の上から爆弾を叩きつけろ」
第五艦隊は瑞雲発艦のため一旦は連合軍艦隊と距離を取る。距離を取られた英太平洋艦隊のローリングス大将は首を捻る。
492: 加賀 :2020/12/19(土) 07:49:25 HOST:om126156135104.26.openmobile.ne.jp
「何をしているのだ奴等は……?」
「水上機を発艦しているようです。対空レーダーが次々と反応を示しています」
「何、水上機だと? ジャップは追い詰められて気でも狂っているんじゃないのか?」
呆れるローリングス大将だが上空に吊光弾が投下されるとその表情を一変させたのである。
「ば、爆撃だと!?」
瑞雲隊は低空飛行で突撃、外れたのは三発でそれ以外はそれぞれの戦艦に命中したのである。
「こちとら夜間空襲はソロモンで何度もやってるんだ!! 舐めるんじゃねーぞジョンブルども!!」
帰還する瑞雲改二のパイロットがそう叫ぶ。なお、この攻撃でイタリアの戦艦『カイオ・ドゥリオ』『アンドレア・ドーリア』の二隻は瑞雲改二からの800キロ爆弾を叩きつけられて大破に近い状態を出してしまい戦局に何ら影響しなかった。なお、瑞雲隊は爆撃後は久米島に臨時設営された水上基地に向かい燃料・爆弾・機銃弾を補給して再度出撃するのである。そして混乱する連合軍艦隊に対し橋本は砲撃命令を発した。
「砲撃始めェ!!」
旗艦『伊勢』が最初に砲撃を始める。それに続いて『日向』『扶桑』『山城』も速度を増して砲撃を開始する。
「全艦突撃!!」
五・六戦隊が最大速度で斬り込みをかけ砲撃によって空いた穴に『矢矧』以下の四水戦が突撃を開始し次々に必殺の酸素魚雷を発射して離脱していく。
「弾ちゃーく、今!!」
時間通りに酸素魚雷が定められた目標の側面にぶちこみ爆発したのである。
「命中!命中!」
被雷したのは『アンソン』『ハウ』であり防御面に不安が元からあった彼女達は一気に浸水して速度低下する。それを『伊勢』『日向』は見逃さずに二隻に砲撃を集中し二隻は大破して戦闘不能となる。
「たかが四隻の旧式戦艦に何を戸惑う必要があるのだ!! 奴等を踏み潰せ!!」
まだ雷撃の混乱が立ち直ってはいないが『ネルソン』『ロドニー』は『伊勢』『日向』に向けて砲撃を開始した。40サンチ砲弾が周囲に着弾したのを見た橋本は焦る。
「二、三斉射で命中しそうだな」
「その前に何とか……」
その時、後方から一筋の光が『ネルソン』『ロドニー』を浮かび上がらせた。
「く、『熊野』が探照灯を照射しています!!」
「……砲撃を二隻に集中!!」
『伊勢』『日向』は砲撃を集中して二隻に命中弾を与えるも探照灯を照射する『熊野』に二隻が砲撃して『熊野』は瞬く間に大破した。だが、『熊野』の時間稼ぎによって再装填した第三十二駆逐隊が再突撃し距離6000にて酸素魚雷を発射、『早波』が撃沈されるも24本の酸素魚雷は9本が二隻に命中した。
「駄目です、浸水が止まりません!!」
「くっ!!」
『ネルソン』に六発、『ロドニー』に三発が命中し『ネルソン』は『日向』の四番砲塔を旋回不能に陥れるもそこで力尽きた。『ロドニー』には更に抵抗したが五戦隊の乱打により炎上、沈黙を余儀なくされ後に第五十二駆逐隊の『楓』『梨』の雷撃で撃沈する。
「撃ちまくれ!! 数は此方に利があるのだ!!」
『伊勢』の周囲に砲弾が集中する。だが砲撃していた『リットリオ』に探照灯が射し込み映し出される。探照灯を照射したのは『扶桑』だった。
「敵弾は全てこの『扶桑』が引き受ける!!」
『扶桑』艦長の阪少将が吠える。実際に照射して数分後に『キングジョージ五世』『リヴェンジ』等から砲撃が集中し瞬く間に被弾炎上する。だが『扶桑』は耐えていた。その意を汲んだ『山城』が『リヴェンジ』に砲撃を集中、これを撃沈させる記録を出させる。
しかし『レナウン』が突撃してきて『扶桑』は大破、戦闘不能となる。
「此処で巡戦か……」
橋本は顔を歪める。そこへ『レナウン』に立ち向かったのが六戦隊の四隻だった。四隻は20サンチ砲をぶっぱなしながら『レナウン』の左右に分かれて反航の形を取る。『レナウン』は左を航行する『古鷹』『加古』を選択、砲撃で『加古』が爆沈する。だが『古鷹』は探照灯を照射し砲雷撃を敢行、『レナウン』を一時炎上させるも『加古』に続いて爆沈する。左を片付けた『レナウン』は右の『青葉』『衣笠』を狙うも『衣笠』は突出、砲撃で『レナウン』の二番砲を旋回不能にさせ右舷の喫水線を砲撃して浸水をさせるも『衣笠』は距離3200で砲撃を喰らい、力尽きた。更に『青葉』も後部砲が吹き飛ばされるも『レナウン』が活躍出来たのはそこまでだった。
「時間!!」
『青葉』『衣笠』が放った酸素魚雷五本を右舷にまともに受けて『レナウン』は轟沈したのである。
493: 加賀 :2020/12/19(土) 07:50:25 HOST:om126156135104.26.openmobile.ne.jp
「損害には構うな!! 全艦突撃!! 一心不乱に突撃し奴等の喉元に食らいつけ!! 食い破れェ!!」
『伊勢』の艦橋で橋本は吼える。『伊勢』は『ウォースパイト』と砲撃をしていた。後部にある飛行甲板は既に破壊されており航空戦艦としての機能は喪失していたが戦艦としての機能は喪失していなかった。
「命中弾!!」
『伊勢』が放った八斉射目の砲弾で『ウォースパイト』は一番砲塔を貫通され爆発、その余波で二番砲塔も砲撃不能となる。それを見た五水戦は突撃を開始した。
「奴等の側面に魚雷を叩き込むぞ!!」
五水戦司令官の佐藤康夫少将が五水戦旗艦『名取』の艦橋で笑う。寄せ集めの水雷戦隊だが彼等の士気は高かった。『名取』は探照灯を照射して『ウォースパイト』『ヴァリアント』『マレーヤ』を映し出す。対して『クイーン・エリザベス』が『名取』に砲撃して轟沈させるも三隻を視認した五水戦の駆逐隊は各個に突撃した。
この突撃で一番先頭に突撃した『天霧』『狭霧』『若葉』『初春』は爆沈するも生き残った『初霜』以下の駆逐艦は距離1800で酸素魚雷を放ち離脱、『ウォースパイト』は四本、『ヴァリアント』に六本、『マレーヤ』に九本を命中させ波間に没させる。
「て、撤退だ!? この海域から撤退する!!」
戦艦六隻を喪失したローリングス大将は自軍の被害に撤退を選択、残存艦艇は久米島沖に退避して態勢を整える事にしたのである。(名目上)
それでも撤退中に大破していた『アンソン』『ハウ』は『伊勢』『日向』『山城』の砲撃で撃沈される。
また久米島には瑞雲隊が控えており再度出撃してきた瑞雲隊の攻撃で大破していた『カイオ・ドゥリオ』『アンドレア・ドーリア』の二隻は爆沈するのである。
そして伊江島沖では死闘が続いていた。
494: 加賀 :2020/12/19(土) 07:56:42 HOST:om126156135104.26.openmobile.ne.jp
- 瑞雲改二の性能は世界一ィィィィィィ!!
- 『扶桑』大破しても尚まだ浮いている
- 六戦隊、最期の活躍
- やっぱ活躍は無い英太平洋艦隊
最終更新:2020年12月31日 12:58